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第15回こはたあつこ「ユニバーサル・スタジオ内にある映画の学校の巻」

うわさの現場潜入ルポ

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こはたあつこのうわさの現場潜入ルポ
ユニバーサル・スタジオ内にある映画の学校の巻

「取材・文・写真:こはたあつこ」
ハリウッドのユニバーサル・スタジオといえば、『バック・ドラフト』『ジュラシック・パーク』などの映画の乗り物はもちろん、実際に映画の撮影スタジオがあるテーマ・パークとして有名。
 
その広大な敷地内にはメキシコ村やニューヨークの町並みなどの野外セットもあり、『ET』『バック・トゥ・ザ・フューチャー』『パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト』が撮影されている。
 
で、皆さん、ご存知でしたか? そんな敷地内に映画の学校があるって。
 
そうなんです! ユニバーサル・スタジオのセットを自由に使い、しかも、撮影所の衣装や小道具をレンタルしながら映画が製作できるという、夢みたいな学校!
 
現在、高校生を対象にしたサマー・プログラムの実習が行われていると聞いたわたしは、さっそくユニバーサル・スタジオの野外セットへ潜入!
ジープに乗って校内を見学
今日のガイド役を務めてくれたのはニューヨーク・フィルム・アカデミー(NYFA)のセザール・メルカードさん。彼が運転するジープに乗り、ユニバーサル・スタジオの敷地内をゆっくり走ると、ああ、日差しが強い。ハリウッドではサングラスが必需品だぁ……。
 
と、突然、観光客の乗ったトラムが出没し、トラムのお兄さんが観客に向けてスピーカーで話す。
 
「こちらがユニバーサル・スタジオ内にある映画の学校NYFAのジープです。この人たちも、将来のスピルバーグになるかもしれませんよー。」とわたしたちを紹介しました。
 
それを聞いた観光客はわたしたちに向かって一斉に手を振り出す。おっとー、違うんですけどーーー。でも、なんだか照れるなあ……。
 
やがてジープは、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』が撮影された時計台のある裁判所のセットを通り過ぎ、続いて、ニューヨークの町並み、ウェスタン用のセットなどを抜ける。すると、土ぼこりをかぶったメキシコ村が出現し、あ、いたいた、撮影クルーだ! 4、5人編成の撮影グループいろいろな場所で、カメラを囲んで、何やら撮影している!
 
村娘の衣装を着て、はだしで演技をしている女の子。そして、それを撮影している撮影クルーの生徒たち2、3人。別のグループは、カメラの前で山高帽をかぶった男の子と恋人役らしき女の子が演技をしている。
 
また、もうひとつのグループでは、ちょっと年上らしき女性が、クルーの前でなにやら指導。別のグループは、男性のインストラクターがカメラの使い方を説明している。
 
そう、これがユニバーサル・スタジオでのセット撮影。いやあ、こんなすてきなセットだったら、臨場感たっぷりの映像が撮れるでしょう。だって、あそこにある建物は『パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト』が撮影されたんですからね!
 
今日は、演技クラスと映画制作クラスの生徒たちがグループを組んで、数分の映画を実際に撮影しているところだそう。ものすごい日差しなのに、みな生き生きと楽しそう。
OBにはスピルバーグの息子などセレブ多数!
もともとニューヨークで1992年に開校されたこの学校。現在ではこのユニバーサル・スタジオ内にあるロスアンゼルス校のほかに、ロンドン、フロリダ、ハーバード大学、イタリアのフローレンスにも分校があるそう。
 
授業は、1年間の長期コースから、1週間や8週間などの短期コースがあり、内容も映画制作、俳優養成、そのほか、ドキュメンタリー、プロデューサー、脚本、デジタル映画、などさまざまなコースがある。また、2年間の大学院修士課程プログラムもあり、導入的なものから本格的なものまで、レベルもさまざま。
 
そして、NYFAの魅力は実習中心であること。始まったその日から、カメラや編集機材にふれることができ、とにかく短編映画をたくさん作る。しかも、製作した映画は自分の所有になるという。また、1クラス16人の少人数制で、業界で活躍する先生とアシスタントが生徒一人一人をサポートする体制になっているところも魅力。
 
でも、お値段はちょっと割高。一般向けの映画制作コースの授業料は、1年間で34,000ドル(約400万円)だ。サマーキャンプの4週間のコースは、授業料だけで俳優コースは4,000ドル(約45万円)、映画制作コースは5,900ドル(約70万円)、しかも寮の費用が2,500ドル(約30万円)ほどかかってしまうので、サマーキャンプに関しては、裕福な家庭から来る生徒たちが多いとか。
 
だからだろうか、卒業生の顔ぶれもちょっと豪華。なんと、あのスピルバーグやピアース・ブロスナンの息子、スーザン・サランドンとティム・ロビンズの息子、そしてリュック・ベッソンの妹などもこの学校に通ったそう!
国籍を超えた大きなファミリー
でも、そんなことはなんのその、授業料がいくらかは知らないサマーキャンプの学生たちは、「みんなと友だちになれてとってもたのしーーー! 外国からのお友だちもできたしー」と休みの時間は木陰で友人たちと思いっきりじゃれあっている。ああ、若いっていいなあ。
 
そう、この学校のもう1つの特徴は、生徒たちがいろいろな国からも来ていること。今回のサマーキャンプの生徒たちに聞いても、アメリカ人の生徒のほかにも、ロンドン、スイス、などから来た生徒がいたし、ほかのコースを見ても、ドイツ、ウクライナ、ジャマイカ、メキシコ、スペイン、日本、など、本当に多国籍だ。
 
