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第8回 『ブルー・ジャズミン(原題) / Blue Jasmine』『ザ・ワールズ・エンド(原題) / The World's End』『ザ・バトラー(原題) / The Butler』

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世界の映画産業の中心、アメリカの最新映画情報を現地在住ライターが紹介する「最新!全米HOTムービー」。今回は『ブルー・ジャズミン(原題) / Blue Jasmine』『ザ・ワールズ・エンド(原題) / The World's End』『ザ・バトラー(原題) / The Butler』を紹介します!

今、最もHOTな映画はコレ!

■『ブルー・ジャズミン(原題) / Blue Jasmine』

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ケイト・ブランシェット
ケイト・ブランシェット

近年、海外での撮影を続けてきたアメリカ映画界の巨匠ウディ・アレンが、久しぶりにアメリカを舞台に手掛けた新作『ブルー・ジャズミン(原題) / Blue Jasmine』は、映画『アビエイター』でアカデミー賞助演女優賞を受賞したケイト・ブランシェットが主演の話題作。

ニューヨークで不動産業に携わる夫ハルと共に、優雅な暮らしを送っていたジャズミンは、夫の経営上の不正取引で結婚生活が崩壊し、ニューヨークを離れてサンフランシスコで質素な生活をする妹ジンジャーと共に暮らすことに。しかし、妹の周りでさまざまな問題が巻き起こり……というストーリー。

アンドリュー・ダイス・クレイ
アンドリュー・ダイス・クレイ

かつてニューヨークの社交界の華だったジャズミン役をケイトが演じ、やがて居場所を失い、自尊心をへし折られ、徐々に崩壊していく姿を見事に見せていて、現時点で批評家の間ではアカデミー賞主演女優賞ノミネートが確実視されている。

さらに本作で注目なのは、脇役としてルイス・C・Kやアンドリュー・ダイス・クレイなどのコメディアンが出演しているにもかかわらず、コミカルな要素がなく、ほとんどシリアスなドラマである点だ。そんな久しぶりにアレン監督が力を入れた本作は、この夏公開の映画の中で1館あたりの興行収入が高い作品の一つで、『ミッドナイト・イン・パリ』並みの勢いを見せている。

次にブレイクする映画はコレ!

■『ザ・ワールズ・エンド(原題) / The World's End』

ニック・フロスト&サイモン・ペッグ
ニック・フロスト&サイモン・ペッグ

映画『ショーン・オブ・ザ・デッド』『ホットファズ 俺たちスーパーポリスメン!』で一躍人気を博したサイモン・ペッグニック・フロスト、そしてエドガー・ライト監督らが再タッグを組んだ注目作品が『ザ・ワールズ・エンド(原題) / The World's End』だ。

アラフォー5人の幼なじみが、青春時代に果たせなかった12軒のパブのハシゴに再チャレンジし、伝説のパブ「The World's End」を目指す。しかし、その道中で故郷の街の人々がどこか不自然であることに気付き始め、いつしか故郷が宇宙人が送り込んだロボットに乗っ取られ、人類の滅亡に向かっていることに気付くというもの。

エドガー・ライト監督
エドガー・ライト監督

興味深いのは、彼ら5人の過去と現在が交錯し、さらにその中で友情や恋愛も描かれ、単なるSFアクションコメディーで終わっていない点だ。特に大人になりきれないゲイリー役のサイモン・ペッグと、そんなゲイリーに嫌気が差している大人びたアンディ役のニック・フロストのやりとりが面白い。さらに、演技派マーティン・フリーマンエディ・マーサンパディ・コンシダインらが脇を固める。そんな男だらけの中にロザムンド・パイク演じるサムが紅一点として加わり、男性陣の過去の関係がひもとかれていく設定など、ヒット要素満載の期待の作品だ。

ライターイチオシ映画はコレ!

■『ザ・バトラー(原題) / The Butler』

フォレスト・ウィッテカー
フォレスト・ウィッテカー

映画『プレシャス』がアカデミー賞にノミネートされたリー・ダニエルズ監督が、執事としてホワイトハウスに勤めた黒人ユージン・アレンの人生を描いた意欲作が『ザ・バトラー(原題) / The Butler』だ。

本作は、ホテル勤めの黒人セシルが、ある日ホワイトハウスの配膳係として雇われ、執事長になっていく過程と同時に、8人の大統領たちに仕えていた当時の社会情勢をつづったアカデミー賞有力候補作品。このセシルを演じるのは、映画『ラストキング・オブ・スコットランド』でアカデミー賞主演男優賞を受賞したフォレスト・ウィッテカー。感情を抑えながらも、表情で内面を表現する見事な熱演を見せ、オスカーノミネート間違いなしとみられている。

オプラ・ウィンフリー
オプラ・ウィンフリー

さらに今作では、アメリカを代表するトーク番組の司会者オプラ・ウィンフリーがセシルの妻役に挑戦し、ロビン・ウィリアムズジョン・キューザックリーヴ・シュレイバーアラン・リックマンらが、それぞれの時代の大統領を演じているという、見どころ満載の映画なのだ。中でも筆者が最も注目したのは、8人の大統領に仕えた執事を描く上で、何に焦点を合わせるかという点だったが、セシルが仕えていた時代を全て人種差別の観点で描き、映画全体に統一性を持たせることに成功した。かなりお薦めの映画だ。

【今月のHOTライター】
■細木信宏 / Nobuhiro Hosoki
海外での映画製作を決意し渡米。フィルムスクールに通った後、テレビ東京ニューヨーク支社の番組「モーニング・サテライト」のアシスタントとして働く。現在はアメリカのプレスとして活動中。

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