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サードシーズン2011年4月

私的映画宣言

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私的映画宣言 サード・シーズン4月

筆者の近況報告

斉藤博昭

4月の私的オススメ映画は、『メアリー&マックス』(4月23日公開)。

前田かおり

4月の私的オススメ映画は、『まほろ駅前多田便利軒』(4月23日公開)。

小林真里

4月の私的オススメ映画は、『ブルー・バレンタイン』(4月23日公開)。

山縣みどり

4月の私的オススメ映画は、『ナチス、偽りの楽園』(4月23日公開)。

中山治美

4月の私的オススメ映画は、『まほろ駅前多田便利軒』(4月23日公開)。龍平、いいわぁ。

SOMEWHERE


(C) 2010 - Somewhere LLC

『ロスト・イン・トランスレーション』『マリー・アントワネット』ソフィア・コッポラが、映画スターの家族のきずなや孤独をセンチメンタルに描いた人間ドラマ。ロサンゼルスの有名なホテルで自堕落に暮らす俳優が、娘との久々の時間を過ごす中で自分を見つめ直すプロセスを映し出す。主演は、『ブレイド』のスティーヴン・ドーフと、ダコタ・ファニングの妹で『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』エル・ファニング。美しい映像や音楽と共につづられる、父娘のさりげない交流と感情のうつろいに、心を洗われる。

[出演] スティーヴン・ドーフ、エル・ファニングほか
[監督] ソフィア・コッポラ

斉藤博昭

5点ハリウッドスターの私生活に「おぉ、ゴージャス!」「やっぱり孤独なんだ」と感嘆&納得させるのは、生まれながらにセレブなソフィア・コッポラ監督の腕の見せどころ。でもしょせん、『SOMEWHERE』があるのは「Over the Rainbow」。一般人の手の届かない、虹のかなたの世界。別次元として観ればいいんだけど、共感させようとする作りだから、なおさら遠くに感じたのかも。『ロスト・イン・トランスレーション』では、東京に来た外国人の孤独がひしひし伝わってきたのだが……。

前田かおり

6点自堕落な暮らしに身を置きながら、悶々(もんもん)と過ごす主人公。正直なところ、あまり共感できず。が、ソフィア・コッポラが自分と父との思い出を投影したホテル「シャトー・マーモント」での父娘の光景は美しく繊細で、心に染みる。娘を演じたエル・ファニングが大人の世界を見て見ないフリをするときの目の動き。姉ダコタより演技も自然な分、女優としての伸びしろは大。それにしても、ガーリー描写かうまいっ! 映像美といい、音楽遣いも秀逸。コッポラファミリーの後押しのない、彼女の作品を観てみたいけどねー。

小林真里

3点ソフィア作品とはそもそも相性が悪いのだが、その思いはさらに強まった。セリフをなるべく排し、カット数をミニマムにした、映像と雰囲気だけで構成した実験映画のごときシンプルな作風。結局そこからは、何も伝わってこない。感性で撮る人だとしても、それは個性ではなく、ただ受動的で投げっぱなしという逃避の技に過ぎず。彼女の唯一の武器だった音楽のインパクトも弱く、スティーヴン・ドーフの孤軍奮闘ぶりのみが目立った。予告編で十分。

山縣みどり

3点退屈で空っぽな作品。人気アクション俳優の空虚な人生をドラマにする狙いに無理があるのだが、そこに気取った分析やセレブリシャスなライフスタイル描写、おしゃれっぽいカメラワークが加わるもんだから、うっとうしさ100倍増。無意味な享楽を繰り返すアクション俳優にハリウッドの商業主義を代弁させるのも安易過ぎないか? 美的センスが伝わるカットなどにシネフィルを自称するソフィアの芸術家魂が垣間見られるが、見当違いな演出が多く、映画としての完成度の低さは驚がく的だ。

中山治美

3点ソフィア・コッポラって、かわいそうな子だね。『ロスト・イン・トランスレーション』と似たような映画を作るなんて。結局、父親に連れられて世界中を回っても、ホテルで過ごした思い出しかないのかな。幼少期の体験って重要だね。と、セレブゆえの生い立ちに同情もするも、だからといって自分の過去の遺産を利用して映画作りする監督は好かん。ついでに言えば、パーティー人脈で起用したようなスティーヴン・ドーフの主演も。ぬるい。ぬるいのよ、すべてが!

