シネマトゥデイ

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型破りシネマ塾

SFカルト映画を大特集

『アバター』が世界的な大ヒットを記録し、今年はSF映画に注目作が多い。中でもアカデミー賞候補になった『第9地区』やSFファンの熱烈な支持を受けた『月に囚われた男』など、いわゆるハリウッド大作ではない個性的な作品が面白い。そこで、これらに続きそうなSFカルト候補作とその魅力を、未公開の注目作と共にわかりやすくご紹介。当サイトでもおなじみの映画ライターがSFカルト映画の魅力を熱く語ります!  セレクト・文 / 相馬学

マイベスト3

『ウエストワールド』(1973/アメリカ)

『ウエストワールド』(1973/アメリカ)

監督:マイケル・クライトン 出演:ユル・ブリンナー、リチャード・ベンジャミン、ジェームズ・ブローリンほか
 

『ターミネーター』以前の衝撃的なロボットといえば、本作のユル・ブリンナーふんするガンマン・メカに尽きる。ハイテク・テーマパークで、突如ロボットが暴走というストーリーに加え、無表情のブリンナーに度肝を抜かれた。後に人気作家となる故マイケル・クライトンの監督作としても要注目。

DVD発売中、2,100円(税込)
販売元:ワーナー・ホーム・ビデオ
© 1973 A Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved.

『ブラジルから来た少年』(1978/イギリス)

『ブラジルから来た少年』(1978/イギリス)

監督:フランクリン・J・シャフナー 出演:グレゴリー・ペック、ローレンス・オリヴィエ、ジェームズ・メイソンほか

80年代を知る世代なら、テレビで見てショックを受けた人も多いであろう日本劇場未公開の傑作。ナチスを復活させようとする邪悪な計画。それは各地にヒトラーの遺伝子を持った子どもたちを育成させるものだった! 世界中に散らばる子どもたちの顔が皆同じという点もゾッとさせるに十分。

DVD発売中、3,990円(税込)
販売元:東北新社
© MCMLXXVIII ITC Entertainment. All Rights Reserved. Licensed by Carlton International Media Ltd

『ギャラクシー・クエスト』(1999/アメリカ)

『ギャラクシー・クエスト』(1999/アメリカ)

監督:ディーン・パリソット 出演:ティム・アレン、シガーニー・ウィーヴァー、アラン・リックマン、トニー・シャルーブほか

『スター・トレック』とそれを取り巻くファン熱をパロディーにした快作コメディー。宇宙を舞台にした往年のテレビシリーズの俳優たちが、本当に銀河系スケールのヒーローになってしまう! 落ちぶれた役者たちが活躍するばかりか、彼らを支えるオタク・ファンまでもが英雄になる展開にグッとくる。

DVD発売中、2,625円(税込)
販売元:パラマウント ジャパン
TM&© 1999 DreamWorks L.L.C. All Rights Reserved.

ブレイクなるか? カルトSF候補作

『スター・ウォーズ』のようなメジャーな作品は別として、SF映画は好き・嫌いが分かれやすいジャンル。そこには、好き派の多くが熱狂的に入れ込む作品、すなわちカルト映画が多く存在する。例えば、巨匠スタンリー・キューブリック『2001年宇宙の旅』『時計じかけのオレンジ』、新作『ロビン・フッド』が待たれるリドリー・スコット監督の代表作『ブレードランナー』『Dr.パルナサスの鏡』も記憶に新しい異才テリー・ギリアム『未来世紀ブラジル』などが代表例。これらの作品は今や傑作と呼んで差し支えないが、日本で初めて公開されたときは決して評価が高くなかった。時間をかけてジワジワと熱狂的なファンを増やし、傑作に成長していったのである。

くしくも2010年は、『アバター』が大ヒットしたことから、SF映画のブームが到来し、アカデミー賞ノミネート作『第9地区』も好評を博した。一方で『月に囚われた男』のように、地味だがSFファンの熱狂的な支持を獲得した作品もある。今年は、まだまだこの流れが続きそうだ。そんなワケで、これに続きそうなカルトSF候補生を紹介しよう。

『レポゼッション・メン』7月2日公開

カルトSF候補作品1:『レポゼッション・メン』

筆頭格は「鉤爪」シリーズで知られる人気作家エリック・ガルシア原作の『レポゼッション・メン』。人工臓器の移植が巨大ビジネスと化している未来社会を舞台に、そのローンが払えなくなった債務者から臓器を取り立てるプロ、通称レポマンの奔走を描く。最初は取り立てる側だった主人公も、やがては人工心臓を抱えて取り立てられる者となり、追い詰められ、ついにはこの横暴なビジネスそのものに立ち向かうことに……企業が権力を掌握し、人命が金よりも軽くなる、ゆがみゆく社会の風刺は、『未来世紀ブラジル』を連想せずにいられない。『ブレードランナー』にも似た、猥雑(わいざつ)な未来都市の描写も見どころだ。

