シネマトゥデイ

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竹中直人、奥田民生
『僕らのワンダフルデイズ』
後世に残す前に、処分しなくちゃいけないものがたくさんある
『僕らのワンダフルデイズ』竹中直人、奥田民生 単独インタビュー

取材・文:鴇田崇 写真:吉岡希鼓斗

自分の余命がわずかなことを知った中年サラリーマンが、高校時代の仲間とバンドを再結成して、熱いハートを取り戻すまでを描く『僕らのワンダフルデイズ』。その中年サラリーマン役で主演した竹中直人と、劇中バンド・シーラカンズに、本作の音楽アドバイザーとして書き下ろしの楽曲を提供した奥田民生が、映画と音楽にまつわる熱いトークを繰り広げた。

■昔話じゃなく、中年オヤジたちの今を描いた話

Q:完成した『僕らのワンダフルデイズ』を観たときの感想は?

奥田:純粋に面白かったですね。バンドの話なので、中年の世代の人たちが楽器をいじっているシーンとか、そういうのは親近感が沸きました。世代的に僕よりちょっと上の人たちのドラマでしたけど、僕も似たようなものですし、彼らに似たような友だちがたくさんいるので共感しましたね。特にバンドが演奏をしているシーンは、若い世代にも面白く見えるだろうと思いました。

竹中:それは良かった! 直接出演している人間としては、恥ずかしくて冷静に観られないんだよね。人に、「おれさ、芝居浮いてなかった?」って聞いて、1年ぐらい経ってから観ることもあります(笑)。

Q:タイトルだけ耳にすると、青春時代の思い出を回想する映画かと思いますが、中年世代の今を描く熱いドラマでしたね。

竹中:最初はね、『オヤジバンド』っていうタイトルだったんですよ。最終的に『僕らのワンダフルデイズ』になったわけだけど、オッサンが高校時代の同級生と一番夢中になったバンド活動を再結成する話なので、青春時代って思うと何だかそのタイトルもしっくりきちゃった感じですね。それに、ユニコーンの再結成も16年ぶりに果たされたし、この映画もバンドの再結成の話ですから、それと同じぐらいの感覚で受け入れてほしいですね。

奥田:同じ感覚で、っていうことにはならないでしょ(笑)。

竹中:いやあ、「すばらしい日々」という名曲もありますしね。こうして話していくと、ユニコーンと『僕らのワンダフルデイズ』、そして、シーラカンズとすべてがつながっていくなぁ。奥田民生が、音楽アドバイザーだからか! そう聞くと、『僕らのワンダフルデイズ』が、より深いところでつながってくるような気がして、良かったと思います。最後にこの映画の主題歌「雲海」が流れてくると、涙なくしては観られませんね。

奥田:確かに、染みますよね(笑)。

■やらなくちゃいけない切実な問題とは?

Q:劇中に音楽は記憶に残る、というフレーズが出てきますが、後世に残しておきたいものはありますか?

奥田:いやぁ、考えたこともないですね。残るかどうかもわからないですし、誰かが残してくれれば、って感じですよね。

竹中:残す前に、処分しなくちゃいけないものがたくさんあるよなぁ(笑)。

奥田:(爆笑)あるある、それはあるね! 死ぬ瞬間に処分しなくちゃいけないものがありますよね。悩ましいですね。ただ、後世に残しておこうと思いながら何かをすることって、特殊な状況下だと思うんですよ。『僕らのワンダフルデイズ』の場合は、余命わずかだから主人公がそう思うように、普段はあまり意識していないと思いますけどね。

Q:もしも、実際に余命が半年だとしたら、余生はどんな活動に打ち込みたいですか?

奥田:うーん。半年間ですよね。その半年間の間で免許が切れそうになって、更新に行くかどうか真剣に悩むと思いますね(笑)。いやその、ちょっと忘れていましたで済むかな、っていう期待ですよね。まあ、正直、そうなってみないとわからないテーマですよね。普通に穏やかに暮らしているかもですね。

竹中:僕は運命で死ぬ前に、自分で死んでやる! って、ナイアガラの滝に飛び込みます。

奥田:(運命が)勘違いだったらどうするの?

竹中:それは、情けないねえ(苦笑)。

■奥田民生ワンシーン出演疑惑の真相を張本人が激白!

