シネマトゥデイ

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江口洋介
『GOEMON』
国会議事堂の前に人を集めて、ばーっと大金ばらまけたらいいな
『GOEMON』江口洋介 単独インタビュー

取材・文:平野敦子 写真:尾藤能暢

『CASSHERN』で注目を集めた紀里谷和明監督の約5年ぶりとなる最新作『GOEMON』で主役を務めた江口洋介。彼は本作で戦国時代を舞台に、市民のヒーローだった義賊の石川五右衛門をその超人的な身体能力も含めて情熱的に演じ切った。最新のCG技術を駆使して創造された絢爛(けんらん)豪華な映像の中で、悲しい宿命を背負った男の悲哀を見事に表現した彼が、世紀の大泥棒のキャラクター作りや、撮影中の苦労について熱く語ってくれた。

■ルパン三世を意識したキャラクター作り

Q:紀里谷監督とは役作りについてどのように話し合われたのですか?

最初はグリーンバックでの撮影にも抵抗があったし、監督から髪の毛を金髪にしてくれとか、カラーコンタクトを入れてくれとかいろいろな要望もあったんですが、あまりにも映画の世界観がすごいから、オレまで飾ってしまうとちょっと人間っぽくなくなるんじゃないかという思いもあって。そういうことを話すとすぐに「あぁOK、それでいい」と言ってくれる監督だったので助かりました。大沢(たかお)君はカラーコンタクトを入れていたんで、自分だけ楽をしてしまってちょっと申し訳なかったとは思いましたけどね(笑)。

Q:殺陣のシーンはどれぐらい練習されたのでしょうか?

殺陣は撮影の3か月前からトレーニングを始めました。事前に殺陣師の先生が動いている映像を見せてもらって、新宿の体育館に夕方集合して練習をしました。監督を含めみんなでジャージを着て練習をしました。練習も行き着くところまでやりたいと思って。だから本番の撮影は早かったです。カット数は多かったですが、準備をきちんとしていたので、テンポ良くいきましたね。

Q:五右衛門はちょっとルパン三世っぽい感じもありましたが、演じる際に意識されたキャラクターはありますか?

いろいろなヒーロー像はあったんですが、ルパンの影響は大きかったですね。お互いに同じ泥棒同士ということもありましたし、何だかちょっとずっこけているけど、真剣な顔をするときもあるところとか。前半はアフレコで相当ルパンに近づけたカットもいっぱいあったのに、出来上がった映像を観たらなぜか全部カットされていましたけどね(笑)。金を盗んで、それを市民にばらまいて、夜は女の子を集めてどんちゃん騒ぎをしているという、もう寝ずに遊んでいる男ですからね。その感じをどういう風にやろうかと話していると、ルパンの話が出てきたりしましたね。

■五右衛門は男のあこがれ

Q:女性にモテモテで何だかとても楽しそうでした。

そうなんです、モテモテなんですよ(笑)! こんなにモテモテでどうすんだっていう感じなんですが、実は悪夢にうなされるような一面もあったり……。あんなにモテモテで、ある種、男のあこがれなんでしょうけど、でもそこにずっととどまってはいられないという、五右衛門の抱えた宿命もあるんです。こんな風に自由に豪快に生きてみたいと誰もが思う男ですよね。

Q:この映画のおススメのポイントを教えてください。

殺陣といっても、武士のきれいな殺陣ではなく、結構暴力性が高くて。才蔵(大沢)がきっちりとやっていくタイプだとしたら、こっちは何かビスが外れて、モーターが吹っ飛んでいるような殺陣だから、そういう一種の操縦不能な感じですかね? コントロール不能という感じでワクワクしました。

■大金を国会議事堂からばらまきたい

Q:もしご自分が五右衛門のようにばらまけるだけの大金を持っていたとしたら、どこでばらまきたいですか?

今の世の中だったら、本当にばらまかなければいけないところはたくさんありますよね。格差は去年より今年、今年より来年と悪化していくだろうから、やはり国会議事堂の前に人を集めてぱーっとばらまけたらいいですよね(笑)。建物の上に乗って「今夜は、ぱーっとやってくれ!」ってね。

Q:撮影中はどうでしたか?

本当に殺されるかと思うぐらい撮影はキツかったです。キツイし、キャスティングされた以上この役をやるしかないと思いました。でも、一体どこにたどり着くのか台本を読んでいてもわからない世界だった。台本は本当にわかりやすいエンターテインメントだけれど、その行間のシーンに何が起こっているのかと探る毎日だったから、「どうすんだ、これ?」っていうのがありました。でも、演じていくうちにだんだんエネルギーが自分の中から出てくるのを感じましたね。

Q:ご自分で出来上がった映像をご覧になってみていかがでしたか?

どんな風になっているのかちょっとドキドキしましたね。どういう風に自分が映っているのか、本当にそこに自分がいるように見えるのか心配しました。『CASSHERN』のときはカメラが動かせなかったらしいんですが、CGの技術はどんどん進化していて、今回はカメラを動かせるから、もっとCGにモーションとかアクションが出てきて、役者が発散するエネルギーのようなものが画面に出ているんです。そこからさらにまた1年かけてスタッフがCGを追加していますからすごいですよ!

Q:最後に、ここはかっこいいので、ぜひ観てもらいたいという注目のシーンを教えてください。

もうどこがかっこいいのかわからないですが(笑)。五右衛門の有名な釜ゆでのシーンが出てくるんですけど、そこで市民が秀吉(奥田瑛二)に対して石をばーっと投げるんです。あれを観たときに学生運動を思い出しました。自分も実際にそういうものを体験した世代ではないし、ニュースでしかそういうことを知らないんですが、やはりいろいろなことをちゃんと考えなきゃいけないんだと気付かされましたね。

いきなり時代劇の口上でスタートしたインタビューは、終始笑いと活力に満ちていた。一見クールに見えるが、江口は一筋縄ではいかないパワーを全身にみなぎらせた魅力的ないい男だった。前半のルパン三世を意識したちょっとコミカルな大泥棒と、自らの運命と正面から向き合い、戦う男に変身した後半の五右衛門の違いをその豪快な殺陣のシーンも含め、素晴らしい映像美とともに堪能してもらいたい。

(C) 2009「GOEMON」パートナーズ

『GOEMON』は5月1日より全国公開

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