シネマトゥデイ

シネマトゥデイ
オダギリジョー
『ゆれる』
『ゆれる』オダギリジョー 単独インタビュー

取材・文:FLIXムービーサイト 写真:田中紀子

動画 [ 再生(1Mbps) | ご利用ガイド ]

家族の崩壊と再生をシニカルに描いた『蛇イチゴ』で注目を集めた西川美和監督の最新作、『ゆれる』が7月8日より公開される。主演はオダギリジョーと香川照之。信頼していた兄にかけられた殺人の容疑。自分の中で次第に深まっていく兄への疑惑にとまどいながらも必死に信じようと苦悩する弟を、オダギリジョーが繊細な演技で観客の心を"ゆらす"。男として、弟としての揺れる心を、見事に演じ切ったオダギリジョーが監督や、息の合った演技を見せた共演の香川照之について語った。

■非の打ちどころがない、完璧な脚本

Q:オダギリさんが演じられた“猛”という役柄のどんなところに引かれて出演を決められましたか?

役に引かれた部分もあったんですが、監督と脚本に引かれた部分も大きくて……。言葉が簡単すぎて申し訳ないんですが、脚本の完成度が本当に高くて非の打ちどころがない本だったので、これはぜひやりたいと思いました。

Q:西川監督は、脚本もご自身で書かれていますが、既存の脚本を使った監督とはどのような違いがありますか?

すでにある本で監督をするというシチュエーションの場合は、どの部分を監督がどう感じて、それを作品にしたいのかということが、まず入ってくると思うんです。それに対して、監督自身によって書かれた脚本は、監督がその世界を1番分かっているので、役者の方にも委ねられる。だから作品を選ぶときは、基本的に、監督が自分で書いたという脚本を選んでしまいますね。

■ひとりっ子だからこそある、兄弟へのあこがれ

Q:女性監督ならではの描き方と思われたところはありましたか?

脚本の時点でたくさんあったのですが……多分、僕の勝手な憶測なんですが(笑)、 きっと、西川監督が過去にお付き合いされた男性像っていうのが、猛に入っているのかもしれないなあ……と。だからといって、監督自身が、真木さんが演じた智恵子みたいな存在だったかは分からないですけど。智恵子が料理を作ろうとして冷蔵庫を開けたら、傷んだ野菜ばかりが残っているとか、「猛くんが嫌いなのって、しいたけだよね?」って昔の彼女からそう言われることは、やっぱり男からしたら怖いわけですよ。そういうところは、改めて女性的だと思う反面、とても男心が分かっているなあと思いましたね。

Q:本作『ゆれる』は兄弟の微妙な関係を描いた映画ですが、オダギリさん、兄弟はいらっしゃいますか?

いえ、ひとりっ子なんです。でも、兄弟がいないからこそ、兄弟に対するあこがれもあったし、理想や希望もありましたね。実際、兄弟の関係性を想像したときに、僕はなんとなく気持ち悪く感じたんです。流れている血の似ている人が、もう1人いるっていうことがなんか怖い気がして……。希望や理想の反面、恐怖とまでは言わなくても、どことない居心地の悪さ、不思議な感覚でしたね。ですから、兄弟を演じた上で一番大切だったのは、友達でもなく、親でもなく、深いのか浅いのか、そんな関係性を作り出すということでしたね。

■香川さんは大切な支え

Q:香川さんとの共演はいかがでしたか?

大先輩ですからね。いつか共演させていただきたいと思っていた方なんで、それがほかの作品ではなくて、この『ゆれる』で兄弟役をやらせていただいたことが、本当に意味があったと思うんですよ。自分から見ても、香川さんと僕の兄弟はタイプがぜんぜん違うように見える。だから観ている方に最終的な落としどころとして「兄弟なんだな」って思ってもらえるか……不安でもあったけど、そこにすごく期待していました。僕は、普段から香川さんの作品を観ていて、作品に対しての思いを毎回感じ取っていけたし……香川さんが持つまじめさ、情熱、誠実さに引かれていたので、すごく一緒に仕事がしたい方だったんです。実際、香川さんは、現場でも周りをよく見ていて、たとえば、僕との関係性の作り方とかも、香川さんがいろいろと考えてくれて、現場も香川さんが1番張り切って、引っ張ってくれていた気がします。香川さんなしではこの作品が、完成しなかったんじゃないかと思うくらい大切な支えでしたね。

■ゾクゾクするシーン

Q:お2人だけのシーンで、1番白熱したシーンはどこでしょうか?

家に帰ってくると兄が洗濯物をたたんでいるシーンがあるんです。そこで、お互いを探り合いながら話すんです。そこは、台本を読んでいるときから1番好きなシーンだったので、香川さんがどんなふうに演じてくるのかなって、とても楽しみだったんです。現場でも監督や香川さんと盛り上がりながら撮影していったので……。あのシーンは本当に、ぞくぞくするようなシーンでしたね。

『メゾン・ド・ヒミコ』『ビッグ・リバー』など、オダギリジョーの作品選びには、いつもセンスのよさが感じられる。彼の持つ独特のセンスに共鳴した役者、監督が、彼に引きつけられるように集まって、個性的な作品が続々と生まれているのではないか……オダギリジョーの話を聞きながら、そんなことが頭に浮かんだ。『ゆれる』、そして秋に公開される『パビリオン山椒魚』と色の濃い作品が目白押しのオダギリジョー。俳優として、作品を選ぶ力も、監督の期待に呼応する演技力も着々と伸ばし続ける彼に、大いに期待していきたい。

『ゆれる』は7月8日より渋谷アミューズCQN、新宿武蔵野館ほかにて公開。

[PR]

この記事を共有する

映画アクセスランキング
  • Loading...
»もっとランキングを見る«
スポンサード リンク
スポンサード リンク
  1. 記事
  2. 2006年
  3. 7月
  4. 6日
  5. 『ゆれる』オダギリジョー 単独インタビュー