シネマトゥデイ

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私的映画宣言 サード・シーズン5月

筆者の近況報告

斉藤博昭

何でもない日常動作で、左手中指の腱が切れるアクシデント。パソコンのキーボード操作が約10パーセントスピードダウンだけど、矯正用の装具がデヴィッド・クローネンバーグ映画に出てくる小道具みたいなので、妙に萌える毎日。

相馬 学

ゴールデンウィーク進行に出張が重なって、気ばかりが焦る日々。現在、目の前にぶら下がっているニンジンは、近所のつつじの開花とゴールデンウィークの温泉旅行。それと『ターミネーター4』と『トランスフォーマー/リベンジ』のガチ対決!

中山治美

香取慎吾主演『座頭市 THE LAST』の取材で山形に行ったときのこと。駐車場に面した民家に「我慢できない場合はトイレを貸しますので、ここでうんこをしないで下さい」の看板が。家主の切実なお願いが伝わって来た。

小林真里

最近は、Silversun Pickups、Metric、Bob Dylanらの待望の新譜がリリース・ラッシュでうれしい悲鳴をあげています。定額給付金も、Sonic Youthの新作(限定版)とJeff BuckleyのDVDを購入したら、すぐなくなりそう。

前田かおり

3月下旬に引越し。えらく大変だったが、いいこともあった。某引っ越し屋に頼んだら、やって来たのはタイプなイケメン5人組! わたし、オヤジ俳優偏愛ライターですが、やっぱ若いイケメンにはときめかずにはいられない……。ホホホホッー。

チェイサー


(C) 2008 BIG HOUSE / VANTAGE HOLDINGS. All Rights Reserved.

10か月に21人を殺害した疑いで逮捕された、韓国で“殺人機械”と言われた連続殺人鬼ユ・ヨンチョルの事件をベースにした衝撃のクライム・サスペンス。狂気のシリアルキラーをたった一人で追う元刑事の追走劇が、緊迫感あふれるダイナミックかつハイスピードな展開で描かれる。長編初監督の新鋭ナ・ホンジンのもと、連続殺人鬼役のハ・ジョンウと、元刑事役のキム・ユンソクが圧倒的な演技を披露。事件を追う過程で垣間見える人間の心の闇に戦慄(せんりつ)する。

[出演] キム・ユンソク、ハ・ジョンウ、ソ・ヨンヒ
[監督・脚本] ナ・ホンジン

斉藤 博昭

9点平凡なアクション映画を予感させるタイトルとは裏腹に、夜の裏道での疾走感や、徹底してハードな犯行描写に、観ているこちらは気を抜くヒマがない。緊張感と恐怖は、物語が進むにつれ、さらに膨張していく。映画が、一匹の野獣のような感じ! おどおどした表情に、得体の知れない狂気を潜ませる殺人鬼役、ハ・ジョンウの演技には、久々に本気で背筋が凍った。多くの要素で、傑作『殺人の追憶』とダブるが、いい意味での突拍子のなさと、映画としての勢いは、こっちが上かも。

相馬 学

8点ともかくいい評判だけが耳に入ってきて期待が膨らんでいたせいか、素っ気ない印象も受けたが、それでもすごいと思う。圧倒的な血のりの量のみならず、拘束されたヒロインの生傷や精神の痛みがヒシヒシと伝わってくるのは、バイオレンス映画としての完成度の高さを物語る。同時進行する複雑な危機的状況を丁寧にとらえ、スリルを増幅させる展開も見事。予想をことごとく裏切り突き進んでいくパワフルな演出。この監督、タダ者じゃないね。

中山 治美

8点監督はそんな意図はないと言っているけど、韓国の警察組織に腐敗を告発した、韓国版『チェンジリング』だ。猟奇的連続殺人犯を目の前にしていながら、自分たちの失敗を恐れて捜査が後手後手に回るマヌケぶり。反権力、反体制の視点がいいね。映画監督たるもの、こうでなきゃ。だからこそ、本作からは力強いメッセージが伝わってくるのだ。多少、大仰な演出が気になるものの、新人監督とは思えぬ骨太な作品。韓国映画の底力を見たり。

