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~第42回 2012年4月~ウディ・アレン監督最新作『ミッドナイト・イン・パリ』、ジェームズ・キャメロンの名作『タイタニック 3D』

INTERVIEW@big apple

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INTERVIEW@big apple

今回は、ニューヨークの巨匠ウディ・アレン監督の『ミッドナイト・イン・パリ』ガイ・ピアースが主演する『ロックアウト(原題)/ Lockout』、そして大作『タイタニック 3D』ジェームズ・キャメロン監督を紹介。

4月5日ウディ・アレンが断言「映画づくりに撮影期間の長さは関係ない」(マンハッタン・フィルム・センターにて)

『ミッドナイト・イン・パリ』

ハリウッドの売れっ子作家ギル(オーウェン・ウィルソン)は婚約者(レイチェル・マクアダムス)と共に、彼女の両親に便乗して彼らの出張先のパリを訪れる。作家への夢を捨て切れないギルが、ある日パリを一人で徘徊していた際に、1920年代の黄金期のパリにタイムスリップしてしまうというしゃれた作品だ。ちなみにこの作品は、今年のアカデミー賞作品賞にもノミネートされた。

ウディ・アレン

女優の演出がピカイチのウディ・アレン監督(最右)が、今回新たなミューズに抜てきしたのはマリオン・コティヤール(最左)//5月26日公開の映画『ミッドナイト・イン・パリ』 Photo by Roger Arpajou (C) 2011 Mediaproduccion, S.L.U., Versatil Cinema, S.L.and Gravier Productions, Inc.

コンスタントに毎年映画を製作するウディ・アレン監督の熱意、そしてウイットに富んだジョークに惹(ひ)かれ、彼の作品をほぼ鑑賞している僕は、アレンに単独で取材できると知らされ、思わずガッツポーズ。取材時間は15分くらいもらえると聞いていたので、今作『ミッドナイト・イン・パリ』と過去作と合わせて12、13問くらい質問する心持ちで準備していった。取材当日、場所が大きな部屋ではなかったので、少し早めに着いた僕は外のロビーで待つことに。その間に、質問する内容の順番を決めた。やがてパブリシストから声を掛けられ部屋に入ると、アレンのアシスタントとカメラマンがいて、彼の写真を何枚も撮影していた。アレンは場所を移動しながら積極的にさまざまなポーズを決めていた。そして、いよいよインタビュー開始!

映画の冒頭でパリ市内の映像が3分くらい映されていたため、まずは「大都市を一つのアートとしてとらえているのか?」という質問をぶつけてみた。パリの市内を見ることはまるで目の保養をしているような感じで、非常にパリを気に入っているそうだ。近年、海外で撮影しているのは、(映画製作の)インスピレーションを刺激されるから。劇中に過去の偉人たちが登場していることについては、できるだけ顔の似ている俳優を雇い、彼らの有名なエピソードや神話的要素のある話を含めて脚本を構成していったという。コンスタントに映画を作ってきた彼だが、時間をかけていわゆる大作を製作してみたいと思ったことはあるかと聞かれると、「時間をかけても映画の内容は変わらない」と主張していた。フランスの大統領夫人であるカーラ・ブルーニをキャスティングしたのは、彼女がギターを演奏したり、楽曲を歌えるエンターテイナーでもあったからだそうだ。「もし今、作家F・スコット・フィッツジェラルドに会えたら、どのような質問をしてみたいか」と聞いてみると、これまで自分が尊敬している人やアイドルに会ってみたいと思ったことはなかったらしい。ちなみに、アレンのアイドルだったグルーチョ・マルクスに実際に会ったときは、至って普通の人だったために、少しがっかりしたそうだ。最後に、彼がかつて共に仕事してきた撮影監督ゴードン・ウィリスと、アカデミー賞授賞式への参加について聞くと、ゴードンが引退したこと、アカデミー賞の競争が好きではないと答えて終了した。

4月9日ガイ・ピアースのファンの女性記者をなめるなよ!(ル・パーカー・メリディアン・ホテルにて)

『ロックアウト(原題)/ Lockout』

殺人容疑で逮捕されたスパイのスノウ(ガイ・ピアース)は、ある日アメリカ政府から宇宙刑務所の囚人たちに捕らわれた大統領の娘エミリー(マギー・グレイス)を救出する依頼を受ける。そしてスノウは、釈放と引き換えに極悪非道の囚人たちのいる宇宙に向かっていくというSFアクション作品。映画『ブレーキ』などで撮影監督を務めてきたジェームズ・マザーズがメガホンを取っている。

ガイ・ピアース、マギー・グレイス

リドリー・スコット監督のSF大作『プロメテウス』(2012年8月公開)が待機中のガイ・ピアース/テレビドラマ「LOST」のシャノン役でブレイクしたマギー・グレイス

リュック・ベッソンが製作・脚本を手掛けた話題作ということで、相当な数の記者が参加し、約10人ずつの2部屋が用意されていた。いつもより女性記者が多いのは、ガイ・ピアースが参加したためだった。まずは、ガイ・ピアースからインタビューが始まった。彼はベッソンと撮影前に会合した際に、「ブルース・ウィリスのような少しレトロなアクションヒーローを意識して演じてほしい」と言われたという。彼は、人口が増加していて、刑務所が宇宙にあるという設定が気に入ったそうだ。

