シネマトゥデイ

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私的映画宣言 セカンド・シーズン7月

鴇田崇 高山亜紀 今祥枝 中山治美 前田かおり 相馬学

執筆者の近況など

相馬学 高山亜紀
10年ぶりに健康診断を受けたら、いろいろとヤバそうなことが発覚。とりあえず食事制限と禁酒を続けているが、野菜ばっかり食っているせいか最近気持ちが穏やかになった気がする。空腹にも我慢できるようになった。が、タバコだけは止められないんだよなあ……。 先日、わたしの前を歩いていた男子高校生の会話。男子A「オレ、超感動する映画観たんだ。その話、聞きたい?」B「うん。聞きたい、聞きたい」A「まず最初にね、ハッピーエンドじゃないんだ」B「……」。ピ~ッ! 会話終了~っ! 映画や小説のエンディングをまだ観てない人に話してはいけないよ、男子高校生!
鴇田崇 前田かおり
夏恒例、映画番組の収録。これまで数回は別撮りで済んでいた“御大”と今回はなぜか一緒に収録するハメに。テレビなんで基本的にはヨイショ的になるはずが、のっけから“御大”の毒舌トークがさく裂。そうなると自分はフォローに回るわけで、嫌な汗をたくさんかいた。「いやぁ“御大”との収録って、本当に大変なものですね……。」 『アーサーとミニモイの不思議な国』でPR来日したのベッソン監督に取材。ご機嫌がとても気になったが、意外にスムーズ。それどころか、「監督は観客の好みに合わせて、好きな作品をいろいろと調理してみせるだけなんだ。おれはただの料理人さ」とぼやくことしきり。おれ様なベッソンはどこに行ったんだぁ~と肩透かしでした。

 ハリー・ポッターと 不死鳥の騎士団
(C) 2007 Warner Bros. Ent. Harry Potter Publishing Rights (C) J.K.R. Harry Potter characters, names and related indicia are trademarks of and (C) Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.
  世界的ベストセラー小説「ハリー・ポッター」シリーズを映画化し、メガヒットを飛ばした映画版シリーズ第5弾。おなじみの主人公ハリー・ポッターとその仲 間たちが邪悪なヴォルデモート卿相手に、秘密同盟の“不死鳥の騎士団”と協力して戦う姿を描く。今回監督を務めるのは、英国テレビ界出身のデヴィッド・ イェーツ。これまでになく激しい魔法戦を、より肉体的にも精神的にも成長したハリーらが戦い抜く姿に圧倒される。

監督: デヴィッド・イェーツ

ダニエル・ラドクリフ
ルパート・グリント
エマ・ワトソン
   
相馬学   採点不能 好き度1
始めに、このシリーズを本作で初めて体験したことをお断りしておきたい。今回このレビューを振られて“初めて観る人の視点で書くのも面白いか”とは思ったのだが……ごめんなさい、イチゲンさんお断りでした。必死に理解を試みたが、“例のあの人”“あいつ”って、いったいどいつだ? “□●%”助けないと! “□□$×秘密は?”というセリフ中の固有名詞も何を指すのやら。クライマックスで唐突に飛び出す愛だの友情だのも、シリーズをちゃんと追っていないと感動できないのだろう。ある意味、ゴダールより難解な世界。ひとつ面白かったのは呪文部分の日本語字幕が丸っこくなること。“息絶えよ!”“苦しめ!”などの物騒な言葉が、かわいい字体になっているのに笑った。
相馬学   作品評価3 好き度4
  この年ごろの子どもたちは顕著に顔が変わりやすいから、キャスティングも大変だと思う。まさかハリーが眼鏡でマッチョなヨン様風になるとは。いや、ハリーはまだしもネビル役の子なんて成長し過ぎて、オッサンの風格すらある。チョウ・チャンも前作はずいぶん利発そうなかわいい子だったのに今作は微妙。彼らのキスシーンなんて必要以上に濃厚(?)なうえ、ハリーのあごのひげ剃り跡が気になるよ。オッサンか。そこら辺を補うためなのか、普通にかわいいロンの妹や初登場のルーナの出番が心なしか多い。今回のハリーは完全にストーリーを織りなす構成員の一人って感じ。一番目立っていたのはアンブリッジ先生役のイメルダ・スウィントン。保守本流派の林家パー子っぷりがお見事です。
前田かおり   作品評価3 好き度4
  まったく想い入れがないシリーズのくせに、なぜか毎回完成披露試写会で観ているハリポタ。これが第5弾にして初めて興奮したんだけど、その理由はいよいよ魔法界全体を巻き込んだ魔法戦争が始まろうとしているから。これまでは幼いハリーたちの成長劇やクィディッチなどの学校行事系が多かったために児童文学臭が強かったけれど、今回は“不死鳥の騎士団”がクライマックスに(ちょっとだけ)活躍するなど硬派な描写がチラホラと。おまけにダンブルドア校長はヨーダのように強いし、ダークサイドを行ったり来たりする(ように見える)ハリーの苦しそうな姿も拝め、だんだんとオトナが観賞に耐えうるシリアスな展開に。後半戦に期待しちゃいます!