今日のガイドであるセザールさんも実は本校の卒業生で、「この学校に行ったおかげで世界中に映画人のネットワークができた」と語っている。
 
もちろん、この学校、高校生向けのサマーキャンプだけなく、大人向けの本格的なコースも同時進行中。生徒の年齢も下は10代20代から、いったん社会に出てから映画を勉強したいと思った30代、40代、はたまた、「かねてからの夢を実現したい」と孫がいる年齢の人がいる。そして、その人たちは、多額な金額を払っているだけあり、真剣だ。一年間の映画制作のコースでは、ほかの学校が2年かかる内容をこなすので、寝てもさめても映画制作べったりの生活になる。同級生とは、家族同然の仲になるという。
学校で働くスタッフも、将来を夢見る業界人
今回の取材で印象に残ったのは、この学校の若いスタッフやアシスタントたちのコメントだ。彼らも、学生と同じように、業界でどんどんステップアップしていくことを夢見ている。もちろん、みなハリウッドの業界で働くプロだが、まだまだ目標は高い。
 
たとえば、学校のセット撮影のスーパーバイザーを務めるジャスミンさん。「近い将来自分のドキュメンタリーを撮りたい」という目標をもちながら、業界ではプロダクション・デザイナーとして働き、映画の資金づくりもかねてNYFAで仕事をする。
また、セットで撮影の指導にあたったアストリッドさんは、普段は長編映画のセカンドユニットなどの撮影監督をやっている女性だが、やがては優れた撮影監督だけが会員になれるアカデミー賞以上の栄誉であるASCという撮影監督の団体に入れるようになりたいという大きな夢を持っている。
 
そして、今回案内してくれたセザールさん。彼は、かつてはメキシコで建築家として働いていたのに、映画作りの夢が捨てきれず、32歳にアメリカに来て、この学校で映画制作を学び、今では映画の資金集めのために学校の勤務と自主制作映画作りの2足のわらじを履いているという。
 

そんな話を聞いていると、ハリウッドの映画の業界が世界中の人々を魅了し、このハリウッドに吸引してしまうすごさを感じる。
 
スピルバーグなど名前が知られている映画人は、ハリウッド山という大きな山のほんの一角に過ぎないのだ。ハリウッドには、頂上を目指してがんばっているたくさんの映画人がいて、インストラクターでさえも、その途中であったりするわけだ。彼らや自分でも山を登りながら、山頂への夢を若い生徒たちに伝道していく。
 
そんなハリウッドにある映画の学校は、やっぱりすごいなぁと思った。
 
ちなみに、日本人のための特別なクラスもあるそうなので、ロスで映画を勉強してみたいというい方は、ぜひこの学校を調べてみてはいかが?
 
www.nyfa.com/
www.nyfa.com/japan
 
*すべてのワークショップはニューヨーク・フィルム・アカデミーにより企画並びに直接運営されており、ユニバーサル・スタジオ組織とは関連ありません。
NYFA のジープ。運転しているのが、今回ガイドを務めてくれたセザールさん。ラテンアメリカへのマーケッティングを担当している。
花売り少女の役の女の子。サマー・スクールの俳優コースの生徒。
彼女を撮影する映画制作コースの生徒たち。みんな高校生。
ショットを説明する女性。おそらく学生だと思うが、ティーチャーズ・アシスタントかもしれない。アシスタントと生徒たちの区別が見分けにくいほど、アシスタントたちも若々しい。
このセットで『パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト』が撮影された。キャプテン・スパロー(ジョニー・デップ)が鍛冶屋を探しにくるシーンで使われた。
向かって左がティーチャーズ・アシスタントのジョン・チェーニーさん。カメラのアングル、露出を指導したり、学生たちの撮影がスケジュール通り進んでいるかチェックしたりする。右がセットでの撮影全体を管理しているジャスミンさん。学生たちのお姉さんのような存在。
飛び降り自殺のシーンを演じて、涙でマスカラが解けちゃったアナベルちゃん、16歳。ロンドンからわざわざこのサマー・スクールに来た。「残念ながら本物の涙は出なったの」と語る彼女は笑顔のほうが似合う。
セットで準備された衣装。撮影スタジオの衣装をレンタルすることができる。
ユニバーサル・スタジオのトラム。乗っているのは観光客。生徒の一人は、「トラムに遭遇すると、有名人になった気分」とうれしそうだった。
ランチをとるサマー・スクールの生徒たち。今日のメニューはタコス、ブリートス、マカロニサラダ、サンドイッチなど。好きなものを好きなだけ選べる。ケータリングの会社が用意していた。わたしも食べたが、おいしかった。
サマー・スクールのディレクター、ベンジャミン・モーガン氏。サマー・プログラムを10年前から立ち上げ、愛情を込めて育てていった人。生徒たちに囲まれて生き生きしていた。
映画製作コースを取るサマー・スクールの学生たち。「短期間で本当にたくさんのことを学んだ」と満足している学生が多かった。
カメラをかまえて「撮影準備OK~」とニコリ。
ライブラリーにずらりと並ぶ著名な映画の脚本の数々。このほかに、映画のDVDもたくさんあった。
ブルー・バックの教室。この部屋のブルーの壁を背景に撮影をすると、後で、別の背景を当て込むことができる。この後すぐに、アイロンがけのシーンの演技が行われた。
コンピューター編集の授業。
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