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まえだまえだ&樹木希林
『奇跡』
メッチャ楽しい撮影現場でした!
『奇跡』まえだまえだ&樹木希林 単独インタビュー

取材・文: 斉藤由紀子 写真: 吉岡希鼓斗

映画『誰も知らない』以来、初めての子どもが主人公の作品として是枝裕和監督が、漫才コンビ・まえだまえだを主役に迎えた最新作『奇跡』。「九州新幹線の一番列車が擦れ違う瞬間、奇跡が起こる」といううわさを聞いた小学生たちが、つかの間の冒険に出掛ける様子を描いた本作は、台本を見ないで即興芝居に挑んだ子どもたちの自然な表情が見どころ。両親の離婚で別々に暮らす兄弟をリアルに演じた前田航基と前田旺志郎、そして、2人の祖母を演じた樹木希林が、脱線しまくりの爆笑トークを繰り広げた。

■遊び過ぎて助監督に怒られた!

Q:まずは、是枝裕和監督の映画に出演すると聞いたときの感想から聞かせてください。

前田航基(以下、航基):最初はオーディションだったんです。それまでは漫才のオーディションばかりだったので、「映画のオーディションがあったらぜひ受けさせてください!」ってお願いしていて、だから合格したって聞いたときはうれしかった。ですけど、ちゃんとした台本がなかったので、最初はどんな映画になるのかよくわからなかったです。

前田旺志郎(以下、旺志郎):オーディションに受かったときはメッチャうれしかったけど、初めての映画で主役だったから、ちょっと不安もありました。お兄ちゃんと一緒だから大丈夫かなと思っていたんだけど、実際の撮影では2人バラバラだったので、最初は不安でした。でも、みんなが優しくしてくれたので、どんどん楽しくなりました。

樹木希林(以下、樹木):初めは男の子と女の子が主役のお話だと聞いていたので、まえだまえだが主役になったと聞いて、よくわからないまま現場に行きました。どうなるのかわからないけど、まあ、やってみようかなという気持ちでしたね。実際は、「まえだまえだか!」という驚きはなかったです。だってほら、2人そろって漫才をやるわけじゃないし(笑)。

Q:とても楽しい撮影現場だったそうですね?

旺志郎:メッチャ楽しい撮影でした! 友達もたくさんできたし。

航基:僕も、一緒に共演した子たちとすごく仲良くなりました。

旺志郎:僕は是枝監督と一番仲が良くなりました。監督も僕たちと一緒に遊んでいたから、みんなで助監督さんに怒られました(笑)。

樹木:わたしがもっと現場にいたら、バシバシと怒ったと思います(笑)。

Q:樹木さんにとっても、楽しい現場だったのではないですか?

樹木:わたしは航基くんと一緒のシーンだけでしたし、この子がはしゃいでいるような場面はなかったですからね。離婚した娘が長男だけ連れて実家に帰ってきて、「お父さんの稼ぎがもう少しあれば……」みたいなグチを言うわけですよ。そんなところにいたわけなので、楽しくはなかったです。

航基:いやいや、楽しかったですよ! まあ、シーン的には楽しい雰囲気ではなかったけど。

■まえだまえだ、大先輩・樹木希林に物申す!

Q:航基くんは、芸能界の先輩・樹木さんと家族を演じてどうでしたか?

樹木:本当のことを言っていいんだよ。これから芸能界で会うこともないんだから。

航基:そんな寂しいこと言わないでくださいよー!

樹木:いや、あんたたちはこれからだけど、おばあさんはもう先が短いんだから、何を言ったって大丈夫だよ(笑)。

航基:じゃあ単刀直入に言いますけど、希林さんはマイペースですよね。是枝監督は、元々何度もリハーサルをする方じゃないんですけど、希林さんがいるとポンポンポン! と進んでいくんです。希林さんが何か意見を言うと「あっ、そうですね!」という感じで現場がキュっとなるので、身が引き締まる気がしました。

樹木:そんなにマイペースじゃないよ!

航基:自分ではわからないかもしれないけど、結構マイペースですよ!

Q:樹木さんは、まえだまえだと共演して何か感じたことはありますか?

旺志郎:僕、希林さんから「福耳だってね」って褒められました!

