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サンドラ・ブロック
『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』
ニューヨークはどんな人たちにも居場所のある街
映画『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』サンドラ・ブロック 単独インタビュー

取材・文:細木信宏 / Nobuhiro Hosoki 写真:アマナイメージズ

映画『しあわせの隠れ場所』で念願のアカデミー賞主演女優賞を受賞したサンドラ・ブロック。受賞後初となる映画『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』は、父親が遺(のこ)した鍵にメッセージがあると考えた息子オスカーが、その真意を求めニューヨーク中へ旅に出る姿を描いた作品だ。息子を陰でサポートしている母親・リンダを演じたサンドラが、911を題材にしていることやニューヨークの思い出について語った。

■今度の母親役は徹底的にリアル!

Q:劇中では母親を演じていますが、あなたは実生活で母親でもありますね。演じる上で、自分の体験が役に立ちましたか?

確かに、わたしは最近よく母親を演じているわね。今度の母親役は複雑で、映画内では最後の方になってから、ようやく彼女が自分のやり方で母親としてオスカーをサポートしていることがわかるの。でも、それまでは表から見ると、子どもが必要としているときに、こういう母親でいてほしいというタイプでは決してない。脚本では、普段の映画に多い、幸せできれいな母親ではなく、リアルな母親として描かれていて、そこをわたしは気に入ったのね。だから、母親としての実体験が、どこまでこの映画に適用できたかはわからないわね。

Q:トム・ハンクスが演じる夫、そして父親は911テロで亡くなったという設定ですよね。911について研究はしましたか?

スティーヴン・ダルドリー監督が、アメリカで公開されていないアメリカ同時多発テロのドキュメンタリー映画を観せてくれたの。その映画には、遺族にコンタクトできなかった犠牲者の遺(のこ)したメッセージが描かれ、今でも考えただけで鳥肌が立つくらい衝撃的なものだったわ……。その中でも心に残っているのは、その犠牲者のメッセージの多くが平静で力強いものだったこと。過酷な状況でも「心配しないで! わたしは大丈夫!」と励ますような調子で、最後のメッセージに至っては犠牲者のほとんどが、まるでこれから起きることを達観しているかのように、「愛している」という言葉を家族への贈りものとして遺(のこ)しているの。まるで天から愛と平和をサポートしているようで、非常に感動的なものだったわ。

■よりよい作品のため、現場では常に戦闘状態!

Q:息子役のトーマス・ホーンとの共演はいかがでしたか?

すごく難しい子役で、まるで歌姫みたいにわがままだったわ……というのは冗談だけど(笑)。でも、本当に自然な演技をしていた彼も、うまくいかなくてイライラしていたときがあったわね。彼はこの作品が映画初出演作だけれど、それぞれのシーンでベストを尽くすことを望んでいた。しかも彼は、最初の2~3週間という短期間で、これまでわたしが俳優として熟知してきた映画界を把握していたの! だから、そんな彼の演技がわたしにも影響を与えてくれたのよ。もしほかの子役が演じていたら、まったく別の作品になっていたかもしれない。彼がこの役を演じてくれて、本当に良かったと思っているわ。

Q:あなたが出演している映画は、ランキングでも上位のものばかりです。観客が観たいと思う映画を選択する秘けつはありますか?

どの作品が選ばれたのかはよくわからないけれど、それは、わたしが裸になっていた映画じゃないの(笑)? 単に幸運だっただけだと思うわ。わたしが出演した映画の中には、誰も観ないような映画もあったと思うから……だから秘けつはないわね。

Q:あなたの出演作は一般の観客はもちろん、批評家の間でも評価が高いですよね。

年を取ったことで、撮影中に「ノー」を言う機会が増えたと思っているわ。それは、撮影中にもしうまくいっていないと思ったら「どこかうまくいっていないわ」と主張して、何が理由かを見つけ出すの。それは、映画内にまあまあだと思うレベルのシーンはいらないと思っているから。これは、楽しめるコメディー作品にもいえることよ! だからそれぞれのシーンで、ベストを尽くすべきだと思っていて、撮影現場では良い作品のためにファイターとして常に闘っているわね。

■ニューヨークの思い出

Q:本作はニューヨークで撮影が行われましたね。ニューヨークに思い出はありますか?

わたしの父はボイストレーナーで、よくこのニューヨークとワシントンD.C.を一緒に行き来していたし、母はドイツ人のオペラ歌手でよくニューヨークで歌っていたわ。だから、ニューヨークには電車でよく来ていたわね。最初のニューヨークの記憶は、母に連れて行ってもらったブロードウェイ劇『オール・ザット・ジャズ』。それを観てから、しばらくダンサーになりたいと思っていたの。ただ、すぐに体が大きいから無理だと思ったけど……(苦笑)。その当時、わたしたち家族は、小さなスタジオを借りて暮らしていたけれど、ニューヨークはどんな人たちにも居場所のある街だと思っているわ。

Q:911を扱った本作をニューヨークで撮影した意味は大きいと思いますが、いかがですか?

息子オスカーの視点から語られているこの作品では、彼を通して、わたしのキャラクターやほかのキャラクターが、あの悲劇に関して泣くことができている。でも、一般の大人たちは泣くことには抵抗があると思うの。だから、多くの人はこの映画のオスカーのように、悲劇に関して話をしたり、聞いたりすることが重要だと思っている。ただ、わたし自身は、あの事件がわたしたちの中で終わりを迎えることはないと思っている。なぜなら、わたしは当時、あの現場で人々が助け合って、一瞬にして市内全体が一つになった瞬間を見ているから。そんな精神が今でもニューヨークには生きていて、人々の心からあの事件が離れることはないと思うから……。

■東日本大震災では真っ先に約8,000万円を寄付!

Q:東日本大震災が起こったときも、あなたはすぐに日本に100万ドル(約8, 000万円・1ドル80円計算)もの義援金を寄付してくれました。

幸運にもわたしはそういう支援ができる環境にあるから、やるべきことをしただけだと思っているわ。それは、これまで意味をなさなかったお金が、必要とされる場所で理にかなった使われ方をしただけなの。またそれを寄付することで、新たな息吹が目覚めるとも思ったわ。ちなみに、わたしには日本人とハーフの義理の兄弟が居て、彼の母親は日本人なの。ただ、日本人であろうとなかろうと、わたしたちはみんなつながっていると思っている。もし、同じような被害をアメリカが受けたら、日本はきっと同じことをしてくれるとも信じているわ!

取材を通して、あらゆる人に対して優しく気遣う様子を見せたサンドラ。911を忘れることができないと語る口調からも、その人柄が垣間見えるようだった。ジョナサン・サフラン・フォアによるベストセラー小説を、『フォレスト・ガンプ/一期一会』の脚本家であるエリック・ロスが見事に映画としてまとめ上げた本作では、最愛の家族を失った人々の再生と希望が描かれている。21世紀の最初の年に起きた悲劇から10年がたった今だからこそなし得た秀作に仕上がっている。

(C) 2011 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC

映画『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』は2月18日より全国公開

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