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ダンシング・チャップリン


(C) 2011フジテレビジョン / 東宝 / アルタミラ ピクチャーズ / 電通 / スオズ

『Shall We ダンス?』などの周防正行監督が、『街の灯』『チャップリンの黄金狂時代』などチャールズ・チャップリン作品をフィーチャーしたバレエ作品「ダンシング・チャップリン」をテーマに、ドキュメンタリーとダンサーたちのパフォーマンスによる2部構成で表現した異色作。第1幕では振付家のローラン・プティと周防監督との打ち合わせや、草刈民代ルイジ・ボニーノといったダンサーたちの練習風景などクランクインするまでの舞台裏を明かし、第2幕ではパフォーマンスを映し出す。こだわりをぶつけ合う演出家と監督、一流のプロフェッショナルたちの華麗な競演と、一瞬たりとも目が離せない。

[出演] ルイジ・ボニーノ、草刈民代ほか
[監督] 周防正行

斉藤博昭

7点前半は、ややヤッツケ的につなげた感じもあったが、苦労したリハーサルが完成作にどう生きたかなど、後半とのリンクを素直に楽しめた。その後半は、アングルや編集で観せたいところをしっかり観せ、周防正行監督は「舞台中継にはしたくない」と語るものの、「理想的な舞台中継」という仕上がり。そしてこの映画、よくよく観れば、周防×草刈の夫婦の結晶ではなく、チャップリン役、ルイジ・ポニーノの名人芸を堪能する作品。60代でもこれだけ踊れたら、幸せだろうな。

前田かおり

5点『ファンシイダンス』で修行僧、『シコふんじゃった。』で学生相撲など、自分の興味ある世界を映画のネタにしてきた周防監督。今回は妻・草刈民代によって開眼したバレエの世界を映画化。チャップリンの名作を題材にしたバレエ作品は「へぇー」という驚きもあり、舞台裏を追ったドキュメンタリーを交えた2幕構成にしたところでバレエ入門編といった感じ。ただ、本作は草刈のラストダンスも収めた作品でもある。その辺り、監督の愛妻家ぶりをどう感じるかで、作品自体の印象がまったく変わると思う。

小林真里

2点ドキュメンタリーとバレエという特殊な2幕構成。気の利かない映像特典みたいなこのメイキングは果たして意味があるのだろうか? と思っているうちに、前半が終幕。苦痛な5分間のインターミッションを挟み、ようやく本題のバレエ。チャップリンはただの物まねだし、ライブ(生)で観てこそのバレエを、わざわざ劇場映画用に撮った意図も結局わからず。監督が妻(主演の草刈民代)の引退のはなむけに作った、ただのプレゼント? それを商品にされてもねえ。

山縣みどり

4点2幕で披露されるバレエは美しいが、誰に向けているのか判断しかねる作品だ。理由は簡単、監督がなぜローラン・プティ振付のバレエ「ダンシング・チャップリン」を映画化したいのか、観る側に伝わってこないのだ。さらにプティの創造物から離れて、チャップリンの息子に父親の思い出を語らせる必要があったのかも疑問。映画監督としてチャップリン関連のエピソードを入れたい気持ちは理解できるが、軸足がブレている。愛妻である日本屈指のバレリーナ・草刈民代オンステージを作りたかったのではないかと、うがった見方までしてしまった。

中山治美

8点スワローズ好きが高じて古田敦也との共著「古田式」を出版したり、痴漢えん罪事件に関心を抱き『それでもボクはやってない』と発表したり、自分のあくなき探究心を娯楽というカタチに仕上げる行動力に感心する。本作は、妻・草刈民代と映画への愛でできた作品か? 2幕構成で、『Shall we ダンス?』の米国公開秘話をつづった書籍同様、撮影までの舞台裏を追った一幕目が秀逸。周防監督の手に掛かると、どんな巨匠もおちゃめに。そんな周防監督の人を見つめる目線が好き。

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キッズ・オールライト


(C) 2010 TKA Alright, LLC All Rights Reserved.

