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2004年7月

私的映画宣言

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ライター
アントニオ・バンデラスといえば、以前に囲み取材をしたことがある。すぐ隣の席に座ったのだが、シャワー後だったのか、彼からは石鹸の香りが、ふわ~っ。あまりにいい匂いだったので、取材中、何度も匂いを確認していたら、何と私、一言も発さないまま、取材が終了してしまいました。
ライター
『誰も知らない』の試写を朝10時の回に出かけたときのこと。驚いた! エレベーターに妙齢のご婦人たちがゾロゾロ。な、なんなんだー、この騒ぎはと思ったら、シネカノンの試写室の上の階にある映画館シネ・アミューズへ。皆さん、ヨン様の『スキャンダル』がお目当てだった。朝っぱらから、濃厚なセックスシーンを見るために、行列する女性たち……好きですネ。
ライター
プロ野球1リーグ制問題は、ファンや選手を小馬鹿にした事の進め方に「ムカつく」(by保阪尚輝)。1リーグ制にすれば対巨人戦の放映権が高く売れるって喜んでいるけど、つまり球場に足ぶようなファンなんてどうでもいいってことなんだろう。なめんなよ。神宮球場でビール飲みながらヤジで声をからしているファンを。古田敦也選手会長よ、いまこそ球場の真ん中で叫べ。「野球は会議室でやっているんじゃない! グラウンドでやっているんだ!」。
 スパイダーマン2

世界中を熱狂させた前作から約2年、待望の続編。本作では、スパイダーマンとして活躍する一方、普通の青年としての日々に、もがき悩む等身大のヒーロー、ピーター・パーカーの前に、新たなる強敵“ドック・オク”が現れる。主演を務めるのは前作同様、トビー・マグワイア。そして、“ドック・オク”役には『フリーダ』の名優アルフレッド・モリーナがあたる。最新VFXを駆使しパワーアップした映像だけでなく丁寧に描いた奥深い人間ドラマの行方に注目。

日本公開:7月10日(日劇1、他)
上映時間:2時間10分
配給:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント


よりダーク、よりコミカル、よりロマンティック……何もかもが前作より過剰になって、楽しすぎる。手術シーンでは、ライミ監督の自分オマージュみたいなホラー風映像に大ウケ。それにしても、まだ2なのに、あそこまで、人々に姿、明かしていいのか、スパイダーマン。「全員集合!」ばりに「志村、後ろ! 後ろ!」じゃなくて、「スパイダーマン、マスク! マスク!」とみんなで教えてあげるべきじゃないか。そして学習能力のないMJはまたもや誘拐されていた。あんなヒラヒラなスカートでスパイダーマンに助けられたら、NY市民全員にパンツ丸見えではないか。悩殺カットも前回より3割増? 個人的には「苦悩を表現する模範演技」を披露してしまったジェームズ・フランコくんの今後が心配だ。


ニューヨークの摩天楼を“ターザン”ばりにかっ跳ぶスパイダーマンの勇姿に胸躍るといった、前作で感じたようなワクワク感は2作目だけに薄まった。が、「正義の味方か、それともお気楽なフツーの人がいいか」と葛藤するヒーロー像は興味深い。とくに、度重なるドタキャンをMJに責められ、やるせない顔になるピーター。演じているトビー・マグワイアの目がたまらなくいい。ドック・オク役には当初、シュワちゃんやサム・ニールの名が上がってたそうだが、最終的に決まったアルフレッド・モリーナの演じぶりを見る限り、モリーナで正解! 悲劇を背負った悪役になりきり、ラストなどは涙すら誘う。正義の味方にしろ、悪役にしろ、悲しい宿命を背負った男を描かせたら、やっぱサム・ライミは上手いっ!  ああ早く最終章が見たい。


不覚にも泣いてしまった。スパイダーマンがDr.オットーと地下鉄で死闘を繰り広げ、乗客たちが危機一髪!となるシーン。力つきたスパイダーマンを、皆がねぎらうように支えてあげるのよね。なんて美しいシーンなんでしょう。そんな感じで今回のスパイダーマンは、スパイダーマンとピーターの間で揺れる主人公の微妙な心理や、サム・ライミお得意の残虐なシーンと先に述べたような感動を呼ぶシーンといった緩急が効いていて、ちーっとも飽きさせない。シリーズ3作目の新たな対立を匂わせる終わり方もGOOD。「ハリポタ」も「LOTR」もシリーズが進むに連れ、どんどんテンションが低くなった私だけど、「スパイダーマン」は今後も応援しまっせ。

