シネマトゥデイ

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今週のクローズアップ え!?これって本物? 現実の恐怖が襲う!リアリティーホラー!

 手持ちカメラ映像など、ドキュメンタリー風の演出を駆使する、モキュメンタリー手法で作られたホラー映画の数々。人手も予算を抑えつつ、実際の出来事のような恐怖を観客に伝えられると、近年その製作数は増加する一方だ。そんなリアリティー系ホラー映画を、近年の作品を中心にランク付け!
心霊現象、ゾンビパニックに食人族!実は何でもアリ!?

5位『ノロイ』(2005年)
 怪奇実話作家・小林雅文が失踪前に完成させたドキュメンタリーを紹介するという、日本産モキュメンタリー・ホラー。小林が追う一見バラバラの怪奇事件が、とある村の儀式に関連する「かぐたば」という言葉でつながっていく。公開時には、実際に小林雅文の公式サイトを開設するなどの宣伝を展開。作風も相まって、観客に「本当の出来事を目にしたのでは」という思いを抱かせた。

 超能力少女が登場する検証番組や、お笑いコンビのアンガールズと女優の松本まりからが本人役で登場する心霊スポット番組など、本格的なテレビ番組映像の挿入が、作品に信ぴょう性を添えている。それ以外のキャラクターは、いかにも演技といった振る舞いだが個性的、謎解きが軸となった脚本が秀逸で、最後まで一気に見せる。白石晃士監督『オカルト』といった同様の作品や、ドキュメント系の心霊ビデオなども多く手掛ける。

 

「ノロイ プレミアム・エディション」(DVD)
発売中
価格:4,935円(税込み)
発売元:ジェネオン・ユニバーサル・エンターテイメント
(C)Entertainment FARM / オズ / ジェネオン エンタテインメント / ザナドゥー / PPM

 
怪奇実話作家・小林雅文、失踪前の彼の身に何が起きたのか!?
(C)Entertainment FARM / オズ / ジェネオン エンタテインメント / ザナドゥー / PPM

4位『REC/レック』(2007年)
 消防隊に密着取材していたテレビクルーが、通報を受けて急行したアパート内で起きた惨劇を撮影したという設定のスペイン映画。幽霊などの超自然現象が登場する作品と違い、謎の伝染病により凶暴化した人間が全力で襲い掛かってくる、ストレートな恐怖を描いたパニックホラー。

 狭いアパート内という限定された舞台ながら、矢継ぎ早に新しい展開が押し寄せ、飽きさせない構成となっている。この手の作品によく登場する、ナイトビジョン撮影の使い方も秀逸で、まさに手に汗握る緊張感が持続する。続編も作られ、公開中の3作目では、特徴であった一人称視点にこだわらない演出が逆に好評となっている。

 

『REC/レック』(DVD)
価格:1,490円(税込み)
発売・販売元:ハピネット
(C)2007 CASTELAO PRODUCTIONS,S.A.

 
ゾンビ映画としても注目の作品!休む暇のないパニックが襲う!
(C)2007 CASTELAO PRODUCTIONS,S.A.

3位『食人族』(1981年)
 アマゾンの奥地に出向いたドキュメンタリー撮影隊が失踪。捜索に赴いた人類学の教授が、彼らの白骨死体と共に発見したフィルムという設定の、1983年に日本公開されたイタリア映画。撮影隊の男女が食人族の怒りを買い、食い殺されるまでを克明に映し出す。文明人であるはずの撮影隊が、原住民の女性をレイプして殺害、過激な映像をものにするため集落に放火するなどの蛮行に及ぶ様子も描かれ、本当に野蛮な存在はどちらなのかを観客に問い掛ける。

 本物の出来事であるかのような宣伝と、カニバリズムというショッキングなテーマが話題となり、公開当時日本でも大ヒット。本物の出来事では、という口コミを原動力にヒットを飛ばした作品のはしりともいえ、モキュメンタリー映画を語る上で欠かすことのできない存在。ちなみに、テーマ曲の旋律がその内容と裏腹にとても美しい。

 

『食人族』(DVD)
発売中
価格:1,980円(税込み)
発売・販売元:ジェイ・ブイ・ディー
時間:91分
F.D.CINEMATOGRAFICA s.r.l 1979
DVD extras courtesy of Grindhouse Releasing. Copyright 2005 Grindhouse Releasing

 
食人族と文明人、本当に野蛮なのは誰なのか!?
F.D.CINEMATOGRAFICA s.r.l 1979
DVD extras courtesy of Grindhouse Releasing. Copyright 2005 Grindhouse Releasing
現代リアリティーホラー不動のトップ2!あなたはどっちが怖い?

