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今、舞台はウエストエンド!舞台通のライターがその魅力を徹底レポート!

舞台といえばブロードウェイがおなじみだが、今、注目したいのはウエストエンド。6月に発表されるアメリカ演劇界の一大イベント、トニー賞で、主要15部門にノミネートされて注目の映画『リトル・ダンサー』の舞台版「ビリー・エリオット:ザ・ミュージカル」はイギリス発だし、近年はユアン・マクレガーやダニエル・ラドクリフをはじめ多くのスターがウエストエンドの舞台に相次いで登場して話題となっている。というわけで、ウエストエンド舞台通のライターが、その魅力を徹底レポート。行ったことがある人もない人も、楽しめる情報が満載!
文/山縣みどり

6月に発表されるトニー賞で有力視されているのが、エルトン・ジョンの楽曲がいかす「ビリー・エリオット:ザ・ミュージカル」だ。最優秀作品賞をはじめ15部門にノミネートされた本作は、イギリス発のミュージカル。ま、だから何というわけじゃないけれど、最近は舞台といえばウエストエンドな感じがしてならない。実際、イギリスでヒットした作品がブロードウェイに上陸するケースが後を絶たず、「レ・ミゼラブル」「マンマ・ミーア!」「メリー・ポピンズ」はそのいい例だ。ダニエル君の全裸が話題の「エクウス」(*1)もブロードウェイで大当たりしたし、クラシックの名作「ガイズ&ドールズ」もユアン・マクレガー主演のロンドン版(*2)の影響でブロードウェイに復活したような気も。ブロードウェイが、ヒット確実な作品を狙っているのが実情のようだが、ウエストエンド作品の質が高いという証拠でもある。

そんなウエストエンドに進出したがるハリウッド・スターは少なくなく、アーロン・エッカートとジュリア・スタイルズは「オレアナ」で好評を博し、テレビドラマ「フレンズ」後のデヴィッド・シュワイマーや、マット・デイモンとケイシー・アフレックは箔(はく)をつけることに成功。素行不良がたたって落ちぶれていたクリスチャン・スレイター(*3)はウエストエンドの芝居「カッコーの巣の上で」と「スイミング・ウィズ・シャークス」で起死回生したクチだ。クリスチャンの路線を狙ったのか、昨冬にはジョシュ・ハートネットが「レインマン」で舞台デビュー。初舞台で98ポンド(約1万4,000円)という強気の価格設定に驚いたが、すぐにディスカウント・チケット屋でたたき売りされていたので、ロンドンの演劇ファンのシビアさを感じた次第。実力が伴わないスター価格はアカンよ、ということだろう。

ダニエル・ラドクリフの全裸が話題の「エクウス」。2008年ニュー・アムステルダム劇場にて。 ユアン・マクレガー主演のロンドン版、クラシックの名作「ガイズ&ドールズ」。共演者のジェーン・クラコフスキーらと、2005年ピカデリーシアターにて。 ウエストエンドの芝居「カッコーの巣の上で」と「スイミング・ウィズ・シャークス」で起死回生を果たしたクリスチャン・スレイター。
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価格といえば、ここ5年ほどウエストエンドに足を運んでいたわたしも、チケットの高騰をひしひしと感じていた一人。年々高くなる宿泊費を切り詰めるのはやぶさかではないが……と思っていた矢先に、ドンマー・ウェアハウス劇場(*4)がウィンダム劇場と組んで画期的なプロジェクトを英断! 「もっと幅広い観客層に演劇を楽しんでもらいたい」と観劇料金を通常よりも安価に設定し、ケネス・ブラナーやデレク・ジャコビ、ジュディ・デンチ、そしてジュード・ロウという集客力の高い役者をそろえて3か月ずつ4つの演目を上演するのだ。わたしが選んだのはデンチ様主演の「マダム・ド・サド」。三島由紀夫の戯曲をドナルド・キーン先生が英訳したそう。オーバー70歳のデンチ様が練習中にネンザしたと聞いたけれど、休演4日で復帰のプロ根性はさすが! さて、肝心のお芝居。戯曲の解釈に関して演劇評論家たちが残酷な批評を書き立てているものの、そもそも三島の哲学には興味ゼロなので、わたしはスルー。それよりもロザムンド・パイクとデンチ様をはじめ、女優の演技に圧倒される。心の奥のあやしさを徐々に表現するロザムンドの激しくドラマチックな演技と、常にわが道をキープする母親デンチ様の重厚な演技の好対照なこと。脇を締めるベテラン女優のユーモラスな演技も含めて至極満足。演劇通の多くが批評を気にするようだが、演劇ファンを自称するのもはばかられるファン予備軍なわたしは、とりあえず自分の感覚を信じるのみ。森山大道みたいでしょ。いや~、舞台美術とか照明とか衣装とか見るべき点が多く、演技や演出含めてトータルで判断するには相当の目利きじゃないとね。フィーリングで見ればいいのよ。

