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「ラッセル・クロウ」インタビュー

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『グラディエーター』
2000年度作品 配給: UIP  上映中

『インサイダー』でアカデミー賞にノミネートされ、現代の『ベン・ハー』として前評判の高い『グラディエーター』に主演しているラッセル・クロウ。新作や自身について語った。

『インサイダー』
1999年度作品 配給:東宝東和 上映中

 


オスカーは僕には大事なことだった。名誉だって思ってる
こういうプロモーションや賞などには慣れましたか?
C ラッセル・クロウ(以下C) どっちも楽しくはないよ。どう付き合っていけばいいのかわか らないし、こうやって座って、何度も何度も同じことを言うのは妙な感じがするんだ 。想像できるかい? 同じ会話を繰り返すってのは非人間的だよ。もっといい方法が ないのかな。
ここ数ヵ月間であなたの生活はどう変わりましたか?
C ぼくの生活がどう変わったかって? あちこち飛び回るばかりで、愛する人たち や場 所で過ごせないんだ。でも、ぼくは俳優だし、この仕事をずっとやってきてい るし、それなりの評価も得てきた。誰かに(ぼくが)傲慢だって言われたりするのは 、おかしな気分だよ。成功することについては、ぼく自身は一度もそれを予想したこ とはなかったけど、自分がどんな仕事をやってきたかを考えれば、別 に驚くことでも ないんだ。成功したことで、(オーストラリアの)外で暮らすことが多くなったけど、自分 が一緒に働いてきた人たちや経験してきたことや自分が演じてきた役を考えれば、全 く不満はないね。
アカデミー賞にノミネートされることは、あなたのシナリオの中にありましたか?
C オスカーは僕には大事なことだった。名誉だって思ってる。才能があって長いキャリアを 積んでいても、何の恩恵も与えられない人たちだっているんだ。同僚からは尊敬され ているけどね。皮肉な意味にとらないでよ。ぼくは本当に感謝しているってことを言 いたいんだ。
リチャード・ハリスが、オスカーはくだらないけど、あなたに取ってもらいたかったと話して いましたよ。
C リチャードか! ぼくは彼が好きなんだ。イギリスに行ったら必ず会うんだよ。で、彼の おかげで、ぼくはラグビーのファンになってしまったんだ。そういう個人的な関係を抜き にしても、彼と共演したことはすばらしい体験だったよ。
 

第72回アカデミー賞授与式


『インサイダー』
(C)Buena Vista International. All rights reserved.

 

『グラディエーター』の話が最初にぼくのところに来た時には、まだ脚本もなかったんだ
『インサイダー』に続いてすばらしい映画に出演しましたね。これはあなたの作戦通 り?それとも偶然?
C 両方だよ。『グラディエーター』の話が最初にぼくのところに来た時には、まだ脚本も なかったんだ。ただこう言われただけ。「ラッセル、こういう企画はどうだ? リドリー・スコ ット監督。西暦185年。君はローマの将軍。監督と話してみないか?」。それだけでわくわ くして引き受けることにしたのさ。でも、脚本ができて読んでみると、あんまりいい 出来じゃなかった。現代的すぎ、シニカルすぎ、安っぽい台詞。これは、 スタジオ側、プロデ ゛ューサー側、監督とぼく、それにもちろん他の俳優、 コニー・ニールセンやホアキン・フェニックスの間の巨 大な共同作業の中で解決していくべき問題だった。いつもはこんなことはしないよ。 ぼくはあらかじめ自分が何をするべきなのかを知っている方が好きなんだ。もしテネシー ・ウィリアムズの劇に出るとしたら、こんな苦労はいらなかったよね。台詞を覚えてマークの 場所を覚える。それで自分の仕事の95%を終えたことになる。でも、もし台詞がどん なものになるのかがわからない場合は、その上どこの国で撮影をやるのかすらもわか らない場合は、話が違う。ドリームワークスは歴史が短いけれど信用のおける会社だ。そう いう仲間で何とかやってきたんだ。
ある役で認められるということは、あなたのキャリアにとってどう影響しますか?
C ぼくが『L.A. コンフィデンシャル』の役を得ることができた第一の理由は、それまでぼ くがやってきた、いろんな仕事を認められ、評価を得たおかげなんだ。評価してくれ たカーティス(監督)のおかげだね。自分がやる映画は自分で選択している。メグ・ライアンと 共演する、テイラー・ハックフォード監督の“Proof of Life”という映画がある。僕はそこで人 質解放の交渉人の役をやったんだ。
それで……。
C ちょっと待って、まだ話してるんだよ。それでその後に演った役はジョディ・フォスター の監督作だった。1930年代が舞台でね。タイトルは“Flora Plum”で、フローラの役はクレア・デ ィンズが演じたんだ。ぼくは見せ物小屋の化け物を演った。映画で見えるのは、ぼくの 目だけだけどね。それで僕の役者人生も終わりだったかもしれないんだよな。
ハックフォード監督の映画をやろうとした理由は何ですか? 将来、あなたが映画を選 ぶ基準はどんなものになりますか?
C 『愛と青春の旅だち』が好きだったんだ、『チャック・ベリー』っていうチャック・ベリーのドキ ュメンタリーも大好きだった。『モハメッド・アリ かけがいのない日々』も良かったな。テイラー監 督はそれで有名にはならなかったけど、あの作品は好きだった。ぞくぞくさせるよう な男には注目するべきだ。彼は一緒に働いてみたいと思わせる男なんだ。
人が自分自身を探究しようと 真剣になっている時、それがぼくが その人と一緒に働きたいと思う時なんだ
あなたはマイケル・マン監督のような変わった監督のもとでも働いた。
C

