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ウディ・アレン『さよなら、さよならハリウッド』独占インタビュー

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ウディ・アレン『さよなら、さよならハリウッド』独占インタビュー

写真:GION

元妻と彼女を寝取った男と一致団結して映画を撮ろうとする映画監督を主人公にしたウディ・アレン監督の『さよなら、さよならハリウッド』。ウディ・アレンが盲目の監督を演じ、以前から「肌が合わない」と公言しているニューヨークを舞台にしたという自分自身を皮肉ったものだ。そのウディ・アレンに物語のコンセプやプライベートについて話を聞いた。

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■皮肉なシチュエーション

Q:映画監督が視力を失うという設定は皮肉なシチュエーションですね?

皮肉というか、目が見えなくても傑作をつくりあげることができた、これは、意識よりも無意識が優先しているということです。また、視力を取り戻した時には、いままで見えなかったものや事がらが見えるようになった。失明のせいで、いつの間にか曇ってしまった目が晴れて新しいものが見えるようになったというのは、皮肉なことかもしれませんね。ヴァルが視力を取り戻したとき、彼の目に映る前妻の姿はまったく違うものだったわけですが、これは、創作活動というのは脳で作られるものではなく、もっと深い無意識なものであって、たとえ盲目になったとしても素晴しい作品を作れるのだ、という意味も含まれています。

Q:今回のあなたには息子がいるという設定で、これはあなたの映画では初めてのことですが、何か心境の変化があったのでしょうか?

心境の変化ではなくヴァルが心因性の失明をした原因には、自分の崩壊した家族があるという状況を作ったのです。それで妻だけではなく息子も登場させたのです。息子と和解したことでヴァルは視力を取り戻すので、息子の存在は非常に意味があるんですよ。

■ハリウッド映画は芸術でなく産業

Q:ハリウッド映画とNYで作られる映画の違いは何だと思いますか?

ハリウッドは、映画を産業と考えていて、映像の価値であったり芸術的表現を最優先にはしていませんね。NYは映画産業都市ではないし、映画がもっと芸術的なものと認識されていますね。製作者も真摯に取り組んでいると思いますし、文化的には何でも徒歩圏内にあるNYの方が活動しやすいと思います。

Q:あなたはフランスがお好きだと聞いていますが?

フランス人はアメリカ人が認識するより前に、アメリカの芸術について認識したでしょうね。僕の映画もフランスにずいぶん助けられました。

Q:この映画で初めてカンヌを訪れましたが、感想をお聞かせください。あなたがカンヌに登場したニュースは世界中に配信されて、皆を驚かせましたね。

カンヌはまさに非現実的な経験でした。たくさんの人がやって来て、ほめ称えたり叫んだり……世界中のジャーナリストにカメラのフラッシュ。本当に非現実的な場所でした。でも僕は上映に立ち会わず、上映前に『どうもありがとう。でも僕は映画を一緒に観ません』とあいさつして会場を後にしました。後で上映はすごくうまく行ったと聞きましたが……。フランス人は映画を愛しているし、僕のことも愛してくれていて、素晴らしいスピリットを感じました。もう一度カンヌへって? それはわかりません。俳優に参加してもらって、僕はNYに残りたいですね。きれいな女優が行く方が歓迎されるでしょう。

■莫大な予算がほしい

Q:映画の仕事はいつまで続けると思いますか?

お陰様でいろいろなアイデアがあるし、それを実現できる状況が続く限りは映画制作を続けていくと思います。この仕事は楽しいですしね。長生きの家系ですから、続けられる限りはこの仕事を続けているでしょう。

Q:自分の映画にもっとこうなれば……というような希望はありますか?

いつも低予算の映画を作っていますから、莫大なお金があるといいですね。お金があればもっと長い時間をかけて作品を作ることができるでしょうから。

Q:映画監督という職業は、あなたに合っている職業だと思いますか?

もし映画監督じゃなかったら、何をしていたでしょうね? 映画監督でも俳優でもなく、ショウビズ界にもいなければ、つまらない仕事をしているのではないでしょうかね。 いずれにしても小さな仕事でしょうが、自分が他にできる職業は思いつかないですね。

Q:映画制作とはあなたの人生にとってどういうものですか?

僕は学校もきちんと出ていませんが、映画のお陰で財産を作ることもできたし、クリエイティブな職業の人たちと出会い、美しく才能のある多くの人と出会いました。映画のアイデアを考えることは楽しいし、人生を最大に謳歌できる職業だと思っています。

■妻は日本に行きたがっている

Q:毎日どんなスケジュールで過ごしていますか?

起きて簡単なエクササイズをして2人の子供たちを幼稚園に送って、クラリネットの練習。そして仕事。いつも変わらないスケジュールですね。月曜日にはカーライルで演奏を続けています。

Q:あなたのファッションはトラッドのイメージですが、いつでもそういうスタイルですか?

今日みたいにシャツ、コーディロイのパンツ、冬ならこれにセーターとジャケット。1年中同じ服装だし、ずっと同じファッション。ずっとこのスタイルですから、たぶんこれからも変わらないと思います。

Q:あなたの好きなことを挙げてください。

クラリネットを吹くこと、ジャズを聴くこと、バスケットの試合を見ること。そして、家族と過ごす時間です。

Q:日本に行きたいとは思いますか?

妻はとても行きたがっていますが、僕は遠距離は苦手でね。

『さよなら、さよならハリウッド』は恵比寿ガーデンシネマにて公開中。

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