シネマトゥデイ

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私的映画宣言 セカンド・シーズン アカデミー賞スペシャル
 
いよいよアカデミー賞のノミネートも発表され、賞レースもたけなわです。私的映画宣言のメンバーがノミネート作品を私的に評価しました。まだ、日本では公開されていない作品ばかりですが、どんな映画なのかは興味がつきないところ。コメントの中から、その片りんが見えてくるかも。
 
鴇田崇 高山亜紀 今祥枝 中山治美 前田かおり 相馬学

執筆者近況報告など

濃いゆいくらいのラテン系俳優に燃えるライター
中山治美
重箱の隅をつつかずにはおれないツッコミ系
高山亜紀
「オスカーへのコメント」
地味だなぁーと思ったら、トム・クルーズをはじめスターは皆、ラジー賞にノミネートされていたのね。パリス・ヒルトン受賞のあかつきには、きっと会場に駆けつけるはず。オスカーより、こっちの方が見てぇ。
本当にこれでいいのかと思っていること。一、『ナイロビの蜂』なんて仮題を「The Constant Gardener」に付けたこと。二、『サイドウェイ』で無視したポール・ジアマッティを『シンデレラマン』でノミネートしたこと。
映画は理屈よりガッツ、芸術より流血。でも当人はヘタレのライター
相馬学
全米ナンバーワンのキャッチに弱いミーハーのライター
鴇田崇
“~賞受賞!”の謳い文句には腰が引けるエンタメ志向の筆者には、アカデミー賞は酒の肴か、ト○カ○チョのアイテムか程度の認識。裏を返せば、それだけ予想は真剣なんですが…。今年は「ブロークバック…」流しだ! 全体的に地味な今年のアカデミー賞戦線は、ダメ男が四苦八苦している作品が目立っている気が。いよいよダメ男の時代到来か? 大注目なのが『カポーティ』の怪優フィリップ・シーモア・ホフマン!! 今年はあの『M:I-3』も控えているし、ホフマン・イヤー確定!!
ちょい枯れなオヤジ俳優にフェロモンを感じるライター 前田かおり 辛口だけど実は気の小さいライター 今祥枝
贔屓のオヤジ俳優たちや大好きな『ウォレスとグルミット』がノミネートされて狂喜乱舞。でも、『ヒストリー・オブ・バイオレンス』が2部門だけとは淋しい。何故、マリア・ベロは助演女優賞に入らない。不満! いつもなら「オスカーなど所詮はお祭り」と冷めた私だが、今年は観る前から執着を覚える映画が多くて一人大盛り上がり。が、前哨戦ウォッチングで気力を使い果たし、例年通り「なるようになってくれ」の心境。所詮お祭りだからね!
 ブロークバック・マウンテン
   保守的なアメリカの西部で、20年以上にも渡って男同士の愛を貫いた2人のメ普遍の愛モを描く人間ドラマ。

2005年のヴェネチア国際映画祭で最高賞の金 獅子賞を受賞したほか、数々の映画賞にノミネートされている話題作。主演はヒース・レジャーとジェイク・ギレンホールが20歳から40歳までの年齢も繊細 に表現した演技を見せる。監督は『グリーン・ディスティニー』のアン・リー。ブロークバックの山々を美しく映し出した映像にも注目。

