シネマトゥデイ

伊藤英明&加藤あい
『BRAVE HEARTS 海猿』
ファンと共に歩んできた10年
『BRAVE HEARTS 海猿』伊藤英明&加藤あい 単独インタビュー

取材・文:柴田メグミ 写真:吉岡希鼓斗

『THE LAST MESSAGE 海猿』から2年。あのアツい男たちが、ついにスクリーンにカムバック! さらなるステージを目指した『BRAVE HEARTS 海猿』で描かれるのは、原作コミック最大の海難事故にして最高のエピソードとされる、ジャンボジェット機の海上着水だ。本シリーズの「顔」であり、2003年夏に撮影が行われた第1作目からのパートナー、仙崎大輔役の伊藤英明と、妻・環菜役の加藤あいが、『海猿』への特別な思いを語り合った。

■『海猿』は特別な作品

Q:この企画は続編を求めるファンの声に後押しされて始動したそうですが、その話を聞いたときには、どんなお気持ちでしたか?

加藤あい(以下、加藤):確か前作のときも、署名運動をしていただいたんですよね?

伊藤英明(以下、伊藤):そうだよね。今回は1,000人を超す嘆願書が届いた結果、作られた。ただ、プロデューサーも含めて現場のスタッフもキャストも、「これ(前作)で終わらないんじゃないか」という気持ちはどこかにありましたね。でも本当に、『海猿』に対するファンの方の思いというのは、回を重ねるごとに増してきていると感じます。ファンの方々の存在があったからこそ(約)10年間やってこられたんだなと、改めて思いましたね。

加藤:他の作品では味わえない感覚ですよね。「面白かった」や「好き」ではなく、それ以上に「愛されている」という言葉がピッタリくるような、ファンの方たちの思いを感じられる作品だと思います。

■10年のバックグラウンドに裏打ちされた、自然な演技

Q:10年間近く携わられてきた中で、気心の知れた現場というやりやすさと同時に、常に変化や成長を見せないといけないという、『海猿』ならではの苦労もありましたか?

伊藤:それは全くないです。役者として右も左もわからないときからこの役を演じさせてもらっていますけど、本当に全てが自然なんですよね。例えば災害現場のシーンを撮る場合にも、回を重ねるごとにセットの完成度が上がり、もちろんハードルの高いことをやってはいるけれど、お芝居自体は自然になっていく。10年のバックグラウンドがあるからこそ、頭でああしよう、こうしようとは考えなくなってきました。不思議な感じですね。

加藤:わたしも伊藤さんと同じですね。もしいきなり今回の作品から関わることになったら、夫婦二人の関係や、子どもがいる設定というのはやっぱり大変だったかもしれないですけど。『海猿』の場合は、約10年前に二人が広島で出会い、連続ドラマの中でケンカしたり、彼の仕事に対して理解を示せなかったり、彼自身も仕事の上で葛藤があったり。そういうことを一緒に乗り越えた上で、結婚して子どもが生まれた二人なので。

伊藤:だんだん距離が縮まった。

加藤:共に自然に年を重ねてきた感じがあるので、成長を見せなきゃいけないとか、お母さんらしく見せなきゃいけないとは意識しないで臨めますね。撮影期間が少し空いたとしても、現場へ行けば自然にやれる気がします。

■血のつながったママより“環菜ママ”!?

Q:子どもといえば、大洋役の大山蓮斗くんをめぐって、どちらがより懐かれているかという小競り合いがあったと伺いましたが、共演シーンの長い加藤さんが圧倒的に有利だったのでは?

