シネマトゥデイ

『パレルモ・シューティング』:追悼デニス・ホッパー

 2010年5月、惜しまれつつもこの世を去った名優デニス・ホッパーが、映画『アメリカの友人』以来約30年ぶりにヴィム・ヴェンダース監督とタッグを組んだ映画『パレルモ・シューティング』が9月3日、ついに公開。最後の熱演を見せたデニス・ホッパーに迫ります!
ハリウッドの反逆児らしい破天荒な人生!?

 1936年5月17日、アメリカ・カンザス州生まれのデニス・ホッパーは、幼いころからハリウッドにあこがれており、13歳でシェークスピア奨学金を獲得、そして17歳でプロの劇団に入団し俳優デビューと、順風満帆なキャリアを手にしていきます。映画に舞台、テレビと活躍の場を広げていたデニスは、1955年、『理由なき反抗』に出演。続けて『ジャイアンツ』でも共演したジェームズ・ディーンと交流を深めており、同年の彼の死にとてもショックを受けたそうです。

 その後、監督とのトラブルなどからハリウッドを追われ、活動の拠点をニューヨークへと移したデニスはインディペンデントの映画などに出演しながら監督デビューを果たします。自ら、監督・脚本、そして主演を務めたこの『イージー・ライダー』は、アメリカン・ニューシネマの代表作となり、その名を世界に知らしめることになりました。

 しかし、1971年には配給会社との衝突でまたもやハリウッドを追放……。飲酒や麻薬問題で入退院を繰り返すことになるなど、破天荒街道を爆走してしまいます。それでも、持ち前の演技力と才能で1990年以降は性格俳優として活躍するようになり、闘病中の2010年には、ハリウッド・ウォーク・オブ・フェイムの星を授与されるまでとなりました。

 そんなデニスの破天荒人生といえば、5度の結婚、そして離婚! 5度目の離婚は余命わずかという闘病中に申請され、最悪な泥沼劇に。最後の最後まで破天荒な人生を送ったのでした。

ハリウッドの星になれました!
(C)Frazer Harrison / Getty Images

 
多才なアーティストとしての一面も!

 元々は趣味であった絵画や写真など、芸術面においても多才ぶりを見せていたデニス。画家としては、写真のようにリアルに絵画を描く描写法を身に付けるなど高い技術を持っていたほか、写真家や彫刻家としても活動し、日本でも「デニス・ホッパー写真展」が開かれるなど、世界的に個展を開くほどの腕前を見せていました。

 また、彼が最期を過ごしたカリフォルニアの自宅には、趣味で集められた300点ものアート作品が所有されていたそうで、彼の死後、ニューヨークでオークションにかけられたこれらの作品の中には、アンディー・ウォーホル作の毛沢東の肖像画などがありました。この肖像画、なんでも、生前、あまりに毛沢東本人に似ていることをデニスが気味悪がり、銃弾を2発打ち込み、それを知ったウォーホルはその穴を気に入って注釈をつけたという逸話がある作品。オークションでは、30万2,500ドル(2,420万円 1ドル80円計算)という驚きの高額で落札されたといいます。芸術家であるデニスのセンスが、銃弾の跡にまで光っていたのかもしれません。

カメラを持ってイベントに登場することも!
(C)Jill Ann Spaulding / FilmMagic / Getty Images

 
遺作は盟友ヴィム・ヴェンダース監督とのタッグ

 1977年、まさに破天荒人生の真っただ中にいたと思われるこのころ、デニスは『アメリカの友人』という作品で、後に『ベルリン・天使の詩』などで知られるヴィム・ヴェンダース監督と出会いました。この2人の出会い、そして作品との出会いはデニスにとって、「人生を救ってくれた」ものだったといいます。そんな2人が30年ぶりにタッグを組んだのが、このほどついに日本で公開されることになった『パレルモ・シューティング』なのです。

 舞台は、ドイツ・デュッセルドルフとイタリア・パレルモ。毎夜、ほとんど眠ることができずにいる世界的に活躍する写真家・フィンは、ある晩、不思議な男に遭遇し、「死」に取りつかれるようになる。撮影で訪れたパレルモで偶然出会った女性・フラウディアに自身の状況を打ち明け、落ち着きを取り戻しつつあるフィンだったが、ついにその不思議な男と対面することになり……。

 2008年に製作された本作で、「死」を象徴する存在である不思議な男を演じたデニス。主人公を恐怖で包み込む迫力ある表情、一転してちゃめっ気のある表情を見せるなど、その演技の幅、表現力はもちろんその当時に観ても、圧倒されたに違いありません。そして、彼がこの世を去ってしまった今、遺作となるようなタイミングで「死」を体現していたことは、また違った思いが込み上げ、彼の演技にさらなる深みを与えているといえるでしょう。

 破天荒な人生を送ったデニス・ホッパーも自身の最期に、何かしらこの作品のことが思い出されたのでは……、そんなことをふと思わずにはいられない本作。ぜひ、スクリーンで彼の最後のメッセージを受け取っていただきたい。


 9月3日(土)より、吉祥寺バウスシアターにて3週間限定! <爆音>レイトショー! 他、全国順次公開

第61回カンヌ国際映画祭でのデニスとヴェンダース監督
(C) Julien Hekimian / WireImage / Getty Images

映画『パレルモ・シューティング』より
(C)Number 9 Films (Perrier) Limited / Bounty Film Productions Limited 2009

 
文・構成:シネマトゥデイ編集部
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