『ぼくのエリ 200歳の少女』7月10日公開

カルトSF候補作品2:『ぼくのエリ 200歳の少女』

欧米での評価が高く、ハリウッドでのリメイクも進行しているスウェーデン映画『ぼくのエリ 200歳の少女』も注目の一作だ。バンパイアである少女に恋をしてしまった12歳の少年の心情を描く……と聞けば、『トワイライト』シリーズも連想されるところだが、そこはジュブナイル(ティーン向け)ものには定評のある北欧作品、リアリズムや詩情は段違いだ。少年の邪気のない恋心や、性の目覚めに寄り添った心理描写のリアリティーが観客の心情にシンクロし、衝撃の結末では圧倒的な切なさを感じさせずにおかない。SFファンを超えて支持される可能性を秘めている秀作だ。

ほか、日本公開は現段階では未定だが、『アドレナリン』シリーズの俊英コンビ、ネヴェルダインテイラーの『GAMER』(原題)は世相にフィットしたゲーム世代のスリラー。バーチャル戦闘ゲームの「コマ」となった囚人が生き残りを懸けて戦う、「『バトルランナー』ミーツ『デス・レース』」というべき内容で、『300 <スリーハンドレッド>』ジェラルド・バトラーが主人公を骨っぽく演じる。また、『CUBE』のヴィンチェンゾ・ナタリ監督が放つ『SPLICE』(原題)は遺伝子組み換えによって生まれたハイブリット生物の暴走劇。こちらは「フランケンシュタインの怪物」を連想させる、研究者のモラルを題材にしている。どちらもぜひ日本公開してほしい。

見逃せないDVDスルー作品

先にも述べたようにカルト映画の公開時の評価は決して華々しくはない。そういう意味では、劇場公開されないままビデオやDVD化された作品は、より埋もれやすいが、『ショーン・オブ・ザ・デッド』のようにジワジワと注目を高めた作品もある。そんなDVDスルー作品の中でカルトとなる可能性を秘めた近年の「原石」も、いくつか紹介しておきたい。

マニアックなSFファンならチェック済みの2005年の『セレニティー』は、テレビシリーズ「ファイヤーフライ 宇宙大戦争」の劇場版で、宇宙を行く「何でも屋」チームの冒険が描かれる。さりげない文明批判的な視線に加え、「ターミネーター:サラ・コナー クロニグルズ」の美少女ターミネーター役で注目されたサマー・グローの大暴れも見どころ。ルーク・ウィルソン主演の『26世紀青年』も文明批判的だが、こちらはお笑い寄り。21世紀の普通の青年がテレビやゲーム、ジャンクフードで低知能化した26世紀のアメリカで神のように崇拝されるという物語で、ブラックユーモアは満点だ。また、都市型近未来劇『ハードワイヤー 奪われた記憶』で警鐘を鳴らすのは、広告がはんらんする社会。企業の広告スペースが人間の脳内に及ぶという設定は斬新な上に、ゾッとさせられる。斬新といえば、8世紀の北欧を舞台にした『アウトランダー』も設定面ではその通りで、バイキングと異星人の交流、宇宙生物を倒すための共闘という展開が面白い。

最初に述べたカルト・クラシックスのように、観客の目に触れるにつれてジワジワと熱烈な支持を受けるもの。ここで紹介した作品も派手ではない分、すぐには評価されないだろうが、裏を返せばカルトとして成長する可能性を確実に秘めている。好き嫌いはあるだろうが、まずはここから自分のカルトを探してみてはどうだろう。

『セレ二ティー』(2005)

監督:ジョス・ウェドン 出演:ネイサン・フィリオン、ジーナ・トーレスほか
DVD発売中
1,500円(税込)
発売元:ジェネオン・ユニバーサル・エンターテイメント
© 2005 Universal Studios. All Rights Reserved.

『26世紀青年』(2006)

『26世紀青年』

監督:マイク・ジャッジ 出演:ルーク・ウィルソン、マーヤ・ルドルフほか
DVD発売中
1,490円(税込)
販売元:20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
© 2009 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.

『ハードワイヤー 奪われた記憶』
(2009)

『ハードワイヤー 奪われた記憶』

監督:アーニー・バーバラッシュ 出演:キューバ・グッディング・Jr、ヴァル・キルマー、マイケル・アイアンサイドほか
DVD発売中
3,990円(税込)
販売元:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント

『アウトランダー』
(2008)

『アウトランダー』

監督:ハワード・マケイン 出演:ジム・カヴィーゼル、ソフィア・マイルズ、ジョン・ハートほか
8月6日DVD発売予定、4,179円(税込)
販売元:パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン
© 2008 FILM & ENTERTAINMENT VIP MEDIENFOUNDS 4 GMBH & CO, KG

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