シネマトゥデイ

ライター
『カレンダー・ガールズ』の中でヘレン・ミレン演じるクリスが買ったケーキをコンテストに出品し、入賞してしまう場面がある。小学生の頃、家にあったキルトの壁掛けを夏休み制作として提出、学校で表彰を受けた私は、彼女のとまどいが手に取るようにわかりました。いまとなってはいい思い出? すみませんでした。
ライター
『シルミド』に『トロイ』を見て、男の肉体美に見惚れる私。昔は少年のようなスキニーなボディにクラクラしてたんですが、昨今は鍛えられた胸筋やらムキムキの腕に反応。あ、『スキャンダル』のヨン様のむっちりな太股にも驚いた。そんな素敵な筋肉を見ると、なぜか焼き鳥を食べたくなる私ってヘンですか?
ライター
恐らく、この「私的映画」が更新された頃、カンヌ映画祭の取材中。私が初めてカンヌへ行った時、パルム・ドールを受賞したQ・タランティーノが今年の審査委員長だよ! いいのか? カンヌ。マイケル・ムーアは新作を引っ提げてやってくるし、キムタクが来るかもしれないしで、波乱のカンヌとなりそう。ギックリ腰を抱えた身で乗り切れるのか、ちょいと不安。
 21グラム

全く知らない同士の女1人と男2人が1つの心臓をめぐり引き合わされていく。時間軸を交差させながら展開する衝撃の人間ドラマ。主演に『ミスティック・リバー』のショーン・ペン、悲劇の母親を演じるのは『ザ・リング』のナオミ・ワッツ、人生のほとんどを刑務所で過ごしたクリスチャンの男に『トラフィック』のベニチオ・デル・トロ。この主演は3人とも第76回アカデミー賞にノミネートされている。監督の『アモーレス・ペレス』のアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥはほとんどを手持ちカメラで撮影しその臨場感は物語に迫力を与えている。

日本公開:6月5日(丸の内ピカデリー2、他)
上映時間:2時間4分
配給:ギャガ=ヒュ―マックス


時系軸をいじくりまくっているので、最初は何が何やらわからないのだが、観ていくうちにそういう話か、と慣れてきて、今度は「え、この続きはいつ?」と恋い焦がれてゆく。2時間の間に、『24』並みのエピソード渇望のストレスを味わった。時系を混乱させないヒントはナオミ・ワッツ以外のふたりの容貌の変化。よくぞこれだけ変えたね、特にトロ。ナオミもきれい過ぎる容姿はともかく、心底なりきってるんだわ。家族を失った場面なんて、思わずもらい泣き。それにしても何て交通事故が好きな監督なんでしょう。交通事故が起点となって、見ず知らずの他人同士が交わりあうなんて、『アモーレス・ペロス』発展系か。血まみれのショーン・ペンを見ながら、『アモーレス・ペロス』の犬を思い出した。


最初っからドヨヨヨーンとした空気というか澱(おり)みたいなものが画面を覆い、話が現在、過去を行きつ戻りつしながら、主演3人の関係を描く。多少のあらすじを知ってはいたものの、せっかちな性格なのでこの場面がどことどうつながってて……なんて、中盤までまどろっこしく思えた。しかも、心臓をめぐる物語がリアルで、やるせない。ことにナオミ・ワッツとベニチオ、それぞれの幸せが壊れる瞬間の描写には胸が痛む。でも、救われない話かというと、そうではない。どんなことがあっても人生は続く……というセリフが出てくるけど、不幸のドン底に叩き落されても、人間は生きていけるようにできている。ラストのナレーションも秀逸で、人生捨てたもんじゃないなとシミジミ考えてしまった。ところで、個人的にはコレでショーン・ペンにオスカーをあげたいと思うけど……。


イラクの人質問題とか、人の命があまりにも軽んじられている昨今、人間の命の重さを問ういいタイトルだなぁと、つくづく思う。本作品は交通事故をきっかけに、加害者、被害者、その命を引き継いだ者の苦悩を見せているのだが、それぞれの苦悩や葛藤が丁寧に描かれていて、結末や複雑な編集という手法を用いた賛否はあるにしろ、人間の根元に触れるテーマをきちんと掘り下げようとしている姿勢が好きだ。キャストがまた魅力的。特にナオミ・ワッツ。夫と子供を亡くして心ここにあらず……みたいな女性をエミリー・ワトソンあたりが演じると「私って上手いでしょ」オーラが出まくりで嫌味だが、ナオミはナチュラル。共感の持てる乳を潔く見せている所も良くってよ。