ある風変わりな家族を通し、真の愛情や家族のあり方を見つめた人間ドラマ。長年共に暮らしてきた同性カップルの子どもたちが、自分たちの父親を捜し始めたことから起きる騒動をコミカルに描く。監督は、『しあわせの法則』リサ・チョロデンコ。実力派女優のアネット・ベニングジュリアン・ムーアがカップルにふんするほか、共演には『ゾディアック』マーク・ラファロ『アリス・イン・ワンダーランド』ミア・ワシコウスカ ら豪華な顔ぶれがそろう。

[出演] キャリー・マリガン、アンドリュー・ガーフィールドほか
[監督] マーク・ロマネク

斉藤博昭

8点同性カップルが精子バンクを利用し、その子どもがすでに18歳と15歳って、アメリカの進歩ってやっぱスゴい。特殊性が強調されやすい題材を、この映画は、カップルの浮気や、仕事と家庭の関係、親子問題にフォーカスして、誰もが共感できる作りになったところが、さらにスゴい! キャストでは、ちょっと頼りないものの、お気楽な雰囲気を自然に出したマーク・ラファロがうまかった。こんな人だったら、遺伝子上の息子も、友達感覚でうまく付き合えそうだ。

前田かおり

7点アネット・ベニングがとっても男前だが、本作で光っているのは断然ジュリアン・ムーア。子どもたちのDNA上の父と浮気し、久しぶりの男性に「わお!」と感嘆の声を上げるなど、コメディエンヌぶりが光っている。同性カップルの種馬にされたマーク・ラファロの戸惑い顔もおかしく、演技派俳優たちのアンサンブルの妙が楽しめる作品。ただ同性カップル家族の崩壊の危機という点では、ひねりがちょい足りない。リサ・チョロデンコ監督も手掛けているドラマ「Lの世界」の方がもっとリアルで説得力もあるし、いろんな意味で深いぞー。

小林真里

8点レズビアン監督の、独特の視点で切り取られたユニークな設定の複雑な家族ドラマ。が、特にクセもなく、抵抗を感じるようなトリッキーな話でもない。誰もが共感できるような、普遍的な「家族の物語」に昇華されているのだ。演技派俳優3人とフレッシュな若手2人のケミストリーも抜群。ヴァンパイア・ウィークエンドで幕を開けてMGMTで締めるという選曲も完ぺき。ストレートの男性(マーク・ラファロ)への目線が若干厳し過ぎる気もするが、あれが現実というものなのでしょう。

山縣みどり

8点同性愛先進国アメリカでも同性婚家族ならではの悩みや葛藤(かっとう)はあるわけで、繊細なテーマをカラリとしたユーモアを交えて描く監督の手腕にしびれた。登場人物の心のざわめきがビビッドに伝わり、「ああ、わかる」とふに落ちる。かゆい所に手が届くがごとく明快な心理描写は監督自身も同性愛者なのが大きいだろう。男前な母を演じたアネット・ベニングと結婚のあり方に悩むパートナーを演じるジュリアン・ムーア、両親が後ろ指さされないように頑張る娘役のミア・ワシコウスカ 、いきなり父性に覚醒する精子ドナー役のマーク・ラファロら役者陣も秀逸。そして観る者を納得させる現実味があり、普遍的な家族ドラマとして楽しめるはず。

中山治美

8点『リトル・ミス・サンシャイン』とか『JUNO/ジュノ』とか、ハリウッドは米国社会の「今」を、粋なセリフで笑わせながら切り取るのがお上手。しかし同性カップルの家庭模様で、大女優2人が夫婦役とは! 挑戦的だね。日本でいえば、大竹しのぶと黒木瞳が共演するような感じ!? いやん、妄想膨らんじゃう(苦笑)。ただ物語の着地点はちょいと無難かな。しかしマーク・ラファロが粋なモテ男役だとは受け入れ難い。石原良純っぽくない?(笑)

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筆者プロフィール

今 祥枝斉藤 博昭前田 かおり
中山 治美鴇田 崇相馬 学
高山 亜紀小林 真里山縣 みどり
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