翌日はジェームズ・マカヴォイ主演の「スリー・デイズ・オブ・レイン」を観劇。アポロ劇場の入り口で「席ありますか? ストール(1階席前方)がいいの」「いい席あるよ、マダム。ほら!」と席表を見せられてゲットしたのが前から9列目。これはジュリア・ロバーツがブロードウェイ・デビューに選んだ芝居で、わたしにとっては初見。2つの時代のマンハッタン某ロフトに集う男女3人の物語で、全員が二役。ジェームズのアメリカ英語は共演者に比べてイマイチ。映画『つぐない』などで見せた、恥じらい半分な表情と演技は彼の持ち味と認識。見方によっては、演技の幅が狭いともいうけれどね。南部なまりまでサラリとこなしたヒロインのリンジー・マーシャルは、後も演劇界で活躍しそうな気配で、注目したいわ。

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今回は3月からスタートしたばかりのミュージカル「プリシラ」もチェック。パレス劇場の前を通りかかったら、巨大なシルバーのハイヒールが劇場入り口に飾られていて、靴フェチのわたしはそれに惹(ひ)かれてフラフラと。映画のミュージカル化はオーストラリア演劇界のトレンドで、昨年見た「ダーティ・ダンシング」も南半球発。キッチュとカラフル、そしてラメラメな衣装とダンスがファビュラス! ツアーバスに愛犬をひかれたエリザベス女王が登場したりとブラックな笑いを効かせた演出は、新宿2丁目のゲイ・パブ風。古今東西、ゲイ感覚は共通なのか? ソーホー地区のお隣だし、劇場内のゲイ率がかなり高く、リアルに臨場感たっぷり。重要な役で出ていたアジア系女優が芸達者で印象的だったけど、パンフレットを購入しなかったので名前は不明。「ミス・サイゴン」とか「南太平洋」とか役柄が限られそうだけれど、頑張ってほしい女優の一人だ。

さてさて、このパンフレットは貴重な情報源なり! 劇場の歴史や演劇界のニュースなど読むだけでも楽しい記事が満載だし、当然ながら系列劇場の新作情報も。映画を舞台化した「カレンダー・ガールズ」やイアン・マッケランとパトリック・スチュワート共演の「ゴドーを待ちながら」が4月からスタートするし、ヘレン・ミレン主演の「フェードル」は6月4日からナショナル・シアターで始まるので、早速チケットを予約しなくちゃ。7月はジュード・ロウ主演の「ハムレット」と合わせてコスチューム劇を満喫してくるつもり。ウエストエンド・パワーをもらって、今日も仕事を乗り切る毎日なのだ。

実話を基に映画化もされた「カレンダー・ガールズ」の舞台版。 イアン・マッケランとパトリック・スチュワートの豪華共演作品の「ゴトーを待ちながら」。 7月に「ハムレット」に主演するジュード・ロウ。
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