シネマトゥデイ

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情報誌等で活躍するライターや編集者が毎月5本の映画を評価! 映画を観ることに関しては‘プロ’には違いないが、プロといえども人の子。作品の出来の善し悪しに関わらず、好き、嫌いはどうしてもつきまとう。このコーナーでは作品評価の他に個人的な好みを★5段階で表現した。ただしあくまで映画は私的なものなので、ここでの評価が低いからといって読者にとってつまらない映画かといえば……それは劇場へ行って自分の目で確かめよう!

 

-近況など-

映画ライター
先日十数年ぶりに開催された同窓会で、担任だった教師に驚かれた。ライターなんて職業もそうだけど「落ち着きのなかった佐野が二時間も黙って映画見てるなんて信じられない!」だって。一日四本も見てるよぉ、先生。
ライター
最近、ケーブルTVのAXNで放映中の「新スーパーマン」にハマっている。って、俗っぽいスーパーマンじゃなくて、テリー・ハッチャー扮するロレイン。あの気の強い顔を見ると、朝から元気が出る。ヘンですか?

編集者&ライター
ハリポタのダンブルドア校長ことアイリッシュの元暴れん坊、リチャード・ハリスが亡くなったのは本当に悲しい。酒と女と映画の人生。名演技はもちろん、歯に衣着せぬ物言いにも楽しませてもらった。寂しい限りです。

モンテ・クリスト伯

ストーリー19世紀フランス。親友フェルナン(ガイ・ピアース)に陥れられた無垢な青年エドモン(ジム・カヴィーゼル)は、無実の罪で島送りに。だが、13年間の幽閉生活を経て島から脱出した彼は、フェルナンらへの復讐を誓い、名前を変えてパリの社交界に乗り込む。
日本公開:11月3日
(日比谷スカラ座2他全国東宝洋画系)
上映時間:2時間11分
配給:東宝東和
(C)BUENA VISTA PICTURES DISTRIBUTION and SPYGLASS ENTERTAINMENTGOUP,LP


前半はキャラクター、物語もしっかりしていて感情移入するのに問題ないのだが、後半から、登場人物たちのモラルを疑うようなひどい展開を見せる。原作が古いからモラルが違うのか? それをそのまま映画化したのがいけないのか? どちらにしてもひどく鈍感で粗雑でした。それと、どの映画に出ても深刻そうな顔してるカヴィーゼルって“演技=眉間に立てシワ”って思ってないか? あの暗い男の人気の理由が分からん。でも無口で深刻ぶった顔した男ってモテるよな、昔から。畜生(恨)。


古典ものを今になって読むのは大変。というワケで2時間ほどで、無実の罪で島流しにあった男が復讐を誓って脱獄し、見事に成し遂げるという話を飽きることなく楽しめる作。もともと悪役ガイ・ピアーズ観たさで出かけたのだが、主人公ジム・カヴィーセルの変貌とコスプレが面白い。とくに、見ものは島の監獄で、リチャード・ハリスから教養や武術を学び、人間としても成長を遂げていくくだり。リチャード・ハリスの懐深い演技もいい。しかし、そんな名優が亡くなってしまった。残念……。


個人的な好みの問題として、世に知られる名作の映画化、文芸大作の系統は大抵好き。とくに愛、友情、裏切り、そして復讐……とわかりやすくドラマチックな展開の本作は、考えただけでもわくわく。で、肝心の映画は無難な仕上がり。音楽がうるさくて不必要なまでにCG満載の作品が多いなか、物語をきちんと見せるクラシカルな作風は貴重かも。たまには、予定調和的な展開を楽しむ余裕があってもいいよね。不屈の精神の司祭を演じるリチャード・ハリスは、ぜひスクリーンでみて!