監督: アン・リー
キャスト:ヒース・レジャー、ジェイク・ギレンホール、ミシェル・ウィリアムズ
     
中山治美  
さすがハリウッドはあらゆる趣向の方達がお揃いのようです。お堅いユタ州では上映禁止騒動が起こったというのに、映画業界では同性愛者だけでなく、やおい系の人たちの心をも捕えた様子。現に筆者もやおいじゃないけど、ヒース&ジェイクの初夜シーンには萌え~。それまでロクに会話していなかった2人が、いきなり発情してベッドイン!ですよ。でもって一夜明けた後、2人がじゃれ合っている姿のかわいらしいことったらありゃしない。だからと言って物語自体は普通の男女に置き換えたら大したことないけど、美しい景色と余計なセリフを排除した演出、そして男性に興味あるように見えない意表を突くキャスティングがGOODです。
高山亜紀  
  なんて体当たり演技なんだ、ジェイクとヒース。あの役への執念を考えると、絶対に撮影中は愛し合っていたはず、確実に! 特にジェイクがすご過ぎ。歩き方や恥じらった顔つきなど、まさに本物のオカマ。役柄的には彼が演じたジャックが元々ゲイで、ヒース演じるイニスは彼を人間として、好きだったという印象を受けた。人を感動させるのはヒースの演技の方だろう。でも技術的に難しいのは絶対、ジェイクの演じた役の方である。ただし、個人的に賞を獲って欲しいのはミシェル・ウィリアムズ。「子供生まないなら、お前とはやんない」ってヒースに言われて、映画の中でなく、実際にも産むなんて。どこまでリアル追求する気だ、この映画の役者たち。
鴇田崇  
  これはゲイの恋愛ではなく、たまたま愛してしまった人が同性だったということ。もっと言うと、生涯の友を大事に想う“美しき男心”を描いていると思うなぁ。性行為だって真剣な気持ちの表れでしょ? 同性愛を理解できるかどうかという視点ではなく、純情で身勝手で複雑な男心に共鳴できるかどうかがミソ。レジャー演じる主人公が奥さんに“お前には分からない”なんて偉そうにのたまってましたが、男性に女心が分からないように女性に男心は分からないのかも。アカデミー賞最多8部門ノミネートですが、会員って男性が占める割合が多いのかしら? 殿方ならぜひ観てほしい。後はこの原稿、ウチのカミさんが読まないことを祈る。早く来月になれ!!
 クラッシュ
   ロスのハイウェイで起きた交通事故をきっかけに、さまざまな人種、階層、職業の人々の人生が連鎖反応を起こすヒューマンドラマ。脚本に惚れ込んだサンド ラ・ブロックや、ドン・チードル、マット・ディロンら豪華キャストが、運命に翻弄(ほんろう)される現代人の怒りや孤独や悲しみ、喜びや救いを見事に表現 する。

『ミリオンダラー・ベイビー』の製作と脚本でアカデミー賞にノミネートされたポール・ハギス監督による珠玉の名作。

監督・原案: ポール・ハギス
キャスト:サンドラ・ブロック、ドン・チードル、マット・ディロン
     
相馬学  
ひとくちに人種偏見というけれど、それを生活レベルまで掘り下げた映画はハリウッド作品ではありそうでなかったと思う。“肌の色が違うから敵”という極端な嫌悪ではなく、黒人だから、アラブ人だから…と私見でレッテルを貼ることから生じる、ごく身近な偏見。それがどこにでも生じる可能性があることに改めて気づかせるのは、人間がきちんと描けているから。個人対個人でコミュニケーションすることの意義を教えてくれる良心作ゆえ、作品賞を受賞しても異論はない。個人的には昔から出演作を観ていたマット・ディロンのノミネーションにダイアン・レインのノミネート時にも似た、“あの子が立派になって…”という近所のおばさん的な喜びを覚えた。
鴇田崇  
  アメリカ人の日常に溶け込んでしまっている人種差別問題を、ごく普通の人々のありえるエピソードから炙り出す趣向が上手い力作。が、出口がないんだろうなって途中で気づいて、ゲンナリしちゃったのが本音。特に“透明マント”のくだりでは、監督を呼び出して小一時間ほど問い詰めたい気分にもなりましたね。ただ、後半からのストーリー展開はお見事! ひたすら感心しきって胸も熱くなったけど、それは構成としてなんです。めちゃくちゃ完成度は高いけど、流れるテーマを対岸の火事として見ちゃう自分がいるっていう。あ、『ハービー/機械じかけのキューピッド』で僕を悲しませたマット・ディロンがいい演技してます。助演男優賞獲ってほしい!!
前田かおり  
  取材でポール・ハギス本人に会ったら、ベビーフェイスで人懐っこい笑顔が印象的だった。リアルでシビアな物語なのに、見終わるとやんわりと包むような優しさはきっとこの人の温かさの顕れなんだなと思った。中でも、人種差別主義のベテラン警官のエピソードは秀逸だ。実は病床の父を思う孝行息子だが、父に何もしてやれない無力感が陰湿な差別行為に向かわせる。そんな男を憎々しげに演じるマット・ディロンが素晴らしすぎ。最近は悪役づいてきて、今回も……と思ったら、体についた贅肉まで中年男の悲哀をにじませて名演。どんな人間も立ち止まる機会があれば、人生やり直しは利くと救いや希望を持たせてくれる。助演男優賞はマットだ、マット。
 ミュンヘン
   スティーヴン・スピルバーグ監督が、1972年のミュンヘン・オリンピックで実際に起きた事件の真相を、事件に関わった人々のコメントや、史実に基づいて 映画化した衝撃の問題作。

