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『キング・コング』ピーター・ジャクソン監督単独インタビュー

取材・文・写真:FLiXムービーサイト

『ロード・オブ・ザ・リング』で世界的な大ヒットを記録し、ハリウッドで最も注目されている監督の1人であるピーター・ジャクソンが新たな伝説を誕生させた。3年もの歳月をかけて作り上げた『キング・コング』にはピーター・ジャクソンの熱い思いがたっぷり詰まっている。来日したピーター・ジャクソンに、彼が子どものころに観たオリジナル『キング・コング』や、彼が作り出した新たな『キング・コング』に対する、あふれんばかりの思いの丈を聞くことができた。また、本作でキング・コングの動き(CG用のデーター)を担当し、船員の役でも登場しているアンディ・サーキスにも話を聞くことができた。

■顔中を涙でびしょびしょにして泣いた経験

Q:あなたが初めてオリジナルの『キング・コング』をご覧になったときの印象を聞かせてください。

僕が初めて『キング・コング』を観たのは、9歳の時。あれは自分が生きて来た中で一番素晴らしい体験だった。映画監督になりたいと思ったのも、あの映画がきっかけなんだ。いけにえや、ニューヨークのエンパイア・ステート・ビルディング、恐竜たち、『キング・コング』のすべてが大好きだったよ。でも自分にとって一番貴重だった経験は、映画のラストでキング・コングがエンパイア・ステート・ビルディングの上に立っているシーンを観て泣いたことだね。顔中を涙でびしょびしょにして泣いたよ。あの体験はいつまでも忘れることができないんだ。ストーリーはずっと覚えているし、あの時の自分の感情をいつまでも忘れずにいたいと思ってるんだ。

Q:じゃあ、夢をかなえたんですね

『キング・コング』は僕の人生でずっと作りたかった映画だったから、ようやく夢をかなえることができた気持ちだよ。素晴らしいストーリーだし、あのころに比べて撮影技術もとても進化しているからね。

■自分が観てみたいと思うシーンを作った

Q:オリジナル版と変えようとしたところはどこでしょうか?

僕は、『キング・コング』の大ファン。だからどこを尊重しようとか、カットしようとか、そういうことはあまり考えなかったけど、自分が観てみたいと思うシーンを入れていった感じだね。人々の感情に強く訴えるように作ることもあまり考えなかった。僕はこのリメイクを「みんなが楽しめる映画」として作りたかったんだ。

Q:今回の主役、キング・コングをどういうキャラクターに描きましたか。

キング・コングは、オリジナル版よりずっとリアルになったと思う。コングをモンスターとしてではなく、もっとゴリラに近いキング・コングにしたかったんだ。確かにキング・コングはとても恐ろしいけど、彼のアンに対しての思いは、彼を怪物ではなくて、われわれと同じ生き物として理解できるんだ。セットでは、常にアンディ・サーキスがコング役に徹してくれていたからコングのキャラクターを作る大きな助けになったよ。

Q:キング・コングは、人間の感情を持っているように見えましたが。

ゴリラはもともと人間にとても近い存在だからね。動物園に行ってゴリラを見ても彼らの表情から、僕たちにとても似ているところがたくさんあるよ。

■異常な執着を見せる映画監督

Q:ジャック・ブラック演じる映画監督は映画に対して異常な執着を見せる、自分自身に対してコントロールのきかない監督でしたが、あれはあなた自身をモデルにしたのでしょうか?

ははは。もしかしたらジャックは役作りで僕をモデルにしていたかもしれないね。でも、あんまり意識はしなかったな。このキャラクターは少し極端なんだよね。僕が持っている性質を少しオーバーにさせた感じかな。夢を成し遂げるために自分の才能を使って努力していく部分は僕に似ているけど、彼は友達を裏切ったりするし、自己中心的で大きな過ちを犯してしまう。少しだけ僕をモデルにした部分もあるけど、全部ではないってことだね。

Q:巨大なキング・コングを想像しながら仕事をするのは大変でしたか?

アンディがいつもいてくれたから想像するのは難しくなかった。アンディは確かにコングほど大きくないけど(笑)、撮影のときは移動クレーンに乗ってコングの高さで演技をしていたからいつでもキング・コングの本当の大きさで見ることができたんだ。だから映画の中でキング・コングをナオミ・ワッツが見つめているのはアンディ・サーキスなんだよ。

■オリジナル最後のキャスト

Q:オリジナルの『キング・コング』のキャストやスタッフとは撮影前に話をしましたか?

