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シネマトゥデイが選ぶ 今月の5つ星

トム・クルーズがカリスマロックスターにふんするミュージカル『ロック・オブ・エイジズ』、松たか子&阿部サダヲが夫婦役で共演を果たした『夢売るふたり』、グリム童話をジュリア・ロバーツ主演で大胆アレンジした『白雪姫と鏡の女王』など、バラエティー豊かなラインナップが勢ぞろい!

9月1日公開 厳しい演出のもと、舞台から映画に変換した藤原の演技が見もの 『I'M FLASH!』 作品情報

長年、豊田利晃作品への出演を切望していたという藤原竜也。出会いから5年で実現した初タッグ作で、藤原は豊田監督から厳しい演出の洗礼を受けたという。それは、蜷川幸雄の舞台で「舞台俳優」としてのキャリアを積んできた藤原を、豊田監督が「映画俳優」に仕立て直したからであった。あらゆるものを誇張して観客を非現実世界にいざなう舞台と、日常などの一片を切り取り観客に贈る映画。これまでにもミステリアスな役柄には多々挑戦してきた藤原だが、その違いを豊田監督からたたき込まれた藤原が演じた「新興宗教の教祖ルイ」は、藤原の「映画俳優」としての魅力を凝縮したキャラクターになっている。本作では、松田龍平が演じたボディーガード・新野、水原希子が演じたミステリアスな美女・流美など役者の魅力を最大限に引き出したキャラクターが生き生きと描かれている。松田には、父・松田優作の面影も感じられた。交通事故を起こした新興宗教の男、そのボディーガードとして雇われた新野をはじめとする3人の男たち、事故により生死をさまよう美女の物語が、音楽監督zAkが手掛けた疾走感のある音楽に乗って、時間軸も無視してさまざまなアングルから切り取られていく。そしてそれらを集約して迎えるエンディング。やはり映画は90分くらいがちょうど良いと改めて感じさせる91分に収められた一瞬の閃光(せんこう)を、映画館で感じてほしい。(編集部・島村幸恵)

『I'M FLASH!』©2012「I'M FLASH!」製作委員会
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9月7日公開 過激な言動を連発する暴君の「恐れ知らず」ぶりが痛快 『ディクテーター 身元不明でニューヨーク』 作品情報

栄えあるアカデミー賞授賞式で見せた「金正日の骨壷パフォーマンス」や、アメリカの人気コメディー番組で、あのマーティン・スコセッシ監督に本作を「最高!」と言うように脅すなど、相変わらずやってくれるサシャ。全ては本作のパフォーマンスの一つだったが、今回彼が演じた暴君のアラジーン将軍は、またも超過激! オバマ大統領にも嫌われ、気に入らないヤツがいればすぐ首を切り、アーノルド・シュワルツェネッガーミーガン・フォックス(本人役で出演)といった名だたるハリウッドスターと代わる代わる夜を共にし、今ハマっているのは核兵器! とまあ、これだけ聞いてもめちゃくちゃぶりがわかるだろうが、相変わらず「シモ」系のお下品なネタや、『食べて、祈って、恋をして』もネタにしちゃう、ブラックユーモアが最高! しかし、随所にアメリカの政治問題や民族問題などチクリと皮肉っているところもグッド。ヒトラーを痛烈に批判したチャールズ・チャップリンの『チャップリンの独裁者』を思わせる、サシャの「恐れ知らず」ぶりには拍手を送りたい。そんな21世紀のチャップリン(!)とまで言われちゃうサシャ=アラジーン将軍の暴れっぷりをとくとご覧あれ。(編集部・山本優実)

『ディクテーター 身元不明でニューヨーク』© 2012 Paramount Pictures, All Rights reserved.
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9月8日公開 正体不明な愛の実態を探求した監督の観察眼に魅せられる 『夢売るふたり』 作品情報