 モナリザ・スマイル

『エリン・ブロコビッチ』『ノッティングヒルの恋人』などで、現代のタフなヒロインを演じてきたジュリア・ロバーツ待望の最新作。良妻賢母が求められた、1950年代米国の保守的な名門大学で悪戦苦闘する、進歩的な教師役を魅力的に演じる。『スパイダーマン』シリーズのヒロイン、キルスティン・ダンストや、『アダプテーション』のマギー・ギレンホールら若手俳優との見事なコラボレーションの、愛と感動のドラマ

日本公開:8月7日
(みゆき座、他)
上映時間:2時間
配給:UIP



『ペリカン文書』のジュリアはあまりにバカっぽくて、法科の学生にみえないと大不評だったが、今回の美術史助教授はそれなりにみえる。ジュリアも年を重ねたってことだろう。でも、女生徒たちを演じた、いま勢いのある女優軍団と見比べると、ずいぶんとくすんでみえちゃうのも事実。かといって、革新派の校医を演じたジュリエット・スティーヴンソンや保守的な教師役マーシャ・ゲイ・ハーデンの演技が素晴らしいのだが、悲しいかな、彼らほど、演技派というわけでもない。花もなく、実もなく、気がつけば、ものすごい中途半端な位置に立つジュリア・ロバーツ36歳。ロマンティック・コメディーを演ってくれれば安心なものをメグ・ライアンといい、彼女といい、いったいどうしたいのかなぁ。


お堅い学校に進歩的な考え方の教師がやってきて、改革を目指して孤軍奮闘するという学園モノの定番。しかし、非婚が増えてる昨今、50年代後半、花嫁学校のような女子大にせっせと通って、良妻賢母を志す女のコたちのキャンパスライフを見せられてもなー。で、出てくる女性が噂好きで、見栄っぱりで慇懃無礼だったりとか、いわゆる女のヤな所を見せられるのでゲンナリ。まあ、それだけ演じてるハリウッド若手女優がうまいということか。とくに、奔放なマギー・ギレンホールは光る。反面、魅力ある男優は皆無。ジュリア・ロバーツのギャラで男優分まで回らなかったのか。トラディショナル・ファッションは見ものだし、また学園の風景が魅力的。ってところで、本作のことより、ハリポタ最新作を手がけるマイク・ニューウェル監督の手腕に思いっきり期待!


今更ながら、本作品でやっとジュリア・ロバーツの魅力に気付きかせて頂きました。『エリン・ブロコビッチ』や本作品のような、時代や社会、常識と闘う女性の役が似合う女優なんだと。男と対等に闘うサンドラ・ブロックと違い、さりげない女性らしさとスマイルでしなやかに闘う。それが嫌味に感じさせない希有な存在。それをしみじみ感じさせてくれたのが、本作品で生徒役を演じたキルスティン・ダンストら気鋭の若手女優たち態度。役柄的にはジュリア演じるキャサリン先生に反発しているんだけど、スクリーンを通して「ジュリアお姉様と共演できて嬉しいッス」という尊敬の念を抱いていることが見えるんだよね。そんな女優たちの競演が楽しい作品デス。

 シュレック2


アカデミー賞長編アニメーション賞を受賞した前作『シュレック』の続編。原作者ウィリアム・ステイグは、本作でキャラクターデザインを担当。米人気番組「サタデーナイト・ライブ」や『オースティンパワーズ』でお馴染みのマイク・マイヤーズやエディ・マーフィ、キャメロン・ディアスらが前作に引き続き声で出演。シュレックの命を狙う殺し屋(猫)の声はアントニオ・バンデラスと今回も豪華な声優が揃っている。全米初登場は1位に輝いた大ヒット作。

