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【『スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ』】三池崇史インタビュー

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『スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ』 オフィシャルサイト
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『スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ』三池崇史監督 単独インタビュー
お茶飲み会話の気まずさから生まれたオリジナル映画

世界の三池崇史監督が、とんでもない映画を作り上げた! セリフはすべて英語で、ガンマン役の伊藤英明が2丁拳銃をぶっ放し、源義経役の伊勢谷友介は日本刀を振りかざす! それが、『スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ』。バイオレンスから、ミュージカルまで幅広いジャンルの作品を作り続けている三池監督が、今回挑戦した“和製ウエスタン”は、ヴェネチア国際映画祭コンペティション部門に出品するなど、世界中から熱い視線を集めている。そんな本作について、三池監督が語った!

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三池監督が語る! 『スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ』誕生秘話!

Q:『スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ』のアイデアは、どのようにして生まれたのでしょう?

 お茶飲み話の中からですね(笑)。プロデューサーから「どんなものだったら面白いと思うの?」って聞かれたんで、「ウエスタンとかいいんじゃないかな~、スキヤキ・ウエスタン!」って……口から出まかせで(笑)。「……スキヤキ!? それはマカロニ系!?」ってプロデューサーものってきて……そんなやりとりから生まれたんです(笑)。要は、お茶を飲んでいて会話がなくなったんで、埋めるために答えてっていうのがきっかけですね(笑)。

Q:偶然の会話から生まれたストーリーだったんですか?

 今の日本映画のベースには、テレビでヒットしたとか、視聴率が20%を越えましたとか、ベストセラーとか、ネットで受けているとかが多いじゃないですか。この映画は、お茶を飲んでいて出てきたオリジナルなだけに、いろんなことから解放されてるわけですよね。守るべきものってあまりないんですよ。楽しんでやっているというか。ただ撮影はすんごい大変だったけど(笑)。

Q:オリジナル作品を撮るというのは、監督の立場からするとどういう楽しさがあるのですか?

 どんなものもそうだけど、原作になった漫画があるにしても、作り手がなぜそれを描いたかっていうところに、その人のドラマというか、人生があるわけじゃないですか。だから、オリジナルっていう表現はあまり正しくないんですよ。これも、マカロニ・ウエスタンの、どれっていうんでなくて、全体に、子どものころに受けた印象とか、日本の撮影所でまだ元気に作ってたころの時代劇の感じとかっていうのがベースにあるんです。しかもこれ、明らかに何かのバッタもんですよね。もともとバッタもんだったマカロニ・ウエスタンのバッタもんでしょ(笑)。でも、それでいいんだっていう。

三池監督が語る! 脚本家NAKA雅MURA! そして、強烈なキャラクターたち!

Q:脚本はどのように、作り上げていったのでしょうか?

 NAKA雅MURAっていうすごく面白い脚本家が製作段階で入ってきて、この人が特殊な才能を持っているやつなんです。だから僕は、勝手なバカ話だけして、「じゃあ後は何か話考えてね」って(笑)。でも、彼は僕に頼まれて、言われた話をこんな感じかな、っていう風に作るわけにはいかないタイプなんです。自分なりに腑(ふ)に落ちる展開を書いていくんですよ。

Q:キャラクター像もかなり面白いですね

 まあ、「平家物語」の義経ですとか、「リア王」のヘンリーですとかいろいろ出てきますが、どの時代のどんな人たちも、今と変わらないことで、さほど変わらない恨みとか、殺意とか、愛とかを感じて生きていたんですよね。懲りないもんだな人間は……という。どんな経験をしても、やっぱり何か忘れていっちゃう。でもそのワイルドさが本当は人間のきれいなところなんじゃないかなって、僕は思うんです。昔みたいに短くてもいいから、ワーッと熱く生きることって、逆に今ってできない時代だから、あこがれもあるんだけど、世の中がきれいに作られすぎていて、これ以上良くなんかならなくてもいいんじゃないの? って思うんです。逆に言うと良くなりすぎちゃって息苦しいよね。でもそれぞれが、今をどう考えて、どう生きるかは、もう個人の問題で……っていうようなのが、NAKA雅MURAの中のテーマになってたんじゃないかなっていう気はするんですけど。

Q:登場人物が大勢いますが、キャラクター設定は大変ではなかったですか?

 監督って登場人物のことを分かっていないといけないのに、僕は本当に全然分かっていないんです(笑)。それぞれの役の中で、役の人間が勝手に生きているんで、監督が全部の人生を把握して、こういうしゃべり方をしてこういうキャラクターなんだ、っていうのはあんまり面白くないでしょ。ストーリーを進めるために、こんな行動をして、こんなセリフをしゃべって……そういうのって、おれにとっては、逆にすごいバイオレンス。たまたまこの人あんまり映画にいらないんじゃないか、むしろ邪魔だよね!? っていうやつがポロッと言うアドリブめいたせりふが、映画のどのせりふよりも光っていたりするんですよ。主役を食っちゃう一瞬があるとか……。まあそういうことの方が気持ちいいんだよね。そういう面白さがなくて見事に作られているものって、ものすごいバイオレンス感じるんだよね。暴力だなこれは……って(笑)。

三池崇史が語る! 男のロマン!

Q:男同士の対決のロマンとはどういうところにあると思いますか?

 本当はみんな、何かと闘っているんだと思うんですけど、闘っていないようなふりをしなければいけない。でもそこをもっと表面に出すと、人生って面白いんじゃないかなっていう感じがあるのかも知れないです。ただ、要は、女性が入ってくると、よく分からないので……(笑)。男って結局女性には勝てないんで、映画も、女性が入ってくると、絶対女に勝てない男の話になっちゃうんですよね。でもまあ。ゲスト的な感じだったら、思うように普段の恨みを晴らすことができるかもしれませんけど(笑)。男のこともよく分からないし、自分のこともよく分からないのに、ましてや女性のことは本当に分からないですね。

三池監督、『スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ』のキャストをスキヤキの具にたとえる!

Q:最後に、本作のキャストをスキヤキの具にたとえると肉は誰になりますか?

 ……肉がいないですねえ(笑)。それぞれがその場所において光っているしね。豆腐がガンマンの伊藤君じゃないかな? シラタキが伊勢谷君で、ネギが佐藤浩市さん。
あと、保安官はの香川照之は、家庭によって違うけど、ナルト!? なんか、そういうのあるじゃない。「ええっ!? お前んちそんなの入れてんの!?」みたいな。そんな感じのナルト(笑)

お茶を飲みながら、“日本版ウエスタン映画”などという奇抜なアイデアが浮かんでくるなんて、さすがは鬼才! バイオレンスの中に散りばめられた、くだらなくて笑えてしまう小ネタとの絶妙なバランス感覚は、一見コワモテだが、「保安官役の香川さんは、ナルト」とボソッと話すちゃめっ気も兼ね備えた三池監督しか持ち得ない! ハラハラドキドキしながらも、お腹を抱えて笑ってしまえる面白さがあり、存分に楽しめる作品『スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ』は、まさに三池監督が作った極上のエンターテインメントだ。

取材・文・写真:シネマトゥデイ
『スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ』は9月15日より渋谷東急ほかにて全国公開



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