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ブロードウェイ出身の出世頭ブロードウェイ&テレビドラマのスター曼荼羅芸達者なベテランスターの宝庫『Law&Order』

今月の特集:アメドラで活躍するミュージカルスターたち

『glee/グリー』の大ヒットにより空前のミュージカルドラマ・ブームが巻き起こっているアメリカのテレビ界。主演格のリア・ミシェルほか、をはじめとする若手の有望株から実力派まで、アメリカのエンタメシーンから注目を集めているブロードウェイ出身のスターを一挙紹介。これを知れば、よりテレビドラマをディープに楽しめること必至!

文/今祥枝

ブロードウェイの劇場で無料配布される小冊子「Playbill」。表紙はアントニオ・バンデラス主演の「nine」  ブロードウェイで観劇したことがある人なら、劇場で無料で配られる 「PLAYBILL」というミニプログラムに見覚えがあるはず。そこにはキャストの出演作一覧が詳細に記載されていて、これを見ると驚くほど多くの俳優がテレビドラマに出演しているのがわかる。元来、ブロードウェイとテレビは古くからかかわりがあるのだが、現在も西海岸を拠点とするハリウッドに比べて、とりわけニューヨークをロケ地とするドラマや撮影の拘束時間が短くて済むゲスト出演などは、ブロードウェイで活躍する俳優が出ていることは少なくない。そこで今回はアメドラでおなじみの主役級から名脇役まで、1990年代から筆者が実際に観てきた舞台のミュージカルスターを中心に紹介していく。

ブロードウェイ出身の出世頭は『glee/グリー』のリア・ミシェル!

 学園ミュージカルドラマ『glee/グリー』の出演者の多くが舞台っ子なのは、周知の通り。中でも、出世頭はレイチェル役のリア・ミシェルだ。2006年に初演時のミュージカル「春のめざめ」を観た際には、彼女の上半身を露出した大胆演技に「いい度胸だな」と感心したものの、楽屋口はボーイズ目当ての大勢の女子どもで埋め尽くされていたので、決して美人とはいえない彼女がいち早くメジャーとなったのは、やや驚きである。もっともミシェルの声量は抜群なので、アイドルとしてではなく実力が正当に評価されるのは喜ばしい限り。本ドラマでは、舞台「ウィキッド」のクリスティン・チェノウェスとイディナ・メンゼルの実力派コンビも登場。「RENT」のオリジナルキャストだったメンゼルはミシェルもかなわない迫力の声量の持ち主。リバイバル版「プロミセス・プロミセス」も好評だったチェノウェスは、いかにもミュージカル向きの陽気なキャラが持ち味で、共にトニー賞受賞歴のあるパフォーマンスは一見の価値ありだ。

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ブロードウェイ&テレビドラマのスター曼荼羅

 永久不滅の人気を誇る舞台「RENT」のオリジナルキャストには、メンゼルのほかに『プライベート・プラクティス』のサム・ベネット役のテイ・ディグス(メンゼルとは実生活で夫婦)、『アリー my love』の医師グレッグ役のジェシー・L・マーティンといった人気者がずらり。1996年の初演時はオフ・ブロードウェイ発だったが、今考えると夢のようなキャスティングだ。『プライベート・プラクティス』のオリジナル『グレイズ・アナトミー』にも、ブロードウェイ出身の出世株としてサラ・ラミレスが出演している。ラミレスはマイク・ニコルズ演出の「モンティ・パイソンのスパマロット」でトニー賞を受賞した実力派だが、この舞台のオリジナルキャストもすごい。ティム・カリーハンク・アザリア、そして「カーテンズ」でトニー賞を受賞した、「そりゃないぜ!? フレイジャー」のデヴィッド・ハイド・ピアースが共演しており、それぞれの個性を発揮したサービス精神満点の楽しい舞台だった。

 ミュージカル的な要素が強い『アリー my love』で自慢の歌声をこれでもか! と聴かせていたのは、エレイン役のジェーン・クラコウスキー『30 ROCK/サーティー・ロック』でもハジけた演技&歌が楽しいクラコウスキーは、アントニオ・バンデラスがブロードウェイデビューを飾ったリバイバル版「NINE」でバンデラスの愛人役を演じた。天井からシーツを思わせる白い布を使って降りてくる演出とセクシーかつキュートなパフォーマンスは圧巻で、この作品でトニー賞を受賞。映画版では同役をペネロペ・クルスが演じていたが、この役に必要なユーモアや粋さに欠け、力み過ぎのパフォーマンスも残念だった。