小林 真里

7点凡庸なサスペンスにありがちな、スタートからラストまでの一直線の追跡劇ではなく、ひとひねりもふたひねりもある予期せぬ展開が、知性と好奇心を刺激。全編を覆う張り詰めた緊迫感の中にも、韓国映画らしい余裕のユーモアをしっかと交えつつ、単調ではないエンターテインメントな作品に仕上がっているのもポイント高い。陰惨でヘビーかつ衝撃度の高い題材を巧妙に料理したといえるだろう。犯人の描き方に若干不満を感じたものの、監督デビュー作にしては十分合格点。近年の韓国映画ではベスト。

前田 かおり

9点エグくてグロい。おまけに暴力描写がハンパじゃない。でも、元刑事が狂気の殺人犯を追って、坂道の続く街の路地を走り回る。シンプルな打楽器のBGM使いが秀逸で、あっという間に心をわしづかみにされた。同じく韓国の『殺人の追憶』を思い起こさせる骨太な男の映画だが、拉致監禁された女性の絶望を描き、殺人犯の底知れない狂気を浮き彫りにする。綿密な取材を通して監督が書いた脚本の面白さと二人の俳優の存在感に、体がつんのめるぐらいの勢いで見入った。

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ミルク


 (C) 2008 FOCUS FEATURES LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

1970年代のアメリカで、同性愛者であることを公表して公職に就いたアメリカ初の政治家ハーヴェイ・ミルクの生き様を描く伝記ドラマ。監督は『エレファント』のガス・ヴァン・サント。個人の権利を守るために戦い、凶弾に倒れたミルクをオスカー俳優ショーン・ペンが演じている。同役ですでに多数の映画賞を制覇しているショーン・ペンの熱演と、今なお尊敬の念を集めるミルクの愛すべき人柄をフィルムに焼き付けたガス・ヴァン・サントの手腕を堪能したい。

[出演] ショーン・ペン、エミール・ハーシュ、ジョシュ・ブローリン
[監督] ガス・ヴァン・サント

斉藤 博昭

8点今思うと、オスカーも受賞したドキュメンタリー『ハーヴェイ・ミルク』は、ミルクをやや美化していたかも。それくらい、本作は彼の生々しい恋愛模様にもちょっぴり踏み込んで、その分、人間くささに好感。それにしても、ミルクが死を予感した瞬間のショーン・ペンの表情には圧倒された。これぞ「演技」と言っていいのでは? ミルクの存在によって自殺を止めるミネソタの少年のエピソードは、政治家が世界の隅々を変えてくれる希望を象徴し、胸を締めつけてくる。

相馬 学

8点観ていて『マルコムX』を思い出したのは、作り手の主張が明確に表われているからか。同性婚へのアメリカの風当たりの強さにガス・ヴァン・サント監督は、はっきりモノ申そうとしている。鼻につく向きもあるだろうが、力強さは評価したい。アツい映画なんだけど、ミルクの人当たりの良いキャラがその辺をマイルドに中和しているのが面白い。オスカーゲットのショーン・ペンも確かに熱演だが、受賞を逃したジョシュ・ブローリンが体現する小市民的な悪党像も妙味。

中山 治美

8点今、日本ではお姉キャラのタレントが普通にテレビのゴールデンタイムに出演し、国によっては同性婚も認められるようになった。しかし30年前には、ゲイなどマイノリティーがどれだけ差別を受けていたのか。本作を観てがく然とし、彼らの奮闘なしには今の時代はやって来なかったのだと痛感。ゲイ告白しているガス・ヴァン・サントにとってもまた、『エレファント』などで評価を経てやっと撮れた作品。彼らの思いを、しっかり受け止めました。

小林 真里

9点ガス・ヴァン・サント監督入魂の、集大成的作品ともいえる繊細(せんさい)かつ骨太な一本。命懸けで己の信念を貫く芯(しん)の強さと、その重要性がひしひしと伝わってくる、パワフルなメッセージが詰まった作品だ。キャストはショーン・ペンの神懸かり的な圧巻パフォーマンスを筆頭に、見事なアンサンブルキャストたちがそれぞれ、新たな魅力を披露してくれる。一つの時代を確実に捕らえ再現したセットや衣装、メークもパーフェクト。全体の整合性と調和が美しい、魂に響く感涙のドラマです。

前田 かおり

9点ショーン・ペンが身のこなしはもちろん、全身からゲイオーラを漂わせ、多くの人に愛されたミルクの人柄を体現する。しかも、一見ヤワな中年男なのに、社会的弱者のために立ち上がったミルクの信念の強さも演じてみせ、希望をくれる映画だ。だからこそ、彼がオスカーをゲットしたのも納得。また脇のエミール・ハーシュディエゴ・ルナのゲイぶりも魅せる。何よりジェームズ・フランコがいい。でも、アカデミー賞の助演段優勝候補はジョシュ・ブローリンだった。アカデミーってわからん!

