シネマトゥデイ

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私的映画宣言 セカンド・シーズン3月
 
鴇田崇 高山亜紀 今祥枝 中山治美 前田かおり 相馬学

執筆者近況報告など

なかなか日本公開が決まらないウェス・クレイブン監督の新作『RED EYE』を、待ちきれず輸入DVDで観賞。これが面白い!とくにキリアン・マーフィのしぶとくしつこい悪役は絶品。『ファイアーウォール』のポール・ベタニーもそうだが、イギリス人俳優の爬虫類的個性って、いいねえ。 チョ・ハンソン、チェ・ミンシク、イ・ワン……ここのところずっと韓流スターに取材してる私。韓国語は全くわからないのですが、チョ・ハンソン氏とはお互い日本語と韓国語なのに、なぜか通じる場面が多かったです。お互いゲーマーだったからでしょうか。
近所のソバ屋のオヤジがアン・リー監督にソックリで、妙に親近感がある顔だっただけにアカデミー賞の作品賞を逃したのは残念! 今年のオスカーは『クラッシュ』が受賞したわけですが、その晩に自分のPCがクラッシュしちゃいました。書きかけの原稿も当然オダブツ! キレイに落ちましたが、お後は全然よろしくありません! 5月に開催されるカンヌ映画祭の手続きが終了しました。が!ユーロが下がりません。これは死活問題です。だってこのままじゃあ、エビアンのペットボトル(小)が平気で200円ぐらいしちゃうんでっせ。泣きたい。なんだかんだ言って、日本っていいねぇ~。
 ヒストリー・オブ・バイオレンス
(C)005 New Line Cinema. All Rights Reserved.
  『ザ・フライ』の鬼才デヴィッド・クローネンバーグ監督が、「バットマン」シリーズで知られるDCコミックスのグラフィック・ノベルを映画化。

「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズの勇者アラゴルン役でスターの仲間入りを果たしたヴィゴ・モーテンセンが、過去と現実の狭間で苦悩する一家の主を熱演。

エド・ハリス、ウィリアム・ハートらオスカー常連の演技派が脇を固め、サスペンス色の強い濃厚な物語に深みを与えている。

ヴィゴ・モーテンセン
マリア・ベロ
エド・ハリス
監督:デヴィッド・クローネンバーグ
   
 
一度作ってしまった“暴力の履歴”から、人はなかなか逃れられないということを改めて実感させる。それゆえの主人公の危機に加え、新たに“暴力の履歴”を作ってしまいそうになるその息子の危うさにもハラハラさせられた。異才クローネンバーグにしてはテーマは随分とわかりやすいが、エド・ハリスふんする殺し屋の粘着質な不気味さや、唐突にチアガール姿になってセックスを迫る主人公の妻などの規格外のキャラクター描写に、この監督ならではの変態的な歪みが感じられてファンとしては満足。そんな妻のアプローチに唖然としつつムゲにもできず、嬉しいような困ったような表情をみせるヴィゴ・モーテンセンが、これまた何ともいえずイイ味。
 
  あのデヴィッド・クローネンバーグがアクションを撮ったというにまず驚いたが、それ以上にヴィゴが繰り出すアクションの素早さとカッコ良さに惚れ惚れ。さすがは東映Vアメリカ出身&石橋凌のお友達(笑)。物語では、普通の夫かと思っていたら過去ある男という設定なのだが、ヴィゴを起用した時点で、どう見たって“ワケあり”という感じなのだが(実際、くどいようだが東映Vアメリカに出ているし)。で、この作品は昨年のカンヌ映画祭のコンペ作。ヴィゴに最優秀男優賞をヴィゴにとらせたかったのに、賞をかっさらったのは『メルキアデス~』のトミー・リー親父。チッ! いみじくも日本で同時期公開。どっちの演技が素晴らしいか、まぁ見比べてみて。
 
  タイトルから察するに最初はドキュメンタリーかなと思ってたけど、元はアメコミなんだそうで、本国アメリカでは大人気みたいですね。暴力がテーマになっているわけですけど、まぁ率直な感想を言えば“そっとしておいてあげてー”ですよ。誰しも叩けばホコリがでる過去ぐらいあるわけで、せっかく幸せを手にしたんだからって、なんだか小市民的な感想がまず出ますが……。ただ、テーマはなんであれ、過去の自分と向き合うというか、すべてをさらけ出した状態で、夫婦同士ぶつかり合うのはとても大事ですな。同じアメコミ映画の『ファンタスティック・フォー[超能力ユニット]』で、岩の塊のようになった夫を一度捨てた、あんな奥さんは許しませんよ!!
 メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬
 
  『逃亡者』や『メン・イン・ブラック』シリーズの名優、トミー・リー・ジョーンズが初監督した、魂が揺さぶられる群像劇。製作と主演も兼ねる彼を、『25時』のバリー・ペッパーや『スリング・ブレイド』のドワイト・ヨーカムら個性派俳優が支える。

