シネマトゥデイ

小栗旬&長澤まさみ
『岳 -ガク-』
すべての世代の人に贈れる、人間らしい映画だと思います
『岳 -ガク-』小栗旬&長澤まさみ 単独インタビュー

取材・文:鴇田崇 写真:高野広美

石塚真一による人気コミック「岳 みんなの山」を原作に、山岳遭難救助をリアルに描く山岳ドラマ映画『岳 -ガク-』が完成した。標高3,000メートル級の名峰が並ぶ日本アルプスで過酷な雪山ロケを行い、雄大な山の美しさと厳しさを同時に映し出す本作に、小栗旬と長澤まさみが出演。高度な山岳技術を持つ山岳ボランティア・島崎三歩役の小栗と、新人山岳救助隊員・椎名久美役の長澤に、危険と隣り合わせだった撮影エピソード、約8年ぶりの映画共演の感想、三歩と久美の気になる関係など、映画にまつわるさまざまな話を聞いた。

■厳しい山での撮影は、仲間意識と強い団結力でクリア

Q:小栗さんは原作のファンだったそうですが、出演が決まってかなり感激されたのでは?

小栗旬(以下、小栗):正直に言うと、「どうしておれが島崎三歩役なんだろう?」って思いました。『岳 -ガク-』が映画化されるのであれば、もっと体格がよくて、ちょっと丸っぽい人が演じるだろうなと思っていたんですよね(笑)。「オレに来るのかー!」って感じでしたね。

長澤まさみ(以下、長澤):わたしはお話をいただいたときに初めて原作コミックを読みましたが、それまで山のことをまるで知らなかったので驚きましたね。山登りそのものを、普通にハイキングをする程度にしか理解していなかったから(笑)、山での出来事にただただびっくりしましたし、知らないことだらけだったので面白かったです。

Q:山での撮影は過酷だったと思いますが、いかがでしたか?

長澤:山に入ると山でのルールがあって、普段の撮影や日常生活とは違って、本当に危険と隣り合わせで撮影していました。おかげで皆の仲間意識も増して、団結力が強い現場になりました。

小栗:そうだよね。撮影している間は、ずっと楽しかったです。

長澤:笑いが絶えない現場でしたね。苦しいこともあるだろうけれど、楽しくいいものを作ろうという気持ちが強かったので。山の中での待ち時間は長くて、寒くてきつかったけれど、そういうとき、小栗君が面白い話をしてくれました。

小栗:面白い話って、何だろう? 確かに、くだらない話はいっぱいしていたけどね(笑)。

長澤:一番面白いエピソードは、ここでは言えないです(笑)。

■三歩と久美は山の同志という関係

Q:三歩と久美の関係や距離感は、どうイメージして演じましたか?

長澤:久美から見た三歩は、ちょっと道外れというか、正統派の人ではないと思っていたような気がします。最初は「あの人は邪道」という存在の人だったかも。信じられないわけじゃないけれど、信じたくないような感じです。

小栗:三歩には、久美ちゃんを見守るっていう感覚はあったと思います。人によって距離感を変えるということは三歩にはなくて、新しく入ってきた人(久美)がたまたま女性で、その人が山を経験していないために、見守るようなイメージでいたと思います。

Q:三歩が久美を見つめる場面では、やや久美に特別な思いを抱いていたような気もします。

小栗:いや、三歩って、誰に対しても同じだと思う。確かにいろいろなことがあっての久美ちゃんだったので、より強い気持ちはあったと思いますけどね。

長澤:久美の失敗を三歩は自分の経験からわかるので、久美を見守っていてくれるんですよね。久美は三歩をだんだんと信用するようになるけれど、先輩という感じではないし、最終的には、山を分かち合える同志になりたいと思っていたかもしれないですね。家族や恋人という感じもしないですし、同じ立場に立ちたい距離感なのかなって思います。

■長澤まさみは8年前のほうが落ち着いていた!?

Q:『ロボコン』以来の映画共演ですね。この数年間を振り返ってみて思うことはありますか?

長澤:『ロボコン』で共演したときに、小栗くんは“死んだ魚の目をした少年”という役柄の設定が台本にあって(笑)。だから、簡単に地味か派手かでいうと、地味なオタクっぽい男の子の印象でした。でも、現場にいるときの雰囲気は頼りになる年上の男性という印象でした。特に今回は、三歩として見守ってくれている感じがとても心地よくて、やっぱり頼りになるという感じでした。

小栗:お互いにある程度落ち着いたなって感じですかね。当時、20歳と15歳だったので、お互いに少なからずキャピキャピしていました。だけど、まさみちゃんはあのころのほうが若干落ち着きがあった(笑)。当時は、共演の塚本(高史)と伊藤淳史の車に乗って、4人でドライブに出掛けたこともありました。

長澤:行きましたね! 一緒に遊んでいただいていました。

小栗:あと、ビンタがとてつもなく痛かったということを覚えています。メガネを飛ばさなくちゃいけなかったから、何度もビンタされちゃって。

長澤:小栗くんの掛けていたメガネが目に入りやしないか怖くて、怖くて。目にぶつかったらどうしようと思いながら、何回も落ちるまでビンタしましたね。

小栗:されたなあ。ビンタ(笑)。

長澤:わたし、けっこう手が大きいほうなので、ビンタはかなり痛いと思います。

小栗:今回の映画でまた共演をして、僕らは根本的にはまったく変化していないと思いましたね。

■高所恐怖症の小栗を支えたのは、信じるという気持ち

Q:小栗さんは高所恐怖症だそうですね。オファーを快諾した後、しまったと思いましたか?

小栗:トレーニングを始めてすぐに感じましたよ(笑)。いまだに高所恐怖症は治ってはいないんですけど、ロープを信用することができるようになってからは、どこにでもいられる感じにはなりましたね。今でも高いビルの上などは怖いなあと思いますけど、そこでもロープさえつけていれば懸垂下降はできると思います。

長澤:わたしは小栗くんよりも練習を始めたのが遅かったので、ロープを信用するまでに時間がかかりました。でも、練習を重ねていくうちにロープを信じられるようになるんです。というか、ロープを信じないと何も行動に移せないので「おい、相棒!」みたいな感じでロープを信じる努力をしました。

Q:「信じる」ことも本作のテーマですが、映画で山を好きになる人が増えるといいですね。

小栗:山が舞台の映画ですけど、山自体がどうのこうのではなく、そこにいる人間同士のかかわり合いと一人の女性の成長物語、そこで起こるいろいろな出来事が描かれています。観る人によって感情移入できる人やシーンも違うと思います。

長澤:面白い作品になっているので、観た人に素直に感じてもらえたらうれしいですよね。

小栗:本当にすべての世代の人に贈れる、人間らしい映画だと思います。

8年ぶりの映画共演となった小栗と長澤。長澤は三歩と久美の関係を山の同志と例えたが、過酷な撮影を経た小栗と長澤も、まさしく同志のようなきずなを今回の撮影で得たに違いない。そして、『岳 -ガク-』は小栗の言うように、山岳映画の形式をとったヒューマンドラマ。人間同士信じ合うことがいかに大切かというメッセージを含め、立場や境遇によって得られる感動が違うかもしれない。鑑賞後に語り合いたくなる一作だろう。

映画『岳 -ガク-』は5月7日より全国東宝系にて公開

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