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サードシーズン2008年6月

私的映画宣言

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私的映画宣言 サード・シーズン6月

筆者の近況報告

鴇田 崇

2008年6月10日。映画評論家で監督だった水野晴郎さんが永眠されました。水野さんとは公私に渡って6年ほどのお付き合いでしたが、あくなき映画への強い愛情にいつも驚かされました。心よりご冥福をお祈りいたします。

山縣みどり

カンフー・ダンク!』『俺たちダンクシューター』『フライング☆ラビッツ』と今夏の映画界はバスケットボールが熱い!? 銀座バスケット部末端に所属する身なので、一連の作品を応援しますよ。

前田かおり

今夏注目のオヤジ俳優活躍映画はロバート・ダウニー・Jrの『アイアンマン』とバカ映画なのにイギリス実力派俳優総動員の『ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン!』。邦画は鮎川誠堺雅人が親子の『ジャージの二人』。何でもない話に、心底和む。

小林真里

北村龍平監督のハリウッド・デビュー作『ミッドナイト・ミートトレイン』(原題)の北米プレミアが、7月にモントリオールで開催される映画祭FanTasia 2008に決定。監督から直々に招待を受ける栄誉に授かったので、何が何でも参加したいところ。ほかのラインナップも強烈です!

相馬 学

今年のサマー・ムービーは熱血映画が多くてうれしい限り。今回のレビューの3本はもちろん、『ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン!』『スターシップ・トゥルーパーズ3』『カンフー・パンダ』も楽しんだ。映画界は夏の暑さにも、北京五輪の熱さにも負けてないね!

インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国


TM & (C) 2008 Lucasfilm Ltd.. All Rights Reserved. Used under authorization.

考古学者インディ・ジョーンズが秘宝を求めて世界を駆けめぐる冒険活劇の19年ぶりとなるシリーズ第4弾。前作から18年後の設定の今作では、1950年代を舞台に神秘的なパワーがあるという秘宝“クリスタル・スカル”を求めて冒険の旅に出るインディの活躍を活写する。主演のハリソン・フォードのほか、相棒役に映画『トランスフォーマー』のシャイア・ラブーフ、悪役にケイト・ブランシェットなど演技派が名を連ねる。スタントやセットで演出する生のアクション映像に興奮必至。

[出演] ハリソン・フォードシャイア・ラブーフケイト・ブランシェット
[監督] スティーヴン・スピルバーグ

鴇田 崇

8点全体的な構成やユーモア、中盤以降の流れるような展開はこれまでの作品とほぼ同じなので、ファンとしては素直に喜ばしいし、同じテイストで仕上げた考え方も妥当だったと思う。達観に近い状態のインディ・ジョーンズの代わりにシャイア・ラブーフが大胆な行動に出るなど細かい工夫も悪くない。ただ、敵味方一緒になって大人数で移動していくのは緊迫感に欠けていた気も。現代のキッズが興奮することを祈りつつ、インディへの愛を込めてこの点数。

山縣みどり

6点ナスカの地上絵やロズウェル事件をくすぐりに、考古学界のミステリーであるクリスタル・スカルに大胆な解釈を加えたつもりだろうが、昔の学年雑誌やオカルト雑誌「ムー」あたりで読んだような謎解き。セットや特撮はすごいけど、想像力の欠如した脚本にお子ちゃま向けの印象は否めない。映画『波止場』に敬意を払ったつもりのシャイア・ラブーフ登場シーンは失笑もの。全体的に軽いタッチなのでケイト・ブランシェットの熱演が浮く形になったのは残念。放射能を洗って落とすヤンキーの無神経さは相変わらず。

前田かおり

8点今回初参加のシャイア・ラブーフ以外はキャストの年齢層の高いアクション映画だ。でも、近年目まぐるしく派手派手しいだけの空疎な作品の中では、たとえアクションシーンが若干ぬるくなり、お約束の展開が多くても冒険活劇の醍醐味(だいごみ)は健在。また映画『アメリカン・グラフィティ』のような冒頭に、ラストは映画『未知との遭遇』を彷彿させるシーンもあり、ニヤリとしたくなる。ハリソンルーカススピルバーグ、60代のじいさんトリオの「青春よ、もう一度」の思いにこっちまで胸が熱くなり、点も甘め。

