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『南極日誌』ソン・ガンホ、ユ・ジテ単独インタビュー

取材・文:平野敦子 写真:FLiXムービーサイト

構想から約7年。南極の雪原を舞台に、少しずつ自らの心の闇にとらわれていく探検隊員たちの姿を描いたサスペンスドラマがついに日本で公開される。隊長役は韓国を代表する名優、『JSA』や『殺人の追憶』のソン・ガンホ。彼を慕う新米隊員には『オールド・ボーイ』のユ・ジテがふんし、年代の違う実力派俳優の初共演が実現した。閉ざされた世界で次第に運命の歯車を狂わせていく男たちの苦悩と狂気を体当たりで演じた、メインキャストの2人が来日。撮影の裏話から最近の韓流ブームまで、本音トークが炸裂した。

■新旧演技派俳優バトル

Q:キャスティングはどのようにして決まったのか教えてください。

ソン:わたしとユ・ジテくんの出演が決まったのはほぼ同じ時期だったと思います。わたしはこの作品の南極を舞台にしたスケールの大きさにひかれて出演を決めました。

ユ:シナリオも素晴らしかったし、日韓両国で演技派として通っているソン・ガンホ先輩ともご一緒できるというので、ぜひやってみたいと思いました。

Q:今回は出演者6人が全員男性で、女性はカン・ヘジョンさん演じるベースキャンプとの通信係だけしか出てきませんが、それがストレスにはなりませんでしたか?

ソン:それもよかったんではないかと思います。でも、本来ならば女優さんも混じっているほうが和気あいあいとした雰囲気になると思うんですが、今回は男性だけだったので、ちょっと現場がシラーッとしていたかもしれませんね(笑)。

■ソン・ガンホ氏の財布はみんなのモノ!?

Q:ソン・ガンホさんは後輩の面倒見がいいそうですが、飲み代などもすべて支払っていたのでしょうか?

ソン:いつもではないですが、わたしが一番先輩ですから、出せるときは出していました。

ユ:いや、先輩には本当によくごちそうになりました。僕らだけでなく、スタッフの方々にもよく食事をごちそうしていましたし。多分ギャラの3分の1ぐらいは食事代で消えているはずですよ。先輩のすごいところはお酒を飲んで自分が先に寝てしまっても、必ずマネージャーさんに財布を渡しておいてくれるところですね(笑)。

Q:本作が長編デビュー作となるイム・ピルソン監督との仕事はどうでしたか?

ソン:彼は新人監督には違いありませんが、これまでにも短編映画をたくさん撮っていましたし、この作品に関しても長い時間をかけてじっくりと準備をしてきたので、他の新人監督とは違うと思います。監督と俳優との信頼関係もしっかりとできていたので、すでに何本も長編作品を撮ってきた監督さんと何ら変わらない気がしますね。

ユ:わたしは学生のときに短編映画のスタッフとして働いていたことがあるんです。監督とはその当時からの知り合いで、この映画のシナリオを監督が書いているということは知っていたのですが、そのときわたしはまだ俳優ではありませんでした。それがようやく今回俳優として、信頼できる兄のような監督の作品に参加することができてうれしく思っています。

■映画大国を目指すニュージーランド

Q:今回の『南極日誌』もそうですが、『バンジ−ジャンプする』や『オールド・ボーイ』など、韓国映画ではニュージーランドロケが多いのはどうしてですか?

ソン:ニュージーランドの大自然の風景というのは、絶対に韓国国内では見られないものだからです。ほかにも似たような景観を持つ場所として、カナダやオーストラリアが挙げられますが、その2つの国と比べると、ニュージーランドのほうが若干製作費が安いんですね。それも理由の1つです。その他にも今回は南極大陸を忠実に再現しなければならないという特別なケースでもあったので、それにぴたりと当てはまったのがニュージーランドだったということです。

ユ:あとはニュージーランドが映画産業を積極的に支持しているということもあるでしょう。国を挙げて文化事業を後押ししているんですね。文化観光地としての地位を確立しようとして努力をしているのだと思います。実際われわれが撮影をしていたときも、ニュージーランドの総理が撮影現場に来て激励してくださいました。

■ユ・ジテ韓流ブームに一言!

Q:日本は大変な韓流ブームが続いているのですが、なぜ今韓国の男性がこれほど日本でもてていると思いますか?

ソン:うーん、わたしたちはヨン様ほど人気がないんでよくわからないですね(笑)。まぁ、それは冗談ですが(笑)。とにかく日本の方々はドラマを通して韓国の俳優さんたちを愛してくださっていると思うんです。わたしは日本人ではないので本当のところはよくわかりませんが、一人ひとりの韓流スターを通して、韓国というわれわれの国や文化に親近感を覚えてくださるのはいいことだと思います。

ユ:これを一過性のブームで終わらせるのではなく、基盤のしっかりとした文化づくりというものができればいいなと思います。韓流ブームを通じて映画産業というものがもっと発展を遂げてくれるとうれしいですね。こんなことを言うと生意気だと思われるかもしれませんが、わたしは日本の方々にお願いをしたいのです。ただ韓流ブームに乗せられて、盲目的にスターの出ている作品を観るというのではなく、もっと冷静にその映画が素晴らしいかどうか、優れているかどうかということをよく見極めていただきたいのです。今ある韓流スターが日本でとても人気が出ていて、そのスターの過去の作品が日本で公開されて大きな収益をあげているというような話も聞きました。わたしは本当にそれでいいのかな……と感じるのです。

韓流スターの華やかさはないけれど、確かな演技で着実に成長を続ける大物俳優2人。サービス精神旺盛のソン・ガンホ氏は、おどけた態度とジョークでわれわれを大いに楽しませてくれた。そして学生のようなみずみずしい魅力を放っていたユ・ジテ氏は、日本での韓流ブームに率直な疑問を投げかけた。実際まるで性格の違う2人の共演により、どのような化学変化が起きたのか? それをスクリーンで確かめたくなる。昨今の韓流ブームに流されることなく、地道に役者として活躍する彼らの存在がある限り、韓国映画界は安泰だと思えるのだ。

『南極日誌』は8月27日よりシネマ有楽町ほかで公開。

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