変わってる……それは君の表現、君の言葉だろ? でも、ぼくが最近一緒に働い てきたのは、みんな映画の作り方をわかっているやつばかりだ。でも、たぶん充分に 自己を発揮できる映画を作ってこなかったんだ。テイラー監督もそうだ。彼は最近2、3 本の映画を作ったけど、それらはたぶん自分を表現しきれていなかったんだ。ぼくは 彼の言いたいことがわかったけども。

人が自分自身を探究しようと真剣になっている 時、それがぼくがその人と一緒に働きたいと思う時なんだ。過去にすばらしい業績を 残していたからじゃない。業績がないってことは、まだ準備ができていなかったとい うことだ。ぼくは昨晩ローレンス・カスダン監督と話したんだけどね。

面白かったよ。カスダンは 以前にぼくと一度も会ったことがないみたいに話してるってわかったからだ。でも、 ぼくらは何年か前に会ってるんだよ。彼はそれを思い出しもしなかったぜ。ぼくが彼 に話している時、彼は集中してさえいなかった。だから彼とは仕事をしたくないんだ よ。ニール・ジョーダン監督と話した時はね、彼のプロダクション・パートナーであるスティーウン・レイとも緒に話したんだけどね。

スティーウンとは友達になったんだけど、ニールとは合わなかった 。ニールが『In Dreams 殺意の森』について、間違ったことを言ったからね。「なあ、 最初の場面はファンタスティックだったけども、残りはひどいもんじゃないか? 」ってね。そ れでぼくも脚本と同じように一緒に働いていく人たちを選んでいこうと思ったのさ。 難しいけどね、正解の時もあれば間違うこともある。他の人が変だっていうやつも、 ぼくには良かったりするんだ。マイケル・マン、リドリー・スコット、テイラー・ハックフォードマ、彼らは映画の 作り方を知っているんだよ。