2位『パラノーマル・アクティビティ』(2007年)
 手持ちに加え、固定のまま出来事を監視する、定点カメラ視点を導入した作品。監督のオーレン・ペリが自宅で製作した低予算作品で、公開もかなりの小規模でスタートしたものの、口コミが評判を呼び、ついには全米でトップに。スティーヴン・スピルバーグがリメイクに乗り出したが、オリジナル作品の恐怖を超えることは困難とあきらめたという逸話も話題となった。

 低予算で製作されたリアリティーホラーという共通項から、『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』が必ずと言っていいほど引き合いに出される。しかし、本作の恐怖はむしろお化け屋敷のドッキリ感に近い。逆に言えば、ネタばれしていてもしっかりとポイントを抑えた恐怖が提供される、より万人向けの作品といえる。怪現象の謎を追った続編も製作されている。スピルバーグのアドバイスで撮り直されたというラストについては、本当に怖いかどうかについて意見が分かれるところだろう。定点カメラが映し出す映像は、観ているだけで何もできないもどかしさで、恐怖を倍増させる。

 

定点カメラからの視点が新鮮だった本作、そのラストには異論も多い
Photofest / Paramount Pictures / ゲッティ イメージズ

1位『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』(1999年)
 メリーランド州バーキッツビルの森に伝わる、魔女伝説のドキュメンタリーを撮影していた映画学科の生徒が行方不明に。警察の捜査の結果、フィルムだけが発見されたという設定の作品。人によってハッキリと賛否が分かれ、特に最初からフェイクとわかって観ると、何も起きないことにかなりの不満を抱く人もいるかも。映像ではわかりやすい心霊現象は起きず、3人の学生がひたすら森で迷子になり、内輪モメする様子が延々と続くだけだ。

 一方でそれは、製作者が徹底して本物らしい映像を生み出そうとした結果といえる。当時俳優は、カメラとキャンプ用具を持ち、簡単な設定のみ伝えられて森に放り出された。脚本はその都度それぞれに手渡される簡単なメモ程度。彼らは、製作者の用意したさまざまな仕掛けに即興演技で応える。結果としてカメラは、予想もしていない出来事に遭遇した俳優のリアルな表情をとらえた。何も起こらないことで観客の想像力を刺激する、ホラーの根源的な魅力を備えた作品になったともいえる。それにハマれた観客にとっては、ちりばめられた筋を追った先に待つラストシーンは鳥肌ものだろう。

 公開にあたっては、失踪人を捜すチラシのようなポスターなど、実際に学生たちが行方不明になっているかのような宣伝方法が取られたのも特徴的。またインターネット上や書籍でちりばめられた情報をもとに、事件の解明にハマり込む人々も続出した。難点といえば、本当にカメラの素人が撮影しているため、手ブレしまくる映像はほかのどの作品よりも酔いやすく、別の意味で体調の悪いときの鑑賞はまったくオススメできない。

 

この顔面アップのカットは宣伝素材に使用され、パロディーも多く生まれるほどのブームに
Getty Images / Getty Images

 

失踪人捜索チラシのようなポスター、本当の出来事であることを強調する宣伝がヒットの要因となった
William Thomas Cain / Getty Images

アイドルにゾンビ映画の巨匠だってモキュメンタリーに挑戦!「番外編」

『シロメ』(2010年)
 アイドルグループ、ももいろクローバー(現・ももいろクローバーZ)主演。純粋な願いをかなえてくれる謎の化け物「シロメ」がいるという廃虚に、心霊番組収録のため潜入する彼女たちを追う。ももクロは紅白歌合戦出場をお願いに行くのだが、番組企画は「シロメ」様の前で歌って踊れ! というかなり罰当たりなもの。当然彼女たちに怪現象が降り掛かる……。

 突然白目をむいて倒れる怪談の語り部、取りつかれるメンバー、鳴り響くラップ音など、ドッキリ的な恐怖に襲われる彼女たちのリアルな泣き顔が見もの。パジャマや制服、リハーサルに勤しむ姿などファン必見の映像も満載だ。ドキュメンタリーという設定上、アイドル映画に欠かせないライブシーンの登場にも違和感がない。公開から約2年たつ現在、ももクロの人気はまさに飛ぶ鳥を落とす勢い。映画はフェイクでも、シロメ様のうわさは本当だったのかも。監督は『ノロイ』白石晃士

