シネマトゥデイ

成海璃子、北乃きい
『武士道シックスティーン』
自分のために仕事をすることが、応援してくれる人たちに通じる
『武士道シックスティーン』成海璃子&北乃きい 単独インタビュー

取材・文:鴇田崇 写真:高野広美

人気作家・誉田哲也の同名ベストセラー小説を、『奈緒子』『ホームレス中学生』など青春映画の旗手・古厩智之監督が実写化した『武士道シックスティーン』。剣道を通じて成長を遂げる対照的な二人の女子高生の青春を切り取る、現代的なスポ根ドラマだ。試合に勝つことだけが至上命題の磯山を成海璃子が、勝敗にこだわらず剣道を純粋に楽しめれば満足の西荻を北乃きいが、それぞれ好演。出演を経て人生について思いをめぐらすまでになったという彼女たちに話を聞いた。

■ハマリ役と言われてもピンとこないけれど、役を駆け抜けた撮影期間

Q:原作の段階からお二人にピッタリのキャラクターでしたね。

成海:ピッタリかどうかは自分ではわからないですけど(笑)、原作を読みながら磯山というキャラクターは、とてもいいなと思っていました。読みながらすごくやりたくなったので、自分が演じられることが、とてもうれしかったです。撮影中は、本当に磯山を生きていた期間でした。

北乃:うーん、ピッタリかどうかは自分で決めることじゃないかな~(笑)。観てくださった方が決めることかもしれないので、自分自身ではちょっとわからないのですが、一応、自分の中では早苗になれていたとは思います。こんなにコミカルに演じるのは初めてだったので、クランクインまでとても楽しみでした。

Q:成海さんは、自分自身をすべてさらけ出さないと乗り切れない! と思われたそうですね。

成海:毎日考え方が変わるので、そのときはそう言っていただけだと思いますが、撮影現場自体があまり楽しくなかったんです。それは、磯山というキャラクターだから、誰と話していてもあまり楽しくならないし、そんな感じで、もう無理! って思いながら撮影していました。それでもまだ走れちゃう自分自身もいて、無理なのにまた走って、最後まで駆け抜けた感じですね。

Q:北乃さんも、成海さんと同じような心境で撮影をこなしていたのですか?

北乃:わたしは、演じていてしんどいと思うと、ダメになって続けられなくなっちゃいます。楽しいと思わないとできないから、楽しいと思っていつもやっています。たぶん、自分が楽しいこと以外に興味がないから、しんどいと思うと続かない、興味があることにしか没頭できないタイプなんです(笑)。どうしても、好き、が先行しちゃうんですよ。たとえば、英語の文章を訳すことは嫌いだけど、好きな洋楽の歌詞はすぐに全部訳しちゃうとか。楽器とか絶対に無理! と思っていても、好きなロック歌手がいたら、ギターやアンプをそろえちゃうタイプですね(笑)。

■すべての気持ちを込めた空き地での決闘は、迫力満点!

Q:今回、剣道の世界や剣道家たちに触れてみて、改めて感じたことはありましたか?

成海:全然余裕がなかったんです。だから、あまり会話とかしていないし、感じる余裕がなかったと思います。剣道の気合の一声は、自分があそこまで大きな声が出るとは思っていなかったんです。コントロールではなくてほえている感じだから、普通に大声を出そうと思っても出ないんですよ。自分の中のものを全部出すような気持ちで大声を出すと成功するんですけど、自分には無理、無理って思っていたので、だけどできちゃって、よくやったなあという感じですね(笑)。

北乃:本読みの段階から迫力がありました(笑)。あの気合の声は、実際にやってみるとできない~って感じなんですよ。普通に出そうと思っても出ないんです。どう出していいのかわからなかったし、皆で戸惑うこともありました。これは声だけの話ですが、意外に難しかったですね。

成海:大きいというか、ヒドイ声です(笑)。自分ではよくわからないですけど、そこだけの世界に入ってしまう感じだと思います。

Q:空き地での果たし合いは、大声と共に竹刀によるバトルに、ただならぬ迫力がありました。

成海:結局、そのシーンに感情をすべて持っていくように演じていたので、たくさんけいこを重ねましたし、実はそのシーンでクランクアップだったんです。でも、迫力を出そうとは思っていなくて、そのときの気持ちがそうさせていたのだと思います。

北乃:この映画は、順撮りに近かったので、つなげてきた気持ちを最後に吐き出した感じですね。確かに、あの決闘シーンで、すべてを出し切るみたいな感じがありました。

■何のために演じるのか? わたしたち悩める10代なんです!

Q:戦う相手がいて、勝ち負けを決める真剣勝負という意味では、剣道と俳優の世界は同じだと思いますが、初心に戻ることもありそうですね?

成海:そうですね。わたしは、何のためにこの仕事をやっているのかとすごく思います。

北乃:思う、思う!

成海:まるで磯山みたいですね(笑)。結局は、よくわからないままですけど……。

北乃:そういうこと考えますよね。カメラが回っている瞬間に考えることが多いです。自分のために皆が頑張っている、セッティングを待っている間に、わたしはふと思ったりします。なんでわたしはこの仕事をしているのだろう? この仕事ってそもそも何だろう? って。一言で言えば、自己満足かなって考えたりするけど、最近は人のためではなく、自分のためじゃないかなと思えてきました。自分のために仕事をすることが、応援してくれる人たちに通じるのかもしれないですが、人のために頑張って喜ぶのはその人だけですよね? だから、自分のために頑張ることに去年から決めました(笑)。何のため? って、考え始めると、この仕事は答えがないから、キリがない気がして……。わたしは考えることをやめました。言い聞かせですね(笑)。

成海:わたしは映画が好きで、人が好き。作品を作っていくことが好きです。映画では、照明部、撮影部がいて、俳優部って何だろうな? って思います。そこは最近よく考えるところですね。

Q:学びの多かった『武士道シックスティーン』を受け、今後どう変わっていきたいですか?

北乃:きっと、この時期っていろいろなことを考える時期なんですよ。璃子ちゃんが言っていることすごくよくわかる! 今こうしていても考えているし、わたしには、やりたいことがたくさんあるので、生きているうちにそれを果たしたいです(笑)。

成海:そうなのか(笑)。

北乃:そう(笑)。目的があるんです。介護やボランティアが好きで興味があります。今の仕事でいろいろと学んでいるので、それも将来の糧になります。死ぬまでにやり遂げたいと思います。

成海:わたしは、面白く生きていきたいです。無謀なことをしていたい。たぶん、これ以上頭が良くなるとは思えないけれど、面白く生きたいですね(笑)。

成海と北乃は、寡黙で勝負に生きる磯山と活発で自由な西荻のイメージそのままで、役が完全に抜けていないのでは? と思えた。恐らく彼女たちの出演作を観たことがある人なら、本作がどれだけハマリ役なのかをわかってもらえるはずだが、それは磯山と西荻が成長途中で感じた悩みなどを、同世代の彼女たちも同様に感じ、役と呼応していたからだ。彼女たちが、この時期、この瞬間に役を演じることで、理想的な映画になったと言っても過言ではないだろう。

(C) 2010 映画「武士道シックスティーン」製作委員会

成海璃子ヘアメイク:杉山まゆみ スタイリスト:竹下あゆみ
北乃きいヘアメイク:阿井真理 スタイリスト:大波彰宏

映画『武士道シックスティーン』は4月24日よりテアトル新宿ほかにて全国公開

[PR]

この記事を共有する

映画アクセスランキング
  • Loading...
»もっとランキングを見る«
スポンサード リンク
スポンサード リンク