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『女の子ものがたり』深津絵里 単独インタビュー

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『女の子ものがたり』深津絵里 単独インタビュー

スランプだから仕事ができないなんて言っていられない

取材・文:斉藤由紀子 写真:吉岡希鼓斗

人気漫画家・西原理恵子の自伝的漫画を映画化した映画『女の子ものがたり』は、女の子たちの友情や心の葛藤(かっとう)をリアルに描いた感動作。東京でやる気のない毎日を過ごしていた女性漫画家が、故郷の田舎町で多感な少女時代を共に過ごした友だちを思い出し、前向きな気持ちを取り戻していく姿をノスタルジックに描く。都会へ出て漫画で食べていくという夢をかなえたものの、スランプに陥ってしまう主人公の高原菜都美を演じた深津絵里が、作品や自身の少女時代について語った。

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主人公の少女時代が衝撃的!

深津絵里

Q:出演が決まる前に西原さんの原作を読まれていたそうですが、どのように感じましたか?

的確な表現が見つからないんですけど、感動っていう言葉とはちょっと違うんですよね。西原さんの世界に引きずり込まれてしまって、読み終わった後は何にも考えられなくなってしまうんです。とにかく素晴らしい作品に出会えて幸せでした。

Q:回想シーンでは、菜都美の小学生時代を森迫永依さん、高校時代を大後寿々花さんが演じましたが、完成した作品をご覧になっていかがでしたか?

わたしは一人でコツコツと大人になった菜都美を演じていて、少女時代を演じた二人にはほとんど会わなかったので、とても孤独な作業だったんです(笑)。二人がどう演じるのか楽しみにしていたんですけど、実際に全編を通して作品を観たら、少女時代の菜都美がすごくキラキラしていて衝撃的でした。画面からエネルギーがあふれていて、何だかスゴイものを観た! という気持ちになりました。

Q:想像以上の仕上がりだったんですね。

そうですね。原作には登場しない大人の菜都美を演じるのはすごく難しかったんですけど、回想シーンに助けられたこともあって、とてもエネルギッシュな作品になっていると思います。

撮影前に西原さんのオーラを吸収

深津絵里

Q:菜都美は、西原さんの分身のようなキャラクターですよね。演じるにあたって、何か事前に準備はされましたか?

はい。わたしなどがやらせてもらって、本当に申し訳ないんですけど(笑)。西原さんがどんな環境でお仕事をしているのか参考にしたかったので、撮影の前にご自宅兼仕事場にお邪魔させてもらったんです。そこで西原さんの醸し出すオーラを吸収させてもらいました。漫画を描くというのは、何もないところから一つずつ作り上げていく作業ですよね。脚本から役を作っていくわたしとは違って、それはそれは大変な職業だと思いました。

Q:実際に、西原さんが漫画を描いているところもご覧になったんですか?

いえ、さすがにお仕事をされているところを見てはいけないと思って遠慮しました。漫画を描く道具や作業机は見せていただいたんですけど、その机にはお酒が置いてあって、ちょっとドキドキしました(笑)。

Q:西原さんは、作品の中でご家族との日常を描いていますが、お子さんにはお会いしました?

息子さんに会いました。わたしたちのそばでお友だちと一緒に汗だくになって遊んでいて、すごく伸び伸びとしていて楽しそうでした。

Q:菜都美は、昼間からビールを飲むなど、ダメダメなスランプ生活を送っていますが、深津さんが共感する部分はありますか?

ないです(笑)。仕事ができない! と思ったことはないですし、たとえできないような状況になっても、逃避することはないですね。西原さんご自身も、仕事をしないでお酒を飲むなんてことは絶対にないとおっしゃっていました。スランプだなんて言っていられないって。わたしも同感です。

深津の知られざる少女時代とは?

深津絵里

Q:菜都美の故郷は、鮮やかな緑の自然が郷愁を誘いますよね。

田舎がある方は特にそうですよね。わたしも出身が大分ですし、昔は田んぼのあぜ道を通って学校に行っていたので、故郷を思い出しました。

Q:深津さんも少女時代は、菜都美のように上京すれば未来が変わると思っていましたか?

わたしは14歳のときに上京してこの仕事を始めたんですけど、東京ってどんな街なんだろう? というあこがれがすごくあって、単純に面白そうだと思っていました。まだ子どもだったんですよね(笑)。

Q:では、本作の少女たちのように、将来への不安を抱いたことは?

東京で映画に出演することになって、生活が急変したことへの不安は多少あったかもしれませんが、とにかく楽しいという気持ちの方が強かったです。もしも18歳くらいまで大分にいたら、この先どうなっちゃうんだろうとか、何をしたらいいんだろうとか、いろいろ悩んだかもしれませんね。でも、わたしは14歳でやりたいことを見つけられたので、ラッキーなのかも知れませんね。

Q:女の子の友情も重要なテーマですが、深津さんは友人に助けてもらったことはありますか?

大人になると、子どものころのように毎日連絡を取ったり、何でも相談したりする友だちを作るのは難しいですよね。でも、仕事で知り合った友だちは、何も言わなくても同じような悩みや苦しみを共感してくれるので、いつも見守ってもらっていると感じます。

作品に共鳴してくれる仲間を増やしたい!

深津絵里

Q:撮影現場では、菜都美の着こなしなど、深津さんが提案したアイデアもあったそうですね?

大したことではないんですけど、徹夜明けの犬の散歩は日差しがキツイだろうし、日焼けもしたくないだろうと思って、頭にショールを巻いてみたんです。後は、西原さんの意見を聞いて参考にしました。

Q:衣装や小物のカラフルな色使いも印象的でした。

監督の森岡利行さんは、絵本のような西原さんの世界を、何とか映画でも表現したいとおっしゃっていて、色彩感覚も大切にしていました。

Q:飼い犬のクウちゃんとの共演はいかがでしたか?

かなり癒されました。クウちゃんは本番になるとちゃんとお芝居をするんです。リハーサルではできなくても、本番になると思ったように動いてくれます。感性がスゴイというか、天才犬です(笑)。

Q:深津さんがこれから作品を観る方に伝えたいこととは?

とにかく原作に魅了されたところが大きいので、映画を観てくださる方には、ぜひ原作もご覧になってほしいと思います。特に女性に観ていただきたいですね。タイトルだけ見るとカワイイ印象ですけど、それだけじゃない女の子たちの姿が描かれているので、どこか共感できるところがあると思います。ああ、そうだよね! って、共鳴してくれる仲間が増えてくれたらうれしいです。


インタビュー現場に登場した深津は、まるでスポットライトに照らされているように輝いていた。素顔はとても謙虚で穏やかなのだが、そこにいるだけで華やかなオーラを放つ、まさに天性の女優だ。少女のようにかれんな雰囲気を持つ深津が、女の無頼派とも呼ばれる西原の分身的ヒロインをどのように演じているのか、ぜひともその目で確かめてほしい。

(C) 2009西原理恵子・小学館 / 「女の子ものがたり」製作委員会

『女の子ものがたり』は8月下旬より渋谷シネクイント、シネカノン有楽町2丁目ほかにて全国公開

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