 ダイ・ハード4.0
(C) 2007 TWENTIETH CENTURY FOX
  ブルース・ウィリスが悪夢のような事件に遭遇しながらも知恵と体力を駆使して巨悪と戦い抜く、大人気アクションシリーズ第4弾。ウィリスは人間味あふれる 主人公ジョン・マクレーンを演じるほか、製作も兼任。『アンダーワールド』のレン・ワイズマンを監督に迎え、全米を襲うサイバーテロの野望に立ち向かう最 強に“運の悪い”男の不死身の奮闘を活写する。閉鎖的な空間での死闘が多かった前作までに比べ、カーアクション満載の豪快なアクションの数々に圧倒され る。

ブルース・ウィリス
マギー・Q
ジャスティン・ロング

監督: レン・ワイズマン
     

相馬学   作品評価3 好き度4
回を追うごとにマクレーンの不死身ぶりがド派手な見せ場の中で強調され、1作目の緻密(ちみつ)な構成が失われていったシリーズだから、こちらとしても多くは望まない。となれば、いかにどれだけ豪快にやらかしてくれるかだが、その点は大満足。飛行するF−35戦闘機の上に飛び乗るわ、そこからダイブするわ、パトカーを弾丸代わりにするわの、マクレーンの大活躍。漫画に徹したアクション演出は2作目をほうふつさせる。マギー・Qの髪を引き抜くほどの肉弾戦や、建造物の爆破もダイナミック。誘拐されたにもかかわらず、決して敵におびえを見せないマクレーンの愛娘が見せる、父親譲りのキャラも良し。ともかく、復旧にどれぐらいの費用がかかるのか気になるほどの破壊ぶりで満腹だ!
相馬学   作品評価4 好き度5
  いやぁ、久しぶりに思い出した。こういうむちゃな刑事の存在を。最近では『24−TWENTYFOUR-』のジャックが大暴れ野郎代表と思い込んでいたけれど、マクレーン刑事はその比じゃないってことをすっかり忘れてた。まさにデジタル時代のハト時計! そんなアナログ男がよりによって今回はサイバーテロとの対決。ジャックの解決法なら想像つくがマクレーンのやり口の豪快さ(=大味)ったら! もう一挙一動に痺れまくり。「殴り殺してやろうか」なんて体力勝負の台詞は彼にしか言えないよ。ジャスティン・ロング演じるマットとの掛け合いも最高。まあジャスティンはアクション映画なのでギャグはジャブ程度だが。大作にジャスティンとケヴィン・スミス連れて来る監督のこだわりセンスにもほれた。
前田かおり   作品評価3 好き度2
  本シリーズの魅力が“巻き込まれ”にあると思っている筆者には、全米中がサイバーテロに狙われマクレーンだけが特別に不遇になっていない時点で、もはや『ダイ・ハード』ではないよぉ。その意味ですでに前作から心底応援できていない上に、おなじみのボヤキも悟りのようになっちまっていて残念。初登場から20年、50代のベテラン刑事の哀切を盛り込むのは、続編としては至極真っ当な作り方ゆえ仕方のない処理ではあるのだが……。これだけ大風呂敷を広げちゃえば、後は地球か宇宙が狙われない限り、マクレーンは復活しないと思うけど、マクレーンの娘を主人公にして『女ダイ・ハード~なんでわたしばっかり』なんてスピンオフだけは絶対に止めてくれ。

