シネマトゥデイ

マーク・ウォールバーグ
『ザ・シューター/極大射程』
撃たれたフリをすることにベストを尽くしたよ
『ザ・シューター/極大射程』マーク・ウォールバーグ 単独インタビュー

取材・文・写真:シネマトゥデイ

マーティン・スコセッシ監督が、第79回アカデミー賞で監督賞を受賞した映画『ディパーテッド』で、骨太ながらも正義感の強い刑事を好演し、助演男優賞にノミネートされたマーク・ウォールバーグ。最新作『ザ・シューター/極大射程』で彼が挑戦したのは、国家と対峙することになる孤高のスナイパー。ハードボイルドなヒーロー像をクールに演じたマークが役作りや、作品について語った。

■人をあやめるときの兵士たちの感情を学んだ

Q:ハードなアクションに挑戦されていましたが、本作のためにどんな準備をされたんですか?

撮影前、ちょっと体重がオーバー気味だったからジムでワークアウトをして、シェイプするようにしたよ。それから、数週間、米軍のブートキャンプ(軍隊が行う短期間の集中トレーニングのこと)にも参加して、本物のスナイパーとしての訓練を受けたんだ。

Q:日本では、“ブートキャンプ”をベースにしたエクササイズがはやっているんですよ。

はやってるの!? あれをやってる人なら、ちょっとはイメージがわくかもね……、なんて冗談(笑)。本物のブートキャンプは、かなりハードで厳しいものだったよ。もちろん肉体的な準備もそこでできたけど、それよりも大切だったのは、本物の兵士たちとコミュニケーションをとって、精神的な面での準備を整えることだった。いろいろな情報や、人を殺めるときの彼らの感情を勉強することができたよ。

Q:スナイパー訓練にも参加されて、シューティングの腕は上達しましたか?

かなり上達したよ! 今までも銃を使う映画にはたくさん出演しているけど、スナイパーは、精神的にも、使う筋肉もすべてが違うんだよ。訓練を受けて、スナイパーはとても高い緊張の中で生きているんだということを実感したね。

■撃たれた演技って、実は笑っちゃうほどおかしい

Q:撃たれて死にそうになりながら逃げていくシーンは、とてもリアルでしたが、実際に撃たれたことはないですよね?

ないよ(笑)。撃たれたことは、幸い一度もない(笑)。ただ、撃たれたフリをすることにベストを尽くしただけだよ(笑)。でも、あのシーンって、自分でも演じながら、つい吹き出したくなるほどばかばかしく感じるときがあったんだよ。だって、アクション!の声がかかるまで、片手にサンドウィッチ持って、おしゃべりしてるんだよ、血だらけで(笑)。それで、フィルムが回りだした瞬間から「ううぅ……」ってなるんだから、ちょっとおかしいよね(笑)。でも、それほどリアルに感じてくれたのはうれしいことだよ。だって、撃たれたはずなのに全然つらそうじゃない映画もあるでしょ? そんな風に映っていなくて良かった!

■おれの相棒の犬は、ビールなしではいい演技ができないんだ

Q:犬とビールを分け合うシーンがありましたが、あれは本当にビールを飲ませてたんですか?

おれとあの犬は、そうとう何度もビールをシェアしたよ。おれが飲んだビンをヤツが飲み、それをまたおれが飲む……みたいなね(笑)。あの犬はビールが大好きで、毎日ビールのために働いていたのさ。ビールなしでは、いい演技もできないんだよ!

Q:ご自身も酔っ払ってしまうことはなかったんですか?

ないよ。……ちょっとだけね(笑)。

Q:マイケル・ペーニャとの息もぴったりでしたね。

彼は、もう一人の重要なパートナーだった。彼とは、すごく意気投合して、演技でもすごくいい化学反応が起こせたと思っているよ。とても頭がいいし、面白い。役者としての彼のこれからの活躍をすごく楽しみにしているんだ。

Q:政府が“敵”という、政治的な部分もかなり描かれている作品ですが、その辺についてはどう思われますか?

この作品は、政府の陰謀というものをかなりリアルに描いているけど……、おれがこの作品を書いたわけじゃないから、命を狙うなら、この作品を書いた脚本家を狙って欲しいね(笑)。でも冗談抜きで、脚本を読んだとき、とても素晴らしい作品だと思ったよ。

■この作品から学んだことは、人の殺し方かな?(笑)

Q:撮影現場の雰囲気はいかがでしたか?

アントワーン監督との仕事はとても楽しめたよ。とても緊張感のある現場ではあったけど、監督との波長もすごく合っていたから、スムーズに撮影も進んでいったと思う。アントワーンとは、とても親しくなれたし、また仕事ができたらいいなとは思っているよ。監督は、『ディパーテッド』のマーティン・スコセッシとも一緒に仕事をしていたから、マーティンの撮影現場の話やオスカー受賞の話で盛り上がったよ。

Q:あなた自身スコセッシの現場から受けた影響はありましたか?

彼はさまざまなシーンで、違ったアプローチをしてきてくれたんだ。それから、すごくほめ上手で役者を乗せるのがうまいね。だって、若いころから尊敬してきた監督が、自分の演技をほめてくれるんだよ? 自然に自信が生まれるよね。だから、彼がアグレッシブにプッシュしてくれれば、プッシュしてくれるほど、自分のレベルがどんどん押し上げられていく……そんな気持ちになれた現場だったよ。

Q:この作品からは、何を学びましたか?

役者の楽しいところは、ひとつの作品を終えるたびに何かを学べることなんだよ。もちろんマーティンの現場でも、とても多くのことを学ぶことができたし、どんな作品でもそれは同じなんだ。今回の作品で、学んだこと? それは、どうやって人を殺すかってことかな(笑)。でも、実際に人を殺してしまうスナイパー役を勉強したからこそ、人の命を奪うことの恐ろしさも同時に勉強できたと思っているよ。

映画で学んだのは、“人の殺し方”という、ドキッとさせられる過激なジョークも飛び出したが、そこは昔の“ワル”の名残りのようだ。こちらの質問に対して一瞬考えた後、的を射た答えをジョークを交えつつスラスラと話すマークは、頭が切れる知的な印象を受けた。スラム街で育ち、刑務所に入るほどのワルだったマークは、現在ストリートのキッズたちを救済する“マーク・ウォールバーグ財団”を設立するなど、社会貢献も高く評価されている。頭の切れる孤独なスナイパーのジョン役は、マークにぴったりのキャラクターと言えるだろう。マークの寡黙な演技が光る『ザ・シューター/極大射程』をぜひ観に行ってほしい。

『ザ・シューター/極大射程』は6月1日より日劇3ほかにて公開。

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