小林真里

6点インディ・シリーズの醍醐味(だいごみ)であるアドベンチャーとアクションは一応本作でも健在なのだが、SFでマヤ文明でアレが出てくる……『アポカリプト』経由「X‐ファイル」行きの展開は、新鮮味がないし驚きもない。ストーリー性が希薄なので(特に終盤)、あまりにもライトな内容にがくぜん。ただ、アトラクション感覚は十分味わえるので、ポップコーン・ムービーとしてとらえれば十分楽しめるのでは? ケイト・ブランシェットにいたぶられたい人、必見。

相馬 学

8点シルエット、そしてカメラが体をなぞるように上昇して顔が映る、そんなオープニングだけでインディが本当に帰って来た! とうれしくなってしまう。そんな描写はもちろん、不気味な生物に囲まれたり、ヘビに悩まされたりなどのお約束は格好のファン・サービス。最大の論点と思われるのはクリスタル・スカルの正体であるアレだが、オカルト的な要素が必須のシリーズ。1950年代のオカルトといえばコレか……と納得させられた。サルと同化するシャイアも最高だ!

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スピード・レーサー


(C) 2008 Warner Bros.Ent. All Rights Reserved

生まれながらの天才レーサーが、愛する家族とカーレースを守るため危険なラリーに挑むアクション・ムービー。映画『マトリックス』シリーズのアンディ&ラリー・ウォシャウスキー兄弟が同作以来、再びメガホンを取り、吉田竜夫原作の名作アニメ「マッハGoGoGo」を実写化。主人公を映画『ロード・オブ・ドッグタウン』のエミール・ハーシュが熱演するほか、豪華キャストが脇を固める。“ウォシャウスキー兄弟印”の視覚効果で描かれる革新のスピード世界は必見。

[出演] エミール・ハーシュクリスティナ・リッチマシュー・フォックス
[監督・脚本] アンディ・ウォシャウスキー / ラリー・ウォシャウスキー

鴇田 崇

5点「とにかくグラグラした不安定な走り」が「激走」であるというウォシャウスキー兄弟のイメージがよくわからんのと、レースを実況するキャラがスクリーンを何度も横切るアニメーションを意識した画作りがしつこい。オリジナルのメロディーをなぞったテーマ曲も違和感を最後までぬぐえなかったなー。ただ、主演のエミール・ハーシュがなかなかの好青年で、田舎の床屋の見本写真みたいなレトロな髪型は原作の世界観とマッチしていたよ。

山縣みどり

5点ウォシャウスキー兄弟流が前面に出ているが、毒々しいのは色彩だけ。武器搭載車が走る過激なレースで事故っても、新型エアバッグ(?)でドライバーは無事だし、悪者も無残に殺されたりはしない。深く考える必要もない展開やエロ・フリーは、徹底してファミリー仕様。とはいえ、ビジュアル派監督ならではのVFX映像はそりゃすごい。レースシーンなど目が回るほどにせわしなく、派手。目がチカチカするので光過敏性の方は要注意かも。余談だが、アクションもこなしたRAIN(ピ)の大物ぶりに感心。

前田かおり

3点よくいえばポップで斬新。特にレースシーンの華麗さには驚いた。だがほとんどがVFXで作られている上に、極彩色の派手派手しい世界。クラクラする割には中身が単調なため、眠気を催す始末。真田広之が出演しているが、活躍は地味。いいのかこれで(怒)。エミール・ハーシュも健康的なだけで魅力も薄い。むしろ、主人公の弟を演じた子役の芸達者ぶりがやけに印象に残る始末。ただ、最後に流れた日本語主題歌にはうれしくなったが。

小林真里

6点オリジナル版への愛情とリスペクトを込めて、可能な限りアニメに近い実写映画を、CGIを駆使し撮り上げたウォシャウスキー兄弟の一貫とした姿勢はすごいとは思う。しかし、カラフルな色使いで構築される世界観は過剰なまでのファンタジー要素に満ち、ゲームを見ているかのようなレースシーンは、もちろん現実味なんてあるわけなくスリルに欠ける。ただ、オリジナルのキモであった家族のきずなという部分は、丁寧にドラマチックに描かれていたので、そこは買う。まあ、良質なファミリー映画ということで!

相馬 学

9点幼少期に「マッハGoGoGo」を見ていた自分にはうれしいリメイク。オリジナルに忠実なキャラクター設定や、アニメ風の配色にウォシャウスキー兄弟の原作への愛情が感じられて好感が持てる。しかし、何より彼ららしいと感じ、また引きつけられたのは反体制的なスピリット。『マトリックス』『V フォー・ヴェンデッタ』に通じる反骨心は拝金主義にケリを食らわせ、レースへの情熱のみに突き動かされる主人公像にはっきりと表れている。アツいぞ!

