シネマトゥデイ

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私的映画宣言 サード・シーズン3月

筆者の近況報告

高山亜紀

ドラマ「LOST」のPRで「来日」した真田広之さんに取材。久々にインタビューした真田さんは身体の厚み、頻繁に繰り出されるジョーク、そして主演の「マシュー(・フォックス)」の発音がすっかり向こうの人でした。
● 私的3月公開のオススメは、『TEKKEN 鉄拳』(3月20日公開)。

相馬 学

海外ドラマ「FRINGE/フリンジ」にハマる。毎回冒頭で想像を絶する大惨事が起こり、中には怪獣が出てくる回もあるから気が抜けない。J・J・エイブラムス『クローバーフィールド/HAKAISHA』スピリットさく裂!
●私的3月公開のオススメは、『ハート・ロッカー』以外では『ニンジャ・アサシン』(3月6日公開)。

山縣みどり

フランス映画祭のラインナップに今年は注目。ジャン=ピエール・ジュネ監督の久々の新作が気になる~。でも日本配給が未定の作品から観なくてはね。と、春になったらL.A.に映画修行の旅に出たいと思っています。
●私的3月公開のオススメは、『アイガー北壁』(3月20日公開)。装備も整っていなかった時代のアルピニストのガッツと体力に感動。

小林真里

1月にN.Y.で見たMOMAのティム・バートン展が壮絶すぎて昇天寸前。彼のダークファンタジーワールドへのこだわりと愛情の深さに感銘を受ける。あと、ハイチのベネフィット・コンサートでは、SpoonのブリットやBon Iverに交じって、ザック・ガリフィアナキスのコメディーショーを目撃。その天才芸に終始抱腹絶倒の嵐! 彼の出世作『ハングオーバー』を要チェックだ!
●私的3月公開のオススメは、『ハート・ロッカー』(3月6日公開)。

今 祥枝

行きつけのチェーン店の大きな本屋が、立て続けに閉店。活字離れ、本離れは深刻だなぁなどと憂いつつ、筆者も本屋にはよく出没するが、実際に買うのはアマゾン。キンドルやiPadが欲しい~! 職業柄、複雑な気持ち……。
●私的3月公開作のオススメは、『やさしい嘘と贈り物』(3月公開)。

ハート・ロッカー


(C) 2008 Hurt Locker, LLC. All Rights Reserved.

イラクに駐留するアメリカ軍の中でも、最大の危険を伴う爆発物処理班の兵士を描き、2009年の賞レースを席巻した戦争アクション。命知らずの兵士と仲間との確執と友情を軸に、緊張感あふれる爆発物処理の現場をリアルに映し出す。監督は『ハートブルー』『K-19』キャスリン・ビグローレイフ・ファインズガイ・ピアースらが脇を固める中、『28週後…』ジェレミー・レナーが任務に命を懸ける主人公を熱演。迫力ある戦場の描写と、兵士の勇気の裏にひそむ心理の繊細な描写に驚がくさせられる。

[出演] ジェレミー・レナーアンソニー・マッキー
[監督・製作] キャスリン・ビグロー

高山亜紀

10点決して有名とはいえない俳優たちをメインに据えたことで、画面からどのキャラクターが突然、いなくなってもおかしくないような状況は、まるでドキュメンタリーを観ているように観客にも緊張感を与え続ける。作り手が酔いしれるためだけの都合のいい解釈などは一切ないスッキリした潔い構成。そこにあるものをそのまま表現しているから、逆にいろんなことを考えさせられる。外見は美女なのになんて男前な監督なんだ! とほれぼれする。

相馬 学

9点任務明けまで約40日前から始まるカウントダウン式のストーリー展開に、エピソード中の爆破のタイムリミット。ピリピリした空気感がスリルと化すのは、良質のエンタメ映画の証し。そして戦場の緊張がどんなふうに理性を壊し、結果、兵士を平穏な日常に引き戻せなくするのかを、しっかり伝えている点も素晴らしい。殴り合いを「楽しむ」野郎社会の描写もジョン・フォード風でオールド・ファンにはうれしい!? こんな硬派な映画を女流監督が撮ったという点も含めて奇跡の逸品。

山縣みどり

8点爆弾処理員を軸に戦争の現実と兵士の負のメンタリティーを「これでもか!」とばかりに見つめたキャスリン・ビグロー監督のタフな視線にやられた。死と背中合わせの任務に日々にアドレナリンを分泌させて刺激中毒になる主人公と、死の恐怖におびえる仲間、戦争でもうけようとする傭兵(ようへい)くらいしか登場しないが、いわゆる「正義のための戦争」に対する現場のさまざまな考えを伝える脚本が素晴らしく、それをハードボイルドに演出したビグローの男前な姿勢に敬意を表したい。いや~、マジでかっこいい姐御(あねご)監督ですよ。冒頭であっさり死んでしまう某俳優はじめメジャー俳優が脇役でチラリと登場するのも彼女のきっぷの良さにほれての友情出演だしね。