 ビッグ・フィッシュ

ファンタジーと現実を織り交ぜて描く父と息子の感動物語。『PLANET OF THE APES/猿の惑星』の鬼才ティム・バートン監督が同名ベストセラーを映画化。虚言癖のある父親役に『エリン・ブロコビッチ』のアルバート・フィニー、その若き日を演じるのは『スター・ウォーズ/エピソード2』のユアン・マクレガー。その他にジェシカ・ラング、スティーブ・ブシェミ、ヘレナ・ボナム=カーターなど脇を固める俳優陣も個性派揃い。ティム・バートンならではのファンタジックな映像にのせて展開される感動の人間讃歌。

日本公開:5月15日
(日比谷スカラ座1 他)
上映時間:2時間5分
配給:ソニー・ピクチャーズ・エンタテインメント



ウソつきでホラふき(と思われる)お父さんの作り(とされる)話がさまざまなエピソードとして次々に現れ、子どもの頃に絵本をめくっていたようなワクワク感を思い出させる。どのエピソードも手抜きいっさいなし、すべて最高得点。そしてどこを切っても、ティム・バートン色。オムニバス映画を見ているように楽しい。キャストもよい。母親役のジェシカ・ラングが父親のアルバート・フィニーの最期を見届ける場面には泣けた。彼女みたいにいつまでも、色っぽくて美しい女優が、いつもちゃんと普通の役をもらえるのは奇跡的。彼女は一生、『デブラ・ウィンガーを探して』に縁がないだろう。ヘレナ・ボナム=カーターの不思議キャラにも磨きがかかる。いまとなっては、バートンが彼女に夢中になったのも納得。


父と疎遠で海外に暮らしていた息子が、父が死の床にあると母親からの電話で知らされて、婚約者を連れて帰って来る。前月本コーナーで取り上げた『みなさん、さようなら』と、くしくも設定がソックリ。しかし、私はこちらが大好きです。大ぼら吹きだろーが、人を楽しませる父親の話というのがいい。大体、人間、自分に起きたことは多少脚色して話すんだから。どうせなら夢があるほうがいいし……。若い頃の父を演じたユアンのいかにも善良な青年像というのもいいけれど、年老いた今の父、アルバート・フィニーの大らかさも魅力的だ。愛妻ジェシカ・ラングとの浴槽での抱擁シーンは、夫婦の絆を心底感じさせてくれる。そして、ラストが最高だ。あの世に大事な人を送るとき、もしこんな事が本当に出来るならば、家族を失った時の後悔の念も少ないかもと思った。


ティム・バートンは大好きな監督なのだが、どうもヘレナ・ボナム=カーターを伴侶に選んだあたりから人間性を疑い始め、で、この映画だ。凝ったビジュアルより物語性を重視し、ウリは、"大人になったバートン"ということなのだが、要は、それを見たいかどうか。私はあんまり見たくない。まずそこが引っかかって物語の世界に入り込めなかったのだが、ヨタ話があまりにも現実離れし過ぎているのに、リアルな親子愛を描こうとする。そのバランスが悪く、バートンならではのおとぎ話もぶっ飛び切れてなくて、何とも中途半端。同じジジイのヨタ話物語だったら、ハーレイ少年主演の『ウォルター少年と、夏の休日』の方が面白い。

 スキャンダル


日本でも大ヒットした韓国の人気TVドラマ「冬のソナタ」の主演ペ・ヨンジュンがいままでのイメージを脱ぎ捨て18世紀の李王朝の貴族役に挑む人間ドラマ。原案はフランスの作家ピエール・ショデルロ・ド・ラクロの「危険な関係」を、舞台を朝鮮に移し映像化。監督は『純愛譜-じゅんあいふ-』のイ・ジェヨン。女優陣には『情事』のイ・ミスクや『接続』のチョン・ドヨンら韓国人気女優が名を連ねる。緻密に再現された李王朝の貴族らの美しい衣裳や建築物なども見どころの一つ。