たった1人話をすることができた人物は『キング・コング』のヒロイン、フェイ・レイだった。彼女はもう96歳になっていたんだけど、僕と話をした数か月後に亡くなってしまったんだ。彼女が亡くなり、オリジナル『キング・コング』のキャストはもう誰もこの世にはいないんだよ。

Q:新しい『キング・コング』を彼女に観てもらいたかったですか?

そうだね。彼女にこの新しい『キング・コング』を観て欲しかったよ。残念なことに実現はしなかったけどね。

Q:フェイ・レイからはどんなアドバイスがありましたか?

彼女は、1930年代の映画業界について話してくれた。というのもこの映画の時代設定はまさにそのころだからね。そして、彼女はちょうどその時代に女優として活躍していたんだ。そのころの映画業界の話や女優たちの暮らしぶりについて話しをしてくれたよ。

■子どもたちにメッセージ

Q:今の子どもたちにとってはこの映画が初めての『キング・コング』になると思いますが、どんな風にこの作品を観てもらいたいですか?

9歳のとき初めて『キング・コング』を観て、僕の人生は変わったんだ。あの映画があったからこそフィルムメーカーを目指し、必死にキャリアを積んだ今日のぼくがあると思ってる。だから、この映画を観た子どもたちがあのころのぼくのように影響を受けてくれて、それで、もしも映画監督になろうって思ってくれたらすごくいいね。

キング・コングを演じた【アンディ・サーキス】

■コングは孤独な中年ニューヨーカー

Q:もしキング・コングが人間だったらどんな男性だと思いますか?

そうだな。繊細な中年男性。ほんとにそうだよ! 彼は若くはないんだ。彼はもう十分自分の人生を歩んできたんだ。体を見れば分かるように彼にはたくさんの戦いでできた傷あとがある。まるで、年老いたボクサーのような。それから、人とかかわりあいを持たない寂しさと孤独があるんだ。ただ生き抜いて戦い続ける以外、彼の人生にはなにもなかった。そして、コングはアンに出会ったんだ。彼女に出会うまで、彼は誰かを好きになったことも、好きになられたこともない孤独な中年男だったのさ。

Q:キング・コングは、孤独なニューヨーカーなんですね。

はははは。まさにね! 人間嫌いの孤独なニューヨーカーだね(爆笑)。

■普通の人間役

Q:映画には俳優としても出演されていますが、ほぼノーマルに近い人間役はいかがでしたか?

そうだね(笑)! ほんとだよ。たしかに変わったヤツだがおれにとっちゃすごく人間的だった! ピート(ピーター・ジャクソン)にあの普通の人間役を頼まれたとき、すごくおかしくて笑っちゃったよ。ひどい死に方をさせられたけどな! たぶん、あのシーンでピートは、おれでかなり遊んでたと思うよ。CGで丸飲みにしちゃうんだからね。あれは、彼とこの5年間一緒に仕事してきた結果だろうな(笑)。

Q:キング・コングは凶暴な人食いゴリラのようなイメージがあったんですが、とてもソフトでしたね。

ピートが作りたかったのは、モンスター映画ではなかったからね。よくある怪獣映画みたいに、ただ目的もなく町を破壊するような映画ではなくて、キング・コングがなにかするときには必ずきちんとした理由がついてくるんだ。キング・コングは恐竜と戦って舌を噛みちぎったり、すごく攻撃的だったけど、あれもすべてはアンを守るためだった。コングはベジタリアンなのさ(笑)。ゴリラは100%ベジタリアンだからね。

ジーパンにはだしというラフなスタイルでインタビューに現れたピーター・ジャクソンは、多少疲れた様子が見えたものの、オリジナル版『キング・コング』との出会いの話になると目を輝かせながら語ってくれた。「『キング・コング』は僕の人生を変えた運命の映画」と語ったピーターは、映画監督としての長年の夢を本作でついにかなえた。映画からも伝わってくるキング・コングに対する深い愛情をぜひ、劇場で体感して欲しい。

『キング・コング』は12月17日より日劇1ほかで公開。

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