主演に『トロイ』のエリック・バナや6代目のボンド役を務めるダニエル・クレイグら実力派俳優が名を連ねるほか、製作陣には ピューリツァー賞やオスカー受賞者などが顔を揃え、作品の質を高めている。国家への忠誠心や家族への愛を描きつつ、世界平和の真意を問うストーリー展開が見事。

監督・製作: スティーヴン・スピルバーグ 
キャスト:エリック・バナ、ダニエル・クレイグ、ジェフリー・ラッシュ
画像コピーライトTM & (C)2005 DREAMWORKS LLC. / Universal Studios. ALL RIGHTS RESERVED.
     
中山治美  
個人的にはスピちゃんに、ラジー賞(『宇宙戦争』)とオスカーのW受賞をあげたい。ある意味、スゴイよ。日本で言えば、佐藤純彌監督が『北京原人』と『男たちの大和/YAMATO』を1年のうちにリリースするようなモン。そんな『宇宙戦争』のうっぷんを晴らすかのように、『ミュンヘン』にぶつけたであろうスピちゃん。容赦ないテロシーンに始まり、上手い役者を隅々まで配置。そうしてテロリストにさせられた男の哀しみを、丁寧に描いていたと思う。もっとも、本作品の参考図書「標的(ターゲット)は11人」を読むと、アヴナーの父親もテロリストで、その父親がどんな人生を歩んだかを知っていて、かつ自分も同じ道を選んだ事が書いてあって、そこが興味深かったんだけど。そこまで描くのは無理か。
相馬学  
  ユダヤ&パレスチナ双方の非難の声を聞けばなるほどとは思うものの、政治的・宗教的な視点ではなく、組織的対立の渦中に置かれた一個人が、いかにちっぽけな存在かという世界共通のテーマという視点で見れば無情感も重みを増す。何より、スピルバーグ流の映画的興奮の狂い咲きに興奮させられたのは事実。暗殺移行時のモタつきにハラハラし、やたらと生々しいバイオレンスにドキっとする。原作のノンフィクション小説を前者ではデフォルメし、後者では写実的に再現した緩急自在の脚色によって、007的な超人アクションとは異なる正統派スパイ映画のグルーヴを作り出した点は評価されていいと思う。それをアカデミー会員が評価するかは疑問だが…。
鴇田崇  
  メシ、流血、ハダカ、流血と、これでもかと生身の人間同士の争いを強調しまくるスピルバーグ渾身の一作。“僕の思いのたけを聞いてくれー”っていうしゃべりたがり精神は今回もスパークしてるし、スパイ・アクションとして割り切って見ても面白い。毎度やってくれます、世界の巨匠。家族愛のテーマへと落とし込む得意技もキマッてますが、アカデミー賞を採れるぐらいの勢いと斬新さは薄いかもしれない。最後に小話を。ダンマリを決め込んでいたスピルバーグの代わりに主演のエリック・バナが来日。当然“NO”という答えを見越して“もしアヴナーみたいな立場になったらどうする?”って質問に“僕も断れない”って返事が来た時にゃ、ちょい引いた。
 グッドナイト&グッドラック
   “放送の良心”としてアメリカ国民に愛された、エド・マローの生き様を描いた本格社会派ドラマ。“マッカーシー”批判と呼ばれる歴史的事件を背景に、時の 権力者に立ち向かった男たちの真実の物語。エド・マロー役には『L.A.コンフィデンシャル』のデヴィッド・ストラザーンがふんし、その相棒役には本作が 監督2作目でもあるジョージ・クルーニーが務める。マッカーシーを含む当時の映像を実際に使うために、全編を白黒で撮影したことで、作品に重厚感と臨場感 が加わっている。