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ROOKIES -卒業-


(C) STUDIO HITMAN / 映画「ROOKIES」製作委員会

乱闘騒ぎを起こして、出場停止になった野球部の部員たちを一人の教師が再び野球をさせようと奔走する熱血ドラマ。平均視聴率19.5パーセントを記録した、大ヒットドラマを劇場版でさらにスケールアップ。主演はドラマ版と同じく佐藤隆太。生徒役にも市原隼人小出恵介城田優中尾明慶らドラマ版のメンバーが名を連ねる。ドラマ版では登場しなかった赤星ら新メンバーとのエピソードや、一心不乱に甲子園を目指す“ニコガク野球部”に胸が熱くなる。

[出演] 佐藤隆太、市原隼人、小出恵介
[監督] 平川雄一朗

斉藤 博昭

3点ドラマ未体験で観た。ヤンキーたちの痛快野球映画だと予想していたら……違った。佐藤隆太のまっすぐ過ぎる教師像や、やたら「夢」「奇跡」を引き合いに出す超ベタなセリフの連続に、ひたすらドン引き。感動って、こんなにわかりやすく描いちゃっていいのか!? せめて試合のシーンに興奮しようと身構えたが、こちらも最近の野球映画に比べてやや迫力不足。でも、キャストのファンや、ドラマの延長で観る人は素直に楽しめ、感動できると思います。まぁ、それでいいんだよね!

相馬 学

6点テレビシリーズは一度も見たことがなく、この原稿の発注を受けて初めて観たが、それでも概要は何となく理解できた。泣かせの演出はあざといほどで、ファンならば号泣できるのだろう。が、門外漢として言わせてもらえば結末はやり過ぎ。一人一人のあいさつの後に必ずお決まりの“チャラララー”という大げさな音楽が鳴り響くもんだから、あざとさを通り越して笑った。野球の描写のおざなりさも減点。指に当たったボールが内野の頭を超えるなんて、ありえないだろ!?

中山 治美

1点先日、「革命」が昔と違い、随分気軽に使われている……という趣旨の記事を読んだ。中国の「文化大革命」がある一方で、最近は滝沢秀明の舞台「新春 滝沢革命」なんてのもあると。なるほど! と思っていた矢先に、「夢」や「明日」、「勇気」といった言葉を乱発している本作を観て、記事の意味を納得。「甲子園を目指すために、彼らは一歩勇気を踏み出しタバコを止めた」だって。それ、勇気じゃなく、義務だから。そんな感じで終始失笑。

小林 真里

3点野球を冒涜(ぼうとく)しているの? という恥ずかし系青春映画の筆頭。前半からスローモーションを多用しながら、一本の映画には有り余るほどの(しかもさほど劇的でもない)ドラマチックなシーンを分刻みで畳みかける展開は、結果的に相殺。感動の過剰な押し売りが顕著で、結果苦笑せざるを得ないというパラドックスにはあきれるしかない。「奇跡」や「夢」という言葉は、いつの間にこんな安っぽいものになったのでしょうか。熱血教師の額から流れる血の跡は、なぜか『パニッシャー』のドクロマークのようであった。

前田 かおり

6点そろいもそろった熱血キャラたちが「甲子園に行くのが夢だ」とほえまくる。土曜の夜のドラマから観てた者としては、興味シンシンだったが……。2時間超で、15分に1度ぐらいに盛り上がりのBGMがかかる。感動の安売りじゃないんだからさー。それに、前年の夏、野球の強豪校に勝った実績があれば、いくらヤンキー高校でも翌年の新入部員がたった2名ってのはないっしょ。お気に入り俳優が出てたんで、ケチつけながらもこの評価だけど、ドラマを観てないと暑苦しい青春映画にしか見えないっす、多分。

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筆者プロフィール

今 祥枝斉藤 博昭前田 かおり
中山 治美鴇田 崇相馬 学
高山 亜紀小林 真里山縣 みどり
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