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ハリウッドのHOTな話題や、SECRETな話題をお届け!LA発! ハリウッド コンフィデンシャル
ハリウッドがパニック!脚本家ストライキの核心に迫る!!

ハロー! 皆さんお元気ですか? 今月で2回目を迎えました“ハリウッド・コンフィデンシャル”。
毎回ハリウッド業界内部から秘密諜報部員と化した、わたくしアディーこと神津明美が、核心に迫ったレポートを皆さんにお伝えします。

今回は、日本でも新聞をにぎわせたWGA(全米脚本家組合)のストライキについて。去年の11月5日から始まったこのスト、この2月14日にやっと終結したわけですが、「一体なんだったんだ?!」「わたしたちに関係あるわけ?」……というご質問にお答えして、その核心を直撃REPORT!

ハリウッド中が震撼! ストライキが及ぼした影響とは!?

脚本家がストライキをするという事態は、クリエイティブな職業をサポートできる強力な労働組合が存在しない日本では把握しにくいですよね。でも、実はこのストライキ、アメリカはもちろんのこと、日本を含めた世界中に影響を及ぼしているのです。
例えば、テレビドラマ「24」ファンのあなた……。楽しみにされていた新シーズン7の放映が、ストライキのせいで1年以上延期になったのを知っていましたか? 2009年までジャックに会えないなんて考えらないっ! ショックすぎますっ!


ちなみに、この問題は「24」だけではないんです。人気番組の「アグリー・ベティー」や「グレイズ・アナトミー 恋の解剖学」、先秋始まった期待の新番組も行く先が混沌(こんとん)とした状況になってきているのです。前回のコンフィデンシャル"新番組特集"でイチ押しだったCWチャンネルの「Reaper」や、NBCの「Chuck」も一体どうなるのか微妙です。

とにかく、当面の問題は、ストのせいでいまだに続いている、テレビの再放送地獄をどうにかしてほしい! いくら好きな番組でも、こう再放送が続くとちょっと困りもの。でも、ストが終わって、ライターが戻ってきても、脚本は1日じゃ書けないし、撮影も1週間じゃとうてい終わらない。業界筋によると、あと3~4か月はどの番組も再放送が続くとか……。ううっ、たまらん!

ゴールデン・グローブ転覆! アカデミー賞もすでに大ピンチ!
大ピーンチ!

ストのあおりをモロに食らったのは、先日行われたゴールデン・グローブ賞。授賞式数日前に、俳優組合が脚本家ストライキへの全面的サポートを表明して、スターのゴールデン・グローブ出演を完全ボイコットしてしまったんです。結果、テレビ中継にスターの出演がゼロ……! 「スターの出ない授賞式なんて意味ないでしょ!」……って感じで、関係者たちは顔面蒼白。それでもめげずにTV生放送を強行したCBSのド根性には敬服しますが、結果は超お粗末なことに……。天下のゴールデングローブ授賞式が、ゴシップ番組の司会者を総動員した"オシャベリ番組"と化してしまったんです。ファンとしては目が点! だって受賞者発表が、スターの写真や現存のフッテージを見せるだけだったんですから。「このつまらなさ、ありえないでしょっ……」って絶句したのは、わたしだけではなかったらしく、視聴者数は去年の2000万人から約4分の1強である580万人に大下降。そのうち最後まで見た人たちは一握りだったのでは!? と言われています。


ストが何とか終了して、ゴールデングローブの二の舞にならずに、ホッとしているのはアカデミー賞関係者たち。でも、彼らにも油断は許されないんです。なぜかというと……。
実は、アカデミー授賞式の司会者がしゃべる内容って、全部脚本として前もって、作られているって知ってました? だから当然それを書く人たちがいるわけ。歴代ホストのビリー・クリスタルや、ウーピー・ゴールドバーグの例を見ると分かるように、アカデミー授賞式の司会には人気コメディアンの起用が定番なんですが、彼らは自分たちのお抱えライター陣を雇っていて、授賞式司会に抜てきされたら、2か月以上前から、自分のライター・チームとアカデミー側で雇われるライター・チームと共に協力して、ネタ執筆を始めるのが普通なんです。

去年も、司会に抜擢されていたエレン・デジェネレスは1月始めからすでに14名のライターとともに授賞式用のMCやギャグの執筆を始めていました。

でも気の毒なのは今年の司会、ジョン・スチュワートのチーム。自分たちの組合が行っているストライキのせいとは言え、ネタ仕込みは大遅延。というのも、当然のことながら、脚本家組合員であるライターさんたちが、スト終了後までは動けなかったからです。スト終了時点で、アカデミー賞放映まで約2週間弱。ライターさんたちは、これから毎日徹夜仕事……ってことになりそうです。

危うく恐怖のビッグリストラ! 社員に配られたホラーな通達書!

