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『レイクサイドマーダーケース』薬師丸ひろ子 独占インタビュー

取材・文・写真:FLiXムービーサイト

ベストセラー作家・東野圭吾の傑作ミステリー小説「レイクサイド」が、『EUREKA』の青山真治監督によって映画化された。役所広司、豊川悦司、柄本明、杉田かおるなどの演技派・個性派俳優と共にスクリーンに登場するのは薬師丸ひろ子。今回薬師丸が演じるのは、愛人を殺害される主人公、並木の妻・美菜子。この美菜子役を演じることになった経緯から昨今のお受験についてなど話を聞いた。

■見えるはずのないものを見た

Q:原作はサスペンスミステリーですが、映画にはジャパニーズ・ホラー的な要素もありました。薬師丸さんが演じた美菜子も未来を見る力がありましたが、ご自身も美菜子みたいな予知能力や本来見えるはずのないものが見えてしまったという経験はありますか?

一度だけ、外国に仕事で行った時に体験したことがあります。宿泊していたホテルの部屋で、リビングルームとベットルームの間に軍服を着た男性が立っていたんです。その仕事では、時にはホテルもない田舎を回っていたので鍵のかからない部屋とかいろいろな宿泊体験をしましたので、たまたま誰かのぞきに来たのかなと思ったんです。

その男性が見えなくなったので、ドアを見たら鍵はかかっていて……。でもその男性があまりにもリアルだったので、それが霊だとかそんなものだったとは思えないんですよね。怖いという気持ちはありませんでした。翌日聞いたところ、そこは野戦病院だったということでした。それを聞いたからといって、ゾッとすることもなく、なんだか妙に納得しました。

Q:今回の撮影中ではなにかドキッとするような出来事はありましたか?

ロケ地が富士山の裾野でしたしスタッフの中には霊感が強い人もいて、いろいろ見てしまったという話も聞きました。あまりにもたくさんそんな話を聞いたので、いつ自分も見てしまうのではないかとドキドキしちゃいましたね(笑)。ロケをした場所は、知らない人は絶対訪れないような場所で、知っている人でも何の用もない場所でした。大通りからも離れていたし、街灯もなくて真っ暗なんですね。この暗闇が一番怖かったです(笑)

■受験の持つ魔力

Q:この映画では名門中学受験のために集まった家族の中で殺人事件が発生するわけですが、薬師丸さんは昨今の過熱する“お受験”をどう思いますか?

映画では、家庭と夫婦関係に多々問題がありながらも、「受験」のために家族が結びついているんですね。「受験」が持つ人を変えてしまう魔力を感じましたね。私自身は受験にも一生懸命になりましたが、親が夢中になったことはなく放任主義。

Q:夫から「そんな目で見るなよ」と何度も言われるぐらい、言葉で感情を出すのではなく、目で感情を出すような美菜子という女性の内面はどんな状態だったと薬師丸さんは思いますか。

相手を見透かしているというのかなぁ、彼女はすべてを今までの経験から学習して分かっているんですね。彼の気持ちがここにないことも。それでも彼の心をつなぎ止めておきたい、という気持ちが美菜子にはある。「子供のため」というのも、もちろんあるんですけど、それも理由の一つにすぎなくて。できれば夫とうまくやっていきたいのだけど、彼は浮気をしていて、家庭は崩壊している。行き場のない気持ちを抱えている女性だと思いましたね。愛情の裏返しを感じましたね。

■歩いていてバイクで追いかけられたことも

Q:この作品への出演を決めたのは?

初めて挑戦した「ミセス・シンデレラ」という連続ドラマの作品でお世話になったプロデューサーが映画部門に異動されて、この映画を手掛けることになり、声をかけていただきました。違った作品で違った形でもう一度お仕事できたことはとてもよかったですね。そして『EUREKA』を見て、青山真治監督とはずっとお仕事をしたいと思っていましたから。

Q:薬師丸さんは10代の頃から活躍されていますが、芸能界で長きに渡って活動することは大変なことですよね。

20歳で独立して、20年間自分の事務所でやっているんですね。ガツガツするわけではなく、私と仕事をしたいということで声をかけてくださる方がいて、その方と仕事をして、という積み重ねなんですね。仕事のひとつひとつが大きなイベントで「慣れる」ということはありませんね。先々を見越して仕事をしているわけでもなく、縁があって仕事を、役をいただくんですが、そうやって声をかけていただけることにとても喜びを感じますね。

10代の頃から芸能界の仕事はしていますが、移動は電車だったり歩いたりという感じでした。歩道をバイクで追いかけてくる人もいて、怖い経験もしたことはあります(笑)。でも変に過保護にされなかったことが、今につながっていると思いますね。

■アンバランスの魅力

Q:変わらぬ薬師丸さんの美しさ、若々しさを保つ秘訣があれば教えて下さい。

同年代の女性の成熟した美しさから、自分は大きく離れていると思いますね。やっぱり自分を安定させるというか、どんなところから写真を撮られてもかっこいい女優でいなきゃいけないと思うんですが、それをあまり意識してなくて(笑)。出かけたいと思えば一人でどんな場所にでも出かけていきますね。
もし子供がいて母親だったら、しっかりしなきゃならないし、大人にならなきゃいけないですよね。でも現在の私は両親の「娘」のような立場で、それが年齢にそぐわないアンバラスさを生み出していて、私を大人にさせないのかなぁ(笑)。

Q:それでは最後に映画を楽しみにしている読者の方にメッセージをどうぞ。

なんでもない普通の人が、ある出来事によって狂っていく。これは日常の中で起こりえる怖さだと思うんです。その怖さを味わってもらえたらと思います。そして夫婦の絆、親子って何なんだろう、と考えるきっかけになればいいと思いますし、たとえそれが崩れても再生できるということを見てもらえたらと思います。

黒のノースリブに大きなペンダント、長い黒髪に笑うとできるえくぼの初々しさ。年齢を感じさせない美しさを持ち、鈴を転がすような美声の薬師丸ひろ子を見ていると、日本版“永遠の妖精”という形容がまさにピッタリだ。だが今回彼女がスクリーンで見せるのは、、受験に情熱を傾ける美菜子という女性。その演技には凄みがあり、映画にリアリティを与えている。そんな『レイクサイドマーダーケース』は、原作ファンも映画ファンも楽しめること間違いなしの一本だ。そして今年も公開作が続々と控える彼女の活躍に、目が離せない一年になりそうだ。

『レイクサイドマーダーケース』は1月22日より全国東宝系にて公開。

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