昔気質の老カウボーイと、罪を犯した未熟な国境警備員が、死者と共に約束の地を目指す姿が描かれている。ロードムービーとしても秀逸で、2005年カンヌ国際映画祭で見事最優秀男優賞と脚本賞に輝いた実力作。

トミー・リー・ジョーンズ
バリー・ペッパー
フリオ・セサール・セディージョ

監督:トミー・リー・ジョーンズ
     
 
論議を呼んでいる今年のアカデミー賞だが、最大の軍配差し違えは、カンヌでは高評価を得たこの映画をまったく無視したことだ!と断言したい。苦痛を伴う贖罪の道のりにうなり、珍道中的なトボケたユーモアにニヤニヤし、国境の荒涼とした風景の美に驚嘆する。人種的偏見、カウボーイの友情、理不尽な殺人、権力に屈しない生き方……。おっ、気づけば今年のアカデミー賞候補作の要素が詰まっているではないか! 何より、スジを通すということがどういうことかを教えてくれる本作。偏愛丸出しで言わせてもらえば、20年も悶々としながら乳繰り合ってる別のカウボーイの映画以上に、個人的には“観てよかった”と思った。トミー・リーみたいになりたいねえ……。
 
  本作品のPRで来日したトミー・リー親父を取材。ビールを飲み始めるわ、集中力ないわ、質問におざなりで答えるわで、人を見下したような態度に非常に不快感を覚えた。だが、悔しいかな。作品には罪はなし。良い作品は認めなきゃいけない。確かに、友人との約束を守るために、彼を謝って殺害した国境警備隊員を拉致し、ただ遺体を運ぶだけの無茶で強引なストーリー。だが不法入国問題という緊張感漂う中、国境沿いに済む米国とメキシコの人々が、いかに互いに影響し合ってきたか、その文化&歴史的背景がよく描かれている。加えて、映像が美しい。これで親父はきっと監督業にもっと色気を出すはず。そろそろ『メン・イン・ブラック3』に出て、金を稼ぎますか?
 
  昨年のカンヌで激賞された激シブ俳優トミー・リー・ジョーンズの初監督作は、監督の顔同様、物語も激シブ。メキシコ人の親友を殺されたリー様が、持ち前のストレス顔をさらに歪ませながら遺体を故郷で埋葬するために旅立つのだが、なんと彼を殺したチャラい国境警備員も無理矢理(手錠アリ)同行させるっていうお話。『逃亡者』や『ハンテッド』などの粘着質キャラでお馴染みのリー様だけに、一度決めたら最後までやる男だとは思っていたが、男×2+死体×1の信義と改悛の旅をここまで徹底してやり抜かれると確かにハダシで逃げ出したくもなるわ。死体の描写もやけにグロかったし、テーマにもグッとくるものがありませんでした。ゴメンナサイです……。
 プロデューサーズ
 
  アカデミー賞に輝くメル・ブルックス監督・脚本による1968年の傑作コメディを、史上最多のトニー賞12部門受賞を成し遂げた2001年の舞台ミュージカル版に続き、再び映画化した話題作。舞台版の初代オリジナル・キャストであるネイサン・レインとマシュー・ブロデリックが息の合った名コンビぶりで主役を演じるほか、『キル・ビル』のユマ・サーマンがヒロイン役で新登場。

舞台版そのままのハイテンションなパフォーマンスが楽しい。

ネイサン・レイン
マシュー・ブロデリック
ユマ・サーマン

監督:スーザン・ストローマン
     
 
そもそもミュージカルは歌って躍って物語が展開する、常人のテンションを超えた世界。それに乗れるかどうかで好きか嫌いかが決まってくるが、個人的にはなかなか乗れず。演技者が目の前でパフォーマンスする舞台ならいざしらず、一方通行のコミュニケーションが義務付けられている映画というジャンルで同等のテンションを繰り広げられては、正直困惑してしまう。とはいえ、オリジナルの映画版『プロデューサーズ』のバカバカしい味をひとりで体現してみせたウィル・フェレルと、“皆に目の保養をさせてあげる♪”と歌どおりの魅力を発するユマ・サーマンには拍手喝采。“ミュージカル”ではなく“ミュージカル映画”の華が彼らから感じられたぶん、好き嫌い度は★一個オマケ。
 
  本年度のアカデミー賞で、まさかの作品賞を受賞した『クラッシュ』は、人種差別的なセリフがバンバン飛び出す、なかなか刺激的な作品なのだが、この映画も何げにスゴイ。笑いとミュージカルでオブラートに包んでいるが、ゲイやナチスなど特定の主義・主張をお持ちの方達をおちょくりまくり。元は68年に公開された映画なワケで、当時の世相を反映させた脚本をそのまま生かしているからだろう。しかし先日、たまたまデンゼル・ワシントン主演『青いドレスの女』(95)を見返したのだが、これは黒人差別バリバリ。これら3本を立て続けに見て、人種のるつぼ米国が抱える問題って今も昔も変らないんだぁと痛感。こりゃあ根深い問題のはずですわ。
 