日本公開:7月24日
(日劇3、他)
上映時間:1時間33分
配給:UIP




今回の見どころは“長ぐつをはいたネコ”の活躍、これに尽きる。あの柔らかそうな毛並み、キュートな瞳。これだけかわいいキャラが登場すると、相変わらず不気味なシュレックは、主役なのに邪魔にすら感じた。ネコの声を担当したバンデラスもノリノリ。興奮するとスペイン語が飛び出す、芸の細かさよ。夏にふさわしくエンディング曲はリッキー・マーティンのヒット「リヴィン・ラ・ヴィダ・ロカ」。バンデラスはめちゃめちゃ歌が上手いのに、ちゃんとネコの声で下手気味に歌ってる。ところがドンキー役のエディ・マーフィが歌の盛り上がり途中で、「スペイン語で」と掛け声をかけるのだが、その後もバンデラスはそのまま英語で歌っていた。もしや、収録はバンデラスが先? 返す返すもそこだけが残念。


アニメはやっぱり顔が命だと思う。と考えると、このシュレックの場合、すみません、私の趣味ではないのです、フィオナ姫が。美しき姫になろうが、そうでなかろうが……。しかも、今回、シュレックが魔法でマッチョな男性に変わるけれど、んー、これもなー、あまりパッとしない。まあ、元が元だから当然か……。そんな中で、“長ぐつをはいたネコ”の登場は最高に面白い。つぶらな瞳がクローズアップのシーンには大爆笑。声がバンデラスというのもナイスだ。全編にわたる童話や映画のパロディシーンのオンパレードは、前作以上にパワーアップしているし、フィオナ姫の祖国はまんまハリウッドのパロディで笑いどころは多々あるんで、なんだかんだ言いながらも楽しんだ。ところで、この作品、シリーズ4部作になるらしい。柳の下のドジョウは2匹目までだと思うけど。


すでに3回も見ちまった。好きなんだよね、この手のブラックユーモア効きまくりの映画って。Tバック履いたピノキオが出てきたり、巨大クッキーマンがホットミルクをぶっかけられて殺されそうになったり、初登場の長ぐつをはいたネコが、盲目のチビマウスを食べようとしちゃったり。一応、アニメだからファミリー対象なんだろうけど、親が子供にどう説明するのか、劇場でこっそり会話を聞きてぇー。以前、反町隆史の「GTO」を見に行った時、セリフにコンドームという言葉が出てきて、「お母さん、コンドームって何?」って子供が聞いていたっけ(お母さんは答えられず無言)。それと同様の緊迫した場面が期待できるくらい、今回もギリギリの笑いが満載。4回目は劇場で見よおっと。

 アメリカン・スプレンダー

日常を描いた全米の人気コミック“アメリカン・スプレンダー”の原作者、ハービー・ピーカーの人生を映像にした少々風変わりな恋物語。主演に『デュエット』のポール・ジアマッティ、彼と電撃結婚する相手に『アバウト・シュミット』のホープ・デイヴィスら演技派俳優が勢ぞろい。2003年サンダンス映画祭グランプリや本年度アカデミー賞脚色賞など全米の賞レースを制した、映画と現実と漫画が一体化した話題作。

日本公開:7月10日
(ヴァージンシネマズ六本木ヒルズ 他)
上映時間:1時間41分

配給:東芝エンタテインメント





地味なキャストなうえ、主人公となっているハービー・ピーカーを知らない、しかも半ドキュメンタリー。大丈夫か? と思いきや、面白かった。まずハービー本人のキャラクターが最高。天才肌と小市民性が融合。才能があり、大胆な発言をしたりする割に、気が小さく、常識的な行動をとる。日本だったら、松尾スズキや町田康にあたるのか。が、アメリカ人ハービーはテレビで「キワモノ」扱いされ、有名になってしまう。この辺りの葛藤が本人出演のテレビ映像とポール・ジアマッティ演じるフィクションの部分が入り交じり、臨場感たっぷりでいい。演じるポールがまた上手いこと。声こそ似せているが姿形は別物。それでも本人の映像と並んで、ブレない演技の技術点の高さよ! だてに顔は老けてないぜ! 