ここまで順調に取材が進んでいると思ったが、10人近くの記者がいるにもかかわらず、年配の男性記者が2問続けて質問していた。そのうえ、彼がピアースの返答を拾ってさらに質問しようとしたところ、横にいたスパニッシュの女性記者が「ゴメンナサイ!」と割って入って質問し始めた。すると男性記者は、そんな彼女の勢いにひるんだのか、「OK……」と引き下がった。どうやらこのスパニッシュの女性記者は熱烈なピアースのファンだったようだ。話は変わって、撮影のためにどんなトレーニングをしたのかについては、「自分は常に運動しているために、派手なアクションのある今作のトレーニングも大変ではなかった」とのこと。ある男性記者が、スノウとエミリーというキャラクターがよほど気に入ったらしく、「彼らの関係は今後も続くのだろうか?」と質問したのがほほ笑ましかった。そして、ようやく僕が質問する番が回ってきたので、リュック・ベッソンが現場でどのように動いていたのか聞いたところ、ベッソンは撮影の最初にスタッフに活を入れただけで、ほとんどセットには来なかったそうだ。これから公開される夏の大作『プロメテウス』については、インターネット上に掲載されている情報以外は語れないそうで、あまり話を聞き出せなかったのが残念だった。最後に、彼は「大作やインディーズ作品いずれも、監督としっかりコミュニケーションが取れていなければ、演技する上で格闘することになる」と語った。

次にマギー・グレイス。マギーは、この作品とすでに撮影を終えた『96時間』の続編を含め、3作でベッソンと仕事をしているため、「ベッソンとの仕事についてガイ・ピアースに何かアドバイスしたのか?」と聞かれると、「ベテランのガイにアドバイスをすることなんてなかったわ!」と笑って答えた。ヨーロッパで撮影した感想を尋ねると、「まるで家族のような感じで撮影できたわ」という。さらに、久々にリュック・ベッソンがSF作品を制作することにも期待してほしいと話した。テレビドラマシリーズ「LOST」で役のためにフランス語を学んだマギーは、「最近ヨーロッパでの仕事が増えたから、もっとフランス語を習得すれば良かった」と話してインタビューが終わった。彼女は年齢の割にかわいらしく見えた。

4月12日ガイ・ピアースのファンの女性記者をなめるなよ!(ル・パーカー・メリディアン・ホテルにて)

『タイタニック3D』

イギリスのサウザンプトン港から出港したタイタニック号には、婚約者の資産家キャル(ビリー・ゼイン)と政略結婚をさせられる予定のローズ(ケイト・ウィンスレット)が乗船していた。彼女は絶望のあまり海へ身を投げようとするが、画家志望の青年ジャック(レオナルド・ディカプリオ)に助けられる。二人がお互いに惹(ひ)かれ始めた矢先、タイタニック号は氷山に接触して浸水し始めていく。

ジェームズ・キャメロン

15年ぶりに復活した『タイタニック 3D』を引っさげ、3Dのあり方を大いに語ったジェームズ・キャメロン監督/4月7日より上映中の『タイタニック 3D』。船の先端でのジャック&ローズの名シーンをはじめ、3Dならではの臨場感&スケールを存分に体感できる (C) 2011 Twentieth Century Fox and Paramount Pictures. All Rights Reserved.

ジェームズ・キャメロン監督は常に忙しく、さらに西海岸に住んでいるため、これまで一度も僕は取材したことがなかった。実を言うと、『エイリアン 2』や『ターミネーター2』は好きだったが、キャメロンには特に思い入れがなかった。そんな僕を変えたのが、『アバター』の世界観だった。これから起こりうる未来を予測して映像化し、それをエンターテインメント性のある作品に仕上げた彼の手腕に感服した。明らかに、第82回アカデミー賞作品賞を受賞した『ハート・ロッカー』よりも優れているのではなかろうか。その巨匠がアップル・ストアのイベントに参加すると聞きつけ、アップル・ストアのパブリシストに連絡しただけでなく、ストアにプレス用の席を確保してもらえるよう2度も頼んでしまったほど。

取材現場は、あっという間に記者たちのほか60~70人の観客ですし詰め状態になってしまった。今回のイベントの司会者は、リンカーン・センターのフィルム・ソサエティーで働くスコット・ファウンデスだった。登壇するのが巨匠だけに、信頼の置ける司会者を選考したようだ。そして、いよいよキャメロンが登場! 割れんばかりの拍手喝采(かっさい)で迎えられ、ある観客は「世界最高の監督!」と叫ぶと、監督は「毎回20ドル払って観客に言ってもらっているんだよ!」とジョークを言って場内を沸かせた。彼は3Dに関する間違った見解から、3Dの歴史、そして3Dの未来まで語り尽くした。『タイタニック』のストーリーを、シェイクスピアの「ロミオとジュリエット」のラブストーリーをコンセプトに描くことで、1912年を舞台にしていても今日の人々に受け入れられると思ったそうだ。映画は、階級や男女の差別が重要だという。さらに彼は、10代の女性がレオナルド・ディカプリオ目当てで観に来たことでかなりの興行成績を収められたことは認めるが、ケイト・ウィンスレットが演じたローズのキャラクターに多くの女性が共感できたことが成功の理由だと語った。女性を主人公にした映画を作ることが多いことについては、「ハリウッドでは女性の繊細な部分をあまり描かないことが多くて、女性が主人公であることを台無しにしてしまっていると思う。僕の映画が成功するのは、そういった女性の繊細な部分をきちんと描いているからでもある」と答えた。また、ディカプリオふんするジャックのキャラクターは作家ジャック・ロンドンからインスパイアされたそうで、ジャックの描いた絵画は監督本人によるものらしい。やがて話がタイタニック号に及ぶと、「普通、船は沈み始めるとすぐに転覆してしまうが、タイタニック号は時間をかけて垂直に沈んでいったために、多くの人が助けられたそうだ。もし、脱出用のボートの数が十分だったら、より多くの人が助かったとされるが、実際には船が沈むぎりぎりまで人々を救出していたために、仮にそれ以上のボートがあったとしても、被害の規模は変わらなかったと思う」と個人的な見解を話して締めくくった。

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