日本公開:5月22日
(シネ・アミューズ、他)
上映時間:2時間4分
配給:シネカノン/松竹




いきなりヨン様、まぐわいシーン。案外、毛深い脚に卒倒。というか、ヨン様? メガネなしで泥棒ヒゲ、何度観ても、どの角度でも、誰が観ても松尾スズキ。松尾様もフェロモン系なので代役も可能だが、ヨン様の方がマッチョで歯が白い。ヨン様を唆(そそのか)すチョ夫人役のイ・ミスクの威厳と美貌、儒教の国だけに完璧に貞淑なチョン・ドヨン演じるチョン・ヒヨンの存在も理解しやすく、案外『危険な関係』より設定に無理がない。女性陣たちの髪飾りや衣装の数々、豪華な韓定食やインテリアもため息モノのゴージャス&ビューティー。韓国ラブ・ストーリーらしく、泣かせ所もバッチシだ。ただし、ヨン様ファンって高齢者も多いと聞く。こんなに刺激の強いの観て、大丈夫か。ある意味『パッション』より心配。


原作は何度も映画化されてるラクロの『危険な関係』。とってもエロエロな内容なのに、コレを映画デビュー作に選んだヨン様はよっぽど、『冬ソナ』のイメージから脱却したかったに違いない。何しろ、冒頭から大胆Hシーンに挑むヨン様。濃からず薄からずの体毛も見えています。でもって、全編トレード・マークのメガネなしの顔。映画の中でやってる事が事だけに、むっつりスケベの女たらし風です。ファン的にはどーなんだろうか……。ちなみに、メガネなしの顔は日本の俳優、橋爪淳(大江戸捜査網にも出てた)に激似。さて肝心の映画だが、映像はキレイ。李朝時代の衣装も興味深い。だが、もしヨン様が出ていなかったら、日本では単に韓国エロスと片付けられただろう内容。逆に言えば、「あのヨン様があんなこと、こんなことしてる映画」というのが見どころです。


まず最初に断っておきますが、私はヨン様に特別興味はありません。百戦錬磨のプレイボーイという役に挑んだチャレンジ精神は評価するが、うすら笑いを浮かべた表情がワンパターン+お肌が妙にツルツルしていてシワがないため人間の喜怒哀楽を見せる表情が乏しく、彼を追うのは私にとって正直ツライ。むしろ興味を持ったのは、李朝時代の生活描写。「女性の下着って、ヒモパンだったんだ」とか、「あの時代も日本のような風俗画があったんだ」とか、心の中で「へぇ」ボタンを押しまくり。何より、どこの世界もいつの時代も、お金持ちってエロと食には並々ならぬ情熱を注いでいることを実感。ラクロの『危険な関係』というより、李朝版「源氏物語」ってことでお楽しみを。

 シルミド

死刑囚31人がシルミ島に集められ、金日成を暗殺するために“殺人マシーン”へと仕立てあげられていく悲劇を描いた実話の映画化。韓国では1200万人の動員を超える大ヒットとなった。監督は『幸せは成績順じゃないでしょう』の韓国のヒットメイカー、カン・ウソク。主演に『オアシス』などで演技派として評価の高いソル・ギョング。脇を固める俳優陣も『リ・ベラメ』のホ・ジュノや『黒水仙』のアン・ソンギらなど韓国の大スターが名を連ねる。クライマックスシーンの銃撃戦は息詰るほどのすさまじい迫力!

日本公開:6月5日
(東映邦画系)
上映時間:2時間15分

配給:東映





首や手足が飛んだり、残虐なシーンの多い戦争映画は苦手だが、彼らはなかなか実戦に出ないので助かった。無人島での訓練、その中で育まれていく友情や連帯感。男たちのキャラがうまく立っているから、前半はほとんど『サバイバー』を見守るような状況で楽しめる。オススメ男はサンピル役のチョン・ジェヨン。『ガン&トークス』では見かけも役柄も田辺誠一ばりのクール・ガイだったが今回は熱い男に一変。その変貌ぶりと顔が薄いのに胸毛ありというギャップが衝撃。キャラが魅力的過ぎてつい入れ込んでしまい、後半の国との対決は涙なくして観れない。おっさん役者、アン・ソンギもトニー・レオンばり。アンジャッシュのボケ側そっくりなのに、一番かっこいい役をもらったホ・ジュノはおいし過ぎ。


幕開けと同時に、ドスを振りかざした男が人を刺す。東映マークで始まるだけに、思わず極道路線が頭をよぎる。でもって、シルミ島に集められた男たちに課される壮絶な訓練にシゴキ。前月の近況で中山嬢が指摘してたように、若き日の勝新にそっくりな俳優が出てる。子どもの頃、親と一緒に見た『軍隊やくざ』での勝新の顔だ。とにかく男、男、男の映画で、鍛えた筋肉には見惚れます。個人的には52歳になるアン・ソンギの胸の筋肉に驚いたというか、何で彼まで上半身裸で走るんだか? とてもシリアスな話の中に妙な笑いどころもあったり、かと思えば、軍隊の歪んだ上下意識みたいなもんが出てきたりと盛りだくさんな要素。それにしても、韓国の封印したい歴史を取り上げた部分は凄いと感心!!


