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佐藤隆太&麻生久美子
『ロック ~わんこの島~』
うそではない家族になれたような気がします
映画『ロック ~わんこの島~』佐藤隆太&麻生久美子 単独インタビュー

取材・文:斉藤由紀子 写真:高野広美

朝の情報番組「めざましテレビ」で紹介された実話をベースに、2000年の三宅島大噴火で離れ離れになった家族と愛犬ロックとのきずなを描いた映画『ロック ~わんこの島~』。三宅島で民宿を営む一家に育った少年・芯の視点で描かれる本作で、うそのつけない真っすぐな父・松男を演じたのは、映画『ROOKIES -卒業-』の佐藤隆太。そして、強くて元気な母の貴子に、人気女優の麻生久美子がふんした。「子どもを持つ夫婦の役は初めて」という2人が、初共演の感想や作品に込めた思いを明かした。

■麻生久美子が見た佐藤隆太の意外な素顔とは?

Q:男たちの熱い友情を描いた作品が多かった佐藤さん。今回、麻生さんと夫婦役で共演されて、新鮮だったのではないですか?

佐藤:すごく新鮮でした! 僕は冗談抜きで、相手の女優さんがやりづらいんじゃないかなって思うくらい、女性の方と面と向き合う芝居をすることが少なかったので、不安もあったんです。でも、麻生さんが優しく受け止めてくださって……。

麻生:いやいやいやいや(照れ笑い)。

佐藤:本当に、楽しんで演じることができました。

麻生:佐藤さんは、今回の役柄のイメージよりも、繊細な方ですよね。明るくて面白いのは変わらないけど、実はすごく周囲に気を使われる方なんです。そのギャップがすごくいいなと思いました。

佐藤:いや、僕はガサツですよ! そしてダークな感じです……。

麻生:なんでそんなウソをつくんですか(笑)。

佐藤:意味なかったですね……(笑)。

Q:劇中のお二人のやりとりも、すごく自然でほほ笑ましかったです。

麻生:ありがとうございます。佐藤さんは現場のムードメーカーなんですよ。朝のあいさつもすごく元気で、とにかくテンションが高いんです。よくわからない奇声を上げることもあったりして……。

佐藤:まるで、おかしな人みたいじゃないですか(笑)!

麻生:すみません(笑)。でも、佐藤さんのテンションのおかげで、わたしもすごく楽しくなって、気持ちよく夫婦を演じることができました。

佐藤:僕は本当に三宅島の現場が楽しかったんです。心を開くことができるキャストさんとスタッフさんだったから、素の自分が出せたんだと思います。

■息子との別れのシーンは、最高の名場面!

Q:名場面がたくさんある作品でした。一人で東京に避難するのを泣いて嫌がる芯を送り出すシーンも良かったです。

佐藤:うん、あのシーンはステキでしたね。僕も名場面だと思います。

麻生:本当ですか? あそこも何度も撮り直したんです。天候で中断してしまうこともあったので、撮り終えるのに3日くらいかかりました。そんなこともあって、自分ではどんなシーンになったのかよくわからないんです。自分のお芝居って、どうしても客観的に見ることができないんですよね。

Q:芯を演じた土師野隆之介くんも、すごくいい表情をしていましたね。

麻生:本当にかわいいんですよー。お芝居はすごく上手なんですけど、子役さんにしては珍しいくらい素朴でいい子なんです。わたしたちともだんだん仲良くなっていって、避難先の東京のシーンを撮るころにはすごく懐いてくれました。

佐藤:最後のほうは、僕たちのことを本当に「父ちゃん、母ちゃん」って呼んでくれるようになりましたよね。彼がいてくれたおかげで、うそではない家族になれたような気がします。

■2人が圧倒された三宅島の大自然

Q:ロック(犬)とお二人との触れ合いも驚くほど自然でしたが、犬との共演でご苦労されたこともあったのではないですか?

麻生:ロックはすごく賢い犬だったので、撮影でそんなに苦労はなかったです。逆に、何度も同じシーンを撮り直したりしていたので、申し訳ないなと思ったくらい。わたしは犬を飼っているので、「撮影のためにかわいそうな目にあわないといいな」とか、最初はいろいろと心配をしていたんです。でも、わたしの気持ちを監督がわかっていらっしゃって、犬にも優しい撮影になったと思います。完成した作品を観たとき、ロックのシーンで感動して泣いてしまいました。

佐藤:いやー、ロックは本当に頑張りましたよ! 僕も犬が大好きなので、ロックの存在に何度も癒やされました。

Q:「この島は生きている」というセリフが印象的でした。実際、三宅島でロケをしていて、実感することはありましたか?

佐藤:三宅島にはかなり長い間滞在していたので、撮影自体も自然との闘いでした。台風が直撃したこともあって、まさに「島自体が呼吸している」と身をもって感じました。島の自然の中にいる時間が長かったからこそ、僕らが演じたような、「何があってもこの島に戻りたい!」という気持ちが、ちょっとわかったような気がします。あの島で生まれ育った人々にとっては、とても特別な場所なのだろうなと実感しました。

麻生:三宅島の自然には本当に圧倒されました。噴火で流れた溶岩の跡が、日本ではないみたいなんですよ。でも、そんな溶岩の間から緑が生えているのを見たときに、「生きているのだな」と感じました。島で暮らすためには、噴火も受け入れていかなければいけない。なんとも言えない自然の脅威を感じました。

■この映画を通して伝えたい思い

Q:お二人が今、この映画を通して伝えたいことは?

佐藤:3月11日という日を経て、僕自身どういった気持ちで初日を迎えられるかという不安もありました。でも、6月に入って完成した作品を観たときに、噴火を扱った作品ではありますが、押し付けがましく「頑張れ!」と言っているわけではなく、三宅島の人々がごく自然な形で前を向いて歩んでいく姿に改めて力強さを感じることができる作品だと思いました。とらえ方は観てくださる方次第ですが、僕はこの映画に参加できたことをとてもうれしく思っています。言葉で伝えるのは難しいのですが、できるだけたくさんの方に観てもらいたい作品です。

麻生:わたしも佐藤さんと同じ気持ちです。本当に言葉にするのが難しいですが、わたしは愛にあふれた素晴らしい作品になっていると思うので、いつの日か観ていただけたらうれしいです。

息のピッタリ合ったトークを繰り広げ、インタビューの前半は笑顔でジョークを交わしていた佐藤と麻生。だが、作品を通して今伝えたい思いをたずねると、2人の表情が一変。言葉を慎重に選びながら、真摯(しんし)に気持ちを伝えようとする姿が強く印象に残った。三宅島の大噴火で避難を余儀なくされながらも、島に帰ることを決してあきらめなかった家族の物語『ロック ~わんこの島~』は、観る者の胸に温かい希望の光を灯してくれる。その光が、日本全国に届く日が来ることを心から願いたい。

(C) 2011 フジテレビジョン 東宝 FNS27社

【佐藤隆太】ヘアメイク:白石義人 スタイリスト:勝見宜人(Koa Hole inc.)
ミナ ペルホネン(ジャケット、シャツ、パンツ)、スタイリスト私物(靴、靴下)
【麻生久美子】ヘアメイク:キクチ タダシ(LUCK HAIR) スタイリスト:杉山まゆみ 
Kristina Ti(ジャケット、ショートパンツ、ブラウス、タンクトップ)、THEATRE PRODUCTS(サンダル)、TASAKI(リング、ネックレス)

映画『ロック ~わんこの島~』は7月23日より全国公開

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