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北川景子
『真夏のオリオン』
玉木さんを信頼して思いのままにぶつかっていきました
『真夏のオリオン』北川景子 単独インタビュー

取材・文:内田涼 写真:尾藤能暢

第二次世界大戦末期の沖縄南東海域を舞台に、アメリカ海軍の燃料補給経路を断つために配備された潜水艦イ-77の乗組員たちが、さまざまな難局に追い詰められながら、最後まで生きる希望を捨てない姿を描いた感動作『真夏のオリオン』。本作で主人公、倉本艦長(玉木宏)ら乗員に希望を与える重要な役どころ、有沢志津子を演じた北川景子。初めて時代ものに挑戦した彼女が、紅一点のヒロインを演じた感想や平和への思いを語ってくれた。

■自分の信念をはっきり主張できるヒロイン

Q:初めて戦争の時代を生きる女性を演じられたそうですが、やはり現代劇とは違いましたか?

確かにこれまで以上に、じっくりと準備を重ねましたね。実際に戦争を知っている世代の方にも抵抗なく観ていただきたいと思ったので、不自然さが出ないように心掛けました。実は音声を担当されたスタッフさんがご年配の方で、第二次大戦当時のこともよくご存じだったので、あの時代の女性の話し方や所作、特にもんぺをはいての歩き方などを指導していただきました。

Q:北川さんが愛する人に敬礼するシーンは、特に胸が締め付けられました。ご自身はどんなお気持ちでしたか?

志津子は軍人の家に育って、小さいころから父親をまねて敬礼をしていたという設定なんです。ですから、いわゆる正式な敬礼というものをみっちり練習しました。敬礼するときに、手のひらが見えてはいけないんですよ。あのシーンは、兄(堂珍嘉邦)と倉本艦長を「いってらっしゃい」って送り出すわけですが、同時に「無事に帰ってきてほしい」という願いが込められている。経験したことのない状況なので、想像し切れない部分もありましたが、なるべく自分の感情に引き寄せてリアルに演じられればと思いました。

Q:北川さんの目から見て、志津子はどんな女性ですか?

ものすごく強い人だと思いますね。決して明るい時代ではなかったはずですが、「もうダメかもしれない」なんてことは絶対に考えずに、愛する人が無事に帰ってくると信じている。もちろんその保証はないんですけれど。倉本艦長もそういう考えですよね。「絶対生きて帰るんだ」っていう思いはこの映画のテーマでもあるし、わたしも演じる上で大切にしました。

Q:自分と似ている部分はありますか?

自分が持っている意見や信念を「こうなんだ」ってはっきり言えるところは、すごくわたしに近いですね。

■紅一点だけに感じた、女優としてのプレッシャー

Q:北川さんが演じる志津子が倉本艦長に思いを寄せる部分が、映画の核になっています。玉木さんとは初めての共演でしたね。

ご一緒するのが初めてとは思えないほど、すんなりお芝居に入ることができました。「歩くスピードが早ければ、おれが盗もうか(合わせようか)」と言ってくれたり、先輩としてすごく気遣ってくれたりしたので、わたしも玉木さんを信頼して思いのままにぶつかっていけました。とても楽しい共演でしたね。

Q:志津子と倉本艦長の少し古風な恋愛関係について、どう思いますか?

すごくすてきですよね。自分の気持ちを言葉にし過ぎないところがいいです。今はメールで何でも言えちゃいますけれど、やっぱり言葉の重みが全然違うと思います。

Q:今回、北川さんは映画の中で紅一点の存在でした。

そうなんですよ。潜水艦に乗った男性陣が緊迫した戦闘シーンを演じている合間合間に、わたしの出演シーンが出てくるので逆に目立つというか、せっかくの緊張感を台無しにしたくないという気持ちが強かったですね。あまり前に出過ぎず、でも存在感を出さなくてはいけないというのは、結構なプレッシャーでしたね。

■仕事と学業の両立で、充実感を得られた大学生活

Q:この春、大学を卒業されました。仕事と学業の両立は大変でしたか?

気持ちの上では仕事もできて、大学にも行けるというのはとても幸せだって思っていました。どちらもやりがいや充実感が得られましたから。でも、単純に時間がないのはつらかったですね。寝ないで勉強してテストを受けて、そのまま撮影現場に入ったこともありました。

Q:学生時代に楽しかったこと、それと何かやり残したと思うことは?

サークル活動もできたし、みんなと一緒に食堂でご飯を食べたり、普通の学生生活を味わったりできたことが大きかったですね。残念なのはゼミに入れなかったことです。やっぱり共同研究とかでほかの学生さんに迷惑をかけられないので……。

Q:大学を卒業していよいよ、女優業に専念できますね。

100パーセント仕事に打ち込める状況になったので、当然、これまで以上に結果が求められますよね。そうでなければ周りからは「何で?」って目で見られてしまう。ですから、今まで以上に仕事に対するモチベーションは高まっているし、とてもストイックになっています。今回も戦時中の女性という初めての挑戦で、監督やプロデューサーも不安だったと思うんです。でもわたしのことを信じて、オファーをいただいた。そう考えるとうれしいですし、期待に応えなければと思いました。

■改めて気付いた平和な生活への感謝

Q:この作品に出演して、改めて気付いたことがあれば教えてください。

今回、志津子という女性を演じて、厳しい状況を生き抜いた人たちがいるんだから、自分も生ぬるい意識じゃいけないと実感しましたね。もっと突き詰めれば、もっと頑張れるんじゃないかって。今のわたしたちは「明日死ぬかもしれない、今日生きていられるかわからない」という状況に置かれることはないと思うんですが、本当は毎日お仕事をしたり、食事ができたり……平和に生きていることに対して感謝しなくちゃいけないですよね。

Q:最後に映画の公開を待っている方に、メッセージをお願いします。

これまでの戦争映画は、「国のために死んでこそ美しい」みたいなところが全面に出ている作品が多かったと思いますが、『真夏のオリオン』は「必ず全員で生きて帰るんだ」というテーマを描いた、今までにない新鮮な作品に仕上がっています。脚本を読んだときの感動がそのまま映像になっていて、自分自身、参加できて良かったと思います。わたしが演じた志津子という女性の凛(りん)とした部分もすてきなので、ぜひ女性の方にも観てもらえるとうれしいです。

本作では戦時中を生きる志津子と同時に、志津子の孫にあたる現代を生きる女性・倉本いずみも演じ、二役に挑戦した北川。さまざまな挑戦を強いられた現場だったはずだが、当の本人からは「女優として当然のことですよ(笑)」と決して弱音を吐かない強さが感じられるインタビューだった。デビューしてから多くことを吸収しながら、大学を卒業し、今後ますます女優業にまい進する彼女の活躍に、これからも目が離せない。

『真夏のオリオン』は6月13日より全国公開

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