『ゆれる』『ディア・ドクター』など、人間の無意識の悪を描いてきた西川美和監督の新作は、一層研ぎ澄まされた観察眼で、一組の夫婦をサンプルに正体不明な愛の実態を暴こうとしているかのような野心作だ。汗水たらして実現した夢を一夜にして失った貫也(阿部サダヲ)と里子(松たか子)の夫婦が、人生をリセットするためにたどり着いたのは結婚詐欺。きっかけは、夫が一夜の浮気相手から大金をもらってきたこと。夫に裏切られた妻が豹変(ひょうへん)し、次々と夫に“カモ”をあっせんしていく姿は不気味だが、この妻の倒錯した心理が面白い。何が彼女をそうさせたのか? 夫が「おまえの『足りん』は、金やなくて腹いせの『足りん』たい」と言う通り、夫の裏切りや思うようにいかない人生に対する怒りゆえなのか、それとも夫の愛を試しているのか。妻が夫の“稼ぎ”に喜々とする一方、夫は罪悪感にさいなまれ、二人の溝は広がるばかりで何とも言えない居心地の悪さが押し寄せてくる。そして訪れる容赦ない結末では、「愛は愚かなもの」とさえ思うかもしれないが、「それでも人生は続いていく」といった感のラストシーンにはほんのりとすがすがしさが感じられる。(編集部・石井百合子)

『夢売るふたり』©2012「夢売るふたり」製作委員会
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9月14日公開 ターセム・シン監督&故・石岡瑛子の集大成的コラボ 『白雪姫と鏡の女王』 作品情報

『ザ・セル』『インモータルズ -神々の戦い-』など美しくも暴力的な作品を作り上げてきたターセム・シン監督が、大勢の人が楽しめるファミリー映画を目指して制作したのが本作だ。ジュリア・ロバーツ演じる女王が白雪姫(リリー・コリンズ)を恋敵に、ちょっと抜けているイケメン王子(アーミー・ハマー)をあの手この手でゲットしようとするさまはとびきりチャーミング。映画の最後にはインド出身のターセム監督のルーツを感じさせるボリウッド風ミュージカルシーンもあり、ユーモアとロマンスに満ちた、心からハッピーになれる第一級のエンターテインメントに仕上がった。また、ターセム監督が過去作で見せた独創的な映像センスは本作でも健在で、それを完璧なものにしているのが今年1月に亡くなった石岡瑛子さんの想像力に富んだ衣装の数々。ターセム監督はデビューから全ての作品で石岡さんとタッグを組んでいるが、本作でそのコラボレーションは完全の域に達したといっても過言ではない。最後のミュージカルシーンが終わり、スクリーンに石岡さんへの哀悼の意を表す言葉が映し出されると、映画界が失った“石岡瑛子”という存在の大きさに胸が締め付けられる。(編集部・市川遥)

『白雪姫と鏡の女王』©2011 Relativity Media, LLC. All Rights Reserved.
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9月21日公開 カリスマロックスターにふんしたトム・クルーズの歌声が圧巻 『ロック・オブ・エイジズ』 作品情報

ブロードウェイのヒットミュージカルを、『ヘアスプレー』「Glee」のアダム・シャンクマン監督が映画化した本作。1980年代のハリウッドを舞台に、当時の流行していたロックナンバーをちりばめた青春もの……なのだが、本作の良し悪しをストーリーで測ろうというのは野暮極まりない。ジャーニーデフ・レパードポイズンの楽曲が流れ、『シカゴ』キャサリン・ゼタ=ジョーンズが久々に映画館の大スクリーンで踊るというだけで、ロック愛好家、ミュージカルファンには十分。残念ながらそのどちらにも当てはまらないという人には、ぜひトム・クルーズを見てほしい。ミュージカル初挑戦ながら、カリスマロックスターという役柄を自分のものにしているだけでなく、ボイストレーニングをみっちり受けたという歌声は圧倒的で、本作の主演はトムでなくても、真の主役はトムなのだと思い知らされる。ロックが反体制の象徴ではなくファッションになってしまった以上、本作に深いメッセージを求めるのは厳しいが、難しいことを考えず、みんなで一緒に楽しく観るにはもってこいのエンターテインメントだ。(編集部・福田麗)

『ロック・オブ・エイジズ』© 2012 WARNER BROS. ENTERTAINENT INC.
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  5. 第43回『I'M FLASH』『ディクテーター 身元不明でニューヨーク』『夢売るふたり』『白雪姫と鏡の女王』『ロック・オブ・エイジズ』