シネマトゥデイ

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リュック&ジャン・ピエール・ダルデンヌ

『ロゼッタ』
(ビターズ・エンド)
会見日:2月3日
Bunkamura


'99年のカンヌ国際映画祭でパルムドール大賞と、主演女優賞をダブル受賞したドラマ『ロゼッタ』。監督のリュック&ジャン・ピエール・ダルデンヌ兄弟は、3年前の『イゴールの約束』以来、2度目の来日となる。

 

 
Quick Time4.0以上
ファイルサイズ5.5M

ロベール・ブレッソンの影響を受けているように見えますが?
(以下、L=リュック・ダルテンヌ  J=ジャン・ピエール・ダルテンヌ)
L 特にどの監督から影響を受けたということはありません。怖いのは映画を分類してしまい、それを引き出しに入れてしまうと、もう見なくても良い気になてしまうということです。
私が驚いたことの一つは、大部分が下層階級について描くと社会派、中流だと心理的という風に分類されることです。
ただし、私達は今まで沢山の映画を観てきているわけですから、知らず知らずのうちにいろんなことで影響を受けているという可能性はあると思います。先ほどブレッソンの名が出ましたが、確かに影響を受けているかもしれません。『抵抗』では、動作の一つ一つが生きるか死ぬ か、というぐらいの細心の注意を払って描かれています。
そこで私達も同じように、ロゼッタの動作に最大限の注意を払うことにしました。そのように、映画作家からというよりも、影響を受けているとすれば個々の作品からということはあると思います。
私達二人が好きな監督は、溝口健二です。以前にベルギーのシネマテークで観て、すばらしいと思いました。
J 兄とは26年間一緒に仕事をしているので、どちらか一人が答えたらそれが二人の意見ということです(笑)。
ロゼッタとリケのダンスシーンが印象的でした。
L シーンを作る時に一番重要視しているのは、テンポです。私達はセリフではなく、カメラや演出からリズムが生まれるようにしています。
ただ映画の中でこのシーンだけが唯一音楽があるので、このシーンでは音楽にテンポを合わせました。ダンスというのは、普通 人間を解放へ向かわせるものですが、ロゼッタの場合はダンスによって何かを内にしまって行きます。
このシーンでは、ロゼッタがいかに自閉的な人間かということを示したかった。彼女は仕事を得なければいけないという強迫観念に捕われており、次第にその強迫観念の犠牲者となっていく。そのことを、表現したかったのです。
技術的なことを言うと、このシーンはスーパー16ミリを使用し撮影しました。
このカメラでは10分間続けて撮影できるのですが、ダンスシーンの9分間はワンシーンワンカットで撮りました。これは俳優やカメラマンに大変な緊張感を与えます。このような緊張感は観客にも伝わるもので、それがリアリズムを生み出すのです。
ずっと同じかっこをしているロゼッタからは、まるで匂いが伝わってきそうな感じがしました。
L 前にも、この映画は随分匂いがする映画だと言われました。私達は、ロゼッタの動作にとても注意を払っていたので、そうしたことはよくわからなかった。
ただ、ロゼッタは大変秩序的な生活を行う子です。それに水とは重要な関係がありますから、身体はちゃんと洗っていたはずだと思いますよ。
手持ちのカメラワークについて。
J 映画では、ロゼッタに大変接近して撮影しています。私達は彼女を追跡していこうと決めていたので、撮影は可動的でなければダメでした。そのため、手持ちにしたのです。反対に、仕事を得て社会に受け入れられるか、それとも拒絶されるのかという固定観念にロゼッタを閉じ込めるためにも、手持ちカメラは有効な手段だと考えたのです。
L これは戦争の映画なのです。
町は戦場でロゼッタは戦士、仕事を得るための行動が戦いで、トレーラーハウスは公益基地、母親は負傷者です。
ですからロゼッタが町から家に戻るために渡る大きな道路が、戦場との分岐点なんですね。彼女があの道路を横切るためにパッと走り出すと、驚いたように少し遅れてカメラが彼女の後を付いていく。その臨場感が、リアリズムを生み出すのです。
兄弟で映画製作することについて。
L 一人でやっても二人でやっても、同じだと思います。特に二人でやることの困難はないし、逆に一人でやったことがないので比較できません。私達にとっては、二人でやることが必然でした。私達は一人の人間で、4つの目がある。でも観ている方向は全部違う、という風に考えてもらえばいいのではないでしょうか。
なぜ今回は女性をテーマに選んだのですか?
L 前作の『イゴールの約束』では男が主人公だったので、今回は女性にしようと思いました。
多くの映画作家は、少なくとも一生に1本は女性を主役に撮りたいと思うのではないでしょうか? 
“なぜ少女なのか”ということについては、私達が興味を持っているのはおとぎ話の中のイニシエーションです。子供がどのような移行期を得て大人になるのか、ということを描きたかった。
ロゼッタは社会から排除され、外側にいる。それは彼女にとっては死んでいるのと同じことで、なんとか中に入りたいと考えている。ロゼッタの願いは、きちんと仕事をして社会の中に、人間の共同体に入ることなのです。
そうすることが、彼女が少女から大人への移行を意味する。その過渡期を描きたいと思いました。そしてロゼッタのように社会から排除されている人々は、ヨーロッパには沢山存在していると思います。

『ロゼッタ』
1999年度作品
配給:ビターズ・エンド
2000年4月8日より
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