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クライマーズ・ハイ


 (C) 2008「クライマーズ・ハイ」フィルム・パートナーズ

1985年、群馬県御巣鷹山で起きた日航機墜落事故をめぐって翻弄(ほんろう)される地元の新聞記者たちの姿を描く社会派ドラマ。実際に記者として日航機墜落の取材をした作家・横山秀夫が自らの体験を反映した同名小説を、映画『金融腐蝕列島 [呪縛]』の原田眞人監督が映像化した。地元新聞社の熱血漢デスクを映画『ALWAYS 三丁目の夕日』の堤真一が演じたほか、映画『殯(もがり)の森』の尾野真千子ら実力派が集結。感情が激しく交わる濃密な1週間の人間ドラマに圧倒される。

[出演] 堤真一堺雅人尾野真千子
[監督・脚本] 原田眞人

鴇田 崇

7点ガニ股でのしのし歩く堤真一の強烈な全権デスクっぷりもイイし、部署間の確執や男の嫉妬(しっと)など一大スクープに心狂わされ翻弄(ほんろう)される男たちの熱いドラマにも一気に引き込まれる。ただ、“クライマーズ・ハイ”を観客に意識させるための登山シーンが何度も挿入されるけど、なくてもクライマーズ・ハイ状態は伝わったと思う。しかし、この監督は前作がハコを開けてビックリの残念な映画だったのに、今回は及第点以上。ムラがあるぞぃ。

山縣みどり

4点日航機墜落事故で右往左往する地方新聞社の人間関係や社内政治の話だけで十分面白いのに、主人公・悠木の出自や家族問題、登山へのこだわりと枝葉を広げすぎ。記者魂と親子関係に何の関連も見いだせず、焦点がボケてしまう。原作もの(しかもベストセラー)だが、大胆な脚色も必要ではないだろうか。事故現場を取材し、心のバランスを崩す若手記者が登場するが、ドラマチックすぎ。悲惨さを強調するのが狙いだろうが、単なる職業不適正にしか思えず。

前田かおり

8点未曾有の事故を目の前にした地元新聞社の興奮状態はスリリングで、血の気の多い記者たちがいきり立つ場面など、男たちの濃密なドラマが得意な原田眞人監督の独壇場。主演の堤真一はもちろんだが、過去の栄光にすがる上司にふんした螢雪次朗遠藤憲一ら脇キャラの内面も描かれ、見応えは十分。現在と過去が交錯するスタイルが必ずしもうまくいってないが、オヤジ俳優好きのわたしは正直萌えた。それと堺雅人に注目。『ジャージの二人』の彼もいいが、今回はクールだが記者魂の熱い男を好演。素敵すぎっ!

小林真里

5点久々に時を忘れて夢中になった貴重な邦画。ヤニ臭さがスクリーンから漂ってきそうなほどの臨場感あふれる新聞社編集局。歴史的な惨劇を背景に、そこで繰り広げられる記者たちの怒声が飛び交うスリリングな戦いと熱きドラマに、鳥肌が立った。ただ、山登りに例えると9合目までは良かったが、登頂一歩手前で手綱が緩んで落下。でも命は助かったぜ。という絶望的とまではいかないが無念さが残るその着地は、極めて残念。劇中「チェック、ダブルチェック」というセリフが重要なキーワードとして登場するが、映画自体完成前にもう一度ダブルチェックしていたらなあ……。

相馬 学

8点原田眞人監督の作品としては『金融腐蝕列島 [呪縛]』や『突入せよ! 「あさま山荘」事件』の系譜に連なる作品。すなわち、仕事にコダワリと誇りを持つ男たちのドラマである。史上空前の墜落事故が記者たちにもたらす狂騒。必死にポリシーを貫こうとする者もいれば、狂い死ぬ者もいるすさまじい修羅場。その臨場感に、ひたすら圧倒された。カタルシスという点では魅力は薄いものの、硬派な姿勢は文句なしに好み。気付けば自分も“ハイ”になっていた。

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筆者プロフィール

今 祥枝斉藤 博昭前田 かおり
中山 治美鴇田 崇相馬 学
高山 亜紀小林 真里山縣 みどり
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