伊藤:でもそれは、実際の夫婦間にもあることだと思うんですよね。

加藤:そうそう。お父さんの役割とお母さんの役割って、やっぱりそれぞれあるじゃないですか。お母さんには甘えたいけど、お父さんとは遊びたい、というような。蓮斗くんは本当に、伊藤さんと遊ぶことが楽しかったみたいです。わたしはわたしで、蓮斗くんをよく抱っこしてあげていました。撮影現場でも、控室と現場の移動の際に「ママより“環菜ママ”の抱っこがいい」と言われて、わたしが抱っこしたり。

伊藤:懐いていたというよりは、本物の家族みたいだったよね。(仲)里依紗ちゃんや(佐藤)隆太と、仙崎家で食卓を囲むシーンがあったんですけど、どうしても子どもは台本や大人の思惑どおりにはいかないし、撮影だから飽きさせちゃいけない。とはいえ、いい画を撮るためには蓮斗の存在は不可欠なので、遊びながら進めていくんです。カメラも、こちらのタイミングに合わせて回してくれていました。その結果、環菜の手作りのボンベ形リュックサックであやしながら生まれた、台本にはない僕と蓮斗のやりとりが本編にも使われている。あの瞬間は、本物の家族になれたし、父親としての仙崎を感じられました。

■さまざまなものを背負ってきた男の姿

Q:仙崎は、全海上保安官の中でも特に高い知識・技術・身体能力が要求される精鋭集団、「特殊救難隊(略称:特救隊)」の一員となったわけですが、その点はいかがですか?

伊藤:特救隊は、海難救助の最後のとりでですね。特救隊が遭難したら、誰も助けにいけないという部隊です。特救隊という立場と守るべき家族がいることから、今までの仙崎の海難救助とは違っている。僕も台本を読んでいるときから、「なぜすぐに助けに行かないんだ」「なぜ立たないんだ」と、モヤモヤした気持ちがちょっとありました。僕自身も、仙崎と同じくらいのストレスを抱えながら、今回はやっていた気がします。でも今振り返ると、それが仙崎の成長を見せられる部分だったんじゃないかと。完成した映画を観て、これが特救隊としての仙崎の姿なんだ、さまざまなものを背負ってきた男の姿なんだと、実感できましたね。

加藤:すごく『海猿』らしい作品になっていますよね。

Q:仙崎が危険な状況下の機長を勇気づけるシーンには、特に胸を打たれました。お二人は心が折れそうなとき、どんな言葉に励まされたことがありますか? あるいは、自分自身をどのように鼓舞しますか?

伊藤:映画の仕事に限らずに追い込まれてくると、投げ出したくなったり、もういいやとなる瞬間はありますよね。でも、誰かに支えられているからこそ、諦めそうになったときでも前へ進める。この映画の場合も、どんなに撮影がつらくても、支えてくれるスタッフや、完成を待っていてくれるファンがいる。年齢を重ねれば重ねるほど、周りの人が大事に思えてきましたね。以前だったら恥ずかしくて口にできなかった言葉も、「大事だ」「好きだ」と素直に言えるようになってきた気がします。

加藤:わたしは自分に対して、「大丈夫、大丈夫」という言葉を掛けますね。ただし切羽詰まった感じではなく、軽めに。

伊藤:追い込まれると、誰でも少しパニックを起こすからね。

加藤:そういうパニックのときこそ、笑って「大丈夫だよ」と自分に言ってあげます。それから何かを諦めたり、投げ出したりした自分の姿を想像して、「そんなふうにはなりたくない」「後悔しないようにやろう」と思うようにしています。

『BRAVE HEARTS 海猿』が映し出すのは、仙崎大輔を軸に、大事故の中でつながっていく人々だ。海上保安庁はもちろん、空港、消防、警察、病院、港湾関係者、そしてジャンボジェット機の乗員乗客たち。その誰もが「勇気」を内に秘め、自分にできる最善を尽くそうとする姿は圧巻だ。仙崎と家族の風景や吉岡(佐藤隆太)との掛け合い、さらに吉岡の恋愛など、名もなきヒーローたちの日常がちりばめられている点も、加藤あいが「『海猿』らしい作品」と語るゆえんかもしれない。公開を待ちわびたファンもきっと、大満足できる仕上がりだ。

映画『BRAVE HEARTS 海猿』は7月13日より全国公開

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