シネマトゥデイ


アカデミー賞で作曲賞にノミネートされ、早くも話題となっている『ビッグ・フィッシュ』が、今年の初夏日本で公開される。公開に先駆けて監督のティム・バートン監督が8度目の来日を果たした。会場は映画の中で重要なシーンに登場する水仙の生花が3000本も運び込まれ、映画さながらのファンタジックな雰囲気に包まれた。花束贈呈の為現れた女優の桃井かおりさんと監督は、抜群のユーモアのセンスを披露し合うという和やかな会見となった。


ティム・バートン(以下T):今日は記者会見に来てくれてありがとう。皆さん忙しいだろうから、あまり長い会見にならないようにしよう。東京に戻って来られて本当にうれしいよ。



Q:ダニエル・ウォレスの小説「ビッグ・フィッシュ」を映画化しようと思ったきっかけは?

T:実は父の死がきっかけなんだ。その時たまたま死をテーマにした企画がきたというわけさ。この映画を作るということは、自分の気持ちを整理する意味でもとてもいいことだと思った。しかもファンタジーとリアリティを混ぜて描くという私の得意とするジャンルだったので、映画化を決めたんだ。

Q:撮影中にご自身が父親になられましたが、そのことは何か影響がありましたか?

T:子供が生まれたのは撮影の終盤だったんだよ(笑)。ほとんど撮り終わっていたよ。

Q:今回ユアン・マクレガーやアルバート・フィ二―をキャスティングされた理由を教えて下さい。

T:今回の役どころは2人の役者がエドワードという1人の男を演じるわけだから、似ていないと困るんだ。『トム・ジョーンズの華麗な冒険』の頃のアルバートと、今のユアンは顔つきもカリスマ性もとてもよく似ている。同じことがサンドラ役のジェシカ・ラングとアリソン・ローマンにも言えるんだ。そういったコネクションがある役者をキャスティングしたんだ。


■環境がファンタジーを作る能力を与えてくれた


Q:素晴らしいファンタジー作品を描かれる監督のインスピレーションの源とは?

T:それは60年代にドラッグをしたからじゃないかな? なんてね、冗談だよ(笑)。私は少年時代に郊外で育ったんだ。何もなくて退屈な所だったから、頭の中で想像して遊ぶしかなかった。大きくなって引っ越したときはうれしかったけど、そこで育ったことは結果的に良かったんだと思う。環境がファンタジーを作る能力を与えてくれたんだからね。

Q:脚本にあってカットされたシーンについてお聞かせ下さい。

T:予算が足りなくて変えないといけなかったんだよ(笑)。例えば葬式のシーンは雪の降り積もる丘の上でやりたかったし、出産で赤ちゃんが廊下を滑るシーンももっと違った感じで撮りたかったんだ。どれも理由があってカットしてはいるけど、原作と脚本の精神は失わないように撮影したつもりだよ。

Q:監督は宝塚がお好きだそうですが、今回の来日でもご覧になられましたか?

T:初来日のときに観たよ。でも今回は仕事ばかりで、まだホテルの部屋から出ていないんだ(笑)。

Q:映画の中に出てくる‘巨人’などを、ご自身も信じていますか?

T:子供のときは想像していただけだったけど、実際世の中に出るとジャイアントや魔女はいるんだ(笑)。決しておとぎ話の中だけの存在じゃないと思うよ。私にも魔女みたいな親戚がいるしね(笑)。


■エドワードという名前は特別なんだ


Q:作品選びのポイントは?

T:それは各作品ごとに違う。私は前もってプランをたてるタイプの人間じゃないからね。映画作りというのは一度取り掛かると、1年や2年はかかるものなんだ。その間情熱を持ち続けなくちゃならないんだけど、そういう感情っていうのは計画できないだろ? だからまずは、情熱を感じた作品を選ぶようにしているんだ。でも振り返ってみると、私の映画にとって「エドワード」という名前は特別だね。『シザーハンズ』、『エド・ウッド』、『ビッグ・フィッシュ』の主人公が皆「エドワード」だからね。ぼくにとって特別な3本だよ。

Q:その名前自体は監督が特別に付けられたのですか?

T:いや、そうではないよ。『シザーハンズ』と『ビッグ・フィッシュ』は最初から名前がついていたし、『エド・ウッド』は実在の人物だ。ただ3本とも私にとって特別な作品だから、「エドワード」は幸運の名前みたいなものなんだ。だからといって「MRエド」(しゃべる馬が出てくる有名なテレビ番組)みたく何でもエドワードにしたりはしないけどね(笑)。

Q:その3作品中2作品の主演がジョ二―・デップで、次回作もご一緒だそうですが、彼の魅力とは?