Q:奥田さんは、本作の音楽アドバイザーとして、どのようにかかわったのですか?

奥田:具体的に何かをアドバイスしたってことじゃないんです。音楽監督でもないし、うまく当てはまるものがなかったんですよね(笑)。それで、アドバイザーっていうことに落ち着きました。

竹中:僕はタンバリン担当なので、タンバリンについて何度か言われました。おれの作った曲なんだから、もっと魂を込めてたたけ! ってね。

奥田:全然言ってないです(笑)。ただ、バンドが練習しているところに一度お邪魔して、見学させていただきましたが、演奏がすごく良かった。楽器を初めて触る方もいらっしゃったのに、すごい感じが出ていましたね。感じが出ているって言いかたが、いやらしいですが(笑)。

竹中:確か、段田安則君と宅麻伸さんはまったく楽器は初めてだったと思います。

奥田:もし、楽器が初めてじゃない人が演奏した場合、リアルじゃなくなっていたかもって思いました。数十年ぶりの再結成なわけですから、たどたどしさが出ていたほうがリアルですよね。楽器を演奏することだけに集中するので、たたずまいで一生懸命だってわかりますよね。一生懸命だから、感じが出る。『僕らのワンダフルデイズ』のイメージに、ぴったり合っていました。

Q:そういえば、劇中で竹中さんが、「あ、奥田民生がいる!」っていうセリフを言いますよね。

竹中:本当はいないですけどね(笑)。だって、どうしても立派なスタジオの感じを出すために、一流のアーティストの名前を出さなくちゃいかんって思ったので(笑)。

奥田:許可取らんでいいし(笑)。普通は前もって聞きに行かないとダメですから。

竹中:そうなんです。でも、今回は音楽アドバイザーとして参加してくれているから、名前を使っちゃっても、「いいよ!」って、言ってくれそうな感じがしました。ただ、奥田民生じゃなくて、リンゴ・スターだ! ニール・ヤングだ! とか、誰でも良かったんですけどね(笑)。

■ユニコーン、シーラカンズの夢のコラボレーションなるか!?

Q:今回のコラボレーションを機に、今後お二人でワンダフルな活動をされるというのはいかがでしょうか?

奥田:僕はシーラカンズがテレビや武道館で演奏している姿を見たいですね。

竹中:一応、2曲ありますからね(笑)。武道館史上、最短のライブになりますよ。しゃべりも入れて30分! みんな曲を練習するのが大変だから、2曲しかできない(笑)。武道館の歴史に残るすごいライブになると思う(笑)。

奥田:前座とかどう? 10分ぐらいやってもらえれば(笑)!

Q:ユニコーンとシーラカンズの競演も見たいです。

竹中:おれたちオッサーン! って言いながらね(笑)。

奥田:リアル過ぎますよね。マジ、オッサンですからね(笑)。

Q:最後に、お二人からファンに一言ずつメッセージをお願いします。

奥田:バンドのお話なので、僕からはバンドをやりたい人が、世代などに関係なく観てくれたらと思います。

竹中:奥田民生の歌が最高です! おれは民生の歌を歌ったんだぜ! とみんなに自慢したいですね。オッサンというと悪い印象が多くあるけど、オッサンも捨てたもんじゃない。ライブシーンが大切な映画だと思うので、シーラカンズがコンテストに出るシーンは、楽しい気分になりますよ。また、奥田先生に書いていただいた曲が、あまりにもこの映画の世界を包んでくれています。歌っていて楽しかったしね。ライブシーンに向かって感動的なお話になっているので、そこを楽しく観てくれたらうれしいですね。

『僕らのワンダフルデイズ』は主人公の余命をテーマにしたお涙ちょうだいモノでも、青春時代こそ最高だったという懐古趣味のノスタルジックな気分に浸れる、後ろを向いているドラマでもない。描かれるのは、人生を謳歌(おうか)するため、一生懸命にバンド活動に打ち込む中年オヤジたちの必死な姿。その命題を主演の竹中が演技で体現して、音楽アドバイザーの奥田が音楽でサポートする。人生の後半戦に突入したシーラカンズのメンバーが奮闘している姿を通じて、改めて音楽が持っているパワーは偉大だということに気付かされる本作は、世代を超えて観てほしい感動ドラマだ。

映画『僕らのワンダフルデイズ』は11月7日より全国公開

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