あなたはカーティス監督の『ワンダー・ボーイズ』のグラディ・トリップ役をやりましたよね?
C ぼくはそのプロデューサーにアプローチされたんだ、えっと彼の名前は……。そう、スコット・ル ーディン。一日に10回メッセージが来たよ。
あなたの好きなタイプの人間じゃない?
C 彼とは一度も会ったことがないから奇妙な感じがしただけさ。脚本を読んだ時は まだカーティスはその中にいなかった。他の誰かがいたよ。カーティスがやるってことになって 、ぼくの気持ちが決まったんだ。「脚本の穴を見つけてそれを埋めることのできるや つだ 」って思ったね。でも、ぼくはそれが自分に合ってる役だとは思っていなかっ た、マイケル・ダグラスが似合うような役だって思った。カーティスはすばらしい監督だ。彼はこ の映画がどういうポジションにあるのか、批評では、興行的にはどういう結果 になるの か予期できていた。彼と5週間前に電話で話したよ、ぼくのアカデミー賞ノミネートのお祝を するのに電話をくれたんだけどね。カーティスは計り知れない包容力を持っているんだ。 ぼくは昔も今もバド・ホワイトを演じたことには誇りを持っている 。「カーティスが『気難し くて古いタイプのバド・ホワイトを演じるのはどうだ?』って誘ってきた時、ぼくはもちろ んだって答えたよ。カーティスは一緒に働きたいやつだってすぐわかった。何か尋ねれば すぐに答えが返ってくる男だ。いい答えじゃないとしてもね。彼に時間をあげれば、 考えるだけの時間をあげれば、いつだって答えをくれるのさ。ぼくがカーティスと一緒に また働いた理由は、彼がぼくを本当に必要としていたからだ。バド・ホワイトを演じるの にぼくが必要だったようにね。
マキシマスができたことは 全部肉体的にできるように しなければならなかったんだ
あなたをゆすろうとした人たちがいたという話を聞きましたが?
C その件は僕は警察には届けなかった。だからぼくはそれについて言うことは何も ないよ。
誠実で紳士的であることをどう思いますか?
C 何年か前に『ショーシャンクの空に』のオーディションを受けたんだ。一度も監督には会わなか ったけどもね。女性のキャスティング・ディレクターがいて、彼女に会った。それは小さな役だっ たけどほんとうに脚本が気にいったんだ、ほんとうに。ぼくはそのキャスティング・ディレクター とプロデューサーと話した。自分の経歴を話しただけさ。で、役は手に入りそうだったけ ども、断わったんだ。彼女が「私からのアドバイスよ。ロスで監督のオーディションがあるまで にアメリカのアクセントを身に付けてね。アメリカ人のように話して監督にアイダホかどっかの出身な のかなんて 質問をされないように気をつけて」って言うのさ。で、ぼくは言ってや った。「わかってるかい? ぼくは俳優だ。ミーティングの時は監督が自分に役をくれる ようにだ ますことだってできるさ。でもそうなったら彼と一緒に働きなんかはしな いさ。だまされるような監督なんてごめんだ。だからこういう方法でやってるんだ」 ってね。質問とは関係ない話をしたかな?
マキシマス(『グラディエーター』でのラッセル・クロウの役)の役づくりはどうでしたか?
C そうだな、先ず武器の扱い方だ。両手を使えるようにしなきゃならないんだ。剣 士が片手しか使えなかったら、反対側から敵が来た時に問題だろ? マキシマスができた ことは全部肉体的にできるようにしなければならなかったんだ。ローマ時代の調査もし たよ、もちろん。いくつかすばらしい本もあった。夫婦で合作した“A Day In the L ife of Rome”という本があって銀行システムから社会のシステムまで全て書かれていた。ぼ くはローマの歴史にも注目した。ぼくはあるすばらしいことを知ったんだ。マーカス・アウレリアス というストア派の哲学者で「メディテーション」という本を書いたんだ。ぼくはそれをマキシマスの 役づくりの基本にした。映画の中で機会があればメディテーションからの引用を使ったりも したんだ。
あなたはストイズム(ストア哲学)が好きですか?
C 中にはいいものもある。制限的すぎるとは思うけども。東洋的、仏教的な側面 が あると思う。ぼくたちはマキシマスを世界は自分よりも大きい、自分は世界に影響しない し、また影響されもしないと考えているやつにしようと考えたんだ。
  ぼくは人生でいろんな経験をしたけど、 自分でどうすることもできないものが たくさんあるって学んだかな
グラディエーターに似た映画というと、どんな映画を思い出しますか?
C そうだね、『スパルタカス』『ベン・ハー』『ローマ皇帝の最後』なんかが好きだな。すばら しいよ! こういう映画は本物のストーリーを持っているんだ。『スパルタカス』 はかな り難解な物語だね。『ベン・ハー』も。最後まで興奮させられる。次から次へといろんな エピソードやキャラクターが出てくる。ぼくはこの映画をできるだけ、こういう映画に近づけ たかった。リドリー・スコット監督は物語を引っ張っていけるような役者、コニーやホアキンのよう な賢く知性のある役者に恵まれたって思うよ。すばらしいコラボレーションだった。最後ま で 「終わらないでくれ、終わらないでくれ。ここにいさせてくれ。マキシマス、立て、 立 ち上がれ!! おまえが死んだら映画が終わってしまう」って思わせる映画なんだよ。
マキシマスのものの見方に影響されましたか?
C そうだね。ぼくは人生でいろんな 経験をしたけど、自分でどうすることもできないものがたくさんあるって学んだかな。
例えば?
C ぼくの祖父はスタンリー・ウェインズという撮影技師だった。ニュージーランドでイギリス女王のため の戦争映画を作っていたんだ。彼が死んだ時、ぼくはオーストラリアに住んでいた。彼は自 分が死ぬだろうことを告げにやってきたんだけどね、ぼくはまだ若くて自分のことば かりに夢中になっていた。で、その時は日本レストランへ連れていったんだ。祖父は無口 になっていった、ごはんさえも食べられなかったんだ。醤油の匂いだとか、そういう もので二度と思い出したくない嫌なことを思 いださせたんだよね。僕は何も気づか なかったんだ。すごく腹が減っていたから自分がずっと暮らしてきたホテルのレストランでい いって思ったんだ。祖父に「おまえをディナーに連れて行きたい」って言われた時には 、完璧に祖父の日本との戦争での関係を忘れていたんだ。彼が死んだ日、ぼくはシドニ ー郊外の自分の家のキッチンにいた。キッチンに立っているとクッカブラという鳥が窓辺に止まっ たんだ。その鳥はじっとぼくを見つめた。 ぼくはその鳥を見てこう思った。「なん てこった、じいちゃんが死んじゃった」っ て。ぼくが電話で母を呼び出すと、母は 泣きながらこう言ったんだ。「そうよ、どうし てわかったの?」。ある時、祖父と 仕事をしていた女性が話してくれたんだけど、祖父が亡くなった 時にそのクッカブラっ ていう鳥がやってきたそうなんだよ。たぶん天使がその鳥を送ってくれたって思うんだ」
(ジェニー・ピータースJenny Peteres/訳 松尾敦子)
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