世間的には『シルミド』VS『ブラザーフッド』の韓国興行記録を塗り替えた2作品の激突が話題。私は断然『シルミド』派。理由は極秘裏でやっていた金正日暗殺計画を生々しい映像で見せられた、実話ならではの緊張感&驚愕の真実がスゴイ。それと役者が全員素晴らしい! ホント、この映画の出演者は全員、元死刑囚など強者達を演じるに相応しい魅力的な人ばかり。彼らが歩んできた人生までもが、シワの一つ一つに表れているようで見ていて飽きない。深作欣二監督の名作『仁義なき戦い』の俳優たちと同じような、ギラギラしたモノを感じて、こっちまで熱くなる。中でもお気に入りは主演のソル・ギョング。ヨン様よりも、私は韓国の大杉漣をオススメします。

 レディ・キラーズ
オスカー俳優のトム・ハンクスが、10年以上遠ざかっていたコメディーに挑戦。カジノの売上金を狙う天才的知能犯を演じる。オリジナルは1955年製作の『マダムと泥棒』。ハンクス率いる少々頼りない強盗団と、人の好い老婦人とのコミカルなやりとりに爆笑だ。監督は今作で初めて監督のクレジットを連名にしたコーエン兄弟。『オー、ブラザー!』でも組んだT.ボーン・バネットによる南部特有のソウルフルな音楽も軽快。

日本公開:5月22日
上映時間:1時間44分
配給:ブエナ ビスタ インターナショナル(ジャパン)




バカ盗賊たちのドタバタ劇。ギャグでオブラートに包みながら、結構ブラックな展開で、久々にコーエン兄弟らしいコメディーだった。トム・ハンクス以外のキャストは「観たことあるけど、誰だっけ?」という印象の役者たちで占める。目も当てられないのが、そのトムが際立って"つまらない"ということ。謎の中国人や体ばかりで愚鈍なアメフト男、兵器マニアのオッサン、ラップ好きで実は家族思いの黒人若者など、コーエン兄弟が好きそうな、周りのわかりやすいキャラの人々の方がずっと面白い。ハンクスの過剰演技、特にひきつり笑いが、痛々しい。コーエン兄弟の面白キャラ好きはわかるが、あのゴスペル隊の中にいた妙に小さいおじさんは何だったんだろう? 何かありそうで、何もない彼が一番気になった。


トム・ハンクスは嫌いな役者ではない。むしろ、好きだったんなだよなー。『スプラッシュ』とか『ビッグ』とか……って古すぎますか? でもオスカー常連役者になってから、だんだん「俺って、名優でしょ」と腹の中で思ってるのが透けて見える感じ。特に今回、犯罪史上最高の頭脳を誇る知能犯という役柄を演じているだけに、より名優ぶってる感が鼻についてシラケてしまった。リメイク作という縛りがあるにせよ、コーエン兄弟ならではのひねりも少ないし、ブラックな笑いも少ない。まあ、血みどろの殺戮やら、ド派手なアクションにあまりに慣れすぎたために、古きよき時代を彷彿とさせるコメディに面白みを感じなくなっちゃったんだろーか。


コーエン兄弟作品の魅力は、ちょっと変わった人たちが生息している地域で、ごくごく普通の日常に起こるとんでもない話を淡々と描くところにある。なので結構、作品がキャストを選ぶ。『ファーゴ』のフランシス・マクダーマンドのような地味なおばさん(イイ女優ですが)はハマるが、己を出そうとするスターがダメ。ジョージ・クルーニーの『オー! ブラザー』なんてその典型だった。で、今回のトム・ハンクス。浮いている。明らかに浮いている。笑わせようとして過剰な役作りをする必要はないのに、オスカーいっぱい取っちゃっているもんだからヘンに小細工しようとするんだから。それにしても最近、ますますコーエン兄弟の作品が"軽く"なっている。何かヤケでも起こしてるのか?

イラスト:micao

 

 

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