小林真里

9点近年稀(まれ)に見る緊迫感に包まれた、重厚かつスリリングな戦争映画の傑作。スローモーションを用いた視覚効果も抜群で、その革新的な映像美はさすがキャスリン・ビグロー監督。そこで実際に起こっているに違いない恐怖や悲劇を正面から見せつけながらも、かといってただのマッチョな戦争映画ではなく、死と隣り合わせに生きる男たちの苦悩や恐怖心、さらには命懸けの任務を通じ育まれるきずななどドラマ性も秀逸。戦争の中毒性というユニークな観点が主題になっているのも特筆すべき点だ。元旦那の青いやつよりも何倍も価値がある作品。

今 祥枝

10点『ハートブルー』や『K-19』など、これまでにも男気あふれる映画を撮ってきたビグロー監督だが、本作を観ると過去作はどれも主演俳優やスタジオなりに遠慮していたんだなあとしみじみ。緊迫感にあふれた爆破シーンに甘さのかけらもない骨太な作風は、本気でやればここまでできるのだ! ということを証明してみせた会心の出来。ハリウッドで真のアクション大作を撮ることができる初の女性監督として惜しみない拍手を贈りたい。

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シャーロック・ホームズ


(C) 2009 VILLAGE ROADSHOW FILMS (BVI) LIMITED

『アイアンマン』ロバート・ダウニー・Jr『スルース』ジュード・ロウが、名探偵シャーロック・ホームズと相棒のジョン・ワトソン博士を演じるミステリー大作。国を揺るがす謎の敵を前に、ホームズとワトソンの強力なタッグで壮絶な闘いを繰り広げる。共演は宿敵ブラックウッドに『ワールド・オブ・ライズ』マーク・ストロングほか、レイチェル・マクアダムスら。『スナッチ』ガイ・リッチー監督が作り上げた、激しいアクションが満載の新ホームズに期待したい。

[出演] ロバート・ダウニー・Jrジュード・ロウ
[監督] ガイ・リッチー

高山亜紀

7点わたしたちが抱きがちなシャーロック・ホームズのイメージは気持ちいいほど裏切られる。とはいえ、このホームズ、キャラクターとしてはきっちり成立していて、そのツッコミ役のワトソンとの相性も抜群。何か慣れ親しんできた漫画が映画化されたような安心感がある。裏切ってなんぼのかわいい女泥棒アイリーンはまるで峰不二子だし。もはやホームズでもルパン三世でも構わないが、サスペンスというよりアクションアドベンチャーになっているのはいかがなものか。

相馬 学

7点発明・科学オタクで拳闘家でもあるシャーロック・ホームズ像は、ジェントリーな一般的イメージとはかけ離れているが、原作の主人公像はむしろそれに近い。作者コナン・ドイルへのリスペクトが感じられる点に好感。一方のドラマは一世紀前のジェームズ・ボンドか、半世紀前のインディ・ジョーンズか!? といった感じで、爆破にチェイス、肉弾戦とサービス満点。が、ミステリーと推理の部分をぞんざいにした点はどうしても引っかかる。ファンがホームズに求めるのは、そこだろ!?

山縣みどり

8点ガイ・リッチー監督のファンとして、メジャー系での復帰にまず拍手。頭脳派のイメージが強い名探偵ホームズの「腕に覚えあり」な一面を強調し、今までのホームズもので避けられていた彼の薬物依存症にもきちんと対処したのは原作に対する監督の敬意の表われだろう。でも、その描き方がコミカルなのはリッチー流解釈。脳内シュミレーション通りに敵を倒すホームズのアクション場面はユニークで思わず、「おおっ」と反応。19世紀末のロンドンの暗くどんよりとした風景や凝った美術、各キャラの個性を際立たせた衣装など今までのリッチー作品では軽視されていた演出面も見どころが多く、元妻マドンナに吸い取られた精気の完全復活も近いと見た!

小林真里

8点ガイ・リッチー監督が、遂にデビュー作『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』以来の傑作を届けてくれた! 謎が謎を呼ぶサスペンスを軸にしながらも、娯楽性の高い肉弾アクションに仕上げている点が本作の勝因。アイアンマンをホームズに抜てきした時点で勝ちだったのかもしれないが、ジュード・ロウとのコンビネーションも絶妙で、小粋なバディー・ムービーでありつつ、軽妙なユーモアに包まれたスマートかつ躍動感あふれるアクション・サスペンスなのだ!

