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セカンドシーズン 2006年4月

私的映画宣言

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私的映画宣言 セカンド・シーズン4月

鴇田崇 高山亜紀 今祥枝 中山治美 前田かおり 相馬学

執筆者の近況など

中山治美
高山亜紀
TBS系が竹内結子&中村獅童の縁結び映画『いま、会いにゆきます』を放送したその夜、テレビ朝日系が裏で放送したのはS・セガール主演『DENGEKI/電撃』。テレビ欄には「いま、殴りにゆきます…今夜は鉄拳制裁!」の文字が。テレ朝さん、惚れました(笑)。 先日、電車に乗ったら、ジャバ・ザ・ハットがメガネかけてスーツを着たような人が座っていた。衝撃的なほど、似てた。写メ撮りたかった! 職場でも「ジャバ」とか影で誰か呼んでるのかなぁ。
前田かおり
鴇田崇
先日、若年性アルツハイマーを描いた『明日の記憶』を観た。中で、渡辺謙さんが「タイタニック」主演スターの名を思い出せぬシーンに、マジ共感。最近、私しょっちゅうです。で、そんな試写を見た日に、「朝、請求書を出します」と言いながら忘れてたことを思い出した。すでに「今日の記憶」がヤバいっす。 某スーパーおバカ映画の副音声解説に挑戦。得意分野だからと余裕ぶっこいて本番に臨みましたが、本編中(2時間なら2時間)、一度もトイレに行けないので慌てまくり。その上、タイミングを合わせてコメントしないとドンドン映像が流れてしまうので内容と場面がズレたり……。いやはや、副音声解説は聞くに限りますな……。

 V フォー・ヴェンデッタ
(C) 2005 Warner Bros. Entertainment Inc.
  第3次世界大戦後のイギリスを舞台に、孤高のテロリスト"V"が国家に立ち向かう近未来スリラー。『マトリックス』のウォシャウスキー兄弟が製作と脚本を 手掛ける。『マトリックス』のエージェント・スミスことヒューゴ・ウィービングが仮面をつけた謎の男"V"を演じ、"V"に協力するヒロインを『クロー サー』のナタリー・ポートマンが演じる。

過激で政治色の強いストーリー展開が異色のアクションエンターテインメント。

ナタリー・ポートマン
ヒューゴ・ウィービング
スティーブン・レイ

監督: ジェイムズ・マクティーグ
製作/脚本: ウォシャウスキー兄弟
   
中山治美   作品評価3 好き度2
"独裁国家となった近未来で反逆を試みる"。このストーリー展開ってSFサスペンスで結構ありがち。『イーオン・フラックス』しかり、筆者の中ではどぉーも、その多くがスタイルばかりこだわって中身薄の印象があり。これも正直、そのカテゴリーの中に片足突っ込んでいて、やたら大仰な演説&演出を用意するVのキャラクターに失笑。だが、この物語が1605年に英国で実際に起こった、ガイ・フォークスなる人物による国家転覆計画を基にしており、それをエンターテイメントに仕上げたという点は評価するかな。まっ、筆者の一番の関心ごとはポートマンのスキンヘッドだったのだが、剃る意味あったのかなぁ。劇中のロリコンファッション含め、サービスカットすか?(笑)。
高山亜紀   作品評価3 好き度5
  『マトリックス』の結末が拍子抜けだったことが教訓になったのか、この映画のエンディングの面白さはどうよ。これをやりたいがためだけにそれまでの話があるのではないのかとさえ、思えてくる。ジェットコースターに乗ったように知らぬ間にぐんぐん上に引き上げられ、ものすごい加速で駆け抜ける大クライマックスの大団円。余りに興奮し過ぎて、感情制御ができず、笑いと涙が止まらなかった。『1984』のジョン・ハートが今回は監視する側に回ったおかしさとか、同性愛者が強いられる様子が妙に力強く描かれているのはウォシャウスキー兄弟(特に兄)のメッセージなのかなと細かな面白さはいろいろあったけれど、豪快エンディングの前には全部、ぶっ飛ぶ。
前田かおり   作品評価3 好き度4
  ガイ・フォークスデーの日に始まって、チャイコフスキーの音楽やら『マクベス』やら、全編オタク心を刺激するネタがテンコ盛りというあたりはウォシャウスキー兄弟ならではのストーリー。人を食ったようなお面かぶって偉そうなセリフを吐き、いたぶるVといたぶられるナタリー・ポートマンのSMな恋愛関係もアブノーマルな兄弟らしい描写ですな。それにしても、ナタポーの頭の形の美しいこと。"孫悟空"で三蔵法師を演じた深津絵里とどっこいなぐらい、坊主頭が似合う。そんな彼女が喜ぶVが作る美味そうなトーストは真似してみたい。なんて本筋に関係ないところ楽しんだ。あとニール・ジョーダン監督の常連俳優スティーブン・レイが大活躍してるのが、ファンとしては嬉しくて☆1個おまけ。