マーサの幸せレシピ

ストーリー:ドイツの洒落たレストランで働くマーサ(マルティナ・ゲデック)は超一流シェフ。評判は良く、店も大繁盛しているのにオーナーから「街で2番目のシェフ」と言われていた。そんな時、事故死した姉の8歳の娘・リナ(マクシメ・フェルステ)と暮すことになる。
日本公開:11月16日
上映時間:1時間45分
(テアトルタイムズスクエア)
配給:アミューズピクチャーズ


タイトルから推して主人公のマーサはふくよかで温和なお料理オバサンかな、なんて想像していたけれど、デカくてゴツいギスギス女。だけど美人で魅力的です。とはいえ、洗練された感じでは決してない。アングロサクソンの迫力とでも言えばいいのか、力強い彼女の一挙手一投足に目が釘付け。だから口八丁手八丁のイタリア男が登場して「料理は愛情」なんて言ってマーサを懐柔しはじめると、ハラハラしたり……。この辺りのエピソードがちょっと安直だが、総じて好感の持てる小品。


料理シーン満載、清潔で美しい厨房を見てるだけで目の保養。ハーブに野菜を買い込んで、料理するぞぉ~という意欲に駆られるし、マーサのコスチュームやアパートの小洒落たインテリアも楽しめて、個人的には好き。しかし、料理を抜くと、まとまっているけどイマひとつの作。そもそも、何でマーサが自分の殻に籠るのか? そんな人間に一流店のシェフが務まるのか? 姪を引き取り、イタリア男性との出現で心を開く過程もありがち。女性監督だからと思えば、女性に都合のいいお話も納得だけど。


母親を交通事故で失い心を閉ざした姪っ子と、一流のシェフとして働いているが、対人関係に問題アリの主人公マーサ。血のつながりゆえか、どこまでも強情なふたりが心を通わせていく過程はもどかしいやら切ないやら。ラストは大泣きした。それにしても、子供がおいしそうに食事する姿を見ると元気が出る。ただひとつ気になったのは、マーサがあまりにもトゲトゲしい性格なこと。とくに前半、こういう人の作った料理はまずいだろうなぁと引いてしまった。

ショウタイム

ストーリー: 実直な敏腕刑事ミッチ(ロバート・デ・ニーロ)は、テレビ局の意向で軽薄な警官トレイ(エディ・マーフィー)と組まされる。凸凹コンビが展開する捜査の模様がドキュメンタリーとしてテレビ放送され、二人は人気者となるが……。
日本公開:11月16日
上映時間:1時間35分

(丸の内ルーブル他全国松竹・東急系 )
配給:ワーナー・ブラザース映画
(C) 2002 Warner Bros. All Rights Reserved. (C) 2002 Village Roadshow Films (BVI) Limited



若造とベテランの刑事が、反目しながらもコンビを組んで事件を追うっていう定番のバディ・ムービーとして、そこそこ楽しめる作りになっています。でもバディモノの秀作でマーフィーの出世作となった『48時間』以上ではない。マーフィーは、なぜ20年も経って全く成長していない(むしろレベルダウン気味)役柄を演じたのか? 最近キャリア伸び悩み気味だから、初心に帰って心機一転というところか。でも作品的にはイキのイイ若手に演じさせた方が、収まりが良かったと思うけど。


苦虫噛み潰したような顔のデ・ニーロとお調子もんのマーフィーが並べば、期待のコメディ!? しかし、そんな計算がはなから見える上に、ドタバタな動きで笑わせるマーフィーの旬はとっくに過ぎていて、ギャグもすべってる。ツ、ツライ。デ・ニーロも肩の力抜いて、ラク~なお仕事という感じがする。ま、どっちもどっちか。紅一点レネ・ルッソ扮する視聴率至上主義のTVプロデューサーには苦笑したけど、TV業界への皮肉と言うほどでもない。事件の犯人もちゃらい奴。ああ、たるいバディ・ムービー。



『9デイズ』に続き、大物俳優&ブラックアクターがコンビを組む刑事モノ。この手法は成功率が低いので、ハリウッドはもう止めた方がいいのでは。久しく本気の演技を観てないデ・ニーロの、かる~く流した演技もなんだかなぁだし、エディ・マーフィーががんばってるのはわかるけど、相棒デ・ニーロとは恐ろしくかみ合ってないミスマッチ感が痛い。もっともギャグやアクションなど、楽しめるところが全然ないってわけでもないんだけど……。

8人の女たち

ストーリー:1950年代フランス。雪に閉ざされた大邸宅で、一家の主マルセルが刺殺される。彼の妻ギャビー(カトリーヌ・ドヌーヴ)をはじめ、娘のスゾン(ヴィルジニー・ルドワイヤン)とカトリーヌ(リュディヴィーヌ・サニエ)ら屋敷に集まった8人の女性全員が疑わしく……。
日本公開: 11月23日
上映時間:1時間51分
配給:キャガ・ヒューマックス
(シネマライズ)