『シロメ』(DVD)
時間:83分
価格:2,980円(税込み)
発売・販売元:SDP
(C)2010「シロメ」製作委員会

ももクロだってリアリティーホラーに出ていた! ファン必見の映像も満載
(C)2010「シロメ」製作委員会

『ダイアリー・オブ・ザ・デッド』(2007年)
 映画学科の学生たちが山奥でホラー映画を撮影していたところ、世界中でゾンビパニックが発生。監督を務めていたジェイソンは、この惨劇を記録し世界に発信しようと、安全な場所を求める旅の最中で起きる出来事を撮影し続ける。映画学科の生徒が撮影という設定のためか、ドキュメンタリー調ながら車酔いしそうな手ブレ映像とは無縁。もはや普通のゾンビ映画のようで、正直怖いのかといわれると疑問符も付くが、ゾンビ映画の第一人者ジョージ・A・ロメロ監督による作品という点が興味深い。

 ネットや動画投稿サイトの発達により不特定多数の人間が情報を発信できるようになった、現代社会への風刺が込められており、ロメロ監督のゾンビ映画に対する姿勢のブレのなさが再確認できる。登場するキャラクターもユニークで、特にダイナマイトをブン投げてゾンビを撃退する、アーミッシュのおじいさんが秀逸。

「ユニバーサル映画100周年企画シネマコレクション ダイアリー・オブ・ザ・デッド」(DVD)
発売中
価格:1,500円(税込み)
発売元:ジェネオン・ユニバーサル・エンターテイメント
(C)2007 George A. Romero's Diary of the Dead, LLC. All Rights Reserved.

ロメロ監督による正統派ゾンビ映画でもある
(C)2007 George A. Romero's Diary of the Dead, LLC. All Rights Reserved.

すべての恐怖がテンコ盛り!? 今劇場で観られるリアリティーホラー!

『グレイヴ・エンカウンターズ』(2011年)
 廃墟となった精神病院に潜入した、心霊現象を追うリアリティー番組のクルーが遭遇する恐怖を描く作品。予告編が怖すぎると話題になり、全米公開前にYouTubeでの再生回数が1,400万回を超えたというエピソードが、いかにもこの手の作品らしい。テレビ番組という設定ゆえ、ヤラセも辞さない強引なプロデューサーに絶叫担当の女性アシスタント、お調子者カメラマン、マジメな技術屋にエセ霊能力者と個性的なキャラクターが登場。

 一般人へのインタビューや院内に隠しカメラを設置する過程などを、ユーモアを交えて描く前半は、心霊系番組のファンならここだけでも興味深く楽しめるはず。後半では、そんな空気が一転、ここまでに紹介した作品全ての要素をこれでもかとブチ込んだ恐怖が畳み掛けるように彼らを襲う。前半の和やかな雰囲気が、絶望感に拍車を掛ける。劇中で彼らが収録する番組名が、そのままタイトルになっているのだが、これが結構面白そう。評判を受けて実際に製作されないかと、思わず期待してしまう。

映画『グレイヴ・エンカウンターズ』は公開中

 リアリティーホラーの原点には、『世界残酷物語』(1962年)『グレートハンティング/地上最後の残酷』(1975年)などに代表される、衝撃映像を紹介するモンド映画の存在がある。その後、マンネリやあまりの残酷さ、ビデオの普及などもありそのブームは去った。しかし、モキュメンタリースタイルのホラー作品は、ビデオ技術が向上し、アイデアと演出次第で低予算でもヒットを生み出せる素材として、また、新人監督の登竜門としてこれからも製作が続くだろう。

俺たちがグレイヴ・エンカウンターズだ! ノリノリすぎて憎めないヤツら
(C) 2010 DIGITAL INTERFERENCE PRODUCTIONS INC. and TWIN ENGINE FILMS LTD.

これはコワすぎ! こんな恐怖がこれでもかと彼らに襲い掛かる!
(C) 2010 DIGITAL INTERFERENCE PRODUCTIONS INC. and TWIN ENGINE FILMS LTD.

文・構成:シネマトゥデイ編集部 入倉功一

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