 LIMIT OF LOVE 海猿
(C) 2006 フジテレビジョン・ROBOT・ポニーキャニオン・東宝・小学館・FNS27社
  人命救助のエキスパートである潜水士を目指す若者の友情や挫折、恋愛をさわやかに活写した青春ドラマの続編。監督の羽住英一郎、主演の伊藤英明、加藤あい をはじめ、前作のスタッフ&キャストが再結集。

乗員・乗客620名を乗せたまま座礁した大型フェリーを舞台に、史上最大の海難事故の救助に挑む若き精鋭たちの活躍を描く。再び実現した海上保安庁の全面協力の下、圧倒的なスケールで繰り広げられるスリリングな救出劇が見ものだ。

伊藤英明
加藤あい
佐藤隆太

監督: 羽住英一郎
     
中山治美   作品評価4 好き度4
フェリー事故の避難最中、乗船している愛車のフェラーリのエンジンを吹かす乗客(吹越満)、あの大塚寧々が恋研(恋愛研究会らしい)出身者という設定、へなちょこにもほどがある佐藤隆太演じる機動救難隊隊員・吉岡などなど、ところどころ拳を握りしめたシーンがいっぱい。それでも、あれだけ肉体を鍛え上げて、大量の水をかぶり、体力の限界に挑みながら(実際、佐藤隆太は取材陣が訪れていた時、体調を崩して病院に運ばれたらしい)この作品に取り組んでいるのがスクリーンを通してちゃんと伝わってくるから、細かい所はこの際許す。偶然にも最近、東京湾と石垣島沖で海難事故があったばかり。改めて、海保の人たちに敬礼!!
高山亜紀   作品評価3 好き度4
  前作が『愛と青春の旅立ち』を彷彿させる青春映画だったわけだが、今回は『アルマゲドン』ばりのアクション大作だ。もはやこのスケール感は邦画ではない。仙崎たちの行方を見守る対策本部がNASAに見えた。加藤あいはリヴ・タイラーだ。『アルマゲドン』が全人類の命を背負っているのに対し、仙崎はたった3人の命しか救わなくていいのに、この手に汗握る緊迫感ときたら! 伊藤英明はもちろんブルース・ウィリスでしょ。しかも、火災をバックに彼が登場する場面なんて、なぜか彼だけ『ダイ・ハード』。こんなにマッチョでダイナミックな役が似合うのだから、彼にはハリウッド進出して欲しい。彼のキャラを活かせる仕事が日本には、もはやないのでは?
前田かおり   作品評価2 好き度1
  昨今、不治の病にかかった人間を主人公にした感動ドラマが安易に量産される中で、登場人物たちが「絶対に死なない」と頑張る点は買う。とはいえ、伊藤英明の超人ぶりは凄すぎる。何度、死線をさまよえばいいんだか……。全面協力している海上保安庁はダメ出ししなかったのかと思いたくなるシーンも多々。ほか、大して働いてもいないのに「報道やっててよかった」という地元TV局員役の浅見れいなにもコケそうになったし、妊娠5ヶ月の店員、大塚寧々の設定もムチャクチャ。所詮ドラマだから、と言ってしまえば、それまでだけど、観客をなめとんのかいと個人的にはブチ切れ寸前。でも、こんな私は少数派かも。試写室で号泣する方々を多々発見しましたんで……。