オゾン監督作にしては毒が薄いが、充分にヘンテコだ。登場人物たちが唐突に歌ったり踊ったりするのはオゾン作品には珍しいことじゃない。だけど変な感じは薄く、真っ当なミュージカル・スタイル。ヘンテコなのはキャラクターだ。泣いてたかと思えば直後に罵り合い、笑ってたのに突如どつき合い、と常軌を逸した感情の持ち主ばかりが登場。一種の戯画なんだ、と割り切って楽しめる人にはお勧め。ちなみに私は割り切れず、ごちゃごちゃ考えてるうちに乗り遅れてしまいました。


オゾンの前作『まぼろし』は今年のマイベスト3に入るんですが、これはダメだった。そうそうたる顔ぶれは凄い。中でも、あのドヌーブに「アタシ老けた?」なんぞと意地悪なことを言わせるオゾンは好きだぁ。ファニー・アルダンの妖艶さやエマニュエル・ベアールの召し使いコスプレ……、セクシュアリティな匂いプンプンでたまらない。でも、女たちのしたたかで、ドロドロとした愛憎をデフォルメしすぎて私には笑えず、泣けず。人生経験が足りないからかもしれませんが……。


フレンチ好きにはたまらない作品。ドヌーブ、ユペール、ルドワイヤンetc.といった豪華な顔ぶれの新旧フレンチ・アクトレスが、ひとりづつミュージカル・シーンまで披露してくれるんだもの。中でもファニー・アルダンの登場シーンは最高! ただし、物語はフーダニット仕立てではあるが、ラストのオチは弱く半端な感じ。これだけの女優を集めて、監督のオゾンはなにがやりたかったのかという疑問もわく。が、あまりいろいろ考えずに、カラフルでこじゃれた衣装や雰囲気を楽しむべき。

マイノリティ・リポート

ストーリー:2054年、ワシントン。犯罪予防局の設置で今や殺人事件はゼロ。事件は、予知能力者(サマンサ・モートン)の脳を通して映写される。ある日、主任刑事のジョン(トム・クルーズ)は、その映像に見知らぬ男を殺す自分の姿を発見する。
日本公開:12月7日
上映時間:2時間25分
(日劇1他全国東宝洋画系)
配給:20世紀フォックス映画
(C)2002 TWENTIETH CENTURY FOX and DREAMWORKS L.L.C. CR: DAVID JAMES


まずヴィジュアルに新味が全くない。未来都市の造形も以前にどこかで見たものだし、人間を追いかけるクモみたいなロボットも『未来警察』で見たよ。トムが得意気に操ってるパソコンだって、何度も見たくなるような画期的なモノじゃない。P・K・ディックの短編をベースにした物語は面白かったけど、殺人事件が未然に防がれる未来社会は現在とどう違っているのか? なんて事に全く触れてない。つまり未来の世界が、スピルバーグの頭の中にキチンと描かれていないんだと思う。


50年後の未来予想図はかなり興味深い。が、トムがボードの前で未来を分析していくときの珍妙な手の動きは一体? 本人が神妙な顔してるだけにマヌケだ。わずか70ページ弱の短編(日本語訳)を、よくこんなに膨らませたなと思うが、子供を亡くした親の悔恨が絡むと、また『A.I.』かよと言いたくなる。俳優陣はサマンサ・モートンが秀逸。人間離れしてるわ、モンチッチ頭も似合ってるわ。コリン・ファレルも名優マックス・フォン・シドと堂々渡り合う演技。トム様の時代もそろそろ終焉かも……。


『A.I.』もそうだけど、スピルバーグの新作となればそれなりに期待してしまうのは私だけじゃないはず。で、前作同様、観終わった後にその期待が過剰だったことを実感するというパターンを今回も踏襲してしまった。スピルバーグ監督でトム・クルーズ主演ともなると、もはや滅多なことでは満足できない。ので、その異常な期待度を差し引いて考えれば、十二分に楽しめる娯楽作。しかし、かのスピルバーグも近未来世界を描くと途端に凡庸になっちゃうんだよねぇ。

 似顔絵イラスト:川合夕香

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