一同:(爆笑)。

樹木:そう、2人ともいい耳をしているんですよ(笑)。それに、とても礼儀正しい子たちだから、そのまますくすく育っていけば、いい大人になれるんじゃないですか。優れた人になれる要素がいっぱいあると思いますよ。

2人:ありがとうございます(お辞儀)。

樹木:子どもはお辞儀なんてしなくていいんだよ(笑)。

■映画の兄弟はおばあちゃん似だった!?

Q:ロケをした九州の思い出を教えてください。

航基:食べ物がおいしかったです!

旺志郎:かるかん(九州の郷土菓子)がおいしかった! 映画では「ぼんやりした味」って言っていたけど、ホンマはぼんやりしていなくてすごくおいしいんです! あと、馬刺しもおいしかったです!

航基:九州は第二のふるさとと言ってもいいくらい居心地が良かったです。たくさんビルが建っていて便利なんだけど、ふと見上げると大きな山があったりして、その人工的なものと自然とのバランスがすごくいいと思いました。こんなところに住むのもええなあって。

樹木:2人が九州にいたら、うるさくって大変だね(笑)。

Q:お父さん役のオダギリジョーさんとお母さん役の大塚寧々さんはどんな方でしたか?

旺志郎:オダギリさんはイケメンで、すらっとしていて、全然しゃべらん人かと思っていたら、意外と楽しくて優しかったです。

航基:僕らには台本がなかったけど、大人の方はセリフを覚えなきゃいけないじゃないですか。それなのに、大塚さんは休み時間もずっと遊んでくださったので、すごく優しいなあと思いました。

樹木:でもさ、あのイケメンと美人の間に、あんたたちみたいな子どもができると思う?

2人:失礼な!

樹木:2人とも、わたしが演じたおばあちゃんに似たんだよ(笑)。

■もしも本当に奇跡を起こせるとしたら……?

Q:作中では、九州新幹線が擦れ違う瞬間に願い事を叫ぶと、奇跡を起きてかなうといわれていますね。それが本当だったら、何をお願いしたいですか?

旺志郎:僕は、一生病気にならなくて、つらいことがない幸せな生活ができるようになりたいです。

樹木:そんなことは、絶対にないんだからね!

旺志郎:わかってますよー!

航基:だから奇跡なんじゃないですか!

樹木:いや、それが本当になったら、逆に人生が面白くなくなるよ。

旺志郎:別にいいいやん! 子どもなんだから、好きなこと言わせてよ!

樹木:子どもっていうことを武器にするな!

2人:そんなあ……。

樹木:わたしはいつも、相手が子どもだからといって適当に流さず、本気で話をするんです。そうすると、みんな成長するんですよ。

航基:僕は、世の中から戦争がなくなればいいと思います。国の主義としてメリットがあるから戦争をするのかもしれないけど、人間の文明としてはマイナス面ばかりだと思うから、戦争なんてなくなってほしいです。

樹木:じゃあ、なぜ戦争が起きてしまうのかってことを、今から大人になるまでに研究してごらん。旺志郎くんも、なぜ病気のない幸せが無意味なことなのか、これから考えてみるといいよ。2人とも頭がいいから、そのうちわかるときが来るよ。

Q:最後に、この映画を楽しみにしている皆さんにメッセージをお願いします。

樹木:じゃあ、航基くんに言ってもらおうか。

航基:いろんな年代の方に、それぞれの立場で観ていいただくと、すごく面白い映画だと思います。大人の方が観ると懐かしい感じがするかもしれないし、僕らのような子どもが観たら、「そうそう、僕たちもこんなこと考えている!」って、共感してもらえると思います。お父さんやお母さんが観たら、自分の子どもはこんなふうに考えているんだなって、気付いてもらえるきっかけになると思うので、ぜひ劇場でご覧になってください。

驚くほどしっかり者の航基、自然体で大らかな旺志郎、そんな2人を子ども扱いせずに、正面から向き合おうとする樹木。3人のユーモラスなトークに、笑いが絶えないインタビューだった。是枝監督がまえだまえだのキャラクターにほれ込み、台本を書き直したという本作は、監督が子どもたちに向ける優しいまなざしと、現実を直視する厳しさが絶妙にブレンドされた物語だ。劇中で描かれる「奇跡」の意味を、観た人それぞれに深くかみ締めてもらいたい。

映画『奇跡』は公開中

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