 ぼくを葬る
 
  余命3か月と宣告された31歳のフォトグラファーが、死に直面したことにより自分自身を見つめ直す姿をつづったヒューマンドラマ。監督は『8人の女たち』 の名匠フランソワ・オゾン。

『まぼろし』に続き"死"を題材に取り上げたオゾン監督の分身とも言うべき主人公を、『夏物語』の実力派俳優メルヴィル・プ ポーが演じる。穏やかで静かな語り口と、主人公の心の葛藤を細やかに表現したプポーが印象的。

メルヴィル・プポー
ジャンヌ・モロー
ヴァレリア・ブルーニ=テデスキ

監督/脚本: フランソワ・オゾン
     
中山治美   作品評価4 好き度5
筆者は出来れば短命でありたいと願ってます。常に臓器提供意思表示カードを携帯しております。それが今年に入り、卵巣が腫れていると診断され、ガンじゃないかと弱気になったり(その後、腫れは収まった)、健康診断で白血球が少ないと言われてオロオロしたり(大した事じゃないらしい)、いざとなるとダメダメな自分を発見。そんなブルーな時にこれを見て、余命3ヶ月と宣告された主人公の迷いや不安が、かなり身に染みてしまった。ただオゾン監督だけに、普通の難病モノの映画にありがちな内容じゃないのがミソ。主人公はゲイ。心配してくれる祖母(大御所ジャンヌ・モロー)にまで辛辣なセリフを吐くし、予想外の展開も。低迷の続く仏映画の中で久々の秀作。
高山亜紀   作品評価4 好き度3
  死を宣告されてから、どう生きるのか。いろんな監督が撮っているテーマだが、恐ろしいほど淡々と描かれているのが、とても新鮮だ。特に同性愛者である主人公のラブシーンは『ブロークバック・マウンテン』以上の衝撃シーンなのだが、監督はそれを日常の一コマとして捉えていて、無理に美しく仕立て上げようとはしない。ストーリーも現実のように起伏もなく、決して感傷的にならず、本当にあっさりと進んでいく。もちろん楽しい結末になるわけもないが、少しだけファンタジックな要素があるのもオゾン監督らしい。気になったのは、主人公がコカインを買いに行くのに父の車で送ってもらう場面。いくら彼が幼稚でも、こんなのありなのか、フランス。
前田かおり   作品評価4 好き度4
  余命いくばくもない青年の話と聞き、オゾンお前もか……と思ったが、さすがに彼は違った。死をどう受け入れて、その時を迎えるかを静かに描く。しかも話の中身は『ブロークバック・マウンテン』以上の男同士の愛があり、生々しい性描写もあるのに、何故かいやらしさを感じないお上品な出来。お久しぶりーのメルヴィル・プポーもいい。10年ほど前に来日した彼にインタビューしたときはやんちゃな少年だったのに、今回来日した彼は落ち着いた大人の男の色気がプンプン。そんなメルヴィルが映画では、どんどん激ヤセし、最期の時に向かう姿は恐ろしいほどリアル。それから、わずかなシーンなのに、場をさらう祖母役ジャンヌ・モローが見事。婆さんになってもいい女はいい女と痛感。

 ニュー・ワールド
(C)MMV NEW LINE PRODUCTIONS, INC. ALL RIGHTS RESERVED.
  イギリスの冒険家ジョン・スミスとネイティブ・アメリカンの少女ポカホンタスの実話をもとにしたラブストーリー。監督は『シン・レッド・ライン』の巨匠テ レンス・マリック。