 ほかに意外なところでは、『ザ・プラクティス』の豆ダヌキこと鬼検事リチャード役のジェイソン・クラビッツが、ミュージカル「ドラウジー・シャペロン」で、ぴょんぴょん飛びはねながら華麗なダンスを披露しているのを発見してびっくりしたことがある。また、『エイリアス』のヒロイン、シドニーのパパを演じたヴィクター・ガーバー、シドニーの宿敵スローン役のロン・リフキンもブロードウェイではおなじみ。ガーバーは舞台「アサシンズ」のサントラなどで歌声を聴くことができるし、主人公が見る幻覚のミュージカルシーンが魅力の『弁護士イーライの不思議な日常』でもパフォーマンスが楽しめる。筆者は2004年のリバイバル版「アサシンズ」を鑑賞したが、『ママと恋に落ちるまで』ニール・パトリック・ハリス『FRINGE/フリンジ』のスキンヘッドの謎の男を演じるマイケル・セルベリス『セックス・アンド・ザ・シティ』でシャーロットのゲイのウエディングプランナー、アンソニーを演じたマリオ・カントーネらが共演。いずれも劣らぬミュージカル畑のベテランが歴史上名高い暗殺者たちを演じて見応えがあった。セルベリスは2005年のリバイバル版「スウィーニー・トッド」のタイトルロールの演技も不気味かつ物悲しく圧巻だった。ちなみに、1979年の「スウィーニー・トッド」ブロードウェイ初演時にミセス・ラヴェットを演じたのは、『ジェシカおばさんの事件簿』アンジェラ・ランズベリー、若き船乗りアンソニー役はガーバーであった。

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『Law & Order』シリーズは、芸達者なベテランスターの宝庫

 さて、ストレートプレイも含めてブロードウェイの俳優が最も多く出演しているのは、おそらく20年続いた犯罪ドラマシリーズ『Law & Order ロー&オーダー』と、『Law & Order:性犯罪特捜班』をはじめとする系列である。犯人、判事、目撃者といったゲスト出演はもちろんのこと、主演クラスも豪華メンツ。中でもテレビ史上最も愛された刑事の一人、レニー・ブリスコーことジェリー・オーバックは「42ndストリート」や「シカゴ」など、数々の伝説の舞台でオリジナルキャストを務めたミュージカル界のスーパースターだ。ディズニーアニメ『美女と野獣』では給仕頭でろうそくに姿を変えられたルミエールの声を演じて、1992年のアカデミー賞授賞式でも素晴らしいパフォーマンスを披露してくれた。筆者は一度でいいからオーバックの舞台を観たかったが、願いはかなわずオーバックは2004年に他界してしまったことはいまだ心から残念に思う。そのブリスコーの相棒エド・グリーンを演じたのはジェシー・L・マーティンである。

 『Law & Order ロー&オーダー』の系列作品では、 『Law & Order:性犯罪特捜班』B・D・ウォンが出演している、宮本亜門演出によるリバイバル版「太平洋序曲」を観たことがある。ウォンの実力はよくわかったが、全体としてはイマイチピンとこない出来であった。1シーズンで終了した『Law & Order:Trial by Jury』ビービー・ニューワースは、人気コメディー『チアーズ』(テレビドラマ)でもおなじみ。リバイバル版「スイート・チャリティー」や「シカゴ」に出演しており、ブロードウェイでは言わずと知れたベテラン女優だ。現在上演中の「アダムス・ファミリー」は、彼女のファンにとっては少し物足りない出来であった。一方、4つ目の系列作品『Law & Order:Los Angels』で圧倒的な存在感を見せているのはアルフレッド・モリナ。2004年のリバイバル版「屋根の上のバイオリン弾き」ではデヴィエを演じていたが、モリナの朗々と響く歌声は本当に素晴らしくチャーミングな人柄もよくわかる演技だった。

 ほかにもまだまだたくさんの世に知られざる才能がひしめくブロードウェイ。米テレビ界では2011~12年シーズンに向けて、数多くのミュージカルドラマの企画が進行している。 『glee/グリー』に続くヒットシリーズの誕生に期待したい。

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