シネマトゥデイ

シネマトゥデイ
ともさかりえ
『いけちゃんとぼく』
恋をしたことがある人なら、いけちゃんの気持ちがわかるはず
『いけちゃんとぼく』ともさかりえ 単独インタビュー

取材・文:阿部奈穂子 写真:高野広美

フジテレビ系のバラエティ番組「ザ・ベストハウス123」で、絶対泣ける本の第1位に輝いた西原理恵子原作の絵本「いけちゃんとぼく」が実写映画化された。主人公の男の子・ヨシオのそばにいつもいる不思議な生き物いけちゃん。ヨシオの成長とともにいけちゃんの意外な正体が明らかになっていく。本作で、ヨシオの母親・美津子を演じたともさかりえ。実際に幼稚園児の息子さんがいるともさかに、私生活とリンクさせながら本作の見どころなどを聞いた。

■絶大な癒し効果があるいけちゃん

Q:『いけちゃんとぼく』の絵本を初めて読んだとき、どんな印象を受けましたか。

この役をやることが決まってから初めて読みました。こんな子(いけちゃん)が表紙にいるので、甘い子ども向けの絵本なのかという先入観があったんですが、内容は全然違って大人のラブストーリーだったのでびっくりしました。まさかいけちゃんの正体がああいう人だったとは……。恋をしたことのある女の人なら、誰でもいけちゃんの気持ちがわかるんじゃないでしょうか。またそれと同時に、この絵本をどうやって2時間近くの映像にするのか興味津々でした。

Q:原作は絶対泣ける本といわれていますが、ともさかさんも泣きましたか?

号泣はしなかったですけど、じわっと泣きました。実際に映画を観たときもジーンときました。「泣かしてやるぞ」というお話じゃなくて、主人公の男の子のひたむきさみたいなものが積み重なっていく映画で、嫌味じゃない切なさがいいんですよね。子どもの純粋な気持ちが伝わってきました。

Q:この絵本を息子さんにも読んであげましたか?

まだ読んでないです。毎晩、寝る前に2、3冊本を読んであげているんですけれど、最近、少しずつストーリー性のあるものに対して興味を持ち始めたみたいで。絵本セレクトは彼が決めているので、わたしが「これ読もうよ」と言っても、「こっちがいい」とか言って。今は冒険ものとか、「いけちゃんとぼく」に通ずるような弱虫の男の子が主人公の絵本が好きですね。弱虫の子が主役だと息子は共感するみたいで。うちの息子はすごく引っ込み思案なので、そういう男の子が少しずつ強くなるような冒険ものが好きですね。

Q:いけちゃんというキャラクターが不思議でかわいいですよね。

見るとつい笑っちゃうというか、気が抜ける感じで。いけちゃんには、絶大な癒し効果がありますね。今、いけちゃんの貯金箱とか抱き枕を作る計画があるらしいですけど、絶対欲しいです! 毎日抱いて寝ます。

■ヨシオ君はうちの息子のお手本です!

Q:今回は、男の子の母親役ということで実生活と重なりましたか?

わたしは、芝居の役と自分の生活を重ねて考えることは今までほとんどなかったのですが、今回は実際に演じていて、「あるよね、こういうことは日常的に」と本当に思いました。もちろん作られたお話だし、多少、誇張して作っている部分もあるんですが、日常の中でいろんなことを子どもに教えられながら、お母さんも成長していく繰り返しのような気がします。今回の役は子どもを持っているお母さんなら、何となく理解してもらえるんじゃないかと思いつつ、演じました。

Q:ヨシオの父親が亡くなり、女手一つで子どもを育てることになり、その不安やいら立ちをヨシオにぶつけるシーンが切なかったです。

結局、愛情はすごくあるけど、それをうまく伝えられないのがもどかしいんです。理想はすごくあるけど、現実の大変さに追われてついイライラしてしかっちゃったり、あたっちゃったりって、程度の差はあれど母親ならみんな一度は経験することだと思います。わたしもときどき、自己嫌悪に陥ることがあります。ただ、演技をする上では、単にイライラしているお母さんみたいに見えないよう、ベースにはちゃんと彼女なりの愛情があってのことだという見え方にしたかったので、その辺は監督と細かく相談しながら演じました。

Q:映画ではヨシオが同級生にいじめられるシーンがたくさんありました。あの中で母親はいじめのことを知っているけれど、我慢してかかわらないようにしていましたが、ともさかさん自身だったらどうしますか?

男の子って友だちとけんかしたり、トラブルを起こしたりする中で何かを感じたり、傷ついたりしながら大きくなっていくんでしょうね。ヨシオ君も始めはいじめられていたけど、自分の力で乗り越えて進んでいくので、うちの子もああいうたくましさを持った子になってほしいと思います。でも、今のところ甘ったれで、どうしようもないんですが(笑)。結局、自分の子って一番かわいいから、どういう状況でもつい助けたくなるし、手を差し伸べたくなっちゃうのが母親の本音。でも結局、彼がそうやって体感していかなければ、覚えないし、成長しないので、わたしも助けようと思うところをグッとこらえて、耐えることの繰り返しですね。

■男の子の成長の早さにビックリ

Q:ヨシオ役の深澤嵐君との思い出は?

トータルで2か月間の撮影だったのですが、嵐はその間にすごく背が伸びたり、顔つきがりりしくなったりと、本当に役と一緒に成長している感じだったので、身近で見ていて楽しかったですね。彼はとても恥ずかしがり屋で、最初はほとんど目も合わせてくれなかったし、何かすごく距離感があったんです。でも、撮影期間を一緒に過ごすうちに少しずつ打ち解けてきて、笑顔も見せてくれるようになりました。クランクアップした日に一緒に写真を撮ったんですが、そのときの嵐がメチャメチャかわいくて、やっとこんな笑顔を見せてくれるようになったと思うと、うれしかったですね。でも、それから数か月後のアフレコで久々に会ったら、またすごく距離感があって、「ああ、お久しぶりです」みたいになっていたんです。男の子はたった数か月でこんなに成長するんだと思いつつ、でもそれが男の子らしくてかわいいと思いました。

Q:最後にこの映画をどんな人に観てほしいと思いますか?

いけちゃんの正体は、ここではネタバレになっちゃうので伏せておきますが、大人になっていくつかの恋を経験してきた人に観てほしいですね。いけちゃんの思いや、あの甘酸っぱい切なさを絶対に理解していただけると思います。

透けるような白い肌にピンクのカーディガンを羽織って現れたともさかは、まるで妖精のようで、とても幼稚園児の息子さんがいるお母さんには見えなかった。しかし、息子さんに対する愛情を語る姿を見ると、やはり一児の母なんだと納得した。夜眠る前の読み聞かせタイムが、母と子の大切なスキンシップの時間という、愛情あふれるともさかの母親ぶりが、本作での演技にも生かされている。母と息子の愛のほかにも、いけちゃんの切なくて深い愛など、さまざまな愛の形が描き出され、すっきりとした気持ちのいい涙を流せる作品に仕上がっている。

『いけちゃんとぼく』は6月20日より角川シネマ新宿ほかにて全国公開

[PR]

この記事を共有する

映画アクセスランキング
  • Loading...
»もっとランキングを見る«
スポンサード リンク
スポンサード リンク