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フランス映画祭Special

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2000年/カラー/108分/配給:日本ヘラルド映画

 「絢爛豪華」とはまさにこの映画のためにある言葉だ。映画が始まると同時に、多くの観客はそのあまりに美しく荘厳な世界に思わずため息をついてしまうことだろう。物語の舞台は17世紀のフランス宮廷。“太陽王”と謳われた絶対王政の象徴ルイ14世は、幼少の頃より音楽とダンスの才能に恵まれていた。その王のために、生涯に渡り曲を作り続けたのが音楽家ジャン・バティスト・リュリだ。映画は老いたリュリが若かりし頃、ルイに才能を認められ、宮廷で権勢を振るった時代を回想する形で進んで行く。当時の宮廷内での権力争いやリュリの狂おしいまでのルイに対する想い、そして数々の名作を遺した劇作家モリエールとの交流など、官能的でサスペンスフルなエピソードが次々と展開し、ラストまで一気にみせる。

 監督はベルギー出身のジェラール・コルビオ。1988年のデビュー作『仮面 の中のアリア』、そして実在したカストラートをモデルに描いた大ヒット作『カストラート』で2度、アカデミー賞外国語映画賞にノミネートされた名匠だ。常に物語の核を音楽に置いてきたコルビオは、本作でもこれまでに培ってきた手腕を遺憾なく発揮している。特に最大の見せ場である王のダンス・シーンは圧巻だ。劇中使用されている音楽はリュリが作曲した膨大な作品から45作品が選ばれており、バロック時代の古楽器も多数登場するなど当時の音楽シーンを忠実に再現。さらにヴェルサイユ宮殿で敢行された撮影や華麗な衣装&美術などにより、得も言われぬ 壮麗な映像世界が構築されている。

 もちろん、個性豊かな俳優陣の顔ぶれもすばらしい。フランスの若手俳優ブノワ・マジメルは、ルイ14世という大役を初々しく好演。3ヶ月間特訓したというバロック・ダンスも、なかなかに見応えがある。対するリュリ役の新鋭ボリス・テラルは、まるでリュリの魂が乗り移ったかのような鬼気迫る熱演ぶり。暗い情熱を秘めた彼の黒い瞳は、しばらくは忘れられそうもないほど印象的だ。そしてきっちりと脇を固めているのが、モリエールに扮した演技派チェッキー・カリョ。『ドーベルマン』や『ジャンヌ・ダルク』などで多彩 な顔を見せる彼は、本作でもモリエールが自作の舞台の上で事切れる場面 で、ハッと息を飲むような感動的なシーンを演じている。 といくら書いてもキリがないが、とにもかくにも『王は踊る』は全てにおいて一流のものが揃った世紀のエンターテイメント大作であることは間違いない。

 


Q ダンスのシーンがすごかったですが、ご自分で踊られたのでしょうか?

ブノワ・マジメル:たった数ヵ月の間に、即興的にダンサーになるのはとても難しいことです。撮影に際しては振付家と共に3ヶ月準備を行ったのですが、たったの3ヶ月しか時間がなかったので……。大部分は自分で踊りましたが、いくつかのシーンではスタントを使いました。

Q ルキノ・ヴィスコンティ監督の作品に強く影響を受けていると感じましたが、その辺について教えてください。

ジェラール・コルビオ:ルキノ・ヴィスコンティについて話すことほど嬉しいことはありません。彼は本当に好きな監督です。演劇に対する好み、音楽、オペラに対する趣味は、いつも私の心を打つものです。今ご質問があったのはヴィスコンティの『ルートヴィヒ 神々の黄昏』についてだと思いますが、あの映画と『王が踊る』とは状況が随分違っていると思います。あの映画は音楽に従属している、すなわちワーグナーに従属する関係にあったのです。ですが私の映画は逆で、国王は全ての芸術を使って自分の権力を確かなものにしようとしている。そういったことを私の映画では表現しています。

Q 撮影に際して一番大変だったことは何ですか?

ジェラール・コルビオ:今のご質問は、私にとっては撮影と同じぐらい困難なものだと思います。撮影中にはさまざまな困難の要素が入ってきて、監督というのはそれらを全て上手くまとめていかなければなりません。いずれにしろ映画を作るというのは巨大な仕事で、とりわけ本作品はそうでした。特別 に難しかったことは、撮影期間が11週間と短かったことです。この規模の映画を作るには、本当にすごい賭けでした。プロデューサーと交わした約束を期間内に果 たしてこの映画を作り上げたこと、それが一番難しかったと言っておきましょう。

ボリス・テラル:私にとって一番難しいこと、それは人生と同じです。つまり好きな人と別 れなければならないこと。今みなさんがご覧になった映画の私の役、あの人物と別 れなければいけなかったことです。これは俳優という職業にとっては運命的なことでありますが、しかし別 れたといっても私の中に彼の一部がいつまでも残り続けるでしょう。撮影が終わってもう随分経ちますが、今もこうやって話をしていて彼の一部が私の中に残っていることが証明されたような気がします。いい質問をして下さって、ありがとうございました。

ブノワ・マジメル:こういう仕事をしている時、作品によってはその仕事が何かしらの情熱に関わるものになってくることがあります。この映画がまさにそうで、どこか情熱を掻き立てられる、自分の情熱と関わりのある作品となりました。内容的にもそうでしたし、本当に強い体験をしました。

 

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