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石原さとみ&中村獅童
『鬼神伝』
勇気とか、信じる力ってすごく大きい
『鬼神伝』石原さとみ&中村獅童 単独インタビュー

取材・文:シネマトゥデイ編集部・森田真帆 写真:吉岡希鼓斗

1,200年前の平安時代を舞台に、鬼と人間の戦いをスリリングに描いた高田崇史の同名小説をアニメーションにした映画『鬼神伝』。現代の京都から平安時代にタイムスリップしてしまう主人公の中学生、天童純(小野賢章)が出会う鬼の一族の少女・水葉を演じるのは、ドラマや映画で活躍中の女優・石原さとみ。また、人々を脅かすものとして、鬼と戦いを繰り広げる密教僧の源雲を、歌舞伎役者の中村獅童が迫力たっぷりに演じている。出来上がった作品を観たばかりだという石原と中村が、改めて感じた本作の魅力を語った。

■2人の顔が浮かばない? キャラクターにピッタリと合った声

Q:お二人は、つい先日完成した作品を観たばかりだと伺いました。作品の印象はいかがでしたか?

石原さとみ(以下、石原):わたしは昨日観たばかりなのですが、映像がダイナミックで、スピード感がものすごくあるところに驚きました。アニメなのに、本当はCGで作ったんじゃないかと思うほどきれいな画面で、すごい迫力なんです。

中村獅童(以下、中村):本当に、迫力ありましたね。僕もびっくりしました。それから、音楽もいい!

石原:音楽を担当されているのが、宇崎竜童さんなんですよね。

中村:かっこいいはずだよね。

Q:お二人が担当されているというのを最後には忘れてしまうくらい、キャラクターが話す声がピッタリと合っていました。

中村:それは僕らには最高の褒め言葉だね。役者とか、女優さんとか、普段表舞台で顔が出ている人が声優やったときって、観ている間その人の顔がずっとちらつくじゃないですか。だから、すごくうれしいです。僕はこの作品を観たとき、(自分の声が)ものすごくハスキーだなと思って(笑)。アフレコをしたのが昨年の7月のことなので、あまり覚えていなかったんですが、作品を観て「ああ、こういう声を出していたんだ!」って思い出しました。

石原:わたしは、当たり前ですけど、自分の声だとわかってしまっているので、どうしても客観的には観られなくて……。だからエンディングまで誰がやっていたかわからなかったと言われることは、すごくうれしいです。

■日本人だからこそできた、鬼と人間の神話世界

Q:この映画の世界観はとても特別なものだと思いますが、鬼と人間の戦いというのは、日本特有の設定ですよね。

中村:神話を取り扱った歌舞伎の演目って、実はたくさんありまして、この映画にも、歌舞伎と同じく日本特有の歴史的な文化がたくさん登場します。楽しみながら日本特有の文化を勉強しようと思っても、普段はなかなか触れる機会さえないと思うんです。でも、エンターテインメントとして完成されたこの作品に触れながら、子どもから大人まで日本のこと、神話のことをわかってもらえるんじゃないかっていうことが、自分にとってすごくうれしいことでもありますよね。こういった映画は日本人でなきゃ作れない。まさに日本ならではの作品だと思うので、このような作品を、世界中の方に観ていただけたら良いなと思います。

Q:石原さんはこの映画の魅力はどこにあると思いましたか?

石原:誰が悪い人なのかを主人公がわかっていて、その悪と戦っていくという作品は多いと思うのですけど、一体何が悪なのかわからない状態から、信じられる道を自分で見つけていく物語ってあまり観たことがないなと思って。でも、どちらが正しいんだろう? と迷うことって人間誰しもあると思うんです。そういう描写が、子どもだけじゃなくて、大人が観ていてもすごく引き込まれる部分になっているのではないかと思います。

■正義感の強さは人一倍 悪いことに「やめろ」と言える大切さ

Q:主人公が、劇中で悪いことに「やめろよ」と言えるかどうか、それも大きなテーマになっていますが、日常ではなかなか言えないですよね

中村:僕は、結構言っちゃう方なんですよね。トラブルになるからやめなさいと言われるんだけど。禁煙の場所でたばこ吸っている人っているでしょ? あれ、必ず注意しますから。自分で車を運転しているときも、いちいち窓を開けて、「だめだよそこで吸っちゃ」って言いますね。もう亡くなりましたけど、僕の父親も、駅とかでマナーの悪い若者なんかを見ると、すごく注意をする人だったんです。昔ながらの真っすぐな人で、子どものころは、そんな父親の存在がすごく恥ずかしかったんですけど、自分もこの年になったら、父親と同じようになってしまいましたね。

石原:わたしも正義感は強い方だと思います。最近、人間ならそうするのが当たり前で、それが正義なんだってわたしが考えていることを、まったくそうは考えていない人もいるんだと知る出来事があって。今までは、そういうことがあると腹を立てることもあったんですけど、違う環境で育った人だと、そもそも自分と同じような考え方は生まれないんだというふうに思うようになりました。いら立ちも抑えられるようになってきましたね。

■すぐに現実がわかってしまう現代 だからこそ夢を持つ

Q:この映画を観る若い世代に、作品を通して学んでもらいたいことはありますか?

中村:勇気とか、信じる力ってすごく大きいと思うんです。でも、今はこの映画の主人公みたいに、自分を信じたり、夢を持つっていうことをなかなかできない、難しい世の中です。インターネットがあれば、いつだってすぐに現実がわかってしまう。そんなリアルばかりを突きつけられる現代に、夢を持ってなんて言ったら笑われそうだけど、そういう気持ちを大切に歩んでいってほしいんですね。映画を観て、そんな気持ちになってもらえればいいな、と思います。

石原:この映画って、すごい感動のハッピーエンドがあったり、男の子が急激に成長するっていうのとは少し違って、最後に「ちょっとだけ世界が明るくなったな」とか、「以前の自分よりもほんのちょっとだけ強くなれたな」って思うような物語なんです。人は、何かを乗り越えることができたら、誰でも少しずつでも強くなれる。そうすれば、未来はもっと明るくなる……そんな希望を持てる作品だと思います。

「実は中学生のころ、すっごく親に反抗していたんだよ!」と笑顔で少年のころを振り返った中村。本作の主人公・純のように、さまざまな葛藤(かっとう)を乗り越えなくてはならないような時期があったからこそ、中村の今の活躍があるのだろう。彼の言うとおり、インターネットから、すぐに現実を知ることができてしまう現代社会に生きる学生諸君も、時には彼のようなドラマチックな反抗期を過ごしてみるのもいいのでは。石原の言葉どおり、ほんのちょっとだけ強くなれたと思えるだけでも、未来は変わっていくのではないだろうか。

(C)高田崇史/講談社・鬼神伝製作委員会

映画『鬼神伝』は4月29日より全国公開

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