ストの渦中で翻弄(ほんろう)されていたのは、授賞式関係者だけではありません。ライターがいなければ、番組ができない。番組ができなければ、番組を作る人たちもいらない……。すでに、ストの影響で打ち切り、あるいは中断されてしまった番組の製作部や撮影部、そして揚げ句の果ては俳優を送迎するリムジンの運転手さんや、ロケのケータリング屋さんまで、例を挙げたらキリがないほどの番組関係者たちが職を失っています。ついには、映画スタジオ、テレビ局も経費削減の為に常任スタッフをカットと、至るところで解雇が行われました。


一番のニアミスは、ワーナー・ブラザースで起きかけた大型解雇です。1000件の"ピンク・スリップ"が社員に発行された、という話題はシネマトゥデイのニュースでも取り上げられました。この"ピンク・スリップ"と言われている社員あての通知には、「あなたをクビにする可能性があるので覚悟をよろしく」的なことが書いてあり、社員にとってはホラーな通達書です。幸い、ピンクスリップが実際に使用される前にストが終わったから良かったのですが、ストの影響で、ワーナーはもとより、ユニバーサル、ABC、CBSなど、各スタジオやテレビ局でも実際に解雇が行われ、ロサンゼルスの経済に大打撃を及ぼしました。


さて、そこで究明したいのは、同僚たちにこんな被害を及ぼしてまで、脚本家たちは一体何を求めてストをしたのか、ということです!

そもそも、ストの発端はなんだったのか!?
いろんな人が、たくさん集いました!(ちょっと楽しそう……)

今回のストで脚本家組合の敵だったのは、劇場用映画・大手テレビ番組執筆の際に契約内容の鍵を握っているAMPTP(全米・映画&テレビプロデューサー協会)という、製作のお偉いさんたちからなる団体。AMPTPは397名の大手プロデューサーたちから成り立っていて、CBS、MGM、NBCユニバーサル、FOX、パラマウント・ピクチャーズ、ソニー、ディズニー、そしてワーナーの上層部が柱となっています。


ストの主役にあたる脚本家組合は、全米1万2千人以上の組合員を誇る脚本家たちの労働組合です。AMPTPとは、3年ごとに、最低賃金の取り決める契約を交わすことになっていています。以前、組合がギャラの値上げを要求してストライキを起こしたのは10年前の1988年。その後、市販DVD映画の値下げ、インターネットでの映画・テレビ番組のダウンロードなど、新しいメディアが目覚しい躍進を遂げてきました。そこで、去年の最低賃金交渉の場で、脚本家組合は「新メディアを念頭に置き、脚本家最低賃金の総見直しを!」ということでAMPTPに掛け合ったのです。。


ここで問題になるのは、お金を仕切る係であるプロデューサー側は、脚本家には働き続けてほしいけど、そう簡単に自分たちの儲けを削りたくない……という本音。往々にして、利益主義の製作者側と職人気質のライターたちのバトルが発生! となってしまったわけです。

今回のストは真っ向からバトル態勢で、聞く耳持たず的な態度をとったAMPTPに対して、脚本家組合側がプッツリとキレて、「われわれの貢献度を一体何だと思っているんだ!!」と怒りまくり、ストに大突入……というのが簡単な経緯です。去年の12月の両者会談においては、「会議室を灰皿が飛び交った!」という証言が出るほど交渉が悪化して話し合いが大決裂してしまいました。


ファイナル・ラウンド突入! しかし傷跡は大きく……
やっと、終わりました

アカデミー賞まであと、数週間……という時期になって、脚本家たちの気持ちを理解する人々のあいだですら、このストライキに終止符を打って欲しいという声が高まりました。だって、世界中の人々がアカデミー賞を楽しみにしているのですから!

1月2 週目になると、今度は今年7月にAMPTPと契約が切れる予定だった全米監督組合(DGA)のストが心配され始めました。今にも増して、これ以上ほかの組合のストが起こったら、ハリウッドの運命も知れたものではありません。でも幸いにして、DGAは、1月17日にはAMPTPと折り合いをつけ、最低賃金の契約を決定したのです!  よかった~!! もっと良かったのは、これにならってWGAがDGAの新しい契約を見本にAMPTPとの交渉を再開したことです。

そして2月13日、ついにストライキが終了! やった~!!

でも、3か月以上に渡るストライキが残した爪あとはかなり深く、がく然としています。ストが及ぼしたカリフォルニア州経済への影響は日本円にして2~3兆円に上ると言われています。スゴイ……。これってちょっとした国家予算規模ですよね。ロスのエンタメ業界が州経済にどれだけかかわっているかというのがよくわかります。仕事を失った人たちも早く再就職できるといいですね!

でも、これでアカデミー賞TV中継も安泰。授賞式も例年にも増して盛り上がるでしょう! "コンフィデンシャル"でもアカデミー授賞式に潜入取材しちゃいますよ~!どうぞお楽しみに!! では皆さん、風邪などひかないように気をつけてくださいね。

See you next time!!

さて、このコーナーで質問・コメント・リクエストなどありましたらドシドシ『ハリウッド・コンフィデンシャル』あてにメールをください。お待ちしてま~す!

皆さん、風邪などひかないように気をつけてくださいね!
それでは、また次回お会いしましょう!

取材・文・写真:神津明美

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