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浅野忠信&宮崎あおい
『サッド ヴァケイション』
あおいちゃんが大人っぽくなっていたので、びっくりしました
『サッド ヴァケイション』浅野忠信&宮崎あおい 単独インタビュー

取材・文:鴇田崇 写真:鈴木徹

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青山真治監督が同名小説をベースに映画化した『サッド ヴァケイション』が完成した。青山監督作品『Helpless』『EUREKA ユリイカ』に続く“北九州三部作”の最終章でもあり、早くも国内外の注目を集めている。そんな待望の完結編で、同じ青山監督作品『エリ・エリ・レマ・サバクタニ』で共演した浅野忠信と宮崎あおいが、再び顔を合わせた。『Helpless』の健次役、『EUREKA ユリイカ』の梢役を続投した2人にさまざまな話を聞いた。

■あおいちゃんの急激な成長にびっくり!

Q:『エリ・エリ・レマ・サバクタニ』に続き、再び共演された感想はいかがでしたか?

宮崎:わたしは『エリ・エリ・レマ・サバクタニ』で共演させていただいたときから浅野さんが発しているオーラが大好きでしたし、青山組の同じ空気の中でご一緒できるっていうのが、またすごくうれしいですね。

浅野:最初にお会いしたのは、カンヌ国際映画祭のときです。彼女は『EUREKA ユリイカ』で、僕らは『御法度』で行っていました。あおいちゃんは当時まだ14、5歳でしたね。それから7年ぐらいたって『エリ・エリ・レマ・サバクタニ』で初共演したときに、久しぶりにお会いしたら、急激に成長していたのでびっくりしました。いきなり大人っぽくなってたんです(笑)。それでまた今回お会いしたら、またさらに変わってたんですよ。びっくりしましたね。芝居も変わっていて、出来上がった映画を観たら妙な力があって「怖いわ!」って思いました(笑)。どうなっているんだ? と思いました。

Q:浅野さんが10年前と同じ役、宮崎さんは7年前と同じ役ということで、それぞれどんな準備をされましたか?

浅野:僕の中で健次っていうのが強烈な印象で残っていたので、『EUREKA ユリイカ』のときにカンヌ国際映画祭で青山監督に「何で健次がいないんですか!」って話をしたんですよ。やっぱり、そこに自分がいないことが悔しかったんでしょうね。『エリ・エリ・レマ・サバクタニ』のときにもそんな話をしたりして、それで『サッド ヴァケイション』の小説を読ませていただいて、僕は誰よりも健次っていう役や内容に入り込んじゃったと思うんです。撮影中も妙にテンションが入り過ぎちゃって、ほかが見えなくなっちゃう部分がありましたね。だから準備というよりは、完全に自分の中にある健次を、ひたすら自分の中で成立させるだけでした。

宮崎:わたしは7年ぶりの梢ちゃんで、『EUREKA ユリイカ』のときに梢ちゃんはお兄ちゃんの直樹とテレパシーでつながっているという設定があったんです。今回はそういうことは出てこないですけど、まだきっと直樹とそういうやりとりをしているんじゃないかなって、自分なりに考えていました。だから、梢が見たものは直樹も見ている、だからわたしもきちんと物事を見ている、ちゃんと見なきゃって思いがありましたね。でも、梢というのが自分の中で消えていたわけではないですし、ずっといた人なので、思い出すのが大変だったということもないですし、すんなり「梢ちゃんにまた戻れるんだ」っていうのがうれしいなって思いました。

■特殊なチームワークの良さを持つ青山組

Q:青山監督から、何かリクエストはありましたか?

宮崎:役に関しては、あまりなかったですね。台本を読んで現場に入って監督と何も話をせずに最初のシーンが始まって。ちょっと話をしたいなって思って監督に話をしましたけど、具体的な何かということはなく、そのままでしたね。

浅野:『エリ・エリ・レマ・サバクタニ』のときに勝手な話はしていましたけど、そういう話を監督が生かしてくれていたので、役の話をしたというよりは、ほかの話題を通じて健次との関係作りなどをしてもらっていた感じですね。

Q:青山組は、ほかの監督の現場と比べてどんなところが違いますか?

宮崎:たとえば、照明さんが大きな機材を使っていて「これちょっと、誰か結んで!」って言うと、みんなすぐ集まってくれたり、楽しそうに作業したりとか。あのチームワークはとてもいいですよね?

浅野:ええ。仲が良いですね。それこそみんなでボーリングしに行くこともありました。もちろん、地方とか行けばみんな仲良くなるんでしょうけど、仲の良さが特殊だと思います。

Q:青山監督は女優さんと話をするのが楽しくなってきたそうですが、あおいさんはどんな話を?

宮崎:監督とは『エリ・エリ・レマ・サバクタニ』のときもそうだったんですけど、お酒を飲んでハッピーになっているところをよく見たんです(笑)。わたしはそういう姿を見ているのが大好きです。あと、『EUREKA ユリイカ』のときよりも、優しくなったんですよね(笑)。

■ハラハラした面白さが北九州にはある!

Q:物語の舞台が北九州でオールロケでしたね。どんな印象をお持ちになりましたか?

浅野:向こうに長い時間いたことで、北九州の人たちが持つ、表面的には見えない何かを感じたんです。仲間内ではもっと面白いことがいっぱいあるような気がしますね。不思議な境のない感じっていうか、ヘンな決まりごとを作らないような、ハラハラした面白さっていうのが北九州にはあるような気がして、それがちょっとやそっとじゃ出てこないんです(笑)。

宮崎:わたしは時間があったのでホテルの自転車を借りて映画を観に行ったり、いいカフェを見つけたりして過ごしました。山の上にある小さいカフェなんですけど、きれいな景色を見ながら編み物したり、夜になると監督たちホテルのロビーで話したりしていました。あと、みんなでホテルの目の前にある大きなスーパーの駐車場に行って、寝転がりながら星を見ました。光がないからこそ自然を感じることができて、いい意味で時間がゆっくり流れている感じがしました。

Q:最後にこれからこの映画をご覧になる方々へ、メッセージをお願いします。

浅野:健次は10年前に僕が『Helpless』という映画でやった役で、その続編という形で今回やらせていただいて自分自身では非常に力が入っている作品です。その姿をぜひ観てほしいなと思います。それと、あおいちゃんや石田えりさん、魅力的な女優さんがそれぞれ個性的な形で出演しています。そこも見どころだと思うので、ぜひチェックしてみてください。

宮崎:『Helpless』と『EUREKA ユリイカ』を観てから『サッド ヴァケイション』を観るのも楽しいと思いますし、初めて本作だけを観る人にも楽しんでもらえると思います。女性の強さがものすごく表われている映画だと思うので、逆に男性に観てほしいと思います。

インタビュー当日は久々の再会だったようで、取材前と後に近況を仲良く報告し合う姿も印象的だった浅野と宮崎。浅野が10年前の同じ役、宮崎が7年前の同じ役を再び演じることになった本作は、劇中での役柄の変化と、お互いの俳優としての成長の軌跡が重なり合い、リアリティーを生み出している。名実ともに日本映画界を引っぱる実力派同士の再共演と、青山監督による壮大なスケールの人間賛歌をぜひ楽しんでほしい。

『サッド ヴァケイション』は9月8日よりシネマライズほかにて公開。

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