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ジョージ・クルーニー
『スーパー・チューズデー ~正義を売った日~』
機会を奪われるときまで、映画を作り続ける
『スーパー・チューズデー ~正義を売った日~』ジョージ・クルーニー 単独インタビュー

構成・文:シネマトゥデイ編集部

ハリウッドを代表するトップスターのジョージ・クルーニーが出演・脚本・監督を務めた『スーパー・チューズデー ~正義を売った日~』。ジョージ4作目の監督作となり、アメリカ大統領予備選の裏側で展開するスリリングな人間ドラマが、ライアン・ゴズリング主演で描かれる。アカデミー賞脚色賞、ゴールデン・グローブ賞監督賞と脚本賞にノミネートされ、俳優だけでなく、フィルムメーカーとしての才能を改めて証明した本作について、ジョージが語った。

■ソダーバーグからアイデアも! 監督同士で意見交換

Q:これまでの監督作の記念品などは保存していますか?

全部の映画のカチンコは保存しているよ。それに、いつも何かを取っておくようにしている。衣装が多いかな、スーツなら時折着回せるからね(笑)。

Q:本作は監督を手掛けた4本目の映画になります。カメラの裏側の仕事にもだいぶ慣れたかと思いますが。

決して簡単じゃない。勉強のおかげだよ。仕事に取り掛かる前に、常に準備も怠らない。それに1週間のうち5日間、8~9時間しか仕事はできないから、素早くこなすようにしている。俳優たちはそういうコンディションの中なら、最高の仕事をしてくれることもわかった。僕が素早く仕事をすれば、俳優全員が本領を発揮できるんだ。

Q:友人の監督たちにアドバイスをもらうことなどはありますか?

もちろん。スティーヴン・ソダーバーグ監督にも最初のカットを観てもらった。すると彼がアイデアや意見をくれる。ほかにも多くの友人たちに観てもらったよ。周りに自分に意見してくれる賢い人々がいるのは素晴らしいことだ。アレクサンダー・ペイン監督(『ファミリー・ツリー』)にも聞いたな。監督同士は、お互いにそういう話をよくするんだ。僕もそういうことが好きだし、大きな助けになる。

■ライアン・ゴズリングと大舌戦のクライマックス!

Q:本作はアカデミー賞の脚色賞ノミネートを果たしました。どのような行程で脚本を書かれたのですか?

今回僕とグラント(・ヘスロヴ)は、基本的なアイデアを出してから書き始めた。望みの脚本ができるまで長い時間がかかったよ。調整することがたくさんあったからね。それに僕の演じたキャラクターを入れることによって、物語がもっと複雑になった。

Q:大統領指名候補入りに奮戦するモリス知事ですね。彼は外見もよくてカリスマ性もある、理想的な政治家に見えます。

僕が演じるこのキャラクターはオリジナルの舞台劇には存在しない。こういう政治家を入れたほうが、面白い物語になると思ったんだ。いくつかの欠点を除き、彼は理想的な候補者の資質を備えている。でも誰もが知るように、理想的な候補者であることと、国を治めることには大きな違いがある。

Q:映画のクライマックス、モリスと、彼の秘密を握るスティーヴン(ライアン・ゴズリング)が激しく言い争う場面は実に印象的です。

そこは、僕が一番誇りに思っているシーンなんだ。二つのキャラクターをできるだけ追い詰め、利害関係が最高潮に達したところで、彼らが本領を発揮して対峙(たいじ)する。まさに頂点だよね。この時点で二人は互角で、交戦する気満々だ。最も残忍なやり方で互いをはねつけようとする二人の姿は観ていて楽しいね。大いに気に入っているよ。

■3D映画には興味ナシ! 常に違うジャンルに挑戦

Q:映画を取り巻く最新技術に興味はありますか?

レンズといったものなんかには注意を払っている。それに、アルフォンソ・キュアロン監督の3D映画を撮り終えたんだが楽しかったよ。でも3D映画を監督する自分の姿は想像できないね! 僕向きではないと思う。僕は常に言葉の研究に重きを置こうとしているし、3Dで言葉の研究というのもおかしな話だ。

Q:これまでの監督作につながりはありますか?

唯一のつながりは、常に異なるジャンルの映画を作ろうと思っていることくらいだね。僕が敬愛する監督たちのすごいところは、一つのジャンルに固執しないところだ。僕もいつも変化し、異なるものを探そうとしてきた。『かけひきは、恋のはじまり』を好きじゃないという人は多いが、『グッドナイト&グッドラック』のすぐあとで『スーパー・チューズデー~』を作っていたら、僕は政治映画監督のレッテルを貼られただろう。そういう監督にはなりたくない。

Q:これから1本目の映画を作ろうとする若い映画製作者に、アドバイスをするとしたら?

締め切りに間に合わせて予算内で仕上げろと言うね。できなければ、その時点で自身の位置付けは低くなる。それと、監督としての仕事の大部分は準備することと、望むものがはっきりしていることだ。製作委員会の決定どおりに監督するわけじゃないんだ! 自分の望みは知っておくべきだよ。

■キャラクターが重要! 難解な言葉は関係ない!

Q:政治という一見地味な題材ですが、作るのは難しい作品でしたか?

自分たちで資金調達しなくてはならなかった。売り込みも自分たちだ。宣伝にはいつも、「ER 緊急救命室」を例えに使うんだ。世界的なヒットシリーズだが、ドラマで僕らが話す医療用語をわかる視聴者はほとんどいないだろ? 素晴らしいキャラクターがいて、物語がきちんと書かれていれば、周辺のことは問題じゃないということさ。本作でも予備選について知らなくてもいい。キャラを好きになってもらえればね。それがちゃんとできているかを確認することが僕たちの仕事だ。

Q:ご自身のハリウッドにおける位置については、どのように見ていますか?

長い時間、おもちゃ箱の鍵を持たせてはもらえない。そんなふうに見ている。僕の作りたい映画を業界が作らせてくれる限り、それを奪われるまでは作り続けるつもりだ。そのあとは、ほかにできることを探すよ。現時点では、業界はまだ僕にそれをやらせてくれる。とても大きな責任を感じているよ。

Q:しばらく間が空くと、監督業が恋しくなりますか?

とても恋しくなる。問題は好きな題材を見つけられるかだ。それに本作のような映画を作ろうとすると、リサーチなんかもあって長い時間がかかる。イライラするよ。僕は急速に年を取っているから(笑)。これからは徐々に映画の出演数は減らして、監督をするほうに時間をかけようと思っているんだ。

第84回アカデミー賞では主演男優賞ノミネートも果たし、ハリウッドを代表する存在としての地位を確立したジョージ。映画愛を惜しげもなく披露したインタビューでは、監督業へのシフトを示唆したが、その素晴らしい演技がスクリーンから消えるのは寂しいところ。これからも作り手、俳優双方での活躍を願いながら、彼の才能がすべて発揮された本作を、まずは楽しんでほしい。

(C) Munawar Hosain/Fotos International/Getty Images
(C) 2011 Ides Film Holdings, LLC

映画『スーパー・チューズデー ~正義を売った日~』は3月31日より全国公開

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