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アレハンドロ・アメナーバル『海を飛ぶ夢』独占インタビュー

取材・文:渡邉ひかる 写真:FLiXムービーサイト

アカデミー賞外国語映画賞、ゴールデン・グローブ賞外国語映画賞、ベネチア映画祭銀獅子賞(審査員特別賞)と最優秀男優賞を受賞し、さらには“スペインのアカデミー賞”、ゴヤ賞で史上最多の14部門受賞を果たしたスペイン映画『海を飛ぶ夢』。ある事故をきっかけに四肢麻痺の障害を負った実在の人物、ラモン・サンペドロが自由と魂の解放を求めて繰り広げる“戦い”を描いた本作の日本公開を前に、監督のアレハンドロ・アメナーバルが来日! 作品に込めた思いや製作エピソードを聞いた。

■僕はラモンとは違う

Q:『海を飛ぶ夢』には、ラモンと彼を世話する家族、ラモンと彼を愛する女性たちなど、様々な愛の形が登場します。あなた自身の個人的な意見としては、どの愛の形に一番気持ちが入りますか?

作品に取り組む上で僕が一番重さを置いたのは、さまざまな愛の形を描くということ。中でも個人的に気に入っているのは、ラモンとロサ(ラモンを愛し、彼の“戦い”を手助けした女性)の関係だね。ラモンのことをリサーチしている時、彼の周りには彼を慕う多くの女性が存在していたことを知ったのだけれど、ロサは彼女たちの1人で、モデルも存在する。ロサはフラストレーションを抱えていて、不安定だけれど、それを乗り越え、ヒロインになる。僕はそういう女性を描くことが好きだし、ラモンとロサの関係を描くことは楽しい作業だったね。

Q:ラモンは自分の手で人生に終止符を打つことを渇望します。作品に取り組んでいる最中、「もし自分がラモンだったら?」と考えましたか?

初めてラモンのことを知った時、まず自分に問いかけた質問がまさにそれだったんだ。「もし自分がラモンだったらどうするか?」ってね。もし僕が彼だったら、僕は自分で人生に終止符を打とうとはしないだろう。これは現在の僕の気持ちだけれどね。でも、だからと言って、死を選びたがったラモンに「元気を出せよ! 生きていればいいこともあるよ!」と言えるかといったら、それは絶対に言えないと思う。ラモンのような状況だったら生を全うすると僕は言ったけれど、もし仮に耳が聞こえず、目も見えない状態だったら、死を選びたがるかもしれない。その時、他人から「君は生きるべきだ!」なんて言われたら、それこそ不公平に感じてしまうだろうね。

■主人公はセックスアピールがある

Q:先程、ラモンの周りには彼を慕う多くの女性が存在していたとおっしゃいましたが、彼を演じたハビエル・バルデムはラモンの色気を存分に体現していましたね。

ハビエルのセックスアピールはもとからあるものだよ。あえて表現する必要すらないくらいだ(笑)。ラモンはすごく女性にモテて、セクシーな男性だった。同様に、ハビエルも間違いなくセクシーだね。当初、ハビエルをラモンにキャスティングするには様々な不安要素があった。ハビエルはラモンの特徴でもあるガリシアのアクセントに慣れているわけではないし、30代の彼が50代のラモンを演じられるのかも疑問だった。姿かたちも全く違うしね。でも、かけ離れた要素が多い中で、彼らの唯一の共通点は揺るぎないセックスアピールがあるということだったんだ。

Q:あなたの映画の主人公たちはセックスアピールのあるキャラクターが多いような?

かもね(笑)。『オープン・ユア・アイズ』の主人公もそうだしね。考えてみれば、2人とも事故に遭っているところも共通しているな(笑)。セックスアピールのある主人公ができ上がるのは、キャスティングする際に魅力的な俳優を選ぼうとする傾向にあるからかもしれない。『アザーズ』のニコール・キッドマンもそうだね。『海を飛ぶ夢』で言えることは、ラモンが性的魅力のあるキャラクターで、演じるハビエルもセクシーだから、周りにいる女性たちには色気を求めなかったということ。あえてセクシーじゃないキャラクターを作り上げ、ラモンと対比させたかったんだ。

■映画『ドラゴンボール』のオファー

Q:『アザーズ』がヒットしたことで、それまで以上に多くの企画を持ちかけられる状況になったと思います。中にはとんでもないものもあったのでは?

ハリウッドから様々なオファーをもらって、話を聞いただけで断ってしまったものもあるけれど……、その中でも「何で僕のところに!?」と一番驚かされたのは『ドラゴンボール』のオファーだね。かなり衝撃的だったよ(笑)。

Q:他にもいろいろありそうですね。

過去の作品に近いジャンルや世界観のものを持ちかけられることが多かったな。ゴーストやバーチャルリアリティの物語、あとは子供が主人公の物語とかね。

Q:子供の物語ですか?

ほら、『アザーズ』には子供が出てくるから(笑)。

実は、アメナーバル監督は(日本の気候のせいか?)風邪をこじらせてしまい、この日の体調は絶不調(熱もあったとか)。個別インタビューに先立って行われた記者会見でもゴホゴホと苦しそうに咳き込み、インタビュー中もソファにぐったりともたれかかること何度か。それでも、終始にこやか、かつ真摯に質問と向き合い、諸事情により来日を断念した主演男優ハビエル・バルデムの性的魅力についてまで言及してくれた彼の中に、大いなるプロ意識と作品への熱い思いがあふれているのを感じた。

『海を飛ぶ夢』は4月16日より日比谷シャンテ・シネ ほかにて公開。

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