 レミーのおいしいレストラン
(C) WALT DISNEY PICTURES / PIXAR ANIMATION STUDIOS. ALL RIGHTS RESERVED.
  並外れた料理の才能を持ち、一流シェフになることを夢見るネズミと、料理の苦手な見習いシェフの出会いが巻き起こす奇跡を描いた感動物語。監督は、大ヒッ ト作『Mr.インクレディブル』のブラッド・バード。声の出演にはコメディアンのパットン・オズワルト、『アビエイター』のイアン・ホルムなど実力派が名 を連ねる。数々の名作アニメを生み出してきたディズニーとピクサー作品ならではの、細部にまで凝ったクオリティの高い映像は必見。

パットン・オズワルト
ルー・ロマーノ
イアン・ホルム

監督・脚本: ブラッド・バード

     
相馬学   作品評価3 好き度3
パリの街のビジュアル的なエレガントさ、ネズミ視点で疾走する絵の映画的興奮、夢を諦めないことを謳(うた)ったテーマ。よくできたファンタジーであり、こちらも存分に楽しんだ。しかし、その一方で気になることも。これまでのピクサーの映画では、動物や昆虫、魚(ついでオモチャや車も)など人間以外の生き物が人間の社会に積極的に介入してくることはなかった。彼らには彼らの世界があり、ドラマはそこで完結していた。しかし本作ではその公式が崩れ、人間とネズミが“仲良く”共存する世界が描かれる。これを大人の観客に信じ込ませるのは難しいのでは。“ファンタジーだから”と言われればそれまでだが、今までの作品にそんな注釈が必要なかったことを思うと、ちょい寂しい気もする。
相馬学   作品評価4 好き度3
  ごめんなさい。本当にダメなのだ。ネズミおよびネズミ的なもの。ウサギすら恐い臼歯恐怖症のわたしに偏見を捨てろと言われても。しかもご丁寧にネズミの毛並みまでふかふかに描かれていて。おいしそうな料理に惹(ひ)かれつつ、それを作っているネズミに引き……リアルな映像がリアルな感覚を喚起させるだけにもう場面ごとに気分が上がったり、下がったり。誰でも夢が叶えられるというポジティヴなメッセージが込められた映画とはいえ、さすがにネズミのシェフはなぁと完全引き気味。フランス料理界の封建的ムードにも喝って感じ?でも松嶋啓介さんとか最近では割とオープンな印象のフランス料理界。むしろ寿司職人の方が閉ざされた世界と思うが。 次回作は“レミーのおいしい寿司バー”で。
前田かおり   作品評価4 好き度5
  “ネズミが厨房に立つ不衛生な映画でしょ?”なんて人にツッこまれ、ネガティヴ視線を刷り込まれた状態で観賞したものの、フタを開ければ大感動。“料理を扱う映画にハズレなし!”という誰も賛成してくれない持論があるけど、人間が1日に3度は直面する身近な題材の食べ物をモチーフにするとマジで共感を得やすいと思う。意思の疎通ができないネズミと人間の苦肉の策として、ネズミが人間の髪の毛を引っ張ってリモコンのように操る荒唐無稽(こうとうむけい)にもほどがある設定も目立つが、ネズミの目線で戦場と化した厨房を逃げ回るシーンなど楽しくてワクワクした。落としどころもキレイにキマって、なんだかんだいって泣かせるディズニーって嫌いになれないぜ。

 アドレナリン
(C) 2006 LIONS GATE FILMS INC. And LAKESHORE ENTERTAINMENT GROUP LLC All Rights Reserved.
  体内のアドレナリンが減ると即死するという毒を盛られた、腕利きのスナイパーの奮闘を追ったノ ンストップ・アクション映画。タフガイが生き残るためにロスの街を奔走する姿をコミカルに描く。主演は『トランスポーター』シリーズのジェイソン・ステイ サム。彼の恋人役を『バタフライ・エフェクト』のエイミー・スマートが好演。中華街でのあっと驚くシーンや、空中での格闘劇など見どころが満載だ。

