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映画コメンテーターとしてそのキャラクターが多く映画ファンに愛される、こはたあつこさん。『華氏911』公開に合わせL.A.へ出向き、その熱気を体感して来ました。こはたさん自身が撮った写真で臨場感たっぷりにレポートします。

写真・文:こはたあつこ


PHOTO by Astuko Kohata
これはほんの一握り。公開当初はかなりの量の雑誌の表紙を飾っていました。マイケル・ムーアの顔が夢に出てきそう?! ちなみに、英語で華氏は“ファーレンハイト”。なので、原題は“ファーレンハイト・ナインイレブン”と発音します。どうぞ、練習してください(笑)
PHOTO by Astuko Kohata
サンタモニカのプロムナードにある、小ぶりの映画館“ロウズ・シアター”の看板。色々な映画館で上映されていたけど、たまたまここで見ました。はじめの一週間はどこでもほとんど売り切れ。私は火曜日の夜10時半の回に行ったのに、長い列が出来ていました。

PHOTO by Astuko Kohata
映画館の前では“ブッシュ反対派”や“マイケル・ムーア反対派”と様々な活動家がいました。この人は“ブッシュ反対”ステッカーを売っていて、欲しい人には無料で手にスタンプを押してくれます。いずれにしても、11月の大統領戦に向けて、この映画は波紋を呼んでいます。

PHOTO by Astuko Kohata
華氏911、映画館前のポスター

PHOTO by Astuko Kohata
映画館のポスターの前で、はい、ポーズ。でも、映画を見る前だったのでいまいちテンションが低い。見た後はどうだったかって? メチャメチャ、ハイテンションでした!(笑)

PHOTO by Astuko Kohata
サンタモニカの映画館に華氏911を見に来た人々。公開2週間目で、やっと落ち着いた感じ。

PHOTO by Astuko Kohata
映画館の前の平和活動家

PHOTO by Astuko Kohata
“反ブッシュ”ステッカーを売る活動家のおじさん「ピース!」

PHOTO by Astuko Kohata
平和活動家が掲げるこの“ストップ・ブッシュ”・サインは笑ってしまいました
PHOTO by Astuko Kohata
平和活動家の売るステッカーの数々
PHOTO by Astuko Kohata
映画館周辺の、サンタモニカのプロムナード通り。日本で言えば、横浜の元町通りのような所。映画やショッピングだけでなくストリート・パフォーマンスも楽しめるためか、観光客や地元の人達で連日賑わっています。


PHOTO by Astuko Kohata
プロムナードのライブハウスの前に並ぶ人々。華氏911公開当初もこんな感じで映画館の前に人が並びました。ドキュメンタリーでこんなにヒットするのも珍しい。

PHOTO by Astuko Kohata
ロスのベニス・ビーチをぶらぶら歩いていたら、なんとなんと、『キング・アーサー』のゴミ箱を発見! ああ、なんと言うこと。偉大なるアーサー様に向けてポイポイごみが捨てられるとは!(笑)

PHOTO by Astuko Kohata
ロスらしいベニス・ビーチの写真。
 「華氏911」は、もはや社会現象

 マイケル・ムーア監督のブッシュ批判映画「華氏911」が全米で公開されるや否や、テレビ、ラジオ、雑誌がこぞってこの映画の賛否について取り上げはじめました。ちょっとしたパーティーに出かければ、「あれ、どうだった?」と、作品の話題で持ちきり。11月に大統領戦を控えていることも、タイムリー。

 その結果、なんと、ドキュメンタリーだというのに、全米の興行成績が公開された週のナンバーワンになってしまったのだからこれはすごい。「スパイダーマン」や「ハリー・ポッター」のような娯楽映画がナンバーワンになるのとはわけが違う。これはひとつの社会現象です。

 アメリカでの批評家たちの感想は賛否両論。「アンフェアーなドキュメンタリー。意見が偏っている」とする人たちと「よく出来た映像作品」のおおむね、この2つにわかれます。

 確かにドキュメンタリーというよりも、作者の個人的意見が反映された「コラム」に近い。ただ、非常に出来の良いコラムだと私は思いました。

 スパイスの効いた風刺漫画のごとく、笑わせてくれるし、時にはほろりとさせられます。そして、ココが一番肝心なところなのですが、このコラムの核となるところは、なかなか良いところをついているのです。

 それは「愛国心」を核にしたところ。この作品のポイントは、「自分の息子を兵士にするくらい、愛国心の強いアメリカの母親でさえ、今回の戦争には反対だ」というもの。

 アメリカの国民の半数以上が当時ブッシュの戦争開始を反対しなかったのは、テロから自分たちの国を守ろうという「愛国心」によるものだったのではないでしょうか。ブッシュもそれをスローガンにかかげました。でも、この作品はそのスローガンを逆手に取り、ブッシュに技を掛けたのです。

 もちろん、アメリカの政治に詳しくないので、もしかしたら、私もこの作品に「洗脳」されてしまった一人なのかもしれません。

 でも、AP通信によると、全米15都市で行われた出口調査で、作品を見た人の91%が「すばらしい」と評価しているそうです。もちろん、もともと「見たい」と思った人たちが見に来るので、ブッシュ派の人たちはあまり見に来ていないのだろうし、見たとしても「偏っている」という感想を持つのでしょう。

 実際にサンタモニカの映画館で、何人かの人に感想を聞いてみました。すると、ほとんどが「良かった」と答えました。驚いたのは、とにかくみんな、見知らぬ私に、自分たちの意見をとっても話したがっていたこと。あるカップルは映画が終った後、2時間も私と話しこんだのですから。

 少なくとも、これだけは言えそうです。この作品のおかげで、アメリカ人の多くは、今回の戦争について、「愛国心が無い人」と思われずに、安心して反対の意見を唱えることが出来るようになったのです。

ムーアがやったことは、今まで沈黙していた戦争「消極派」の人たちに、非常にわかりやすいスローガンを渡してあげたことなのかもしれません。

 いずれにしても、自分の作品をきっかけに、アメリカじゅうの人たちが議論を始めたわけだから、ムーアは監督冥利につきるでしょう。

(7月11日L.A.にて、こはたあつこ)
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