冒険家スミスを『アレキサンダー』のコリン・ファレルが、ポカホンタスを15歳の新人女優クオリアンカ・キルヒャーがふんし熱演する。 アメリカの神話とも言うべき壮大なラブストーリーの行方と、マリック監督らしい映像美に注目だ。

コリン・ファレル
クリスチャン・ベール
クオリアンカ・キルヒャー

監督/脚本: テレンス・マリック
     
中山治美   作品評価4 好き度3
米国では年末にロスとN.Y.で公開されたものの、その後、15分も短縮されたバージョンに差し替えられて全米公開となったと聞き、「そんなにひどいの?」と違う意味で期待してみたのだが、「な~んだ普通に見られるじゃん」というのが正直な感想。米国の開拓史を、侵略した側・侵略された側のどちらかに偏ることなく描いている点も、ハリウッド映画とは一線を画していて好感を持つ。相変わらず、自然光を生かした映像も美しい。でも、『シン・レッド・ライン』同様のカメラワークに、主人公の心情をヴォイスオーバーでかぶせるという手法はどうだろう? 製作本数が少ない監督なので、余計に一本一本、新しさを感じさせて欲しい。63歳。まだまだやれるでしょ!?
高山亜紀   作品評価4 好き度3
  何て、美しい風景の映像ときれいな旋律の音楽なのか。それだけで癒し。肝心のラブストーリーそっちのけで、この風景と音楽だけに体を委ねたくなる。だってヒロインが微妙過ぎて、いけない。確かにエキゾチックで少女の割に大人びてはいるのだが、角度によってはココリコ田中。先住民の衣装の時はまだよかった。洋服着たら、首が短くて、意図せずとも「着せられてる」感が漂いまくり。15歳の分際でコリン・ファレルとクリスチャン・ベールとラブシーンという至福を味わった彼女へのただのやっかみととられれば、それまでだけど。彼女が後妻に入るジョン役のクリスチャン・ベールはハンサム過ぎ。「いい人なんだけど……」という哀愁が欲しかった。
前田かおり   作品評価3 好き度2
  宣伝文句通りの圧倒的な映像美。そのこだわりは見事だ。ポカホンタス役の女優は新人だけに色がついてなく、まさに新大陸のお嬢にふさわしいし、彼女が自然の中で戯れる姿は心洗われる気分になる。ジェームズ・ホーナーの音楽も何だか神々しくって、癒し効果が数段アップする。ただし、コリン・ファレルが必要以上にムサくてそぐわない気が。ついでに言えば、彼が扮したジョン・スミスは有能な冒険家にも見えません。しかも、ポカホンタスのことを思ってるようで、実は自分が一番かわいい自己憐憫男。寡作の巨匠テレンス・マリックは新大陸の伝説にロマンチックでセンチメンタルな思いを込めたのでしょーが、すみません、私にはポカのだめんず物語にしか見えず、睡魔と戦うのにひと苦労……。

偏愛映画宣言

だれが何と言おうとこの映画を愛します宣言! ライターが偏愛してやまない1本をご紹介!

 間宮兄弟
鴇田崇
自分の人生を楽しみながら過ごす、誰もが羨む術を心得ている人たちが、映画『間宮兄弟』の主人公間宮兄弟。

家に大事な弟が待っているから早く帰りたい、クリスマス・イヴだから朝まで兄弟で語り明かすetc……。他人が聞いたら誤解しそうな共同生活を送る兄弟だが、他人の視線を気にしていては本来の自分に当てはまる人生など送れない。幸せの類型をドラマや雑誌がお手本として提示する時代は終わり、そもそも情報として得る考え方自体も兄弟を観ていると疑問にさえ思える。森田監督を取材した時、"彼らの部屋はオフ会だ。"と言われていたが、縛られずに生きることや価値観を共有できる仲間を作ることも、ネット時代の今、難しいことではない。

人生は自分らしく生きていくことこそが大事。というか、そうでなければ生きている意味すらないかもしれない。どうせいつかは死んじゃうんだし、好きなように生きた方がトク。僕が言うと、刹那的に聞こえますが……。

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