監督:ジョージ・クルーニー
キャスト:デヴィッド・ストラザーン、ジョージ・クルーニー、パトリシア・クラークソン
     
中山治美  
『オーシャンズ11』や、勝手にマーク・ウォルバーグに肩入れして作品を作ったりと、やたらとアニキ風を吹き回していたジョージ。ファンである私も最近はちょっと引き気味だったが、本作品を見て惚れ直した! 50年代の米国を意識したモノクロ映像と、ジョージ以上に渋い親父デヴィッド・ストラゾーンを主役に配し、米国人があまり触れたがらない「赤狩り」にまつわるエピソードを、真面目に、かつスタイリッシュに映像化している。やるじゃん、ジョージ。ただ気になるのは、ちょっと自信過剰になっているようで、ヴェネチア映画祭の授賞式の際、自分が金獅子賞を取れなくてふて腐れていたというウワサが。これ以上調子にノッたら困るので、オスカーをあげるのは当分先で。ファンからのお願いです。
高山亜紀  
  『コンフェッション』で70年代を描き、この映画が50年代。「お前、いったい何歳なんだよ」と突っ込みたいほど、極渋趣味のクルーニー。若いギャルが好きなチャラい印象もあるのに、こういう社会派映画に心血を注ぎ、音楽の趣味は果てしなく通好みであり、「こりゃ、一生、結婚は無理だ」と勝手に心配してしまいました。ゲイという意味ではなく、クルーニーって本当に男が好きなんだなぁ。男が粋であった時代にこだわる人なんだと思った。それぐらいここに出てくる男たちは皆、カッコイイ。本人は表面上、『シリアナ』で獲っても、これで獲っても気にしないというポーカーフェイスを装うはずだが、本音は絶対、こっちで賞欲しいはず。
前田かおり  
  男たちが皆、糊の利いたワイシャツやシャレたスーツを着て、仕事の終わりには「帰りにスコッチをやらないか」なんてセリフを吐く。伊達男ジョージ・クルーニーらしさと、根はすごく真面目と思われる人柄が作品からアリアリ。古き良き時代のちょっと美しすぎる話だけど、クルーニーにとってのヒーローを描いたのだから、カッコ良くて当然。それに、TVで堂々と無責任発言をするいい歳したオッサンたちを目にする今日この頃だけに、信念を貫いてきっちりケジメをつける男たちが頼もしく見える。主演のデヴィッド・ストラザーンが、これぞ大人の男を体現し、素敵だ。とくにメリハリくっきりの彼の目とその目力には痺れっ放し。主演男優賞はぜひ彼に!
 ウォーク・ザ・ライン/君につづく道
   実在した1950年代のカリスマスター、ジョニー・キャッシュの生涯に迫った真実の愛の軌跡。監督は『アイデンティティー』のジェームズ・マンゴールド。 主演に『グラディエーター』のホアキン・フェニックスがプレスリーらとロカビリーの黄金時代を築いた伝説の男を熱演する。共演は『キューティ・ブロンド』 のリース・ウィザースプーン。