ジェイソン・ステイサム
エイミー・スマート
ホセ・パブロ・カンティーロ

監督・脚本: ネヴェルダイン、テイラー
     
相馬学   作品評価3 好き度5
当サイトの「バカ映画特集」でも書かせていただいたので繰り返しは避けたいのだが、個人的にコレは夏の一押し。アドレナリンを出さないと死んでしまう中国製の毒薬なんて、本当にあるのか!? とツッこむ間もなく猛スピードで転げるストーリー。興奮するためなら何でもやる(そりゃ、命がかかってたら何でもやるわな……)主人公のハチャメチャ度合いも最高で、ケンカ、路上エッチのほか、病院で電気ショックをかましてもらったり、ワッフル焼き器で手を焼いてみたり。必死ゆえのスリル、必死すぎるからこそのユーモア。ジェイソン・ステイサムの熱演も、ある意味『トランスポーター』以上で素晴らしい。ハゲでもかっこいいのはブルース・ウィリスだけじゃないぞ。
相馬学   作品評価5 好き度5
  『ダイ・ハード4.0』と本作で、今夏は“モテハゲ”ブーム到来か。ハゲで無茶、そんな『ダイ・ハード4.0と本作だが、明らかにこっちの方が笑える。あちらは“みんなのために”頑張る作品なのに対し、こっちは最初から最後まで“自分のことしか考えてない”。主役なのにセコッ! ま、そんな自分本位なところが人間として信用でき、且つ面白いのだ。しかも慎重第一のスナイパーなのに彼女がとんでもなくバカ。エイミー・スマート、小学生並みのパンツ丸見せっぷりに好印象。そんなバカ彼女を気遣っているようで案外、土壇場ではそうでもないところも小気味いい。病院のシーンは圧巻。重病人よりまず自分が助かりたいなんて、正直すぎだ。続編の噂は本当だろうか。ぜひ応援したい!
前田かおり   作品評価4 好き度5
  こりゃすごいわ。妙な毒を盛られアドレナリンを出し続けないと死んでしまう体になった主人公の奔走を描いているだけの映画だが、走り続ける彼の姿からは死を覚悟しながらも生への渇望があふれていて、やけにすがすがしい。今現在を生きていることの悦びを(コトバは悪いが)こんな映画から実感するとは思わなかった……。主人公はフリーの殺し屋で、己の延命を考えるがためにロス市民を巻き込んでいく傍若無人(ぼうじゃくぶじん)でハリケーンのような男だが、ヒーローではないのにヒーローに見えるのは『トランスポーター』シリーズのジェイソン・ステイサムが魅力的だからだろう。典型的なアメリカ人のゲームヲタが作ったような映像センス以外は、文句ナシっす!


偏愛映画宣言

だれが何と言おうとこの映画を愛します宣言! 
ライターが偏愛してやまない1本をご紹介!

 街のあかり
前田かおり
 
 フィンランドには行ったことはない。ないのに、カウリスマキ映画のおかげで勝手にまったりとした国というイメージを持っている。ホントはどんな国なんだか? 『浮き雲』『過去のない男』に続く敗者三部作の完結編になる本作もまったりぃ~。主人公は昔のミッキー・ロークに似たような二枚目。服はもちろん、住んでる家も乗ってる車もオールドファッション。一体、時代はいつなのかと思って観ると、街中をボルボの新車が走り、ビルもハイテク。時代は現代なのだ。要は彼だけが時代に取り残されているのだが、本人はマジメに生きていれば夢がかなうと信じている。そんな彼が悪女にだまされ、犯罪の片棒を担 がされる。そして、いまどき流行らない男の美学で罪を一人で背負う。カウリスマキのこだわりをビシビシ感じる映像と、無駄のない演出。……っつーかそぎ落とすだけそぎ落として全編90分に収めた大人の寓話に、汚れた自分の心が洗われて行く心地よさ。まずは劇場へってのが当然ですが、DVDが出たら、ホロ酔いしながら観たいって思うのはわたしだけ?
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