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仲里依紗、中尾明慶
『時をかける少女』
昭和という時代はいいなあってあこがれます
『時をかける少女』仲里依紗&中尾明慶 インタビュー

取材・文:鴇田崇 写真:高野広美

筒井康隆による原作が誕生して以来、幾度となく映像化された「時をかける少女」が、原作の主人公・芳山和子の一人娘・芳山あかりをフィーチャーした新たな少女の物語として復活した。文字通り、時代と世代を超えて多くの人々に愛され続ける不朽の名作に新たな息吹を与えるのは、アニメーション版で主人公の声を務めて絶賛された仲里依紗と、若手実力派の中尾明慶。1974年という時代を疑似体験した二人が、さまざまなテーマで語ってくれた。

■昔と今をつなぐ、いきものがかりのカバー曲が最高!

Q:オープニング直後からあの名曲「時をかける少女」が流れ出して、旧来からのファンは確実に興奮すると思います。

仲:わたしもあの曲が大好きで、今最もメジャーないきものがかりさんがカバーしてくれてすごくうれしいし、そこでまた昔の「時をかける少女」とつながっている感じがして、いいなあと思いました。

中尾:僕は音楽をまったく聴かない人間なのですが、いきものがかりさんのことは知っています(笑)。あのカバー曲の感じって、はやっているのかどうかも知らないですが、今の時代にはちょっと珍しい感じの曲のような印象を受けました。何と言うかちゃんとした歌(笑)? 歌をちゃんと歌ってくれている感じがして、すごく好きです。

Q:仲さんは細田守監督のアニメーション版『時をかける少女』でも主人公を演じられましたね。

仲:はい。でも、今回は主人公がまったく違うし、まったくの別物です。血がつながっている、いない? ちょっとその辺の家計図的なことは苦手ですが(笑)、アニメの主役は演じたけれど、「時をかける少女」というジャンルだけを背負い、今回は気にせずゼロから触れようと思って、頑張りました。

Q:中尾さんは仲さんが主人公の声を演じたアニメーション版『時をかける少女』を観ましたか?

中尾:まったく観ていませんでした(笑)! 実は「時をかける少女」そのものを知らなくて、普通に一本の映画としてお話をいただいて、原作が発表された当時のことを知らないので、一作品として接している感覚です。でも、自分の親たちや近所の人たちは皆「時をかける少女」のことを知っていたので、そのことを考えると、すげえな! っていうのはあります。

■面倒くさい者同士、最終的には仲良くなれました!

Q:その細田監督が、今回の2010年版が完成したことを受けて、昔の彼女がとられてしまったような心境とツイッターでつぶやいていた、というウワサがありますが。

仲:とられました、わたし(笑)? 真相はよくわからないですけれど、素直にうれしいです。細田さんって、外見がクマさんみたいでかわいらしくて、面白いんです。とても優しくて、大丈夫か? っていうほどほめてくれるので、アニメのときは調子に乗っちゃいました(笑)。アフレコがすごく楽しかった思い出があるんですよ。またやりたいなあと思っていたので、細田さんと出会えたから実写版がやれたようなところはありますね。

Q:中尾さんは劇中で映画監督志望の大学生役でしたよね。細田監督の心境はよくわかりますか?

中尾:その真意というか、どういう意味で昔の彼女をとられてしまったのかよくわからないから、何とも僕からは言えないですが、面白いですね(笑)。自分が育てたのに、新しい『時をかける少女』に行って……という感じかな? まあ、里依紗ちゃんはいいやつです。監督が好きなのも、よくわかる気がしますけどね!

Q:共演する以前は、お互いにどういうイメージを持っていましたか?

中尾:う~ん

仲:わたしのこと、面倒くさいっていつも言っていました!

中尾:そう(笑)。最初に会ったときに面倒くさそうだなって思ったんですよ。すごくプライドも高そうだし、マイペースだし、なんか嫌だなって。案の定、面倒くさかったー(笑)。でも、いい意味ですよ。プロ意識がとても高いし、周りにも流されないし、自分を曲げない。それはすごくすてきなことだと思うんですよ。だから僕は仲良くなれた気がします。僕はめったに共演者と仲良くならない。連絡先を交換して、ご飯に行く約束もしたのに、まだ行ってないですけどね(笑)!

仲:全然、誘ってくれないんですよ! 本当は行きたくないんじゃないって。その場だけの社交辞令ですよね(笑)!

中尾:あー、やっぱり面倒くせー(笑)。でも、里依紗ちゃんは男友達の一面を持っていて、もちろん女友達の一面も持っているので、僕はすごく話しやすいですね。最初は面倒くさくて、結果的にも面倒くさいんですけど、そこが女優仲里依紗の魅力だと思っています。

仲:ありがとうございました。お世辞を言ってもらって。

中尾:素直じゃないのね~!