  楽しい!! これ楽しい!! 映画を観て“面白い”と思うのはしょっちゅうだけど、“楽しい”と思える作品に出会えるのは稀。それもぞのはず、舞台版のハイテンションなノリをそのまま映像化しているんだもの!! 昨夏、新宿で舞台版(もちろんキャストは全然違いますが……)を観たけど、まったく同じノリ。そのまま舞台を録画したような感じなの。ドイツ贔屓の変人役ウィル・フェレルや、女優志望のスウェーデン娘を演じたユマ・サーマンも大味でミュージカルの世界にピッタリ!! それに映画ならアップで映し出してくれるので、舞台では見えなかった俳優の表情までしっかり見えるし。もう最高の娯楽作!! すいません、いい意見しか出ませんわ……。
 ファイヤーウォール
(C) 2006 Warner Bros. Entertainment Inc. - U.S., Canada, Bahamas & Bermuda(C) 2006 Village Roadshow Films (BVI) Limited - All Other Territories
  銀行のセキュリティシステムの専門家と、彼を脅迫する冷酷な強盗の攻防を描いた緊迫のサスペンス。

3年ぶりの映画出演となるハリソン・フォードがセキュリティシステムの専門家を、『ウィンブルドン』のポール・ベタニーが強盗を演じる。

監督は『ウィンブルドン』でもベタニーと組んでいるリチャード・ロンクレイン。愛する家族を守るため、単身で強盗に立ち向かう頭脳派ヒーローの奮闘に注目。

ハリソン・フォード
ポール・ベタニー
ヴァージニア・マドセン

監督:リチャード・ロンクレイン
     
 
いまどきの銀行強盗は、覆面姿でライフル持って正面から押し入ったりはしないんだよなあ……と妙に感心している場合ではなく、パスワードなどのネット・アクセス管理はちゃんとしなければと反省させられる一編。身に覚えのないネット・ギャンブルの負けで、いきなり請求書が送られてくるのが、まず怖い。そのうえ個人情報が丸裸なのだから……。ハリソン・フォード主演のサスペンスと聞くと新鮮味に乏しいと思われるかもしれないが、眉間にシワを寄せた焦りっぷりは、やはりこの人ならではの味がある。悪役ポール・ベタニーとのクライマックスの大格闘も意外に本気度が高く、老齢が心配されたインディ・ジョーンズ役でも、まだイケることを確認。
 
  ここのところ色ぼけで、私生活で体力を使ちゃっていたからか、スクリーン上では精彩を欠いていたハリソンさん。久々に彼らしい、サスペンス。しかも題材は、旬なネット・バンキングの穴をかいくぐった新種の銀行強盗。敵対する相手は演技派ポール・ベタニーということで見どころも十分。正直、全くもって期待していなかったのだが、ハリソンの老いぼれぶりも目に入らぬほど(笑)、身を乗り出して見入ってしまった。ただ! オチがハリウッド的でガッカリ。同じく現代人の必需品・携帯電話を使ったサスペンス『セルラー』が最初から最後まで携帯の機能や盲点を駆使して話が展開して快作となったように、そこを目指して欲しかった。
 
  オーバー60でまだまだ現役ハリソン・フォードの最新作は、愛する家族が危機にさらされ、単身悪に立ち向かう、まさしくハリソン・フォードな映画!! 80年代に大活躍したスターが頑張っていると無条件で嬉しい。悪党ベタニーが『ニック・オブ・タイム』の怪優ウォーケンのように、突然目の前に現れるドッキリを推し進めて、リアルタム・サスペンスに仕上げても面白かったのかも。近頃ではIT=若造のイメージがまかり通ってて、あんな年とったシステム管理者なんかいるんかいっ! とのツッコミも耳にしますが、意外に金融機関などにはいぶし銀の技術者がいるんです。待望のインディ最新作の噂もチラホラだけど、ホント、年齢的には友人のマーカスですがな。

だれが何と言おうとこの映画を愛します宣言! ライターが偏愛してやまない1本をご紹介!

 マンダレイ
(C) Zentropa Entertainments13 ApS All Rights Reserved.

最強ドSっぷりを披露した『ドッグヴィル』から2年。まやもや、ラース監督がやってくれた。

ニコールと同じ役では役不足といわれたブライスだが、これは彼女にしかできなかった役だ。ニコールが真性Mだったら、こっちは正真正銘のお嬢様。その彼女を持ち上げまくり、陵辱するところに本作の面白さがある。

彼女が閉ざされた地に押しかけ、住民たちを銃で脅し、おせっかいにも自由を求めるようにけしかけるという「アメリカ」を陰喩したような役であることはこの際、どうでもよい。

世界が注目する美人お嬢様女優をズタボロにすることに監督の興味はあるのだ(きっと)。それに応えて、脱ぐわ、自慰はするわ、精神的に打ちのめされるわ……彼女が頑張れば、頑張るほど、父ロン・ハワードの悲しい顔が浮かんでくる相乗効果。
いやぁ、今回もドS炸裂だよ。一番、気の毒なのは顔を黒く塗られたうえ、セリフもほとんどない世界のファッション・リーダー、クロエ・セヴィニーだけど。

 

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