今 祥枝

6点ジェレミー・ブレット主演の英国ドラマ「シャーロック・ホームズの冒険」をこよなく愛しているためか、ロバート・ダウニー・Jrのポップなノリに最後までなじめなかった。ジュード・ロウとの異色コンビも、もうちょっと落ち着いて楽しませてくれるとよかったのだが。もちろん従来と同じホームズ像では、わざわざガイ・リッチーが監督する意味もなく、アクションも満載で娯楽作としては十二分。ちょっと期待し過ぎたかも。

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NINE


(C) 2009 The Weinstein Company. All Rights Reserved.

『シカゴ』ロブ・マーシャル監督がメガホンを取り、『イングリッシュ・ペイシェント』のアンソニー・ミンゲラ監督が脚本を手掛け、トニー賞受賞の同名ブロードウェイ・ミュージカルをオールスター・キャストで映画化。主人公に『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』ダニエル・デイ=ルイス、彼を取り巻く女たちにマリオン・コティヤールニコール・キッドマンらアカデミー賞受賞者がきらびやかに華を添える。ゴージャスなステージで繰り広げられるエモーショナルな歌とダンスに注目。

[出演] ダニエル・デイ=ルイスマリオン・コティヤール
[監督・製作・振付] ロブ・マーシャル

高山亜紀

8点セクシー、かわいい、知的……女優たちが各々の持ち味を生かし歌い踊るシーンには観ていてうっとり。夢のような美しさだけにエンディングの映像が生きてくる。そこに映っているのは出勤前のキャバ嬢のようなキツいすっぴんの女たち。映画は虚構の世界。女優も生身の人間だと実感し、現実に引き戻される。その素顔映像だけでも観る価値十分。女優ってすごい。欲を言えばダニエル・デイ=ルイスにもっとイタリア男の色気、チャーミングさが欲しかった。

相馬 学

5点『8 1/2』を基にした舞台ミュージカルの映画化と聞けば、映画ファンとしては確かに食指が動く。しかし舞台の上ならともかく、そもそもあの作家性の強い映画を焼き直すことに意味があるのか? わがままアーティストの独り善がりな言い分を聞かされるのは、予備知識のない人にはストレスだ。すごいと思うシーンの一方でMTVと大差ないなあとも感じる部分もある、ミュージカル・シークエンスの出来・不出来の大きさも気になった。豪華キャストを観たい人にはオススメだが……。

山縣みどり

2点期待度が高かったわけじゃないのに、あまりのつまらなさにビックリ仰天。才能と男としての魅力に自信喪失した男の葛藤(かっとう)を描くはずが、ダメ男の自己弁護にしかなっていないのが最大の間違い。でもって、キャラクターの心の動きを歌と踊りで表現する展開がどれも同じで、観ている間中アクビの連発。ダニエル・デイ=ルイスはイタリア男に成り切るため、撮影中イタリア語しか話さなかったというウワサだったが、セリフは英語。笑止千万というか、やっぱり役づくりからポイントがずれていたとしか思えない。豪華スター共演が売りとは思うけど、観るべきはケイト・ハドソン。歌も踊りも予想以上に上手にこなし、芸域の広さを見せつけてくれた。

小林真里

6点キャストのアンサンブルは確かに過剰にゴージャスだけど、ミュージカル映画としての醍醐味(だいごみ)に欠ける作品。華はあるけど、本当にこれミュージカル映画なの? と思ってしまうほど、歌も踊りも迫力不足だし輝きはない。特に主演ダニエル・デイ=ルイスは、演技はともかく歌わせると三流でがっかり。ニコール・キッドマンケイト・ハドソンも印象薄。唯一、マリオン・コティヤールだけ光っていたが。無理にキャストを豪華にすることなかったのに……。

今 祥枝

7点デヴィッド・ルヴォーの舞台版は、モノトーンの世界に人物が曖昧(あいまい)に浮かび上がるようなシンプルで洗練された味付けが魅力。映画ではスターの大挙出演に美術や衣装の豪華さが、かえってあだとなったか。『シカゴ』とは違って、もともと虚実入り混じる設定ゆえ、映画ならではのオリジナリティーも薄い。とはいえ、このジャンルのファンとしてはゴージャスなミュージカル気分を満喫! ジュディ・デンチファーギー(ステイシー・ファーガソン)のナンバーが印象深く、マリオン・コティヤールの夫への恨み節ソングも思い切りよく痛快だ。

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筆者プロフィール

今 祥枝斉藤 博昭前田 かおり
中山 治美鴇田 崇相馬 学
高山 亜紀小林 真里山縣 みどり
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