もともとポール・ジアマッティという俳優が好きだった。主に脇役人生一筋の人だが、ブルース・パルトロウ監督の『デュエット』でカラオケに目覚めた中年サラリーマンを演じた彼を見て、「いるよ、こんなオッサン」と思い、とても親近感を覚えてしまった。本作でのジアマッティも、ダッサい服に仏頂面して、いかにもなダメ親父を体現。劇中、登場する本物のハービー・ピーカーとは似ても似つかないのに、むしろジアマッティ扮するピーカーこそが本物らしく見えるから不思議だ。妻に扮したホープ・デイヴィスや、ロバート・クラム役のジェームズ・アーバニアクなど、他の役者たちもいい味を出している。ピーカーがジャズレコードのコレクターということで、劇中流れる音楽もセンス抜群。コミックと実写部分の組み合わせなども面白い。見どころ、聴きどころ満載だ。


ハリウッド映画の底辺は広いな。おたく漫画が映画になったかと思えば、主演は、永遠の脇役俳優かと思われていたポール・ジアマッティだ。日本で言えば、蛭子能収さんの日常が映画になるような感じだもんな。そのポール演じるハービーと、ホンモノのハービー、そしてコミックの世界を上手く構成して、強いだけじゃない、米国のはじっこの方で地味ーに生きる男の悲哀をコミカルに描いていると思う。ただ、ラストシーンだけが気に入らない。詳細は避けるが、そこだけ妙にハリウッド映画っぽい、泣かせに走った映像で。ガンに冒されようが、家族の絆が深まろうが、感動はいらない。ひねくれじいさんを見せるなら、最後まで憎々しく見せてくれ。

 誰も知らない
主演の柳楽優弥が史上最年少の14歳という若さで、2004年度カンヌ国際映画祭主演男優賞に輝いた話題作。『ディスタンス』の是枝裕和監督が実際に起きた、母親が父親の違う子供4人を置き去りにするという衝撃的な事件を元に構想から15年、満を持して映像となった。女優初挑戦の、YOU扮する奔放な母親と子役達の自然な演技も秀逸。母の失踪後一人で弟妹達の面倒をみる長男の姿は、家族や社会のあり方を問いかける。

日本公開:8月7日
(シネカノン、他)
上映時間:2時間21分
配給:シネカノン




この映画を観るなら、それなりの覚悟が必要。出てくる子どもたちは辛いできごとさえ、全部、受け止めて、感情に流されないでいる。泣き叫んだ方が楽なのに、決して、そうしない。だから、観てしまった側も、心に鉛のような何かを流し込まれたようになり、どよんとした気分を抱えたまま、思いを昇華しきれずに、ぼう然とするのみ(私の場合、約1週間)。ドキュメンタリーのように子どもが成長するのは、撮影に1年半もかけているからだそう。監督の根気良さはもちろんだが、気持ちを忘れず持ち続けた子役、それに付きあった親の根性もすごいと思う。YOUの存在感も有効。ああいう「ま、いっか」っていう感覚だから、子どもを置き去りにできるし、そうでないと東京で4人も子どもは産めないだろう。


母親に捨てられた幼い兄妹たちが寄り添って生きる。映画は自己チューな母親を糾弾するわけでもなければ、都会の無関心を追及するわけでもない。ただひたすら4人の子どもたちの生活ぶりを淡々と描く。実際はもっと悲惨でむごい話だったのではないかと思うと、母を待ってひたむきに生活するけなげな子どもたちという姿はどうなのだろう。しかも、結末はちとロマンティックで、結局、親はいずとも子は育つと言ってる感がしたが……。それにしても、巷で言われているように、確かに柳楽クンの眼力(めぢから)は凄いと思う。思うけど、カンヌ映画祭で主演男優賞を13歳の演技経験ほとんど皆無な子にあげた審査員長タランティーノは、罪作りな気がする。何しろ、柳楽クンの憧れの俳優は押尾学。(最近は窪塚洋介と言ったという話も)。こんな無邪気な少年に賞をかっさらわれた香港の演技派俳優の某氏はブチキレたと聞いたが……。


ドキュメンタリー出身の是枝監督は、今までずっとドキュメンタリーと映画の中間の作品を作ろうと、試行錯誤してきた人。ついにその集大成とも言える作品の完成だ。はからずしも、主演の柳楽優弥クンがカンヌ国際映画祭で優秀男優賞を受賞して話題になったけど、やっぱり評価されるのは是枝監督の手腕。時間を丁寧にかけて、子供たちの微妙な変化や、成長をカメラに収めたその功績は大きい。この映画の何が好きかって、母親がいなくなり、生活費にも困った子供達がサバイバル生活に突入してからの展開。公園の水道を使うなど知恵をしぼり、助け合って生きていく姿にたくましさを感じると同時に、とっても愛おしい気持ちになった。こういう映画こそ、ヒットして欲しいな。

イラスト:micao

 

 

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