T:ジョ二―・デップは映画ごとに変わるカメレオン役者と言えるね。私はそういうタイプの俳優が好きなんだ。ユアン・マクレガーも似たタイプの俳優で、どんな役でもチャレンジする。どの映画でも同じイメージという俳優はあまり好きじゃないな。

Q:映画を観るファンの方たちにメッセージをお願いします。

T:映画を作るということは、観客に何かを伝えたいという思いがあるからだと思う。だからといって、はっきりとそのメッセージを言いたくはない。皆がそれぞれに、自分なりの感情やアイデアを感じてくれれば十分だよ。

(花束贈呈の為、女優の桃井かおりさん登場)

T:(黄色い花束を受け取って)なんだか美人コンテストで優勝したみたいだ(笑)。本当に黄色だらけだね。

Q:『ビッグ・フィッシュ』をご覧になられていかがでしたか?

桃井かおり(以下M):先ほど、お父様が亡くなられたことがきっかけで、この作品を作られたって聞いて何だか納得しちゃいました。この作品がより一層理解できたような気がします。実は最近、私の父の具合が悪くなったんです。私はまだ結婚していなくて親と一緒に住んでいる状態なので、親が死ぬ日を考えるだけでゾッとしちゃうんですね。でも、この作品を観て、そのことを良いことというか、辛くないんだって思えました。何だか先に体験できたような感じで、私にとってすごく温かい映画だったです。そういえば、花束贈呈してその監督の作品に出た女優っていないのよね。だから今回嫌だなって思っていたの(笑)。お友達が監督作品の『ビートルジュース』に出演していたので、ご飯を一緒に食べたりしたかった。なのに事務所の手違いで、ここに来ちゃいました。


■桃井さんは日本人のエイリアン


Q:監督でしたら桃井さんをどのような役にキャスティングされますか?

M:(英語で)私たぶん海の中を泳ぐわ。
T:あー、そうだな。日本人のエイリアンかな。
M:悪魔じゃなくて良かったわ(笑)。(英語で)私出来ます!やさしい人間の役でなければ出来るわ。

Q:『ビッグ・フィッシュ』の中で、桃井さんのお気に入りのシーンはありますか?

M:監督はおとぎ話のような可愛らしい作品を作られますよね。それなのに実はとてもきついテーマを扱っているんですよね。今回の作品に関しては先が読めないの。だから1つ1つのシーンを楽しむことが出来るわけよ。想像を越えることが次々に起こったり、ジョークだったりと、お茶目なこともいっぱいやってくれるの。その中でも一番好きだったのは、老いたパパとママがバスタブに服のまま座って、「ちょっと乾いちゃったから休もう」みたいな会話をするシーン。とても良かったと思います。

Q:ティム・バートン監督作品の魅力とは何でしょうか?

M:お茶目な感じと、 ものすごくきついテーマを可愛らしく作れること。死にそうなおじいちゃんから生まれたばかりの子供まで観られるなんて、やさしいわよね。



■トム・クルーズに招待してもらおう


Q:ティム・バートン監督に何かご質問はありますか?

M:(英語で)もし日本の俳優が必要なときは、私に言ってね。私の名刺を渡すから(笑)。それで『ネクスト・サムライ』みたいな企画を建てて、私をアカデミー賞に連れて行って(笑)。
T:私自身も招かれたことがないから、別の人に頼んでよ(笑)。
M:本当?(英語で)私たち行かなくちゃ!
T:きっとトム・クルーズが招待してくれるよ(笑)。
M:じゃあ電話しとかないとね。

Q:出演するとしたら、どんな役を演じてみたいですか?

M:そんなこと言える立場なのかしら私(笑)。この会見が記事になったとき想像できるのが、「桃井かおりハリウッド監督におねだり」みたいな(笑)。絶対止めてね。そうゆうセコさは無いから。いい年の女なんだから、その辺よろしくね。あと、婚約記者会見や製作発表のように見える
と思うんですが、そうゆう感じで報道して下さい。私みたいなのをハリウッドに送り込むと、日本人のイメージが変わって良いと思うわよ(笑)。まぁ70歳までにはハリウッドってことかしら。(英語で)私たちにはまだ時間があるわ。
T:実際ハリウッドに行って1本撮ったら、「もういいや」って感じると思うよ(笑)。
M:よっぽどいやだったのね。それなら日本の映画界へどうぞ。
T:わかったよ、それならここに残るよ(笑)。

(文・取材:FLiXムービーサイト)

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