この2人が劇中で熱唱する歌はすべて吹き替えなしの本物。必見のアカデミー賞最有力候補作。

監督: ジェームズ・マンゴール
キャスト:ホアキン・フェニックス、リース・ウィザースプーン、ジェニファー・グッドウィン
     
高山亜紀  
ホアキン・フェニックスがジョニー・キャッシュに見えるかどうかは置いといて、素晴らしいラブストーリーである。ホアキンが賞を獲れるかどうかも置いといて(たぶん無理)、リース・ウィザースプーンが素晴らしい演技である。ホアキンの歌も置いといて、リースはカントリー歌手特有の歌唱法も完璧。子供の頃からスターだったというオーラだって感じさせる。しかも、彼女が演じるジューン・カーターが女性の鏡のような女である。男なら、キャッシュじゃなくてもメロメロだよ、あんないい女。与えるでも奪うでもなく、ただただ相手が幸せでいればいいという気持ちが愛なんだよなぁとうるっと来た。いい女道を学びたいなら、この映画を見るべし。
相馬学  
  生き方をとらえたミュージシャンの伝記映画ではなく、ラブストーリーとしてうまくまとまっている点に好感が持てる。劇中ホアキン・フォニックスはリース・ウィザースプーンに“まっすぐ歩けない人ね!”と叱られるが、そんなダメ男に“まっすぐ歩いてやろうじゃないか”と決意させる、その根底に恋愛感情があるのがミソ。おたがいの人間性を高めてこそ大人の愛だね、などとガラにもなく考えた。主演女優賞候補のリースはパフォーマンス時の朗らかな表情とバックステージでの繊細な顔つきのギャップが素晴らしく、本命との評判も納得。主演男優賞候補のホアキンは下馬評では3番手評価だが、ダメ男の心情をシンクロさせてもらったぶん一票を投じたい。
今祥枝  
  ジョニー・キャッシュと言われて、あの…?ぐらいのわずかな知識しかない筆者。貧乏→成功→ドラッグ→どん底→復活ってドラマかぁ、なんて思っていたらその通りだった。にも関わらず、大感激したのは本作が単なる伝記映画ではなく、キャッシュと2度目の妻ジューンのラブストーリーにフォーカスしていたから! 特に決して自分を見失うことなく、才能にあふれ、強くたくましく優しいジューンという女性にほれまくり。演じるリース・ウィザースプーンの演技にも同様にほれぼれ。オスカーは対抗馬がフェリシティ・ハフマンならリースだと思うが、御大ジュディ・デンチの線もあるのだろうか? 心配。ホアキン・フェニックスは、よくがんばったよねーぐらいの印象。
 カポーティ
   文学界に名を残す作家トルーマン・カポーティが、ノンフィクション小説の名作「冷血」を書き上げた6年間に迫るシリアスな伝記映画。実在した人物、トルー マン・カポーティを演じたのは、本作で第63回ゴールデン・グローブ賞主演男優賞を受賞したしたフィリップ・シーモア・ホフマン。脇を固めるキャストもエ ド・ハリスやクリス・クーパーといった実力派ぞろい。
フィリップ・シーモア・ホフマンが甲高い声でカポーティ成りきる名演は必見。

監督:ベネット・ミラー
キャスト:フィリップ・シーモア・ホフマン、クリス・クーパー
     
前田かおり  
フィリップ・シーモア・ホフマンはとても好きな俳優で、毎回、そのなりきりぶりには驚くが、今回はホントにぶっ飛んだ。外見はもちろん声色まで似せ、すっかりオカマ作家と化していた。カポーティのエキセントリックで、いけ好かない傲慢なところもにじみ出てる。実在の人物だけに演じ甲斐があったに違いない、フィリップ君の得意満面な顔まで浮かぶよう……。が、そんな彼の芸達者さが鼻についてしまい、私はダメでした。映像はまるで一枚の絵画を見るような美しさと寒々しさもあり、監督の絵作りのこだわりを感じるし、大作家が二度と書けなくなるほどの体験は興味深かったけれど、とにかくベタっとした声色が生理的に受け付けず、でした
今祥枝  
  トルーマン・カポーティ&著書「冷血」が題材。しかも、あの!フィリップ・シーモア・ホフマンが演じる。それだけで★の大盤振る舞いは決定という、激しい思い込みのもとに映画を観た。始まって間もなく映し出された、事件のあった現場の寒々とした光景に当たり!を確信。ホフマンは評判どおりの芸達者ぶり。さらにキャサリン・キーナーら脇の渋好みの俳優たちの上手いこと!バイオレンスではなくカポーティという人間に焦点を当てて表の栄光とは裏腹の、虚栄心と名誉欲に支配された憐れなライターの姿を浮き彫りにした物語もまた痛烈だ。演出はやや未熟、オスカー候補作としてはあまりにも小粒だが大変好みの一作。これでホフマンが受賞できなかったら泣く!
高山亜紀  
  去年、ここまでわかりやすくやらなくていいのにと思ったジェイミー・フォックスが受賞したので、同じ印象のフィリップ・シーモア・ホフマンも評価されるのだろうか。有名人って私生活でも絶対、「そう見られたい自分」というのを演出しているはずだから、それを参考になりきられると芝居がかって見えてしまうんだけど。逆にハーパー・リー役のキャサリン・キーナーの控えめな演技が印象的だった。とはいえ、小説のネタである犯罪者との疑似友情のなかで良心やら保身やら小説を書きたい衝動やらが入り交じり、揺れ動くホフマンの演技はやはり素晴らしかった。涙をこらえる顔は時折、レニー・ゼルウィガーに見えなくもなかったけど(じゃ、やっぱ受賞か)。
 
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  1. 記事
  2. 2006年
  3. 2月
  4. 15日
  5. [アカデミー賞スペシャル]−アカデミー賞ノミネーション編−