シネマトゥデイ

木村佳乃
『告白』
自分の子どもは死んでも守ると思います
『告白』木村佳乃 単独インタビュー

取材・文:斉藤由紀子 写真:尾藤能暢

2009年の本屋大賞に輝いた湊かなえの同名ベストセラー小説を、映画『嫌われ松子の一生』『パコと魔法の絵本』などで知られる中島哲也監督によって映画化された『告白』。本作は、松たか子ふんする教え子に愛娘を殺された中学校の教師が、自らの手で犯人に処罰を与えようとする衝撃のミステリーだ。本作で、犯人である息子をでき愛する母親を演じた木村佳乃が、重いシーンの連続で大変だったという撮影時のエピソードや、親子について思ったことなど、素直な気持ちを語ってくれた。

■今までやったことのない役柄にチャレンジ!

Q:登場人物の独白形式で展開する原作なので、映像化は難しかったと思うのですが、見事な映画化作品でしたね。

原作を読んでから中島監督が書いた脚本を読ませていただいたんですけど、作品の世界観がまったく変わらなかったんです。もちろん、多大な時間をかけて、ご苦労されながら書かれたんでしょうけど、本当にうまく脚本にされましたよね。監督のこれまでの作品と同じように、素晴らしい映画になりそうだなと思いました。完成した映画も想像以上の面白さで、まばたきするのを忘れるくらい見入ってしまい、目が乾いてしまいました(笑)。

Q:作品の内容がショッキングで、しかも、子どもをでき愛する母親という今まであまりない役柄。かなりの挑戦だったのでは?

確かに今までやったことのない役柄でしたけど、親だったら誰でも子どもに無償の愛を注ぐでしょうから、演じるのに抵抗はなかったです。原作も脚本も母親の人となりがわかりやすく書かれていたので、彼女の気持ちを理解することができましたし、監督にわたしの解釈を話したときもズレていなかったので、これなら大丈夫だと思いました。

Q:教師を演じた松たか子さんと岡田将生さんも、今までのイメージを覆すような役柄でしたね。

お二人とも素晴らしかったですよね! この作品に出演された方は、生徒役の皆さんも含めて、本当に素晴らしいと思います。中途半端な演技をしている方が誰一人としていない。そういった部分にも、中島監督のすごさを感じますよね。

Q:中島監督は、女優さんに厳しいと言われていますが、現場ではいかがでした?

そんなことないですよ。監督は演出が明確でわかりやすいし、とても合理的なんです。絵コンテもご自分で書いていらっしゃって、イメージがしっかり決まっていらしたみたいですね。それに、わたしたちをうまく役へと導いてくださるので、とてもやりやすかったです。

■休憩時間は共演者と恋バナで大盛り上がり!?

Q:子どもを信じるあまり恐ろしい事態を招いてしまう母親を、どのような女性だと解釈されたんですか?

わたしが今回演じたのは、だんなさんと子どもたちをとても愛していて、家の中にバラを飾ったり、クッキーを焼いたり、家事も上手にこなす理想的な専業主婦なんです。きっと、家庭ではいい妻でいいお母さんだと思うんですけど、息子の直樹が性格的に弱いところがあるので、ちょっと過保護になり過ぎている。そして、直樹が不登校になって奇妙な行動をとるようになると、パニック状態になってしまう。彼女はキャパシティーが狭いので、自分の引いた幸せのレールから外れてしまうと、まったく対応できなくなってしまうんですね。

Q:感情を爆発させる役だけに、撮影も大変だったのでは?

重いシーンばかりでしたから、かなり大変でしたし疲れました(笑)。毎日セットにこもって直樹を演じた藤原(薫)くんと泣いたりわめいたりしていたので、追い詰められるような気持ちになるんです。藤原くんはすごく素直で頑張り屋さんなんですよ! 二人きりのシーンが多かったので、まるで相棒のような感じでしたね。

Q:とてもエキサイティングな撮影だったようですが、休憩時間はどう過ごされていたんですか?

藤原くんの好きな女の子の話で盛り上がっていました(笑)。二人で食事をしながら、「好きな子いるの?」と聞いたら、いろいろ教えてくれるんです。あのくらいの年ごろって、好きな子が何人かいて、お気に入りの順番がすぐに入れ替わったりするんですよね(笑)。あとは、藤原くんのご両親の話を聞いたりしながら、楽しく過ごしていました。

Q:だからこそ、息の合ったお芝居ができたのでしょうね。

家族を演じる共演者の方とは、コミュケーションをとることが大切だと思うんですよね。しかも、今回はお互いをとても愛している親子関係だったので、なるべく休憩時間も藤原くんと一緒に過ごすようにしていたんです。

Q:今回、過保護な母親を演じて、子育てや親子関係について改めて考えたことはありますか?

この作品に出演して、「もしも自分の子どもが人を殺してしまったらどうしよう!」って想像してみたこともありますが、起こってもいないことを悩んでもしょうがないので、想像するのをやめちゃいました(笑)。実際にそうなってしまったら考えることにします。でも、自分の子どもは死んでも守ると思います!

■原作者の湊かなえが本作を大絶賛!

Q:原作者の湊なかえさんは、今回の映画化で「告白」という作品のさらなる向こう側を見たとおっしゃっていますね。

原作者の方からすると、うまく映画化されればいいでしょうけど、納得できない仕上がりだったら困るでしょうね(笑)。やはりご自分の作品ですから、こだわりもあるでしょうし。村上春樹さんも、「ノルウェイの森」の映画化にあたって、トラン・アン・ユン監督なら任せてもいいとおっしゃったそうですしね。でも、湊さんが気に入ってくださったのなら、わたしもこの映画にかかわらせていただいた一人として、すごくうれしく思います。

Q:そんな本作には、中学生のいじめや学級崩壊の様子がリアルに描かれています。木村さんは中学時代をニューヨークで過ごされたそうですが、日本との違いを感じませんでしたか?

アメリカ人のいじめはもっとスゴイですよ! 陰湿ではないけれど、ボールや生卵をぶつけたりとか、あからさまにいじめるんです。子どもって素直だから、容赦なくいじめてしまうんですよね。わたしの場合は、日本人ということでイヤな思いをしたことがありますけど、そんなときは無視していました。相手にしないのが一番ですよ(笑)。

Q:最後になりますが、本作の公開を楽しみにしている方に、木村さんが伝えたい思いとは?

この作品を観ていただいて、すごく好きになってくださる方もいらっしゃるでしょうし、もしかしたら、「ちょっと……」って思う方もいるかもしれません。でも、賛否の否があってこその評価だと思うんですよね。否があるということは、作品に個性があるということだと思うので、観ていただいた方に判断を委ねたいと思います。ただ、わたしとしては自信を持ってオススメできる作品なので、ぜひ劇場でごらんになってほしいですね。

作品ごとに演技の幅を大きく広げ続けている木村。今回の『告白』でも、息子を盲目的に愛する母親という難しい役柄を、血のりまみれになりながら熱演した。生徒に復讐(ふくしゅう)しようとする教師を演じた松と共に、すさまじいほどの女優魂をスクリーンに焼き付けている。ちなみに、今後の展望を木村に聞いてみたところ、「大好きなペドロ・アルモドバル監督と仕事をしてみたい!」とのこと。語学の堪能な彼女なら、本当に実現してしまうかも!? ますます目が離せない!

(C) 2010「告白」製作委員会

『告白』は全国公開中

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