仲:わたしは中尾さんのことを逆に怖い人だと思っていました。とても無口な人ですし、こっちが一生懸命話さないとしゃべってくれないタイプじゃないかって。

中尾:おれも面倒くせえ(笑)!

仲:そう! お互い面倒くさいってことで(笑)。

■ケータイもメールも、インターネットもない時代は、全然アリ!

Q:劇中1974年という時代を疑似体験されたわけですが、カルチャーショックを受けましたか?

中尾:今でもおばあちゃんが昔からやっている定食屋さんをはじめ、銭湯があったりして、ところどころ昭和のニオイが残っている場所があるじゃないですか。そういう意味では、1974年という時代にすごく驚いたことはないのですが、自分が生まれてもいないのに、どういうわけか落ち着く時代でした。とても人同士が近い気がして。やっぱり昭和という時代はいいなあってあこがれますよね。

仲:わたし、平成元年生まれなので、昭和の最後です(笑)。

Q:1974年は、携帯もメールもインターネットもない時代ですよ。それなのにあこがれますか?

仲:いいと思います! 心が豊かになっていくような気がしますね。携帯が休日に鳴るのは嫌じゃないですか(笑)。常に電波を身に着けていて、常に気を張っていないといけないじゃないですか。昔は携帯を触りまくっていましたが、今は完全放置です。昨日なんか携帯を家中探してほこりまみれになって出てきましたけど(笑)。

Q:映画では当時の恋愛観も描かれていますよね。メモを残して待ち合わせ場所で一人で待つというように、恋人同士の時間の流れ方もまったく違いますが、恋愛観についてはいかがですか?

仲:相手が本当に来るかわからないけれど、待つ。そのドキドキ、ウキウキ感がいいと思います。お父さんとお母さんが付き合っていた時代は、固定電話じゃないですか。お互い同時に電話をかけて、いつも話中だったという話を聞いたことがあります(笑)。

中尾:すげー!

仲:いつもそうだったみたいです。

中尾:気が合うんだね。

仲:二人とも初めて付き合った人同士で結婚したんです。それでも、今でも仲良しです。そういう時代っていいなあって思っていました。かわいいって感じです!

中尾:今はいろいろと便利ですが、その分、恋愛や恋人同士に限らず、人付き合いが薄くなっているような気がしますよね。僕らの世代がどんどんと情報を発信していく立場を作って、人同士のあり方とか、いろいろなテーマを映画やドラマのストーリーに加えて発信していきたいと思いますね。

仲:わたしはただ純粋にお芝居が好きなので、仕事をしている感覚が少なくて、体力的にきついこともあるけれど、だからこそ観ている人に影響を与えたいと考えるようになりました。今回の『時をかける少女』を観て、みなさんに幸せになってほしいです。

■45年間、「時をかける少女」ブランドが変わらぬ人気を保っている理由とは!?

Q:「時をかける少女」が誕生して45年です。これほど長く愛されている理由はどこにあると思いますか?

中尾:結局、人は人が好きだから、ということに尽きるような気がしますね。この映画はアナログとデジタルが見事に融合していると思うけど、人と人とのきずなの作り方は昔から変わらないアナログであるということを教えてくれます。何度も映像化されて物語が全然違っても、人と人がぶつかり合って、本気で笑って、本気で泣くという人間的なところは同じまま。そこが45年間も「時をかける少女」が愛されている理由なのだと思います。

仲:それに、ブランドができているからだと思います。ルイ・ヴィトンと一緒です(笑)。

中尾:やっぱ、ちょっと面倒くさいでしょ(笑)。ヴィトンと一緒ってどういうこと!?

仲:「時をかける少女」というブランドが新作を作り続けていて、その一番新しいストーリーが今回の映画というイメージです。例えば、最初に原田知世さんがいて、その後にもいろいろな作品が生まれて、その中のアニメーションと2010年版を仲里依紗が担当しているような感じだと思います。

中尾:その全シリーズが愛されている理由は何なの?

仲:最初から女の子が主役というのは変わっていなくて、ストーリーは変わっていっても、根本的なものは何も変わっていない。単純に続編みたいにシリーズ化していただけなら、また違っていたかも。新しく生まれ変わっているから愛され続けていると思います。

中尾:よかった~、その結論までたどりついて(笑)!

今回初共演を果たした仲と中尾は、いいリレーションシップを築けたのか、終始本音トーク全開で気持ちのいいインタビューになった。他愛のない友達感覚の対話の中にも、時にデジタル時代の人間関係のあり方について鋭い意見が飛び交う一幕も。情報通信技術の進化で希薄な人間関係を生み出してしまったのは大人たちであり、デジタル世代の渦中にいる当事者的存在の若者からの貴重な返答と言えそうだ。『時をかける少女』を観れば、仲と中尾が言うように、少なくとも人と人とのきずなの作り方、深め方は、いつの世も変わらないことに誰もが気付くだろう。

(C) 映画『時をかける少女』製作委員会2010

映画『時をかける少女』は3月13日、新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ渋谷ほかにて全国公開

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